葉真中顕のレビュー一覧

  • 絶叫
    中盤でおおよその展開が予測出来てしまったので大きな驚きはなかったけど、とにかく読みやすく、ページをめくる手が止まらなかった。
    印象的だったワードはミス・バイオレット。
    別にバイオレットだけでもいいところを敢えてミスを付けた店名。
    未婚の綺麗な戸籍を手に入れて生まれ変わった事を象徴してるのかなと思った...続きを読む
  • 鼓動
    ホームレスが燃やされる事件が起き、ある男が容疑者として逮捕される。男は引きこもりで、同居の父親も殺したと供述する。

    ◇◇◇
    これは意外な結末だった。知らず知らずの内に「引きこもり」にレッテルを貼りつけていた。人を殺すような人間には思えなくて違和感があったのも、「引きこもり」ならやりかねない、社会へ...続きを読む
  • 灼熱
    力作だ。巻末の資料の数を見るだけで膨大な量の資料と格闘したのがよくわかる。
    戦前、戦中、戦後のブラジル移民たちを描いた小説だが、さすがの葉真中顕、そこにミステリ的な要素も加えて圧倒的な小説に仕上げている。
    日本は勝ったのか、負けたのか。遠い異国の地でそれを知った人々はどうしたのか。
    人とはこんなにも...続きを読む
  • 鼓動
    ホームレスの老女が殺され燃やされた事件から物語は始まる。
    殺された老女の身元を調べる所轄の刑事・奥貫綾乃目線と、ある団塊ジュニアの男目線の語りが交互に描かれる。

    そして、物語は単純なミステリではなく、男の半生を通して、現代日本が抱える大人の引きこもり問題、いわゆる「8050問題」へと舵を切る。

    ...続きを読む
  • 警官の道
    上級国民:葉真中顕/許されざる者:中山七里/
    Vに捧げる行進:呉勝浩/クローゼット:深町秋生/
    見えない刃:下村敦史/シスター・レイ:長浦京/
    聖(あきら):柚月裕子

    作家もいろいろ 物語もいろいろ
    読んだことのない作家さん出会うのも おもしろい
  • そして、海の泡になる
    バブルの時代、最高額の負債を抱えて自己破産した朝比奈ハル。そんな負債額になるまで貸し付けた銀行があったのかと思う。

    なぜ?彼女の思いは?周りの人や銀行は?
    これも人の生き方の一つなのかもしれない。私にはムリだと思うけど…
  • 鼓動
    「ロング・アフタヌーン」以来、葉真中顕さん2年ぶりの新作長編は〝奥貫綾乃刑事シリーズ〟3作目にして著者らしい社会派ミステリ。何ともやりきれない「引きこもり」「育児放棄」がテーマの話で、本作でも団塊ジュニア世代の恨みつらみが世相とともに描かれる。「Blue」以降同様のパターンが続き、「ぼく」の独白パー...続きを読む
  • 絶叫
    アパートの一室で猫に食い尽くされた孤独死の死体。その死体、鈴木陽子の人生を振り返る形でその死の真相に辿り着いていく話ですが、"女の幸せ"に対する社会の価値観に刺され続けた様な人生は、とてつもなく壮絶でした、。
    ラストの「おかあさん!ありがとう!ありがとう!ありがとう!」と繰り返される感謝の言葉は脳裏...続きを読む
  • 警官の道
    警官も人。
    悩みもあれば間違いもする。
    そんな中でも信念をもって行動し生きている人はかっこいい。
    どの作家さんの作品も響きました。

  • 警官の道
    「警官」という職業に焦点を合わせているのが面白い。するっと読むつもりだったのに、好きな作家が多すぎて没入。急いで読むことができなくて、思いのほか時間を要しました。

    まずひとつめの葉真中さんで掴みバッチリ。以降、コロナに寄せた話もちらほらあり、あまりに寄せすぎるのは私は苦手なのですが、世間がパニック...続きを読む
  • 絶叫
    どこかのサイトでおすすめしてたから買った一冊。

    事件の真相を探る話

    孤独死体となって発見された女性陽子
    この人の死ぬまでの人生は悲惨な人生だと思うが、それは自分自身の所為の一面もありこの陽子に同情も共感もできない。

    この話がどの様な結末になるのかいろいろ考えたが、全く予想外の結末だった。
    とい...続きを読む
  • 警官の道
    警察小説の短編集
    葉真中顕、中山七里、呉勝浩、深町秋生、下村敦史、長浦京、柚月裕子
    今読まれているこの作家達の警察小説アンソロジーという事で、期待しまくって読み進めましたが・・・
    作品によって大きく好き嫌いがある感じですかね?中山七里と柚月裕子はさすがの面白さでしたが、長浦京は警察小説ですらなく、「...続きを読む
  • 凍てつく太陽
    戦時下のこと、アイヌのこと、難しい内容のはずがするすると入ってくる。
    惹き込まれる作品。

    夢中になりすぎて夜中まで読んで、その日の夜は自分が監禁されて脱獄して捕まる夢を見て目が覚め眠れなくなるという…これほど作品に惹きこまれた作品。
  • ロスト・ケア
    これはズシンときました!
    介護をテーマにした社会派ミステリー
    日本の介護問題、介護保険制度に一石を投じている作品だと思う。
    中山七里さんの「護られなかった者たちへ」に通じるものを感じた。

    序盤からかなりの地獄描写でウッときた。
    でも、作中で描かれているのは大袈裟でもなく、珍しくもない介護の現実。
    ...続きを読む
  • Blue(ブルー)
     本作は、「格差社会が生んだ闇」をテーマにした重厚な犯罪小説でした。読後は、何ともやるせない悲痛な気持ちになりました。慟哭必至の物語です。

     児童虐待、毒親、子供の貧困、無戸籍児、外国人労働者からの搾取等、多くの社会問題を背景にしています。
     2つの殺人事件、そして無戸籍で生まれ、暴力と貧困を経て...続きを読む
  • ロスト・ケア
    介護をテーマにした社会派ミステリー。安全地帯にいる救われる側は良しとして、救われない側にとっての救いとは。
  • 絶叫
    社会のカゲを描くのが上手。
    いろんなことを知らないとかけない、知っててもかけない作品。
    読み応えがあった。
  • 絶叫
    人が遭遇し得る不幸の詰め合わせのような内容で万人受けはしないが、ページを捲る手が止まらなかった。
    トリックの手がかりは明示されているため、公平感あり。
  • ロング・アフタヌーン
    冒頭短編エグく注意。物語全体のフェミニズム色がかなり強く男性読者は注意。様々なネタや手法が散りばめられているがこの物語の主題はラストシーンで語られている事だと感じた。
  • 絶叫
    離婚し、風俗嬢へと流れるように落ちていきヒモ男の暴力までうける生活の三十代の悲惨な女。
    犯罪にも利用され弱い者は搾取され続けて最後はゴミのように殺されるのかと思っていたら…違ってた
    生きてることは何一つ選べない自然現象だからこそ自由に生きるきめた陽子の強さと賢さがいい!