小川一水のレビュー一覧

  • 風の邦、星の渚 レーズスフェント興亡記 下
    中世+エイリアンと言えば、やはり思いつくのは「異星人の郷」だろう。
    あちらは神父さん無双で、最終的にはエイリアンにもキリスト教を布教してしまうというキリストバンザイ的な作品だったが(少し嘘)、本作は比較的信心薄めの庄司さんが主役。
    SF要素薄めなこともあって、「ドゥームズデイ」や言ってしまえば「大聖...続きを読む
  • 天冥の標 VIII ジァイアント・アークPART2
    咀嚼者の襲撃後、闇に閉ざされたメニーメニーシープ。(ようやくⅠ巻の続きが読める!)その謎を探るために、セレス地表を目指してカドム一行が探索に出る。エランカ率いる新民主政府の咀嚼者との戦いと交互に、しばしカドムやイサリたちのロードノベルになる。蒸散塔の上を目指し、さらにその上へ。道中でこの世界の秘密に...続きを読む
  • 天冥の標 VIII ジァイアント・アークPART1
    Ⅷ巻にしてようやくメニー・メニー・シープの世界へ話が戻ってきた。今度はイサリの視点からⅠ巻を再度読み返すようなアナザーストーリーが展開する。Ⅰ巻では言葉の通じない(通じにくい)謎の怪物として描かれていたイサリが、どういった理由でセナーセーに現れ、カドムらと出会い、新たな運命に巻き込まれていったかが答...続きを読む
  • 天冥の標 X 青葉よ、豊かなれ PART2
    とうとうプラクティスの未来が喫した瞬間。
    ミヒルの最期には思わず涙しました。
    フェリックスの仕事にのめり込んでるところと、ウーラに優しいところはほんと素敵なんやけど、
    ラストでウーラと逃げた展開にはびっくりした。ウーラが逃げようと言ったのだろうか。続きが気になる。
    アクリラの容体はダダーに任せるとし...続きを読む
  • 天冥の標 VII 新世界ハーブC
    勘がいい人ならセレス地下世界に多数の人間とスカウトのメンバーが避難した時点で気付いたかもしれないが、これは意地悪だ。最初にハーブCは地球人が入植した惑星として説明され、途中でジニ号が新たな惑星を目指して旅立ち、読者のミスリードを誘う仕掛けがいくつもあった。しかしその事実を受け入れてしまうと後は人類が...続きを読む
  • 天冥の標 X 青葉よ、豊かなれ PART3
    怒涛の一気読み。17冊も積みかさねてきた物語の結末だけに、咽が詰まるような感情の波が半端ない。アクリラ、万歳…いや、億歳、兆歳。
  • 天冥の標 X 青葉よ、豊かなれ PART2
    ようやく一つの区切り。しかし、無理難題はさらに大きくなって続く。もしかして全宇宙生命の前で…することになるのか?
  • 天冥の標 X 青葉よ、豊かなれ PART1
    悲しいけど嬉しい。失望と期待。消沈と高揚。いろんなものが流転する。やっつければ終わり、という単純なものでもない。
  • 天冥の標 VI 宿怨 PART3
    容赦ない救世群の攻撃。カルミアンによる断種という現実を突きつけられ、自暴自棄に陥るオガシたち。宿怨とのサブタイのため、どんな破滅へ向かうのかと思いきや、5巻で出てきた宇宙農家タックの子孫、ブレイド・ヴァンディがテルッセン家の娘メララの告白を聞いたことにより、救世群との共生を模索し始める。話の流れが変...続きを読む
  • 天冥の標 IX PART2 ヒトであるヒトとないヒトと
    冥王班の治療薬を知ったときのプラクティスの慟哭がぐっとくる。最終的にミスチフとも手を取り合えるのだろうか?
  • 天冥の標 VIII ジァイアント・アークPART1
    300年の時を経て、ミヒルによって冬眠から目覚めさせられたイサリ。
    全宇宙を相手に戦争をしていたプラクティスは圧倒的勝利を手にしてなお、生き残りのジャームレスを探している。

    そんななか目覚めさせられたイサリはブラックチェンバーで生き残っている人類が存在することを知り、同時に彼らにプラクティスの脅威...続きを読む
  • 天冥の標 I メニー・メニー・シープ (上)
    完結するのを待っていたらほぼ10年経ってしまったが、満を持して読み始める。壮大な物語のほんの触りの部分なので世界観は掴みきれていないが、惑星ハーブCに入植した人類の末裔たちは、地球で言えば中世の様な世界で、ロストテクノロジーの名残を利用した生活を送っている。人類の他にアンドロイドや原生生物のメイスン...続きを読む
  • 天冥の標 VI 宿怨 PART2
    ついに《救世群》がデッドラインを超えてしまった。太陽系外からやってきたカルミアンの技術を利用して開戦。疑問としては、ここに至るまでにノルルスカインは介入しなかったのかという点。またジェズベルが「私たち以外の太陽系外生命」と言っていたが、もしかしてロイズはミスチフに操られていて、それに対抗させるために...続きを読む
  • 天冥の標 I メニー・メニー・シープ (下)
    いやぁ、これは読ませる。臨時総督ユレインから、ついに植民地の指揮権を奪還したアクリラ、カドムらは、どうやらパンドラの箱を開いてしまった様だ。読者が想定しているであろう展開から、また一捻りした方向に進むので「え、、、ウソ、、、」ってなる。ラバーズやカルミアン/メイスン、フェロシアンらの関係も明かされつ...続きを読む
  • 天冥の標 III アウレーリア一統
    謎の遺跡「ドロテア・ワット」の探索シーンから始まる今作。ノイジーラント、エスレル会派のアダムスを主人公に据えて彼らと宇宙海賊たちの戦いをメインに物語が紡がれる。「酸素いらず」が訛って「海の一統」になったのか、ふむふむ。千茅たちの子孫である救世群や、カドムの祖先である瀬秋家も登場し、おぼろげながら過去...続きを読む
  • 天冥の標 II 救世群
    間違って別の本を読み始めたのかと思って、表紙の題名を確認したのは私だけじゃないはず。はるか未来のメニー・メニー・シープの話から一転、現代の地球を舞台とした、冥王斑のルーツを遡るパンデミックものになる。スターターだと思っていた冥王斑が、ここまで物語のキーになっているとは思いもよらなかった。しかし、一冊...続きを読む
  • 天冥の標 VI 宿怨 PART1
    怒涛の展開を見せた第6巻。救世群の、虐げられ拗れた敵意が宿怨となって非感染者に向けられ始めた。攻殻化というウルヴァーノの技術を用いたことで、1巻で登場したイサリたち咀嚼者の起源が分かる。1巻でもイサリたちの事を「プラクティス」と言及していた場面は確かあったが、やはり救世群の成れの果ての姿だったという...続きを読む
  • 天冥の標 IV 機械じかけの子息たち
    アダムスたちの活躍から数年後、しかも舞台は同じ小惑星帯だが、話はガラリと変わって《恋人たち》をメインに据えた物語になる。2章を読み終えるくらいまでは正直不快な気持ちさえあった。自分はエロラノベを読まさせれいるのかと。しかし物語が進むにつれ、天冥の標全体としての《恋人たち》の立ち位置の説明として必要な...続きを読む
  • 天冥の標 V 羊と猿と百掬の銀河
    宇宙農家と、ノルルスカインらの話が交互に。いつの時代も農家は大変、子育ても大変だ。一見無関係なこの二つの物語が、最後に集束してゆく。そして被展開体の話が思いのほか壮大になってきた。ノルルスカインとミスチフ(オムニフロラ)の攻防に太陽系も巻き込まれた、という理解で良いのか?あとザリーカのくだりは少しあ...続きを読む
  • 老ヴォールの惑星
    日本人作家自体あまり読まないうえに、ごく最近の若い作家だという事で、最初は抵抗があった。何というか、薄っぺらい?軽薄?ラノベか?という感じが拭えなかった。でも、いつの間にかのめり込んでいる自分に気づいたとき、不思議な感覚に襲われた。「漂った男」では涙すら流しそうになってしまった。