葉真中顕のレビュー一覧

  • コクーン
     絶望の世界の物語なのに、なぜか神々しい世界へ連れて行かされる。今まで経験のしたことがない物語体験でした。

     カルト教団、診療報酬、自殺サイト、震災、戦争、性的虐待……、

     『ロストケア』『絶叫』と同様に今回も葉真中さんは社会の闇、人間の闇に容赦なく光を当てます。

     各章に登場するそれぞれの...続きを読む
  • コクーン
    1匹の黄金蝶が導く、数多の人たちの過去、そして現在。
    全ての人の運命は、1995年にカルト教団「シンラ智慧の会」が起こした銃乱射事件で繋がっている。
    それぞれの人が各々の考えで行動し、生きていると思うことは当然なのか、それともこの世界の全ては巨大な装置に牛耳られ決まったルートをあたかも運命かのように...続きを読む
  • 鼓動
    自分は団塊世代ジュニアより数年早い世代だが、物語の中で語られる多くのイベントは同じように経験したので、リアリティを感じながら読むことができました。

    並行して綴られる2つの視点がだんだん近づいていくであろうことは序盤から容易にわかるのだが、まさかそういう結末とは。。

    いわゆる8050問題に起因する...続きを読む
  • 絶叫
    本の帯にラスト4行に衝撃って書いてあったのでドキドキしながら読んでたのにわからずネタバレ読んでしまった…(見たらわかった!)一気に読めばよかったな〜でも最後まで夢中で読めました!
  • 鼓動
    昭和や平成を回顧するのが昨今のブームなんだろうか。葉真中さんは大好きな作家さんで、刊行されてる作品はすべて読んでいる身としてはこの作品は若干だが期待外れ。なんか、切り口が新しくない。身も蓋もないことをいえば『blue』に似ている。でも終盤は面白かった。とっくのとうに忘れていたあの人の存在には意表を突...続きを読む
  • ロスト・ケア
    介護ケアに関する問題作。こんな解決策もありかもしれない。この社会には穴がある。介護ケアで救われる家族と救われない家族がある。安全地帯にいる人だけが救われる。
  • Blue(ブルー)
    「人は憎しみながらも同時に愛することができる動物」という一文が良かった。今日聞いた歌の中にも、「愛憎混じった四小節」というフレーズが出てきて運命的なものを感じた
  • 絶叫
    600ページ!!
    ページ数はありますが、一気に読み終えられます。
    女の転落人生を描いたミステリなのですが、なんでこんなにも他人が落ちていく様子を夢中で追いかけてしまうのか!
    不思議でなりません。
    人の不幸は何の味、と言いますが、夢中になる要素はそれだけではありません。

    主人公は鈴木陽子。
    彼女の生...続きを読む
  • 鼓動
    2024/03/23リクエスト 10
    表紙が
    天童荒太 永遠の仔
    を思い出させる。
    『絶叫』『Blue』の刑事・奥貫綾乃がホームレス殺害事件を追う。
    そのホームレス殺害、実の父親殺害の容疑者、草鹿は18年引きこもり。父親殺害の動機が
    「自分の余命幾ばくもない、これ以上面倒を見れないから殺されてほしい...続きを読む
  • 鼓動
    最高でした。わたしがなぜこの作者に惹かれるのかわかった気がした一冊になりました。

    わたしは絶叫でなんと魂の叫びのような文章かと衝撃を受けました。
    そして今回の鼓動。構成は同じかと思った。
    導入は多方面の観点から話は進む。からのあの鼓動の後半の怒涛の展開!
    全く別視点から最後に話が交差するのがまじで...続きを読む
  • そして、海の泡になる
    よき。面白かった。

    バブル期を生きた『ハルさん』
    『ハルさん』はどうやって巨額の富を得たのか
    『ハルさん』が願った人が死ぬのは「ウミウシ様」のおかげなのか

    と、いうのを当時の関係者へのインタビュー形式で明らかにしていく作品。
    文体のテンポもよく、オチもすっきりとても満足。
    あと、珍しく解説も面白...続きを読む
  • 鼓動
    草鹿秀郎はホームレスの女性と
    自身の父親も殺害したと自供。

    P181
    〈守るものも、大事なものも、愛するものも〉
    なにもない。
    草鹿秀郎は“無敵の人”と呼ばれた。
    本当にそうなのだろうか。

    草鹿のエピソードは読んでいて辛かった。
    彼が許されていいはずはない。
    ただ、いろいろな不幸が重なった結果
    ...続きを読む
  • 鼓動
    やってもた!
    女刑事奥貫選手シリーズの三作目らしいですわ
    三作目から読んでもた!つかなんなら葉真中顕さん自体初読です
    ちゃんとかなさんのレビューに書いてあったのにやってもた!

    でも安心して下さい
    三作目から読んでも全く問題なく楽しめましたよ!(光文社の手先マン現る)

    はい、本作はいわゆる「805...続きを読む
  • 鼓動
    この著者の小説を初めて読む。「ロストケア」の映画は見たのだけど。
    引きこもりの青年と、殺人事件を追う刑事の回想が交互に描かれて、真相が次第に明らかになる、という構成で描かれたミステリー。
    何のために人は生きていくのか、という問題に真正面から取り組んだ作品で、好感が持てる。なかなか真正面から「正解」を...続きを読む
  • 鼓動
    『絶叫』、『Blue』に登場する女刑事・奥貫綾乃のシリーズ(?)3作目。
    公園でホームレスの女性が殺され、遺体が燃やされるという事件が発生する。現場にいた男が犯行を認めたため逮捕されるが、彼は自宅で父親も殺したことを自白する。
    冒頭から殺伐とした空気が漂う。男の一人称(過去)と綾乃の三人称(現在)で...続きを読む
  • そして、海の泡になる
    戦前、戦後、バブルから崩壊と、一人の女性の壮大な人生物語でした。
    現実にありそうな話だと思って読んでいたら、巻末の解説でモデルになった人が居たとのこと。幸せは人それぞれ、人の数だけあるんでしょうね。
  • ロスト・ケア
    介護という地味な業界を舞台にミステリというエンタメで社会問題に切り込んだ作品。
    介護業界……。
    噂で耳にすることがありますが、マイナスな内容ばかりなんですよね。それがそのまんま、小説に盛り込まれていました……。
    介護に希望ってあるんですかね。
    下記の文面を読んだとき、ゾッとしました。
    介護職員にここ...続きを読む
  • ロスト・ケア

    1.おすすめする人
    →社会的問題に触れたい、介護している人

    2.感想
    →映画館で内容を把握した後に読んだ作品。
     映画よりも、社会問題に触れていない気が、、、
     私的には映画の方が考えさせられた。
     一生忘れることはない作品だと思う。
  • 鼓動
    葉真中さんの作品なので大どんでん返しがあるのかなと思って読みましたが、本作は大きなそれではありませんでした。

    社会派ミステリーに分類されるであろう本作は、引きこもりと8050問題を軸に描かれています。
    相当に細かく取材や勉強をされたのでしょう、40~50代になるまで引きこもりを続けている人の心理描...続きを読む
  • 絶叫
    中盤でおおよその展開が予測出来てしまったので大きな驚きはなかったけど、とにかく読みやすく、ページをめくる手が止まらなかった。
    印象的だったワードはミス・バイオレット。
    別にバイオレットだけでもいいところを敢えてミスを付けた店名。
    未婚の綺麗な戸籍を手に入れて生まれ変わった事を象徴してるのかなと思った...続きを読む