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十日草輔先生インタビュー有り!『王様ランキング』の魅力と今後の展開を考察!

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王様ランキング

多くの読者の心を捉えて離さない『王様ランキング』という漫画を知っていますか? 2018年にSNSで話題になって以降、現在最も更新が待たれるWEB漫画の一つにまで大ブレイク。そんな『王様ランキング』の何が読者を惹きつけるのか? 気になる今後の展開は? 作品のあらすじやキャラクター解説、見どころなどを絡めて分析していきます。
また、最後には十日草輔先生のメールインタビューも!『王様ランキング』についてのお話を伺いました。

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※当記事に記載の内容は全て「ぶくまる編集部調べ」です。また、当記事にはネタバレを含みます。

あらすじ

大小さまざまな国が存在する世界。ボッス王国の第一王子である主人公のボッジは、耳が聞こえず、口も利けず、おまけに子供用の剣も握れないほどの非力で「ダメ王子」と陰口を叩かれています。そんな彼の夢は、各国の王様を評価する『王様ランキング』で世界一にランクインすること。しかし、国王亡き後に王位を継いだのは、第二王子のダイダでした。ボッジは悔し涙を飲み、強くなるための旅に出かけます。

夢に向かって懸命に努力するボッジを中心に、大切な友人となるカゲ、優秀で「魔法の鏡」を所持するダイダ、そして国民から慕われるボッジの父・ボッス王など思惑の読めないキャラクターたちが入り乱れ、波乱のストーリーが展開します。

登場人物と名前の由来

まずは物語の鍵を握る主要キャラクターたちをチェック。ボッス国の王族を中心とした〈中心人物〉、ボッス国に忠誠を誓った騎士たちによる〈ボッス国四天王〉、そして2巻19〜20話のボッジの旅出ち以降に見せ場がある〈旅立ち以降に活躍するキャラクター〉の3ブロックに分けて確認していきます。キャラクターの顔と名前が一致しないという人のために、それぞれの名前の由来も考察。

〈中心人物〉

ボッジ ──非力で心優しい、愛すべき“ダメ王子”

物語の主人公。巨人族のボッス王と、最強の女性の間に生まれた巨人族の子供ですが、小さくて非力、耳が聞こえず口も利けません。実は内緒で読唇術を習得しており、国民や家臣の陰口は全て理解しています。心優しいがゆえに、一人で涙を流すこともしばしば。

泣くボッジ

しかし、カゲと出会ったことで、人生が急速に動き始めます。

ボッジの体格や非力さは、父王であるボッスの責任。強さを追い求めたボッスは魔神と取引し、自分の子どもの全てを引き換えに力を得たのでした。ボッジ自身にはまだその事実は明かされておらず、それを知ったボッジがどんな行動を起こすかに注目です。一方、剣の実力者であるダイダや、最強と名高い冥府騎士団団長との試合で見せた俊敏な動き、普通の人間なら即死する冥府の「呪いガス」を吸っても生きていたことなどから、現段階ですでに高いポテンシャルを秘めていることがわかっています。

現段階では名前の由来は不明。“ボッス”の息子だから、とも考えられますが、第二王子が“ダイダ”と一文字もかぶっていないことを考えると説得力に欠けます。他のキャラクターの名が人物のキャラや性質とリンクしていることを考えると、今後、ボッジの名の由来が判明する出来事が起こるかもしれません。

カゲ ──暗殺者一族の末裔で、ボッジの良き理解者

その名の通り、「影」の一族。影のように真っ黒で平坦な体で、言葉を話せないボッジの言いたいことをなぜか理解します。もともとはボー王国お抱えの暗殺者一族でしたが、国王を殺そうとした罪でカゲ以外は滅亡。逃亡先のボッス国で泥棒をして生き延びていたところ、ボッジと出会います。

最初はボッジを出し抜き、高価な衣類を奪おうと考えていましたが、ボッジの真摯さと純粋さに胸を打たれて生涯の友人になることを決意。

以降、ボッジとカゲのかけがえのない絆が、ストーリーの軸の一つになっていきます。

ボッス ──陰謀渦巻くボッス国王

巨人族で、ランキング7位の王様。魔物の大群に襲われた小さな町を救い、慈愛に満ちた笑顔で人民をまとめあげ、豊かなボッス王国に発展させました。しかし、本当は誰よりも力に執着しており、世界一強い巨人族の女性と結婚。魔神に頼んで生まれてくる息子の力を引き換えに力を得たうえ、死んだ後は「魔法の鏡」の計略によりダイダの体を使って生き返ります

「ボス」をもじったと思われる名前と、自己中心的で尊大な性格とのギャップが、なんとも皮肉です。

ヒリング ──深い愛情を秘めたボッジの継母

ダイダの実母で、ボッスの義理の母にあたる現ボッス国王妃。「死刑!」が口癖で気性が荒く、冷たい印象を与えます(カゲいわく“ヒステリックボインババア”)。しかし、城の高層階から落ちそうになったボッジを救うために飛び降りるなど、実は優しくて情け深い心の持ち主なので、ギャップ萌え信者は要チェックです。正直、推してます。

治癒能力を持った元僧侶で、枯れた植物を復活させたことでボッジと仲良くなります。名前は「癒す」という意味の英語 「ヒール(heal)」に由来するのでしょう。

ダイダ ──ボッスと鏡に翻弄される第二王子

ボッジの異母弟で、ボッス国第二王子。ボッスに似てランキング1位を狙う向上心と、ヒリングに似た気性の荒さを持ち、剣の腕前は抜群。文武両道ですが、プライドが高く、感情的な一面も持ちます。

ダイダ

「魔法の鏡」を所持し、ボッス亡き後はその予言に従って王位を継承。しかし、鏡の計略により、蘇ったボッスにその体を乗っ取られてしまいます(ふ、不憫……!)。乗っ取られて以降、真っ暗な闇の中で幼い姿のミランジョと遭遇。ダイダが閉じ込められた先は、鏡の世界=ミランジョの記憶の世界だと考えられます。

ボッジ同様、名前の由来はなんとも言えませんが、現段階ではボッジの「代打」といったところでしょうか。かませ犬感がすさまじいので、この予想が外れていることを切に願います。

〈ボッス国四天王〉

ドーマス ──迷い悩む“ソードマスター”

国一番のソードマスターと称えられるほどの剣の使い手で、ボッジの剣術指南役。ボッス王を慕って兵に志願し、一日一万回の素振りを自分に課してその腕を磨いた結果、見事四天王に。名前はソー“ドマス”ターに由来するのでしょう。

熱心に指導するも、いつまでたってもショートソードですら持てないボッジを見て情熱を喪失。ボッスの死後、ボッジを裏切ってダイダ側につきます。ボッジの暗殺に失敗し、右手を失うなど、実力はありながら常に葛藤と苦悩が絶えない迷える子羊。ボッスより、城の地下にある冥府に繋がる入り口を壊す任務を与えられますが、果たしてその意図は……?

ドルーシ ──ボッスとヒリングの間で揺れる“王妃の盾”

逆から読めば「シールド」。立派な体格を持ち、トゲのついた盾で攻守どちらも対応します。ボッスの側近として、またヒリングの警護として活躍。ヒリングを守れという生前のボッスと、ヒリング暗殺を許可する復活後のボッス、2つの命令の狭間で揺れ動きます。ボッスの意図がわからないのは、ドルーシだけじゃないよ……。

アピス ──「魔法の鏡」と関係する“王の槍”

槍の使い手で、通称「王の槍」。槍の英語である「スピア(spear)」のもじりか、鋭い針が槍を連想させる「ミツバチ」の学名「アピス」が由来でしょうか。才能があるにもかかわらず、臆病なためにうだつの上がらなかった彼は、ボッス王の側近に抜擢されたことで生まれ変わります。無表情さと得体の知れない迫力には、ボッスと「魔法の鏡」が一枚噛んでいる様子。

ベビン ──実は誠実な“ヘビ野郎”

ダイダの剣術指南役。ヘビのようにくねった刀「蛇行剣」を使い、三首のヘビ「ミツマタ」を従えるヘビつかい。名前は「ヘビ」をもじったものと推測されます。いつもニヤニヤと笑っているのは、デスパーからの「笑う門には福来たる」の教えによるもの。ダイダの命令でアピス殺害を図るも返り討ちにあい、地下に飲み込まれてしまいます。彼の行方とその思惑が、この後どう関わってくるのか楽しみです。

〈旅立ち以降に活躍するキャラクター〉

ホクロ ──愚直さが取り柄の兵士

旅立つことになったボッジの同行人として、唯一志願した兵士。初登場は第4話で、非力と言われるボッジが、実は大人物なのではと考える希少な人物です。手話ができ、ボッジを純粋に慕っています。実は、母親を亡くして泣いていたところを、幼いボッジに慰められた過去の持ち主。左目の下にあるホクロがチャームポイントです。

デスハー ──国民から慕われる“冥府の王”

ランキング2位の“冥府の王”。銅像を建てられるほど国民から支持されていますが、その顔を自分で潰してしまうほど見た目にコンプレックスを持っている様子。それも手伝ってか、整った顔立ちの弟・デスパーに強い対抗心を抱いています。名前はギリシア神話における冥府の神「ハーデス」に由来するのでしょう。

デスパー ──ボッジを鍛える知恵者

名前からもつながりがわかるように、デスハーの弟。腕っ節は強くはないですが、知恵を生かしてボッジを鍛えてくれます。普通の人には見えないものが見え、ボッジが魔神の呪いにかかっていることを見抜く慧眼の持ち主。お金への執着が強く、ナルシスト気味で俗っぽいのが玉に瑕。

作者で読み解く作品の魅力

作者の十日草輔(とおか そうすけ)先生は40代で脱サラし、goriemonというペンネームでマンガハックなどに漫画を投稿していました。コツコツと漫画を描き続けること1年半、Twitter上の口コミから1夜にしてバズったシンデレラストーリーならぬシンデレラ漫画が本作です。

その後、中世ヨーロッパを思わせるファンタジックな世界観、コンプレックスを持った少年が成長するジュブナイル的なストーリー、そしてボッジをはじめとした魅力的なキャラクターたちは、多くの読者に受け入れられました。当初の構想では漫画ではなく絵本であったことも、年齢を問わず幅広い層に受け入れられている理由の一つではないかと考えられます。

また、線の少ないシンプルな絵柄も十日先生の持ち味。キャラクターに親しみを持たせると同時に、感情移入しやすくなる絵柄です。たとえば、国王になれなかったボッジが、一人きりで叫ぶシーン。

叫ぶボッジ

普段辛い仕打ちにもニコニコと耐えるボッジの心の底からの悔しさがストレートに伝わってきて、込み上げてくるものがあるはずです。また、ボッジが言葉を話せないこともあり、全体的にセリフが少ないのも大きな特徴。極端に視覚的な作風が、幅広い年代の読者をおとぎ話のような異国情緒あふれる世界に誘います。

今後の展開を左右する3つのキーワード

ファンタジックな世界観を説明しつつ、今後のストーリーに影響するであろう大事なキーワードを、3つピックアップしてみました。

1.『王様ランキング』

タイトルにもなっている大切なキーワード。以下の3つの条件を中心に各国の王様を評価します。
①いかに高名な騎士たちを多く従わせているか
②いかに国民を増やし、街を発展させているか
③王様自身が勇者のごとく強いか

王様ランキング

王様が変わると「王様ランキング協会」から協会員が派遣され、その評価によってランキングが更新されます。

協会員

なお、ボッスに代わって王になったダイダのランキングはおよそ90位。

1位になった王は神の宝物庫に入り、好きなものを1つだけ手に入れることができるとか。しかし、歴代の王は皆同じものを選び、憑かれたように何かを探し始めるようです。その後、気が触れたり、行方不明になったりしたといういわくつきの“ランキング1位”という存在。常に意識しておきたいキーワードです。

2.「魔法の鏡」

グリム童話の「シンデレラ」に登場する鏡のように、「鏡よ鏡」の呼びかけに応える魔法のアイテム。ダイダが幼い頃にボッスから贈られましたが、次第にダイダを都合よく動かすように。

鏡の中の人物の正体に関する問いには、「ボッスと苦楽を共にした盟友」と答えています。実はその正体は、全身が作り物でできた謎の魔女「ミランジョ」。蘇ったボッスと結託し、ヒリング殺害を企てているようです。

魔法の鏡

第5巻でダイダが出会った幼い姿のミランジョは、大量殺人者と罵られ、手を切り落とされ、顔の皮膚を剥がされたためにお面をつけていました。大勢の大人たちに囲まれ、晒し者にされた心の傷は癒えていない様子。彼女とダイダがどう関わるかが注目ポイントです。

また第5巻では、ダイダの精神は、ボッスに乗っ取られたダイダの体内に閉じ込められていることがわかりました。鏡の世界はダイダの体内とつながっているのか、これも気になるポイントです。

3.「魔神」

魔神

ボッジから全てを奪い、ボッスに全てを与えた奇妙な存在。願いを具現化する力を持ちます。英雄が死ぬと現れるという言い伝えに従い、ボッスの死後、その枕元に現れました。ボッジにかけられた呪いを解こうとした場合、魔神との対決も視野に入ってくるのではないでしょうか。

魔神とは別に、作中には冥府に集まる魔物も多数登場。生き返ったボッスと「魔法の鏡」が複数種の魔物を操っていることから、彼らと冥府の関わりが考えられます。冥府の刑務所から冥府騎士団の「オウケン」が逃げ出したのもボッスたちの計画でしょうか。賢明なデスハーの活躍に期待……!

ボッジは何位にのし上がる? 今後の展開を(勝手に)考察!

現在発売中の5巻までに登場した伏線や、現状考えられる疑問点をふまえながら、今後の展開を勝手に考察してみます。

・なぜカゲはボッジの言葉が理解できたのか?
・ボッジとカゲの友情はどうなる?
ボッジとカゲの友情シーンがたまらないというそこのあなた、ええもうまったく同感です。

ボッジとカゲの友情

彼らの友情は、何らかの困難があったとしても最終巻まで続くでしょう(期待込み)。ただ、カゲの一族にはまだ明かされていない過去がある様子。主君に忠実な暗殺者一族が、なぜ王を裏切り、殺そうとしたのか。そして、影の一族のライバルである光の一族とは何者なのか。このあたりが今後の展開に関わってきそうです。カゲがボッジの言葉を理解できる理由も、さかのぼったら2つの国に関わりがあった、なんていう設定があったら楽しいですね。超期待。

また、カゲの一族がかつて仕えていたというボー国(現在はゲスラン王国)を含めて、今後さまざまな国々が登場することも十分に考えられます。さらには世界線の異なる“別の世界”の存在も示唆されており、可能性は無限大。

妖怪大戦争みたいな展開もなくもなくも……ない!?

・ボッジは王様ランキングで何位になるのか?
・ボッスによって奪われたボッジの力は戻ってくるのか?
・1位になったとしたら、ボッジは神の宝物庫で何を選ぶのか?
ボッジの目標である「王様ランキング1位」。実力者のダイダですらランキング90位ですから、現段階のボッジでは非力すぎて到底無謀な目標です。ただし、「魔法の鏡」も知恵者のデスパーも、ボッジが最も強いと確信している様子。

デスパーとボッジ

つまり、ボッジが1位にのし上がる可能性は十分にあるといえるでしょう。ただし、そのためには、ボッスと魔神によって奪われた本来の力が不可欠なはず。しかし、ボッスが死んでも、体が氷漬けにされていたためかボッジに変化は起こりませんでした。このことから、
1.ボッスが肉体的にも精神的にも完全な死を遂げる
2.ボッジかボッスが何らかの手段で魔神の呪いを解く
などの展開が起きるのではと考えられます。

それでは、もしもボッジが1位になった場合にどうなるか。キーワード『王様ランキング』の項でも述べたように、1位になった王は悲劇的な結末に陥るようです。ボッジがその運命を回避するためには、
1.ボッジが1位になり、他の王とは異なる「宝」を選ぶ
2.ダイダ(=代打)などボッジに近いキャラが1位になり、ボッジの代わりに悲運を迎える
といった可能性があります。筆者はダイダを不憫にしたがる病気なのでしょうか。

・復活したボッスの狙いとは?
・ボッスはヒリングを守りたいのか、殺したいのか?
・なぜベビンはボッジを助けたのか?
生前のボッスの目標は、言わずもがなランキング1位になることでした。しかし、ダイダとして蘇ったボッスにその目的を問うヒリングに、彼は「(蘇った目的は)すごく些細なこと」だと答えています。そんな彼の目的に大きく関わってくるのが、「魔法の鏡」ミランジョ。実は、若い頃のボッスがミランジョを肩に乗せて歩いているイラストが、第2話直後の扉絵になっていることに気づいたでしょうか?

ボッスとミランジョ

それではボッスとミランジョは、いわゆる男女の仲なのでしょうか。1位になった自分の隣にミランジョをおきたいがために、ヒリング暗殺を企てているのでしょうか。しかし、ボッスがミランジョと話すその表情からは、親愛の情はあれど男女の恋愛感情は読み取りにくいです。先妻やヒリングへ愛情を表すボッスの笑顔は、どちらかというと朴訥として、不器用な印象。ボッス王国を建国したのも、非力なボッジを守るためだということを考えると、ミランジョとつるんでいる時のボッスの冷酷な表情には、違和感を覚えます。

一方、ミランジョがボッスを好いている可能性は十分にあります。

ミランジョの思い

2人の間には、ヒリング暗殺が絡んだある「約束」があるとのこと。詳細はまだ不明ですが、ミランジョの何らかの危険な思惑に気付いた生前のボッスが、先手を打ってドルーシをヒリングの警護に当たらせ、現在は素知らぬ顔でヒリング殺害を企てているのかもしれません(ドルーシの立場も考えてあげてほしいものです)。また、今はまだ行方知れずのベビンがボッジを案じていること、ボッジの実母がほぼ登場しないことなども、この「約束」につながってくるのかもしれませんね。

さらにボッスは、ボッジに何かを期待している様子……。それがボッス自身を倒してダイダを救い、ランキング1位を獲得することだというのは、甘い予想でしょうか。

十日草輔先生メールインタビュー

──『王様ランキング』の魅力は、まずそのキャラクターの奥深さだと思います。悪は悪、善は善と単純に決められない部分に人間らしさを感じるのですが、十日先生がキャラクターを作られる際に、何か気をつけておられることなどはありますか?

キャラクターを作る際にこれといって気を付けていることはないです。いろんなところで言っているんですが、今まで見た漫画や映画のキャラクターから影響を強く受けています。そういったキャラを無意識にアレンジを加えて描いているんだと思います。もちろん意識的に描いている時もあります。そういった時は、こんなキャラが描きたいと先行している時かもしれません。たとえばベビンはハリーポッターのスネイプ先生を意識して描いていました。

──耳が聞こえず、話せない主人公というのがとても新鮮に感じました。ボッジ王子というキャラは、どのようにして生まれてきたのでしょうか。

あまりこれだという風に明確に決めてはいなかったと思います。元々絵本で考えていたキャラクターなのですが、そこではきちんと喋れる設定でした。マンガ始めるにあたってどこでそうなったのか、はっきり思い出せないんです。意外かもしれませんが、深く考えてはいないんです。
ただ、私はTVゲームが大好きで、RPGをよくやっていたのですが、喋らない主人公キャラの方が自分的に強く感情移入しやすかった。主人公になり切り、その世界にどっぷりはまって現実から逃避するのが私の遊び方なんです。そういう側面が影響していたりするかもしれません。それと私がおしゃべりなので無口なキャラに憧れていると思います。

──ご自身に似ていると思われるキャラはいますか?

いないです。こういう奴になりたいという願望で描いています。特にカゲの性格が私の理想なんです。描いていて気持ち良いです。

──『王様ランキング』を描くにあたっての、こだわりなどあれば伺いたいです。

こだわりというか、週刊漫画みたいなペースで描いていきたいという強迫観念があります。でも先月は3週連続で休んでしまいました。でも決してマンガ作業を休んでいるわけではないんです。スケジュール管理をしっかりしなくてはいけないと思っています。

──ずっとサラリーマンをされていたと伺いました。サラリーマン時代の経験が漫画制作に生きていると感じることはありますか?

ずっとというかフラフラしていた時期もあるんですよ(笑)。でもやはりその経験はとてつもなく大きいです。
サラリーマンの経験があったから、漫画家になれたと強く感じています。20代の頃に(現在44歳)一度マンガ家になるのを挫折しているんですが、作品が独りよがりなものでした。それに気づかせてくれましたね。
どういう事かと言うと、サラリーマンになってから、相手という存在を考えて行動するようになりました。仕事で実際喜んでもらえた時は得るものが大きく、かけがえのない経験になったと思います。
相手がどう感じるんだろう、どうすれば喜んでくれるんだろう、そして相手にこんなこと感じてもらいたいと考えられるようになりました。これが特にマンガ描く上で大事だと感じています。
サラリーマンにならなくても成功する漫画家の人たちは、自分の作品を友達とか多くの人たちに見せていたと思います。その反応を見て、創意工夫して、うまくなっていっているのかな。私はずっと誰にも見せず一人の世界に閉じこもっていたので、見てくれた方が何を感じるのか、そういったことに気づくわけもないですよね。

──プロの漫画家になられて、何か変わったこと(環境、心境の変化など)はありますか?

原稿料がもらえたことです。本当に漫画家になれたんだと実感して感動しました。
生活面では全く変わっていないです。引きこもりですし、週に一度行くスーパーでの食費、約3〜4千円も変わっていません。

──ボッジの耳が聞こえないせいもあると思うのですが『王様ランキング』には、どこかサイレント映画のような面白さがあるように感じます。作品を描くにあたり、何か影響を受けた映画、好きな映画などあれば教えていただきたいです。

40年生きてますからいっぱいありすぎて伝えきれないです。いくつか挙げても、あとで「あれもあったじゃないか…」と後悔するのが怖いんです。

──ファンのみなさまにひとことお願いします。

本当に『王様ランキング』を読んでくれてありがとうございます!

終わりに

本作を読んだ率直な感想は“スルメ”。読めば読むほどに伏線が見つかり、キャラクターの魅力に気づき、今後の展開が楽しみになっている自分がいるのです。
特別絵が上手なわけでも、必殺技が飛び交う派手なバトルがあるわけでもありませんが、「強さ」とは何か、逆に「弱さ」とは何か、とのストレートな問いかけが心を揺さぶります。本作はバズってしかるべき、現代の童話なのです。

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『王様ランキング(1)』  十日草輔 / ブリック出版
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