小説において金閣寺を燃やした二人の作家、三島由紀夫と水上勉。
二人の金閣寺(あるいは、金閣寺を燃やした実在の青年僧 林養賢)へのアプローチを、対比させている。
生い立ちも気質も全く異なるふたりでありながら、金閣寺を結節点として、繋がっている。
三島由紀夫の金閣寺は何度か読んだんだけども、水上作品
...続きを読むを読んでいない(というか、知りもしなかった)ので、非常に興味深く、これから読んでみたいと思った。
この対比によって、二人が何を描こうとしたのかがより深くなっていると思う。
(三島由紀夫の金閣寺しか読んでいない僕でも楽しめた)
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【内容(「BOOK」データベースより)】
若い修行僧はなぜ火を放ったのか。「金閣寺焼失事件」に心を奪われ、共に事件を題材に作品を書いた三島由紀夫と水上勉。生い立ちから気質まで、すべてが対照的な二人を比較すると、金閣寺の蠱惑的な佇まいに魅入られずにいられない、日本人特有の感覚まで見えてくる。著者ならではの分析眼が生きた文芸エッセイ。
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【目次】
はじめに
・「あの物語」だったのか!
金閣寺
・義満と三島の金ピカ趣味
・なぜ金閣に火をつけたのか
・二人の作家が見た、全く異なるもの
母と故郷
・水上勉の故郷/林養賢の故郷
・三島由紀夫の故郷/表日本と裏日本
寺と戦争
・三島由紀夫の場合/水上勉の場合
・禅というもの
美と女
・童貞小説「仮面の告白」
・水上と養賢の「五番町」
・童貞喪失以降/美というもの
生と死
・「生きようと私は思った」
・「生きて、生きて、生き抜きたい」
・三人の死
おわりに
・「隠す人」三島、「見せる人」水上
・荒野と汁田──日本人の二つの感覚
あとがき
解説(重松清)
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