井上ひさしのレビュー一覧

  • 井上ひさしの読書眼鏡
    井上ひさしが読売新聞に連載した書評集です。素晴らしいのは、その守備範囲で文芸書は言うに及ばず、社会科学から辞書事典類から白書まで、稀代の読書家だった井上ひさしの片鱗が窺えます。別稿として、義姉米原万里の全著作の短評も収録されています。
  • 「けんぽう」のおはなし
    【規則の尊重】
    まず井上ひさしさんについて軽く紹介する。
    Q 自分のどんなところが、日本人らしいと思いますか?
    ノーベル文学賞のイギリス人小説家カズオ・イシグロさんのことにも触れる。
    絵本を読み聞かせながら、ところどころで話を聞いていく。武田美穂さんの絵と子供たちの反応の様子が絶妙で、楽しみながら学...続きを読む
  • 井上ひさしから、娘へ 57通の往復書簡
    井上ひさしと次女との5年に渡る往復書簡。
    父親の娘に対する優しさが伝わってくる。
    彼のように、子どもに語るべき言葉を持っていたいと想った。


    ★親の務め
     どんな子であれ、やがては一人で生きて行かなければならない。その時に困らないようにしてあげる。
     甘やかすことではない。
     どんないやなことでも...続きを読む
  • 太鼓たたいて笛ふいて
    林芙美子の後反省を著した 劇作品。終戦で戦争賛美を反省し、反戦活動を続けた。短編だが読みごたえあり。20199.8.19。
  • ふふふ
    むずかしいことをやさしく
    やさしいことをふかく
    ふかいことをおもしろく
    おもしろいことをまじめに
    まじめなことをゆかいに
    ゆかいなことをいっそうゆかいに

    井上ひさしさんの
    この座右の銘が
    このエッセイでも
    しこたま体感できます

    不愉快な出来事が多い日々
    井上ひさしさんの著作を
    手に取ることが
    ...続きを読む
  • ふかいことをおもしろく 創作の原点
    練って練って、これじゃ駄目、あれも駄目、これも駄目と、何度も何度もやってはじめて出てくるもの。
    それは「悪魔が来る」時間。
    筆が遅いことで有名で、「遅筆堂文庫」まで作ってしまった井上ひさし氏の創作の秘訣は、この「悪魔を呼び込む」時間にありそうだ。
  • ふかいことをおもしろく 創作の原点
    亡くなった伯父が文章を教わっていたということで人となりを知るために読んでみた。言葉に対してとても柔軟だけれども、戯曲には大和言葉を使うなど貫き通しているし、考え方に共感できるところが多々あった。
    東北各地で過ごされていたため、縁のある土地では今でも愛されているのが理解できた。
  • モッキンポット師の後始末
    どうしようもない貧乏大学生三人の悪事を、海のような広ーい心で後始末してくれるフランス人神父さん。なぜか関西弁。戦後の貧しい混乱期がもつ空気を肌で感じることができます。
  • 新釈遠野物語
    柳田国男の遠野物語は昔読んだことあってなんか不思議な物語だなぁ、と思った記憶があった。中途半端なところで物語が終わったり、話のつながりがなかったりしたところにそんなイメージを持ったのだと思う。
    それから、10年以上経って再び本を読み始めると、いたるところで柳田国男と遠野物語の名前を見るようになった。...続きを読む
  • 東慶寺花だより
    映画『駆込み女と駆け出し男』の原作ではなく”原案”となってたので気になって読んでみた。とても楽しめた。
  • 東慶寺花だより
    久々に井上ひさしの本を読んだ。井上氏のDV等の話を知っていると、こういう本を書くのはどういう思いなのだろう、と思わなくもないが、それを脇に置けば、心温まるショートストーリー集ということで楽しめた。東慶寺や鎌倉に何度か行っていて地名が分かるのもよかったのかもしれない。
  • 新東海道五十三次
    冒頭の五十三次ポルノ版で「もしや?」と思ったら、やはり筒井康隆氏との親交がある著者だった。しかし、回が進むにしたがって、だんだんアカデミックな内容になっていく筆致。「五人組帳の裏返し」で、十返舎一九の『膝栗毛』を文学ではなく、江戸の庶民を仮想の旅で楽しませる娯楽本と論破しているのが気持ち良い。日常生...続きを読む
  • 井上ひさしの日本語相談
    新聞に寄せられた日本語に関する質問に、井上さんらが答えた連載をまとめた本のようだ。
    他にも大野晋さんも回答者であった由。

    日本語人生活も何十年もしていると、ここに取り上げられている質問も、殆どが既にどこかで見聞きしたもの。
    さすが井上さん、という風情の、ユーモア溢れるものもある。
    が、一番面白かっ...続きを読む
  • 私家版 日本語文法
    井上流の日本語と文法にかかわるエッセー。例文が面白い。なんと、「は」と「が」についての考察には、デヴィ夫人へのスカルノ元大統領のラブレターが取り上げられている。
  • 井上ひさしの読書眼鏡
    井上ひさしさんが亡くなって8年になります。
    「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く」を座右の銘に『ブンとフン』や『四十一番目の少年』『新釈遠野物語』『吉里吉里人』など、多くの作品で私たちを楽しませ、考えさせ、そしてちょっぴり泣かせてくれました。

    本書は、その基にある膨大な読書と勉...続きを読む
  • 言語小説集
    ・括弧の恋
    ・極刑
    ・耳鳴り
    ・言い損い
    ・五十年ぶり
    ・見るな
    ・言語生涯
    ・決戦ホンダ書店
    ・第惨事人体大戦
    ・親銭子銭
    ・質草

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    括弧の恋を見て、バカリズムのライブを思い出した。
    記号や言葉、無機物を単なる表現の手段としてではなくあたかも生きているかのようにとらえた作品が印象的。(...続きを読む
  • 吉里吉里人(上)
     一応「SF」小説だと言うから読んだのだが、かなり期待の斜め下を行く作品だった。
    SF的ガジェットは無くもないが、ほとんど冗談のような医療技術に負う所が大きいからだ。

     東北の一寒村が日本政府に対して独立を唱えるという発想は面白い。
    そしてその手法が軍事独立ではなく文化的戦略による独立である事も。...続きを読む
  • 「けんぽう」のおはなし
    憲法って何のためにあるのか、知ってますか?
    そんなこと偉そうに言えませんが(笑)、私も最近になって学び直しています。


    改憲をしようとする政治家がいる今、
    唯一の被爆国である日本は、多くの犠牲を伴った『戦争を放棄』した。どんな背景があって、どんな意図があって今の世の中ができたのか。子供だけでなくて...続きを読む
  • 喜劇役者たち
    著者の実体験を基礎にしているだけに、本当にこんな喜劇役者がいたのではないかと思ってしまう。渥美清、谷幹一、長門勇、関敬六、佐山俊二らの芸の分析も随所にあり楽しめる小説である。
  • 東慶寺花だより
    読みながら思い出した。東慶寺。女性が離縁を求めて駆け込む寺。まさかこの寺を舞台に物語を書く人がいたとは。「離縁」「駆け込み寺」というとどうしてもミゼラブルなイメージが先行してしまうが、実際には人情物語。どこかアットホームな感もある。ときには男の方が間違って駆け込んだり、再駆け込みは禁止、をまるで「二...続きを読む