井上ひさしのレビュー一覧

  • 父と暮せば
    ちょうど去年の秋、長崎の原爆資料館にいったことを思い出した。この物語の舞台は広島だが、原爆という共通点がある。
    私が話を聞いた被爆者は88歳。当時は小学生で、被爆者の中では比較的若い方だった。その方ですらこの年齢。静かに、緩やかに生の体験を話せる人がいなくなる状況に恐ろしさと悲しみを覚えたことが記憶...続きを読む
  • モッキンポット師の後始末
    俺に読書の面白さを教えてくれた一冊です。

    井上ひさしが、大学時代のエピソードを元に
    作られた作品らしいが、本当に面白くて、
    一気に読める(笑)

    三人の貧乏学生が、色々やらかして、
    モッキンポット師を怒らせたりするんだけど、
    そのやり取りがすっごく面白くてね(笑)

    今から30年前に、当時読書なん...続きを読む
  • 父と暮せば
    終戦から3年経った広島。被爆した娘と原爆で亡くなった父のやりとりで進む、舞台台本。
    まず、前口上で原爆に対する作者の思いが、短いが力強く書いてあり印象的だった。
    原爆で一人生き延びた自分は幸せになってはいけないと思う主人公が恋をする。心に蓋をし、相手を遠ざけようとする娘を「応援団長」として現れる亡く...続きを読む
  • 私家版 日本語文法
    軽妙洒脱な語り口だが、内容は重厚なのはさすが。言葉について色々思うところがあったが、なんとなく同じことを考えている人がいるんだなぁと同意するところ多し。昭和56(1981)年に出版されたものだが、古くならない。
  • 井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法
    なぜ憲法改正なのか。

    本当に日本国憲法は時代にそぐわない黴の生えた代物なのか。
    本当に日本国憲法では日本人は主権者としてのアイデンティティを確立できないのか。

    あらためてそういうことを考えさせらえれました。
  • 組曲虐殺
    先日舞台を見てきた勢いで借りました。戯曲脚本形式なので普通に読むのはちょっと読みにくいかもしれませんが。舞台を見たあとでは、あのときのあの台詞が甦ってきて二度美味しいという感じ。名前だけ知っていた小林多喜二の人生は壮絶で、現代社会にも通じる様々な怒りを感じました。そんな中にも井上ひさしさんらしい、笑...続きを読む
  • 父と暮せば
    台本であり、読みやすい。
    幸せになることに対しての娘の葛藤、父の心配、そして、幽霊として娘のそばにおり、娘がそれを受け入れているというユニークな設定。あたたかい。
  • 日本語教室
    2019.8.29済。
    非常に読みやすい文体。
    こういう文体好きだなあ。
    「美しい日本語はひらがなと漢字のバランス」
    「劇のセリフは、観客に即分かる単語で」
  • 四十一番の少年
    教会の孤児院を舞台にした短編3作。

    高校に入学するため、孤児院に入った利雄は、同室に割り当てられた高校生の昌吉に目をつけられる。昌吉から何かと「しごき」を受けていた利雄であったが、昌吉は突然「丸木舟で川下りをしろ」と言い始め…。

    いじめられ、しごかれる表現が最後の作品を除いてずっと続き、それはほ...続きを読む
  • モッキンポット師の後始末
    この作品、何が面白いのかわからないけれど、どんどん読み進んでしまうこともなく、ゆっくりゆっくりの読み方だったけれど、何だかじんわりと面白い作品でした。
    とてつもなく大っきい人物のモッキンポット氏にまたまたとてつもなく破天荒な3人の学生が反応していく、光合成みたいな力の出るお話でした。
  • 父と暮せば
    技巧に舌を巻きつつ、それ以上に、題材たる広島の重みを感じざるを得ない。
    中学生が読むのは良いことね。
  • 他人の血
    1☆か5☆か散々悩みました。一番の疑問は、この本は女の人にとっても面白いのだろうか?という疑問です。
    次から次へと他人の〇〇が出てきて、そしてその持ち主は揃いも揃って死んでしまうのです。それはもう軽く楽しく、あっけなく。
    一度親しい女の子に読ませてみたい作品です。でも、ひっぱたかれそうな...続きを読む
  • 父と暮せば
    母に薦められて読んだ本。
    全く何の知識もなく読み始めて、まえがきで原爆のことなのだとわかり、覚悟して読む。
    読みながら、思いがけず3.11の津波のことを考えた。津波の後、この作品の父と娘の別れの回想と同じような体験談を読み、胸がえぐられた。全編通して、とても辛いのだけど、父の思いが前を向いていて、救...続きを読む
  • 井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法
    井上ひさしが十代の少年だったころ、学校の先生は、生徒たちに「君たちは20代前後までしか生きられない」と話していた。戦争の時代だったからだ。でも井上ひさしは20代よりずっと長く生きている。戦争が終わったから。そしてあの敗戦後に、日本が戦争に巻き込まれることは最近まで無かったから。

    私たちの憲法は美し...続きを読む
  • 藪原検校

    傑作です

    登場人物1人1人が、生き生きとして、情景が目に見えるようでした。
    井上ひさしの素晴らしさに圧倒されました。
  • 井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法
    「偶然の出会い」の一冊。

    井上ひさしさん、今から10年も前にこの本を書いたんですね。きっと、改憲への風を肌で感じていたのだと思います。

    命を大切にする教育=戦争を二度としない教育
    でもあると僕は思います。


    あとがきまで、じっくりと読みました。

    一文一文、一言一言を大切に大切にしながら読みま...続きを読む
  • 井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法
    日本のかたちの憲法、今まであまり考えてこなかった。井上ひさしさんの言葉といわさきちひろさんの絵で、憲法が身近でなんて温かい決まりなんだろうと思った。絶対日本は戦争に加担する国になっちゃいけない。
  • 東慶寺花だより
    江戸時代、離縁を求めて寺へ駆け込む妻とその夫のほつれを解きほぐしてゆく時代物ミステリー。

    映画を先に観ました。
    映像美、登場人物たちの愛らしいキャラクター、起伏あるストーリーなどどれをとっても素晴らしくて、興奮冷めやらぬ思いで帰り道に原作を購入しました。

    原作を読んでまた驚愕。
    映画とはだいぶ違...続きを読む
  • 父と暮せば
    買いだめしておいた何冊もの本の中から、今日偶然に手に取った。
    8月は鎮魂の月である。
    祖母は被爆者。自分が幼い時に話は聞いたことがある。原爆資料館にも連れて行ってもらった。
    それから30年以上たち、日本は戦争していないが、世界中で悲惨な戦いは繰り返されている。
    日本は核兵器禁止条約に批准しないという...続きを読む
  • 父と暮せば
    最近、夢中になっている井上ひさし。
    悲しいが、優しい救済の物語。こうでないと救えない心がたくさんある。