葉真中顕のレビュー一覧

  • 鼓動
    葉真中顕さん初読みにして最高傑作に感じた作品でした。いまだかつてない心理描写ミステリーだと感じました。読み始めてなんともない展開がだんだんと心躍らせるストーリーになってきました。引きこもり、ホームレス、つながりなどあった驚く展開にびっくりです。刑事奥貫綾乃の経歴がいまだかつてないダークなイメージで出...続きを読む
  • ロスト・ケア
    私をはじめ、多くの人が斯波の人生が導き出した答えに共感をしてしまうと思う。身近に介護が必要な老人はなく、私自身も介護は未経験だけど、未曾有の高齢化社会に直面し、そしておそらくしばらくは老人を支える側になるであろう世代の1人として、深く考えさせられる作品だった。この作品を読んで『安楽死を合法化せよ』と...続きを読む
  • 灼熱
    戦争が齎した日本人同士の無駄な闘い。
    戦争が終わっても、10年近く戦争が続いていたことを知ることができた。
    教科書では学ぶことのできない、ブラジルでの勝ち負け抗争…
    最後の参考文献や現地取材など、著者とこの作品に関わる全ての方の尽力に敬意を!
  • ロスト・ケア
    正義なのか悪魔なのか・・現代社会の闇に深く切り込んだ物語。
    読後も何が正しいのか自問自答を繰り返してしまう。ここまでひきずる小説も珍しい。きっと素晴らしい作品だということなのだろう。
  • 絶叫
    長い〜!長いけど読み進める手が止まらない!一気読みしてしまった。

    もちろんフィクションの話なんだけれど、でもエピソード一つ一つは日本のどこかで起きていることなんだと思うと怖くなる。
    ホームレスを囲っている団体も、離婚して風俗に落ちる女性も、人知れず山林に捨てられる人間も、きっと現実にはたくさんいる...続きを読む
  • ロスト・ケア
    一瞬の展開に「えっ?何?何?…何が起こった?」
    頭の中が大混乱!

    ストーリーもさることながら、
    社会問題に切り込んだ題材が、深く心に刺さりました。

    最終章は涙と動悸(年のせいでしょうか?)
    で心ここに在らず状態になってしまった。
  • ロスト・ケア
    家族介護の影を題材とした作品。

    ---
    大友と佐久間。
    大友と斯波。
    洋子。

    綺麗で正しく恵まれた世界に住む大友。

    向上心が強く負けず嫌いで、
    手段よりも結果を重視する佐久間。

    20代の働き盛りに
    父の介護をきっかけに
    生活の歯車が狂ってしまった斯波。

    介護をしていた母の死をきっかけに
    ...続きを読む
  • ロスト・ケア
    映画を見たいと思っていたのですが、近くでは上映されておらず;ちょうど平積みになっていたので購入しました。

    近年、介護が卑近の問題として浮上しています。この小説はフィクションながらも、「家族愛」という眼鏡を通して語られがちな介護問題にメスを入れてくれる存在となるやもしれません。

    ____

     結末...続きを読む
  • 絶叫
    孤独死と思われた女性の壮絶な半生。
    本人が意思決定をしているように見えるが、実はそうじゃない。
    社会の闇に絡め取られるように転げ落ちていく様子があまりにもリアル。キツイ描写もあるが展開が気になり一気に読んだ。圧倒されたし、最後は衝撃で声が出た。
  • ロング・アフタヌーン
    出版社の小説部門で働いていた主人公。その時に小説を投稿してきた女性が、7年の月日を得て、再び主人公に小説を送るところから物語は始まります。

    その物語もとても興味深いというか、特殊というか。(なんでデビューさせなかったの?と言うぐらい、印象に残ります)

    テーマは、愛に負けるな!じゃないかなと思い...続きを読む
  • ロング・アフタヌーン
    編集者の梨帆に届いたのは、七年前に新人賞の最終候補に残ったものの、落選した志村多恵による新たな小説だった。「長い午後」というタイトルのその小説に、梨帆は引き込まれていく。そしてこの小説は事実を描いたものではないのか、という疑念が強まるなか、小説の主人公は大きな決断をすることになる。本好きは特に必読か...続きを読む
  • ロスト・ケア
    「そうです。殺すことで彼らと彼らの家族を救いました。僕がやっていたことは介護です。喪失の介護、『ロスト・ケア』です」

    寝たきりの介護老人を40人以上殺した犯人。でも、これは介護だと…
    殺すことで、介護か…
    でも、実際に介護していた家族は、精神的、経済的に追い込まれて苦しんでる。
    それ考えるとなぁ。...続きを読む
  • ロスト・ケア
    もしかしたら本当にある話かもしれない
    きれいごとでは済まされない介護の行く末
    こんな辛いことが起こらないような世の中の仕組みができるといいな
  • 絶叫
    必死に生きる底辺の主人公
    赦されることではないけれど、どうか穏やかに残りの人生を送ってほしい
    動物を使った殺害方法が秀悦
  • 絶叫
    まず、逃げ切っちゃうんだ。。の感想で頭いっぱいになった。
    しかも普通に、あ、え?って声出てたし、出てきた人と物語が絡み合って濃密で満足って感じ。
    出てきた女性たちの人生は全然環境が違うのにどこか通づるところがあって私も子育てについてはどうなるかわからないなって、ドキドキした。
    いい。
  • ロング・アフタヌーン
    女の午後は長いというけれど、
    で始まる7年前に新人賞で落選してしまった志村多恵から突然届いた原稿。

    ミステリーのような、シスターフッドのような、絶妙なバランスと素晴らしいストーリー構成。面白い!どんどん先読みたくなる。

    今回は社会派なストーリーではない。
  • 絶叫
    前から気になっていたので読んでみた。
    読後は、はあぁと気持ちにドッと疲労がきた。(いい意味で)
    陽子の人生がとにかく凄まじすぎる、社会の闇に呑まれすぎ。
    世の中にはヤバい奴、悪い奴がうじゃうじゃいて、目をつけられると人生が破滅してしまうと言うことを、物語で嫌というほど感じさせられた。
    物語が進めば進...続きを読む
  • 灼熱
    大戦直後、ブラジルの移民社会で起こり同胞の間で多数の死傷者を出した勝ち負け抗争を舞台にブラジル移民がブラジル社会に根付く初期の過程を主人公達の物語にのせて描く。骨太な社会派小説で、その作風は得難い。主人公たちの物語性もよく、里子が志津を赦すラストあたりはどーしても泣ける。主人公は勇とトキオ。長編。
  • ロング・アフタヌーン

    本作には物語を書く女と編集者の女が登場する。編集者の女は次第に彼女の書く物語に魅了されていく。
    本作はとても意地が悪い。書き出しからして男性への嫌悪が剥き出しになっている。男性優位の社会で打ちひしがれ、認められなかった女の怨念のようなものを強く感じた。
    長い午後、というタイトルがとても良い。作中作...続きを読む
  • ロング・アフタヌーン
    冒頭の挿入小説も不気味でしたが、タイトルにもなっている小説を読み進むにつれますます気味悪さが膨らみ、ページを捲る手が止まらなくなりました。もう1人の主人公の編集者はもうひとつイメージがピンとこない感じでしたが、ストーリーや構成は文句なしでした。予想を裏切るエンディングにもまた私は好感を持ちました。葉...続きを読む