葉真中顕のレビュー一覧

  • Blue(ブルー)
    文庫本になったので再読。平成の30年間を振り返りつつ、様々な社会問題を取り上げる。殺人の罪は決して許されるものではないが、悲しい小説だった。
  • ロング・アフタヌーン
    ★5 悲しく、苦しく、それでも美しく生きる女性達 世相を抉る社会派ミステリー #ロングアフタヌーン

    ■レビュー
    この作品、めちゃくちゃ面白いぞ。

    結構ヘビーなテーマにも関わらず、最初から最後まで、読ませる読ませる。プロットが上手だし、文章も丁寧だし抑揚もあって流れるようです。
    300ページ程の長...続きを読む
  • 灼熱
    日系二世としてブラジルで生まれ育ったトキオと日本からの移民としてブラジルに渡った勇。親友となった二人は終戦を勝って迎えたと信じるか、負けて迎えたと信じるかの二択によりブラジルにいる全ての日本人と共に分断されてしまう。日本にアイデンティティがあるからこそ生じた分断だ。

    親友として同じ想いを共有しなが...続きを読む
  • 夜更けのおつまみ
    少しずつそれぞれの作家さんのお話がいただける、まさに「おつまみ」な本。
    読み進めていると、缶ビールが2本、空の状態で目の前にありました。
  • 灼熱
    普段は、TVドラマってあまり見ないのですが、昨年1月たまたまチャンネルを合わせた「その女、ジルバ」になぜかハマってしまいました。池脇千鶴の40歳になった女性の自信の無さを描く捨て身の演技がすごかった…不惑女性の惑いまくりの人生が少しづつ変わっていく小さなスナックを舞台にしたファンタジーなのですが、そ...続きを読む
  • 灼熱
    小説であるが、ほぼノンフィクションである事に驚き。
    実際にブラジルで「勝ち負け抗争」があったようであるが、当時の日本の情報断絶の状況は想像に難くない。横井庄一さんや小野田寛郎さんのように30年近く経ってから日本の敗戦を認識した例もあるくらいだから。
    逆に情報過多の現代もフェイクニュースが溢れ、またロ...続きを読む
  • 灼熱
    手に取った分厚さに圧倒され、知らなかった歴史に驚き、勇とトキオの友情に熱いものが込み上げる。戦争の引き起こす悪は戦った兵士たちや蹂躙される故郷だけでなくこのようなところにも及んでいたのだ。
    丁寧に書き込まれた心理描写、匂い立つような自然風景、ブラジルの空気も感じた。読み始めるとあっという間。みんなに...続きを読む
  • Blue(ブルー)
    見方によってはとてつもなく醜悪で救いのない話なのに、それでも、それゆえに惹きつけられる。
    何よりラストに待つ闇の中の米粒ほどの光。
    それは逃避によってもたらされたものかもしれないけれど、そこに人間の本質的な部分を信じる何かがあるようで、醜悪さとのギャップでより美しくも感じました。
    葉真中作品には時に...続きを読む
  • 灼熱
    明治維新以降の近代化で人口が急増した日本。政府は食い詰め者を海外に棄てるがごとく、ブラジルへの移民政策を進めた。長子相続を原則に家督を継げない者たちの多くが新天地への希望を抱き、一時的な出稼ぎのつもりでブラジルにやってきた。
    だが、待ち受けていたのは、粗末な住居と低賃金での過酷な労働という現実だった...続きを読む
  • 灼熱
    凄かった。今まで読んで(知らされて)きた歴史は何だったのかと、今更ながらの無知さを恥じるばかり。あるメディアで、戦争は軍人ばかりでなく、狂信的な国民の後押しがあったから〜と言う様な事を知ったが、正にこんな事がそこかしこであったのかと戦慄と共に660ページ超えを一気に読んだ。
    1人でも多くの人に読んで...続きを読む
  • 灼熱
    戦前から戦後直後までのブラジルに移民として渡った人たちの苦労を描く前半。後半は、日本が戦争に負けたと知る人たちの、負けてないと主張する人たちの強烈な抗争を描く、ドキュメント風小説。

    分厚いのに一気読み。参考文献を見ると、どうやら抗争は事実あったことらしい。情報を捻じ曲げ曲解したり、自分の都合の良い...続きを読む
  • 灼熱
    戦後ブラジルの日本移民を二分した「勝ち負け抗争」事件が題材。あの「凍てつく太陽」と同様骨太でエンタメ性も高く、何より史実の重みを感じる、期待通りの新作だった。8・15以降、満州、東南アジアや北方領土だけでなく、地球の裏側ブラジルでも“戦争”は続いていたという事実、いつの世も変わらないデマの怖さを今改...続きを読む
  • 灼熱
    人の愚かさ、否、戦争の愚かさに何度も叫び出したくなる。垣根涼介さんの『ワイルドソウル』とは違った切り口のブラジル移民の物語。1940年代、日本は戦争真っ只中。ブラジルの田舎の集落で移民となった日本人たちにはなかなか戦況が入ってこない。遠く離れた異国でも大和魂を持ち続ける勇とトキオの2人の青年。やがて...続きを読む
  • シークレット~綾辻行人ミステリ対談集in京都~
    綾辻行人対談集。ミステリの話題がいっぱい。面白そうな本の話題もいっぱい。それぞれの作家さんのこだわりなども知ることができて、とにかく楽しい一冊です。
    だいたい読んでいる作家さんが多かったので、読みたい本が爆発的に増えるということは幸いにしてありませんでしたが。積んでいる本が多いのでそれらをさらに読み...続きを読む
  • 政治的に正しい警察小説
    葉真中作品2作品目。前回の『ロスト・ケア』の本格長編とは異なるブラックユーモア短編集。

    タイトルの「政治的に正しい警察小説」は内容がどうというよりも本作品のコンセプトにぴったりの社会への皮肉たっぷりの作品。少し星新一テイストも感じる。ポリティカルコネクティスを突き詰めていくと何も書けなくなるという...続きを読む
  • 凍てつく太陽
    終戦直前の日本を舞台としたサスペンス小説。
    特高警官が主人公という異色。
    朝鮮人、アイヌ、国内の異民族、大東亜共栄圏に内在する問題点など、凄くバランスの取れた視点で書かれていると思った。
    物語も面白く「謎」の牽引力はそこそこある。
    太陽=あの兵器ってのは、序盤で分かる人には分かるけど、でもって震洋が...続きを読む
  • 凍てつく太陽
    メッチャオモロイ。今年読んだ中で1番や。
    悲惨な話しの展開だが、人間の温かさが随所に見られホッとする。
    エンディングの3人のやり取りが最高でした。思わずニヤリ。
  • ブラック・ドッグ
    評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    殺人も辞さない世界的な過激動物愛護団体“DOG”。ペットの販売イベントに集まった隆平や栞、結愛、拓人たちは“DOG”によって会場に閉じ込められ、謎の黒い獣に襲われる。次々に食い殺される人間たち。彼らは生き延びることができるのか―。社会派ミステリの旗手が切...続きを読む
  • 絶叫

    虚しさと哀しさと人間

    長編でしたが、すーっと読めた印象です。家族とは、愛とは、色々と考えさせられる内容です。フラットな気持ちで読んで下さい。
  • 夜更けのおつまみ
    このサイトで著者を見ると勘違いする人もいると思うが、これは、おつまみについていろんな作家さんが書いたアンソロジーである。
    どれも私にぴったりで、最後まで楽しく読めたし、つまみの参考にもなった。
    あまり手の込んだものつまみは出てこず、なかにはコンビニつまみランキングなるものもあり、かなり参考になった。...続きを読む