ある女子大生が自宅で死体に出くわし、とある事情から友人たちに手伝ってもらって隠蔽することに。そして警察に代わって自分たちで解決を目論んでいくことにーー
と、設定は正直言って単純だし少し地味。しかも、本書の大部分を占めるのがディスカッション。
ああだこうだと言い合って、全ての謎に筋の通った説明をつけ
...続きを読むる。その作業にかなりの頁数が割かれているのだ。そしてその中で、作者は“論理の飛躍”の醍醐味を見せてくる。地味な設定、本格の括りの中でここまで見える景色を変えてくる作品には滅多に出会えない。
そうしたミステリ純度の高さにキャラクターの魅力も相まって、誰でも楽しめる本格--もはや語義矛盾のようにも感じられるが--に仕上がっている。
↓↓↓↓以下ネタバレ↓↓↓
ハコちゃんが発見した"死体"は実はまだ生きていて、しかも髪を切ったのも自らしたことだ、というのがまず驚き。タックが机に頭ぶつけるのが伏線だったんだなぁ。
次に死体の入れ替わりもポイント。
(もしかしてあのスワッピング、コートの入れ替え、盗まれた財布、残ったタオル...とかと対応してるのかとも思ったが考えすぎか?)
そしてなによりこの後味の悪さ。
宮下という人物の卑劣さを曝け出し、そしてもうガンちゃんをズタズタに。
和気あいあいとした前半からは予想もつかないこの急転直下が最高だった。