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美味しそうで飯テロ必至!「異世界×料理」漫画9選

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美味しそうで飯テロ必至!「異世界×料理」漫画9選

星の数ほどある異世界ファンタジー。その中で最近目にとまるのが、料理をテーマにした作品です。現実世界の料理をそのまま異世界で出したり、異世界の食材を使った架空の料理を登場させたり、主人公が料理人であったり食通であったりと、バリエーションは実に多彩。今回は、今注目の「異世界×料理」漫画を総まとめ。どれも熱のこもった調理シーンが描かれ、美味しそうなメニューが登場します。飯テロ必至の9作です!

「龍」を捕って食べ尽くす! 天空を舞台にしたロマン溢れるファンタジー、『空挺ドラゴンズ』

『空挺ドラゴンズ』

『空挺ドラゴンズ』 1~6巻 桑原太矩 / 講談社

2020年1月からのTVアニメ放送が決定している、今、注目のファンタジー漫画。劇中には、「龍」の肉や脂を使った美味しそうな料理がたくさん登場します。

エンジン付きの飛行船が空を飛び、街ではガス灯が灯るというレトロな異世界が舞台。この世界には「龍」と総称される天空を住処にした生物がいて、主人公たちはそれを捕る捕龍船クィン・ザザ号の乗組員。ほとんどの日々を船で暮らし、捕った龍を解体しては町で売りさばくのを生業としている彼らは「龍(おろち)捕り」と呼ばれています。

この世界における「龍」は、恐竜に羽根が生えたようなドラゴンではなく、さまざまな形状をしているのが特徴。大きさも鳥のようなサイズから、空の一部を覆い隠すような超大型のものまで登場します。

クィン・ザザ号の新人クルーの少女タキタと、龍が大好物の青年ミカが本作の主人公。誰よりも早く龍の気配を察知し、捕龍のときは龍に飛び乗ってトドメを指すミカは特に魅力的なキャラクター。さまざまな「龍」料理を彼が美味しそうにパクつくシーンが、料理漫画としての本作の見どころです。

最初に登場するのは、龍の尻尾をスライスして鉄板で焼き、パンに挟んだ「龍の尾身ステーキサンド」。捕った直後に調理して食べられるのは捕龍船クルーの特権でもあり、ミカは龍以上に美味いものは存在しないと考えています。

龍のキモと野菜を使った、手の込んだ田舎料理「芋とキャベツの酢漬けと龍のカラギモのコンフィのプレステリーヌ」や、龍の立羽(たっぱ)ゼラチンのパンナコッタ 木苺ソース添え」のようなデザートも登場。立羽というのは、龍の背中にピンと生えている羽のことです。

劇中に登場した料理は、各話の最後、もしくは巻末に詳しいレシピが。「龍」という架空の食材を使った料理なので、現実に再現はできませんが、「龍」の肉を牛や豚に置き換えれば、作れてしまいそうなくらいリアルです。

世界観や細かい設定がよく練られていて、普通のファンタジーとしても一級品。「龍」を解体する前に祈りを捧げるときの口上、

「雲に還(かえ)りて また良き風招(おこ)せ」

などセリフの一つ一つがかっこいいのも魅力。スクリーントーンを一切使わない絵のタッチが、独特の世界観を作り出ています。

アニメ化でさらなる話題作となるのは必至。今のうちにチェックしてみてください!

遠征先で採った食材をエルフの衛生兵が見事に料理する『エノク第二部隊の遠征ごはん』

『エノク第二部隊の遠征ごはん』

『エノク第二部隊の遠征ごはん』 1~3巻 福原蓮士・江本マシメサ・赤井てら / KADOKAWA

小説投稿サイト「小説家になろう」から生まれた小説のコミカライズ版。主人公の新米衛生兵メル・リスリスが、料理の腕を振るって活躍する物語です。

王立騎士団のエノク第二部隊は、隊員わずか4名の部隊。魔物の討伐や災害救助のサポートのため、王国の各地に出向く過酷な任務に就いています。そんな部隊に、新米の衛生兵として加わったのがメル。戦闘力ゼロで、戦いには貢献できませんが、それまで疎かにされていた部隊の食事環境が、彼女の参加で激変。隊員から認められていくのでした。

メルが最初に作ったのは野営したときに食べる兵糧食。固くなったパンとぞんざいな加工法による干し肉という、あまりにも不味すぎる兵糧食は、メルが採ってきた野菜や香草によって、美味しい料理に変貌します。それに隊長のクロウが獲った野鳥も加えて出来上がったのが、”森の恵みの山賊風スープ”と”野鳥の丸焼き”。隊員たちはあまりの美味しさに、大喜びするのでした。

メルは、”美しき森の妖精”と言われるフォレ・エルフ族の出身。しかし、器量にも魔力にも恵まれず、エルフの村では超貧乏にあえいでいました。そんな彼女にとって初めて、自分の才能を活かせる場所になったのが、エノク第二部隊。生きがいを見つめたメルの姿が、活き活きと爽やかに描かれていくのが本作の魅力です。

各地に遠征し、野営を繰り返す部隊を描いた作品なので、メルの作る料理は森で採れた食材や倒した魔獣を使っての料理。ストーリーのシチュエーションに沿って、その場その場で得た食材を料理していき、干し肉のような保存食から超豪華なデザートまで、さまざまなタイプの料理が登場します。

やがてエノク第二部隊には、”猛き戦斧の貴公子”と呼ばれる、王族親衛隊の元エリート騎士も加わることに。男性でありながら、美貌と高い女子力の持ち主のザラの登場で、部隊はより華やかに。

出てくる料理は異世界の食材を使った架空のものですが、巧みなグルメコメントを繰り出す隊長のクロウをはじめ、隊員たちのリアクションがよく、本当に美味しそうに思えてきます。

異世界で成功した転生者が、美食の限りを尽くす『幻想グルメ』

『幻想グルメ』

『幻想グルメ』 1~5巻 天那光汰・おつじ / スクウェア・エニックス

異世界で成功を収めた主人公があらゆる美味を食べ尽くす、贅沢な作品。「小説家になろう」に連載された小説のコミカライズ版です。

主人公のシュンイチロー(桂木俊一郎)は、仕事中の不慮の事故で異世界に転生。最初は生きるか死ぬかの生活を送っていましたが、四大貴族の一角であるサキュバール家の若き当主バートに見出され、サキュバール家のために働き始めると、現実世界で得たノウハウを活かして大成功。異世界に来て1年で貴族並みの暮らしをするまでに至ります。

大きな屋敷に住み、シルフィンという銀狼族の少女をメイドに雇ったシュンイチローは、彼女を連れて、高級レストランから路地の屋台まで、さまざまな美食を食べ歩くことに。また、バートの代理人として各地に赴き、そこでも美食を尽くすことになります。

主人公が自ら料理することはほぼなく、食べ歩くというのが本作の大きな特徴。そして、お供としてかわいいメイドを連れ歩くというのもポイントです。最初は無愛想でしたが、少しずつシュンイチローに心を許していくシルフィン。慣れない高級レストランでそわそわしたり、ドレスをしつらえてあげると破顔の笑みを見せたり、他の女性と話していると不機嫌になったりというシルフィンのリアクションが、いちいちかわいいのです。

出てくる料理は、ドラゴンの指の肉のステーキから始まり、熱を加えると宝石のように輝くジュエルロブスターのボイル、マンドラゴラのシチュー、王族が特別な機会にふるまう守護聖鳥の卵、龍の秘宝である200年の時を経た甘美な「水の実」など、異世界の食材ばかり。ちなみにこの世界におけるマンドラゴラは高級食材。抜くときの叫び声を聞くと死ぬというのは迷信という設定になっています。

もちろん食べ歩くだけではなく、バートの代理人としての仕事もしっかりこなすシュンイチロー。四大貴族の中でも特に権勢を誇るロプス家の当主で、一つ目一角の女性シャロンとの緊張感溢れる駆け引きや、この世界に魔力発電をもたらした発明王アイジャとの出会い、クジラの豪華客船に乗っての異国アキタリアへの出張などなど、冒険も盛りだくさん。

異世界の美味や珍しい風景を見たとき、

「ファンタジーだな」

と楽しそうに言うのがクセのシュンイチロー。彼とともに、異世界を味わい尽くしてください。

バトルと美食が見事にブレンドされた老騎士の冒険譚、『辺境の老騎士 バルド・ローエン』

『辺境の老騎士 バルド・ローエン』 1~5巻 支援BIS・菊石森生 / 講談社

58歳の老騎士を主人公に、異世界の旅を描いた作品です。

舞台となるのは、大障壁(ジャン・デッサ・ロー)という巨大な壁が魔獣(キージェル)の侵入を防いでいる異世界。バルドが騎士として仕えるバクラ領には壁の切れ目があり、そこからやって来る魔獣や、侵略してくる隣国の軍との戦いが彼の任務でした。

人民の騎士(ガルデガーシ・グエラ)と呼ばれたバルドは、不敗を誇る屈強な騎士。しかし、58歳のときに引退を決意。館と財産を領主に返上し、愛馬スタボロスと気ままな旅に出ます。

「うまい酒とうまい食い物があって それを食べることができる こんな幸せあるまいよ」

「やるべきことはやってきた あとは生きて死ぬだけだ」

そんなふうに考えるバルドは、川でウィジクという魚を釣って塩焼きにし、野草のスープと合わせた料理に舌鼓を打ち、蒸留酒をひと口という素朴な料理で、至福の表情。一度一度の食事を大切に思う気持ちは老境に入った人ならではで、彼の達観が清々しい印象を与えてくれます。

しかし、バルドの旅は平穏なものにはなりません。バクラ領を狙う大領主コエンデラの陰謀に巻き込まれ、かつての領主テルシア家を守るために、何度も何度も戦うことに。また、旅の先々で遭遇する魔獣とも壮絶な剣劇を繰り広げます。

謎解きあり、戦いあり、さまざまな人物や亜人との出会いありで、騎士の冒険譚としても読み応えのある内容。農家に泊まったときは、カルナッツという実を潰して小麦粉とこねて、かまどで焼いただけの料理を美味しそうに食べ、領主の屋敷に招かれたときは、珍しい黒海老の鬼鎧焼きを味わいつつ、名産のワインをたしなむ。素朴な食事も豪華な食事も、ひとしく大切にするのがバルドの美点です。また、美食を口にしたときの心の中のつぶやきは完璧な食レポとなっていて、異世界料理を一緒に味わいたくなります。

彼の気ままな旅は、後に「世界中で語り継がれる冒険」となっていくことが、第1巻で予告されています。いったいどんな出会いと戦いがバルドを待っているのか、今後の展開に期待です。

異世界でナゴヤ飯? 優しいマスターが故郷の味の再現にこだわる『異世界駅舎の喫茶店』

完結『異世界駅舎の喫茶店』 全5巻 Swind・pon-marsh・神名ゆゆ / KADOKAWA

異世界に転生した主人公が、駅に直結する喫茶店のマスターになり、地元の人や旅行客に自慢の料理をふるまう、という作品。面白いのは、名古屋出身の主人公が故郷の味の再現にこだわっているところ。異世界の食材を使ったナゴヤ飯がたくさん登場します。

妻の柚(ゆう)と一緒に異世界に迷い込んでしまったクロガネ タクミ。なぜか柚は猫耳の少女の姿になり、現実世界での記憶を失っていたのでした。

二人が目覚めたのは、異世界を走る列車の中。そのまま終着駅のハーバータウンまでたどり着いたタクミは、駅長の好意により、住み込みの駅員として働くことになります。さらに、ハーバータウン駅の駅舎に直結する喫茶店「ツバメ」のマスターに。もともとカフェを開くのが夢だったタクミは、異世界でやりがいのある職場を得たのでした。

食事もできる喫茶店で、タクミが出すのは異世界の食材を現実世界のレシピによって料理した品の数々。ブラウンソースの鉄板ハンバーグやパンケーキ、シーフードカレーなど、日本人にはおなじみの料理は異世界の人々に大ウケ。店はすぐに評判になっていきます。

メニュー豊富な「ツバメ」ですが、タクミが最もこだわっているのは、名古屋ならではの喫茶店メニュー、いわゆる「ナゴヤ飯」の再現です。モーニングのコーヒーにはトースト、卵、サラダが無料で付くのが当たり前というところから始まり、料理に合った食材を手に入れるたびに、エビフライ丼、インディアンスパゲティ(カレーソースのスパゲティ)、冷製台湾パスタなどを作っていきます。巻が進むと、ウナギのような魚を手に入れて、念願のひつまぶしも! 異世界人にとって、「ナゴヤ」は美味いモノの代名詞になっていくという展開が面白すぎます。

ストーリー的には、終着駅の喫茶店ということで、さまざまな人間模様が描かれることに。基本的にハートウォーミングな展開ばかりで、神名ゆゆ先生の優しい絵柄も相まって、ほっこりとできる作品です。

最終巻となる5巻では、なぜ、柚が猫の亜人になってしまったのかの謎解きも。物語がきれいに完結しているのも、本作の美点です。

得意の家庭料理で、異世界の人々をおもてなし!? 『異世界おもてなしご飯』

完結『異世界おもてなしご飯』 全4巻 忍丸・目玉焼き・ゆき哉 / KADOKAWA

主人公がほとんど外の世界に出ない、ちょっと変わった異世界×料理漫画です。

主人公は24歳の小鳥遊茜(あかね)。両親を早くに亡くし、妹のひよりとともに田舎の祖父母の家で暮らしていましたが、祖父母も亡くなったことで、今は姉妹の二人暮らしです。いつものように姉妹でくつろいでいたとき、家に振動が。外を覗いてみると、そこは異世界の城の敷地内でした。

王様によれば、数百年に一度訪れる人間世界の危機を食い止めるために、異世界から聖女を召喚したということ。その聖女とはひよりのことで、茜と家まで召喚されたのは手違いだったのです。

聖女の役割をあっさり引き受け、城で勉強と修行に明け暮れるひより。一方の茜は、何もすることのない日々を過ごしていましたが、ある日、ひよりが「お城のご飯は嫌なの おねえちゃんのプリンとご飯が食べたい!」と泣きついてきます。
「私にもできることがある」。そんな思いで、茜は聖女としてがんばるひよりのために、日々のご飯を作ろうと思うのでした。

召喚された家は、なぜか電気とガスを使うことができるという設定。さらに、田舎の家だけあって、米やお酒、調味料のストックもたっぷり。そこに異世界の食材を加えて、茜はひよりのためにご飯を作っていきます。
彼女が作るのは、ごく普通の家庭料理です。ある日の夕食はオムライスとコーンスープ、またある日は山菜の天ぷらと豚汁、ふき味噌の焼きおにぎりを中心とした和食。そんな日本人には当たり前のメニューが、ひよりとともに家にやって来た王子をはじめ異世界の人を感動させ、茜の家には次第に人が集まるようになっていきます。

また、茜は若いのに晩酌が大好き。一人で飲んでほっと一息つくのも、大勢で賑やかに飲むのも、妖精の女王など思わぬ珍客を相手に杯を傾けるのも、実に楽しそう。お酒のシーンが多いのも本作の特徴です。

聖女として危険な役目につく妹を心配しつつ、料理で異世界の人々をもてなす茜。彼女の家庭料理をたっぷり目で味わってください。

自給自足のダンジョン攻略。倒した魔物が美味しそうな料理に変わる『ダンジョン飯』

『ダンジョン飯』 1~8巻 九井諒子 / KADOKAWA

異世界×料理漫画の代表格。「このマンガがすごい!2016」オトコ編1位を獲得するなど、すでに高い評価を得ている作品です。

“狂乱の魔術師”によって作られた「迷宮」に挑む数多くの冒険者たち。主人公のライオスもその一人でしたが、「迷宮」の最深部に達したときに炎竜(レッドドラゴン)に遭遇し、パーティが全滅の危機に。ライオスの妹である魔術師のファリンがレッドドラゴンにその身を食われながらも、魔法によって他のメンバーを地上に脱出させます。

妹を救うために、すぐにでも「迷宮」に再挑戦しようとするライオス。しかし、荷物やお金は最深部に置きっぱなしになってしまったため、食糧を用意することができません。もともと魔物研究が大好きだったライオスは、これが好機とばかり、倒した魔物を料理しながらの「迷宮」攻略を仲間に提案するのでした。

魔法使いでエルフのマルシルと、鍵開けや罠探しの専門家であるハーフフットのチルチャックといった面々に、魔物料理が得意なドワーフのセンシが加わり、4人は「迷宮」へ。各階層の魔物を倒しては、美味しく平らげ、冒険を続けていきます。

蛇と鶏が合体したモンスター、バジリスクを一匹まるまる焼いた「ローストバジリスク」、触手植物を酢の物にした「テンタクルスの酢和え」、大ガエルのもも肉を使った必勝祈願メニュー「レッツ炎竜(レッドドラゴン)にカツレツ」など、毎回、奇想天外な魔物料理が登場。レシピや調理法が丁寧に描かれ、本当に食べられそうだと思わせてくれます。

4巻でついに、レッドドラゴンと再戦。妹のファリンを腹の中から救うための戦いが描かれるのですが、その戦いが終わると、意外な新展開に。「迷宮」を巡る、さまざまなキャラクターの思惑が絡み合い、ストーリーは複雑になっていきます。

そんな中、魔物を食すことへのあくなき探究をやめないライオス。彼らの冒険はこれからが佳境です。

現実世界の料理で異世界の人々や魔物をおもてなし、『とんでもスキルで異世界放浪メシ』

『とんでもスキルで異世界放浪メシ』 1~4巻 赤岸K・江口連・雅 / オーバーラップ

3人の勇者とともに、手違いで異世界に召喚されてしまったムコーダこと向田剛志が、勇者の使命といったしがらみから早々に解き放たれ、異世界を気ままに旅する物語です。

ムコーダが異世界に召喚されたときに身につけた固定スキルが「ネットスーパー」。現実のスーパーマーケットの通販サイトと繋がり、異世界の通貨を使って自由に買い物ができるというものです。戦いには向きませんが、ある意味では無敵の「とんでもスキル」。料理が得意なムコーダは、現実世界から食材や調味料を取り寄せ、異世界の食材と合わせて、美味しい料理を作り出していきます。

もう一つ、ムコーダの大きな味方となったのが、彼の料理に誘われて現れた伝説の魔獣フェンリル。食事と引き換えにムコーダの従魔(契約魔獣)となったフェンリルは、ロックバード、ブラックサーペントといった魔物を次々と捕まえてくることに。それらは食べてよし、売ってよしの高級食材で、ムコーダは美食を尽くしつつ、楽しい異世界旅を続けていきます。

イノシシのようなレッドボアは生姜焼きに、ブラックサーペントの唐揚げは鳥の唐揚げに似た美味、オークのとんかつは高級な豚肉のよう、ロックバードは照り焼きにしたり、タンドリーチキン風にしたりと便利な食材に。冒険の中では、さまざまな出会いがあり、異世界の人々がムコーダの料理に大感動しつつ、ぱくつくシーンはとても楽しそうです。

さらに話が進むと、特別な能力を持ったスライムもムコーダの従魔に。何でも食べてくれるスライムは、現実世界の食材から出たプラスチックや缶のゴミも処理してくれる便利な存在。また、経験値を積むと戦闘力も上がり、フェンリルとともに大きな戦力となっていきます。

旅を進めていくうちに、フェンリルを従魔にしたムコーダの名は各国に知れ渡ることに。平和な旅が少々キナ臭くなってきたのが最新巻。今後の展開が気になります!

日本の居酒屋メニューを、異世界の人々が美味そうに味わう『異世界居酒屋「のぶ」』

『異世界居酒屋「のぶ」』

『異世界居酒屋「のぶ」』 1~8巻 蝉川夏哉・ヴァージニア二等兵・転 / KADOKAWA

現代の日本にありながら、店の入り口が異世界に通じている居酒屋のぶ。異世界の人々が日本の居酒屋メニューに舌鼓を打つ、平和なファンタジー&グルメ漫画です。

夜空に月が二つ浮かぶ異世界。城壁に囲まれた古都アイテーリアでは、城を守る傭兵が訓練に励んでいました。傭兵のハンスが訓練後に、同僚のニコラウスに誘われて、小さな店に訪れるところから物語が始まります。

瓦のひさしに暖簾、ガラスの引き戸という純和風の構えを持つその店の名は、「居酒屋 のぶ」。扉を開けて入ると、大将のノブと看板娘のシノブが二人を出迎えてくれます。店員の作務衣姿も、カウンターとテーブルという内装も、日本人の我々にとってはごく普通の居酒屋。しかし、ハンスにとっては予期せぬ異文化とのファーストコンタクトになったのでした。不思議な光景に茫然と立ち尽くすハンスの横で、店の常連であるニコラウスは

「トリアエズナマ」

を注文します。

すぐに察していただけたと思いますが、「トリアエズナマ」とは、ジョッキで出る生ビールのこと。日本人が一杯目を頼むときに言う「取りあえず生」が、異世界ではそのまま、メニューになっているのです。また、異世界ではビールは常温で飲むのが当たり前。キンキンに冷えたビールを目の当たりにして、ハンスは驚き、ぐびっと飲み干して、その美味さに感動します。我々読者としては、「そうだろう、そうだろう」とハンスの肩を叩きたくなるようなシーンです。

そんなふうに、居酒屋メニューの美味さに、異世界の人々がいちいち感動してくれる姿を、微笑ましく見守ることができるのが、本作の最大の魅力。1話でハンスが味わうのは、ホクホクのおでん。出汁が染みこんだ具の一つ一つを、夢中で口に運んでいくのでした。

基本的に1話完結で、異世界の人々が「のぶ」を訪れては料理に感動するという、平和な展開。出てくる料理は、若鶏の唐揚げ、湯どうふ、刺身、豚汁と、日本人にとってはありきたりのものです。一流料亭出身であるノブの腕前はたしかで、料理の作画も巧み。さらにそれに合うお酒も一緒という、「飯テロ」ここに極まれり、という作品で、夜中に読むのは危険かもしれません(笑)。

どうして、「のぶ」は料理やビールを出せるのか、仕入れはどうしているのか。なぜ異世界と繋がったのかといった謎も次第に明かされることに。また、「のぶ」に存続の危機が訪れるエピソードなど、スリリングな展開も出てきて、飽きさせません。

最新8巻で「のぶ」は異世界での開店1年を迎えることに。新しい店員も増え、ますます店は繁盛しているようです。

最後に

「異世界×料理」漫画の世界、いかがでしたでしょうか? どの作品にも共通するのは、美味しい料理を食べているときのキャラクターたちの幸せな表情です。食べるということが、人生の基本であるのは、現実でも異世界でも同じ。ファンタジー世界を巡るキャラクターたちの冒険とともに、美味しい料理に想像を巡らせながら読めば、あなたも幸せな気分になれるはず。そして、きっとお腹がすくでしょう。

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