保阪正康のレビュー一覧

  • あの戦争になぜ負けたのか
    6名のそうそうたる面々が大東亜戦争を討議。討議のかたちだが文章がうまく補足されてるので、戦史全体像と事件経緯もよく分かる。注釈も見開きごとにあるし。

    日本の戦略性ゼロというか「エイ、ヤー」の勢いってのはこんなにもヒドかったのか。かなりコキ下ろす一方で、昭和天皇の評価は高い。天皇と大元帥の二役で苦し...続きを読む
  • 歴史でたどる領土問題の真実 中韓露にどこまで言えるのか
     千島列島をめぐる日露問題は歴史の観点、竹島をめぐる日韓問題は条約の解釈、尖閣をめぐる日中問題は資源と経済、それぞれの見方を提示してくれている。一緒くたにナショナリズムに訴えるよりは遙かに説得力がある。
     国家を超えたレベルで経済活動が世界を覆っているこの時代、領土を主張することにいかほどの意味があ...続きを読む
  • 新編 後藤田正晴 異色官僚政治家の軌跡
    本書は政治家として敬意を集めた後藤田正晴の伝記である。内務省官僚、警察官僚等を経て政界へ進出。内閣官房長官などを要職を歴任し、今なお惜しまれている。

    後藤田の仕事ぶりをみると、いまの官房長官がいかに見識に欠けるのかが明白にわかってしまう。 

    果たして歴史の審判はいかにくだるのか興味深い。
  • 昭和の名将と愚将
    やっぱトップに立つ人には“責任感”というものを強く持ってやっていただきたいものだとしみじみ思う。軍人だけでなく政治家だっても導く立場にある人は、“私”は捨てて“公”に徹するべきなのに、愚かと言われる人たちはみんな公より私に重きを置いてるんだねえ。
  • 昭和の戦争を読み解く 戦争観なき平和論
    昭和の戦争をトピックにわけ、その原因、経緯を分析している。
    戦中の軍部、行政の動き、天皇の意味、戦後の体制などが考察されていて、史実を学ぶものとして読むのもよいと思われる。

    しかし、非常に重要な点はサブタイトルにある「戦争観なき平和論」である。

    自分自身、右の人から見れば左に見え、左の人から見れ...続きを読む
  • 昭和史の教訓
    [ 内容 ]
    昭和十年代から教訓を学ばない者は昭和十年代から報復を受ける。
    昭和二十年の敗戦―日本は310万もの戦死者をだし、中国はじめ東南アジアにも多くの犠牲者を生んだ。
    そんな血の結晶の教訓を歴史に生かさない手はない。
    いや、生かさなかったら申し訳ない。

    [ 目次 ]
    序章 昭和史を見つめる目...続きを読む
  • 占領下日本の教訓
    マッカーサーが主導した「占領下日本」時代を小学生として過ごした筆者が、自身の体験もまじえながら、現在の目でどのような思いで占領という時代を見ているかを解いた書物である。

    占領下日本においては、幾つかの歴史的な教訓を生む出来事があった。

    大日本帝国が崩壊したあとに、どのような形で次の時代に移行した...続きを読む
  • 時代に挑んだ反逆者たち 近代日本をつくった「変革」のエネルギー
    反乱、革命、クーデター……昨今、日本という国で、人びとが自分のエネルギーの全てを振り絞って権力や体制に向かって暴動を起こすといった出来事はほとんど見られない。しかし江戸、明治、大正、昭和と、現代に続く日本の歴史の過程では、時代の趨勢に命懸けで抗った男たちがいた。彼ら“反逆者たち”は、決して一個人の理...続きを読む
  • 「昭和」とは何だったのか
     自分が思っていたこと・感じていたことがずばり書かれていたので衝撃的な作品だった。

     自分が思っていること・感じていることとは以下のことだ。
    ・自分の生まれた昭和という時代を持った良く知りたいと思っていること
    ・昭和前期の戦争の時代の正しい歴史観をみにつけたいと思っていること
    ・戦争の悲惨を心で感...続きを読む
  • 参謀の昭和史 瀬島龍三
    瀬島龍三氏が亡くなって一番残念だったのは保坂氏では?
    瀬島龍三氏が遂に「語らなかった」こと
    (レイテ決戦につながる電報もみ消し事件や,
     シベリア抑留の真実など)が
    瀬島龍三氏の死によって本当に暗黒の闇に葬られてしまったのだから。
    この本から瀬島龍三氏について入ってしまったら、
    「彼が「語らない」こ...続きを読む
  • あの戦争になぜ負けたのか
    どうして日本は太平洋戦争で負けたのかを座談会形式で六人の著者が8つのテーマを話し合っている。

    座談会形式なのでとても読みやすい。テーマも興味深く、変にイデオロギーを持ち出さず、あくまで実証的に論ずる姿勢は評価できる。また、第二部の「あの戦争に思うこと」では著者各自の歴史観などが述べられており、歴史...続きを読む
  • 昭和史の論点
    昭和史に関する17の事柄を座談会形式で話し合ったものをそのまま活字化しているようなカンジ。

    座談会形式なので読みやすく、また、扱っているテーマも興味深いモノばかりで面白い。また、「歴史のif」の話もあり、部分では少々行きすぎな所もあるが、専門書にはない推測を働かせて歴史をみてみるというのも楽しい。
  • 参謀の昭和史 瀬島龍三
    日本の戦争の始まりと終わり。特に対外戦略を踏み間違える大きな要因となった軍の組織的問題を瀬島を通じて見た感じ。そしてそれはいまもあまり変わってないと思う。
  • 松本清張の昭和史
    没後30年。今も人気の衰えぬ松本清張の歴史観を分析する。「昭和史発掘」「日本の黒い霧」。第2部の対談が秀逸。第1部は2006年出版の「松本清張と昭和史」の一部修正。
  • 近代日本の地下水脈 Ⅰ 哲学なき軍事国家の悲劇
    第一次世界大戦から第二次世界大戦に至る時期に、政治・政党関係者、財界関係者へのテロが相次ぎ、反面、民衆の軍へのシンパシーが高まっていったのは、江戸時代末期から続く「攘夷」の地下水脈を背景としているのではないか、とするくだりには納得した。
  • 陰謀の日本近現代史
    ●戦争指導の内幕がよくわかる一冊。
    ●天皇の命令は中々書かないから読めて良かったと思う。特に年上の陸軍大臣、参謀総長から舐められていたのは悲しい話。東条だって怪しいもんだし、当時の天皇の心中はいかほどのものか。信用できない家臣に囲まれることほど、辛く情けないものはない。
    ●後半はかなり具体的な名前が...続きを読む
  • 石橋湛山の65日
    つまり、首相であった65日間にではなく、その前の民間の言論人であった時代、大臣になった時代になした言動から、評価されている人なんだな。
    この人がこんな短い期間ではなく、三年、あるいは安倍さんのように長期に渡って在任していたらどんな時代になっていたのだろうか。
    外交面でも本当にバランス感覚に長けていた...続きを読む
  • 歴史の予兆を読む
    ウクライナ戦争、帝国主義の動き、気候変動、社会変革など、現代社会が抱える問題を、歴史から学ぶ姿勢で読み解こうとする対談。今は大きな変換点にあることを感じるが、お二人が指摘されているように、もっともっと日常的に、ファクトに基づいた議論が、普通に行われる社会であることがまずは大切だと思う。
  • Nの廻廊 ある友をめぐるきれぎれの回想
    札幌市内への越境通学。1つ違いの中学生二人はやがて現代史研究家と保守的思想家となる。

    30年時を経て分断されるまでの2人の関係を回想する私小説的な作品。
  • 歴史の定説を破る あの戦争は「勝ち」だった
    興味深い視点で書かれた本です。
    戦いには負けたけど復興して勝った…ユニークな視点ですが、納得です。
    そう考えると日本は勝ったと言えます。
    逆に日清戦争、日露戦争は負け…妥当だと思います。
    勝ったことで完膚なきまでに叩き潰されたと言っていいでしょう。