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『サマータイムレンダ』を時系列順に考察! SF&謎解き&青春漫画を一目でわかる表でスッキリ理解【ネタバレ注意】

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『サマータイムレンダ』バナー

★2023年5月6日 追記★
アニメ「サマータイムレンダ」はもう観ましたか?

アニメでは、主人公の少年・網代慎平を花江夏樹、ヒロインの小舟潮を永瀬アンナが演じており、ゲーム化、企画進行中の実写映画化など、クロスメディア展開も話題です。

「少年ジャンプ+」で連載され、累計閲覧数1億5000万回以上を誇るマンガ「サマータイムレンダ」を詳細解説した『ぶくまる』人気記事をプレイバック!
(原作9巻までのネタバレを含みますので、予めご了承ください。全13巻の刊行です。)

マンガはこちら⇒https://booklive.jp/product/index/title_id/488602/vol_no/001

架空の島を舞台に、主人公の少年・慎平が人を食らって生きる謎の生物「影」と死闘を繰り広げる青春SFストーリー『サマータイムレンダ』。作品の魅力を構成しているのは、謎解きやSFといった誰もがワクワクする要素と、不気味な「影」がもたらすハラハラ感。そして、何といっても慎平が数日間の間に生死を繰り返す “ループ”ものの面白さです。

今回は、相関図や表を使って、作中の出来事やループの流れを時系列順に整理。誰がどのような行動をとったか、いつ何が起きたかを一目でわかるよう整理しました。この記事を活用して、不可解な影の謎とループの流れを、スッキリ理解しながら楽しんでください!

※当記事に記載の内容は全て「ぶくまる編集部調べ」です。また、当記事にはネタバレを含みます。

『サマータイムレンダ』作品紹介

『サマータイムレンダ』書影

作品の詳細を見る

『サマータイムレンダ』あらすじ

舞台は和歌山県にある小さな離島・日都ヶ島(ひとがしま)。家族同然に育ってきた幼なじみの少女・潮の訃報を聞き、18歳の慎平は帰島します。そこで聞いたのは、潮が事故死ではなく、誰かに殺されたという可能性と、「自分の“影”に出会うと死ぬ」という不吉な噂。そして翌日、近隣の一家が突如として全員消えたと聞いた慎平は……。

なぜか慎平が有していた特殊能力の“ループ”や“影”にまつわる謎解き要素、アクションたっぷりの影とのバトル、そして晩夏の島で繰り広げられる若者たちの青春……と、多様な魅力が詰まったエンタメ作品です。

なお、今作では、オリジナルのキャラクターに対する影をカタカナで表記しています。
(例)潮の影=ウシオ、しおりの影=シオリ
本記事でもそれにならい、キャラクターの影をカタカナで表現します。

『サマータイムレンダ』登場人物紹介

“ループ”で重大な働きをするメンバーを中心に、登場人物をご紹介します。

網代慎平(あじろ しんぺい

18歳。10年前に起きた船の事故で、水中考古学者だった両親を亡くし、小舟家の養子に。普段は東京で調理師の専門学校に通っています。特技は状況を客観的に観測する“フカン”。

小舟潮(こふね うしお

17歳。金髪碧眼の活発な美少女。海で溺れたしおりを助けて溺死したといわれています。潮の影である“ウシオ”は、ほかの影と異なり慎平たちに協力的。慎平が好き。

小舟澪(こふね みお)

15歳。黒髪で健康的な潮の妹。慎平に好意を持っていますが、大人しい性格のためそれを隠しています。

小舟アラン(こふね あらん)

潮と澪の実父で、慎平の養父。「洋食コフネ」の店主を務める明朗なフランス人。

菱形窓(ひしがた そう

17歳。まっすぐな性格の男子高生。澪を一途に慕っています。

菱形朱鷺子(ひしがた ときこ

16歳。窓の実妹で、澪のクラスメイト。大人っぽくて知的な性格。

小早川しおり(こばやかわ しおり)

小学3年生。島にあるスーパー「コバマート」の娘。潮の命と引き換えに事故から生還しますが、ショックで声が出なくなりました。

凸村哲(とつむら てつ)

島の駐在所に勤務する警察官。チャラくて女好き。

雁切真砂人(かりきり まさひと)

島の祭祀を取り仕切る雁切家の当主。島の北部にある日都神社(通称:ヒルコさま)の宮司を務めています。とってもおしゃべり。

根津銀次郎(ねづ ぎんじろう)

老年の猟師。ライフルが得意。

南方ひづる(みなみかた ひづる)= 南雲竜之介(なぐも りゅうのすけ)

「南雲竜之介」のペンネームで「影」の言い伝えを彷彿とさせる『沼男』などの作品を発表する、島出身の小説家。14年前に、ある事故で双子の弟の竜之介を喪いました。

「影」について分かっていること

作品の鍵を握る不気味な存在「影」。いつの間にか人々の生活に入り込み、容赦なくターゲットを殺してその人物になり替わってしまう、底知れぬ恐ろしさがあります。その能力について現在分かっていることを、出てくる言葉とともにまとめます。

言葉 意味
スキャン 対象のデータを読み取る
プリント スキャンで読み取ったデータをもとに、複製物(影)を作り出す。
※増えた影は自分の意思で行動する
消去 コピー元のオリジナルを消す(人間の場合は殺害が必須)。
オリジナルが残ったままの影は、いずれ失われる。
平面化 平面の影に潜り、狭い隙間や壁などを自在に高速移動できる。

など。SF魂がうずく設定です。

人の形をしていても、影の本体は地面に落ちるいわゆる「影」(平面)。人間を殺す程度のダメージで致命傷を負います。一方、人の姿をしている部分(立体)は、ダメージを受けても回復します。慎平たちの戦法は、ネイルガンなどで平面を留める、立体を叩いて動きを止めてから平面を攻撃する、などの戦法を取っています。また、火には弱いようです。

うごめく影たちの頂点にいる存在が、「オカアサン」と呼ばれる少女・ハイネと、その傍らに控える4本腕の「シデサマ(シデ)」。その正体は不明ですが、慎平の持つループ能力には、ハイネの存在が大きく関わっているようです。

出来事とループの流れを時系列順に理解!

今作は7月22日、慎平がフェリーの中で夢を見るシーンから始まります。しかし、実は作品の全体像をスッキリ理解するためには、7月17日から7月24日までの8日間に何が起こったのかを整理することが大切。9巻までの内容で、7月17日から7月24日までの「ベースとなる出来事」を一覧化したものがこちらです。

日付 ベースとなる出来事
7月17 潮、しおりから影の存在を聞く
7月18 潮、「万年青浜のゴミ拾い」でコピーされ、ウシオと鉢合わせる
潮とウシオ、菱形医院旧病棟を訪れる。
7月19 潮とウシオ、ウシオの力を確かめる。
7月20 潮とウシオ、慎平宛にスマホの動画を撮影。
7月21 潮、しおりを助けようとして死亡。シオリがしおりと入れ替わる。
ウシオ、シオリに記憶を初期化される。
潮の通夜。
7月22 慎平、フェリーで島へ。潮の葬式に参列。
7月23 コバマートにまつわる出入り。
7月24 島の夏祭り開催。

22日から24日が、慎平の主なループ期間です。しかしループするたびに基本的な出来事以外の人物の動きが少しずつ変わり、それによって新たにイベントが発生するので、ループごとに全く同じ展開にはなりません。そこでこの3日間を中心に、「ベースとなる出来事」と、慎平のループごとの行動を並べてみました。
※クリックしてご覧ください

こう見ると、慎平のループの開始地点が徐々にずれ始めていること、クライマックスの舞台である24日の夏祭りは一度(2周目)しか経験していないことがわかります。6周目のループ先が、2004年の「洋食コフネ」の前だったのも気になりますね。9巻時点で、慎平は24日の午前中。日都神社の訪問は、彼のループにどのような結果をもたらすのでしょうか?なお、島や影の謎を解くための手がかりとして、コミックスの至るところに「記録」が掲載されています。どこに何があるのかをまとめたものがこちら。

記録の番号 内容
#001(1巻カバー下) しおりの日記
#002(2巻カバー下) 南雲竜之介『沼男』Amazon風レビュー
#003(2巻巻末) 第61回日都夏祭り大祭ポスター
#004(2巻巻末) 慎平のメモ
#???(2巻巻末) 主要キャラプロフィール
#005(3巻巻末) 南雲竜之介のスーツケースの内容
#006(3巻巻末) 南雲のメモ
#007(3巻カバー下) 朝子からひづるへの手紙
#008(4巻カバー下) ブログ「白良浜パンタローの廃墟探訪」
#009(5巻カバー下) ウシオが今なんとなくわかっている10の事
#010(6巻カバー下) 菱形家の写真
#011(7巻カバー下) 慎平の父・網代透(水中考古学者)のメモ
#012(7巻巻末) カレーチキンサンドのレシピ
#013(8巻カバー下) 日都ヶ島小中学校校歌
#014(8巻巻末) 保健室でのヒアリング内容
#015(9巻巻末) 潮の記憶しているコピーアイテム
#016(9巻カバー下) 菱形医院の中庭に植えられていた橘の説明
#017(9巻巻末) 網代慎平のメモ

記録#002『沼男』レビューのように続刊以降で内容が明らかになるものから、記録#009のような読者に優しい解説、そして記録#012カレーチキンサンドのレシピのように一見関連性がないものまで、バラバラな「記録」たち。上でまとめた出来事一覧とリンクさせながら、どのようなヒントが隠されているか探してみるのもまた一興です。

『サマータイムレンダ』読者の声

謎が判明すると共に絶望がどんどん主人公達を襲っていきます。本当にハラハラしっぱなしで、ジャパニーズホラーの良さを感じました。アクションも多くて見応えが有ります!とにかく続きが、真相が、結末が気になって仕方ありません!

ひっさびさに面白すぎて一巻無料読んだ後に電子と紙どちらもまとめ買いした。
話の緩急がうまく書き込みが粗いようでいて丁寧なので分かりやすい。
キャラクターに嫌いだと思うのがいない。ただただ物語を紡ぐ上で魅せてくれるキャラクターばかりである。
夏のアニメホラー枠とかでアニメ化してほしい。

巻を重ねていくうちにどんどん時間がなくなっていくのが辛いけど、
そろそろ決着がつくのだろうか、というドキドキ感もあり。
慎平の敵か味方かという点と関係なく、
序盤と印象が変わってきたキャラが何人かいる。
大きなエピソードで印象をがらりと変えるのではなく、
小さなエピソードの積み重ねで少しずつ変えていくところが巧み。
慎平の俯瞰の能力は物語が終わったら消えてしまいそうだなあなどと。

終わりに

謎、謎、謎、そして謎。影の正体や倒し方、「帰郷」というハイネたちの目的が明かされたとはいえ、今作にあふれた謎はまだまだ解明されつくしていません。しかも、今後ハイネたちを討伐すれば、やってくるのは生み出された影であるウシオの消滅。その時、彼女を愛する慎平はどうなるのか……。謎とともに妄想もあふれるばかりです!

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