西澤保彦のレビュー一覧

  • 新装版 瞬間移動死体
    こんな本格ミステリなのに、ある能力をアリバイトリックに使うとは大胆不敵な西澤保彦氏。そしてそのある能力の欠陥が故に見事に着地点に。もうこれは一気読み必至の本格長編パズラーの傑作。

    気弱でヒモで無気力なマゾヒストでありながら、不純な動機で密かに作家を目指す、長男なのに婿養子が主人公。この夫の視点で物...続きを読む
  • 収穫祭(下)
    徹底的にグロかったけど、後半もテンション変わらず面白かった。というか、前半最後に謎の組織みたいなのが出てきて、そういう方向にいったらどうしようと思ってたけど、全く杞憂だった。寧ろ、あの人たちは誰だったの?っていう謎はそのままほったらかし。最終的に、不安な行く末を暗示しつつも、登場人物たちの末路までは...続きを読む
  • 収穫祭(上)
    最初、何だかうだつのあがらない日常風景の描写に、いまひとつのめり込めない自分がいたけど、大雨が降って不穏な空気の村に帰ってきてみたら、ってところからの惨殺に次ぐ惨殺はかなりの緊張感。それだけでひとつの物語が出来上がるのに、まだ一章(とはいえ300ページ)。で、読んできた内容とは異なる解決が提示され、...続きを読む
  • 彼女が死んだ夜
    門限六時。家が厳しい女子大生ハコちゃんはやっとアメリカ行きの許しを得た。出発前日、親の外出をいいことに同級生が開いた壮行会から深夜帰ると部屋に女の死体が!夜遊びがバレこれで渡米もふいだと焦った彼女は自分に気があるガンタに遺棄を強要する。翌日発見された遺体は身元不明。別の同級生も失踪して大事件に。匠千...続きを読む
  • 自薦 THE どんでん返し
    タイトル通り、どんでん返しもの。
    自薦だけあって、それぞれの作家さんの特徴が出てて大変面白く読めました。
    なーんか読んだことある話ばかりだなー
    まー自薦だから他ので読んだんだろーなー
    と思ってたら同じ本が自宅の本棚にあったのは内緒
  • 回想のぬいぐるみ警部
    ぬぐるみの刑事が(刑事ぶたぶた)がいるのだもの、あふれ出るぬいぐるみ愛で推理し、事件を解決する刑事がいたっておかしくない!

    事件はシリアスなのに、シリアルになるのは決してぬいのせいじゃない。スーパー美形で、仕事もできて、エリートなのに、ぬいぐるみへの愛情が事件現場でも漏れ出してしまう音無警部のせい...続きを読む
  • 麦酒の家の冒険
     とにかく、「そんな馬鹿な」と思ってしまう作品。不自然な状況下におかれた人がそんな行動をはたしてとるのか。そもそもそんな状況が不自然すぎる。などといった違和感が常につきまとう。が、そんな違和感を登場人物たちも感じながら、物語は突き進む。
     この作品の妙は、とにかくビールが美味しそう。そのビールがミス...続きを読む
  • 腕貫探偵、残業中
    もともと連作ものだったけどユリエの携帯に出るようになって神出鬼没ではなくなったかな。
    ユリエとの関係はどうなるのか今後が楽しみです。
  • ファンタズム

    私は好き

    何度も読み返しました。
    最後まで読むと刑事と同じように叫びたくなる。
    この不快さ不可解さ理不尽さ、癖になります。
    普通のミステリーと思って読むと不完全燃焼を起こすかも知れません。
  • 依存
    冒頭のタックの衝撃的過ぎる告白から一転、いつもの不可思議な謎をお酒を飲みながら推理するスタイルに。交互に場面を入れ替えながら通低するテーマがラストに向かって収束していく。ここまでシリーズを読み進めてきたからこそ感じられる感動や興奮がラストシーンに凝縮されている。散々言われているだろうが、ウサコ視点で...続きを読む
  • 麦酒の家の冒険
    魅力的な謎❨大量の麦酒❩を大量の麦酒を飲みながら、あーでもないこーでもないとこねくりまわす、麦酒党としては見過ごせない作品。そりゃ麦酒も進むってなもんです。
  • 幻想即興曲 響季姉妹探偵 ショパン篇
    パズラー(小説中に書かれた全ての事象が謎解きに関わる推理小説)は大変爽快感があるものの、変な事象に着目して考察することで簡単に真相にたどり着けるという弱点があると思っています。たとえばTVドラマの相棒とかでは、何故このシーンがあるのだろう?と考えるとすぐに事件の真相が分かりますよね。

    本作品では、...続きを読む
  • 赤い糸の呻き
    短編パズラーが5作品入っています。どれも、「ああ、そうだったのか、スッキリ!!」という感じで爽快でした(というわけで、一つも謎解きに成功しませんでした。orz)
  • 死者は黄泉が得る
    タイトル通りのSF設定。
    2つのパートが交互に進行する構成。
    パートの関係、時系列、人間関係etc…
    なかなか複雑で若干混乱。
    その分、考えるのがとても楽しかった。
    自分はSFミステリーが好きみたい。
  • 幻視時代
    久々に文句なく面白い小説を読んだ気がする!!

    2010年、主人公たちは一枚の写真を目にする。その写真が撮られたのは1992年。しかしそこには1988年に死んだはずの少女が映り込んでいた。

    ストーリーは過去編と現在編からなっていて、過去編にあたる1〜3部は、少女とその死をめぐる一連のお話。現在編に...続きを読む
  • 麦酒の家の冒険
    今まで読んだシリーズの中ではいちばん好きです。迷子の末にたどり着いたがらんどうの別荘。ウォーキングクローゼットに隠された冷蔵庫からはキンキンに冷えた大量のエビスビール。日常ミステリ寄りのおはなし。
  • 麦酒の家の冒険
    ビールが飲みたくなった。
    安楽椅子探偵ものは始めて読んだ。
    最初はつまらない、検討はずれな推測ばかりを捏ねくりまわしているようだった。それが次第に矛盾の少ない、筋の通った仮説に置き換わっていくのが面白かった。
    自分のいいたいことを登場人物が言ってくれたときなんかは、彼らと一緒に自分もその場にいるよう...続きを読む
  • 狂う
    妄執というか狂気というか、振り切った恐ろしさに肌が粟立ちました。
    後味の悪さもまた狂気の果てと思えば、何とも言えない気持ちにさせられます。
  • 収穫祭(下)
    さすが西澤保彦! もう、ホント大好きです☆
    14人も殺しておきながら、びっくりするような陳腐な殺害理由。
    書いたのが西澤保彦でなかったら、「まさかでしょ、ないないw」で終わるところを、
    「ありえるかも」と思わせ、ゾッとさせる、西澤保彦の手腕に脱帽。
  • 仔羊たちの聖夜
    タックシリーズの3作目。
    今回はけっこう重い話でした。
    タカチが苦しみタカチが解決するパターン。
    そういえば、酒もほとんど出て来なかった。
    このシリーズを読んでいると、身近な人の心の醜さが表現されているので、とってもリアル。自分の近くにいる人はみんな良い人と思っているけど、本当に考えていることは分か...続きを読む