『とんでもスキルで異世界放浪メシ』を徹底解説。ネット通販で異世界グルメ旅!?【ネタバレ注意】
小説投稿サイト「小説家になろう」から生まれた注目作。コミカライズ版が2019年9月現在で4巻まで発行されている異世界ファンタジーです。異世界に召喚された主人公が、現実世界のノウハウを活かして活躍する作品は少なくありませんが、本作の面白さは、主人公がネットの通販サイトを異世界でも利用できるスキルを持っていること。現実の食材と異世界の食材をミックスさせた、美味しそうな料理が次から次へと登場します。
また、主人公とともに旅するフェンリルとスライムといった魔物も魅力的。便利なスキルを使っての、美味しくて楽しい異世界放浪が描かれ、男女を問わずオススメしたい作品なのです。
そんな『とんでもスキルで異世界放浪メシ』の魅力を、書店員が徹底解説します!
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※当記事に記載の内容は全て「ぶくまる編集部調べ」です。また、当記事にはネタバレを含みます。
目次
『とんでもスキルで異世界放浪メシ』あらすじ
召喚術によって、剣と魔法のファンタジー世界に召喚された主人公・向田剛志。しかし、一緒に召喚された3人が「勇者」であったのに対して、自分は単なる「巻き込まれた異世界人」。さらに、謁見した王様の横柄な態度を見て、ネット小説に詳しい向田は、「あかんタイプの異世界召喚だ」と気づきます。
このままだと、いいように使われるだけだと悟った向田は、当面の生活費である金貨をもらって、城から出ることに。町で異世界の服をそろえて、とりあえず宿屋に落ち着いたのでした。
向田が召喚されたときに身につけた固有スキルは「ネットスーパー」。さっそく宿屋で発動させてみると、元の世界(つまり日本)で使っていたネットスーパーのサイトが立ち上がります。異世界にいながらにして、日本の商品を買うことができ、しかもダンボールに包まれてすぐに届くという、考えようによっては超絶便利なスキルを得て、向田の異世界の旅が始まります。
異世界ではムコーダと名乗ることにして王都を出た彼は、旅の警護役として雇った冒険者パーティーに、「ネットスーパー」を利用した料理をふるまうことに。するとこれが大好評!
その美味しそうな匂いは、なんと伝説の魔獣フェンリルまで引き寄せてしまうことに!
ムコーダの作るメシに誘われて、「お主と従魔の契約をしてやろう」と言い出すフェンリル。最強の従魔(契約魔獣)を得たムコーダ(向田)の異世界の旅が、こうして始まります。
『とんでもスキルで異世界放浪メシ』登場人物
ムコーダ(向田剛志)
日本の地方都市で暮らしていた27歳のサラリーマン。異世界に召喚され、固有スキル「ネットスーパー」を得ることに。伝説の魔獣フェンリルを従魔にして、異世界を満喫する旅に出発します。ムコーダはネット小説のファンという設定で、異世界に召喚されても、すぐに順応するのがポイント。剣も魔法もかなり弱いですが、戦いや狩りなどの力仕事は全てフェンリルが担当してくれるので、楽ちん。本人も旅を続ける中でレベルアップ、フェンリルの特訓もあって、魔法が使えるようになっていきます。
フェル(フェンリル)
ムコーダの作る美味しい異世界メシに誘われて、従魔となったフェンリル。主人のムコーダによって「フェル」と名づけられます。力は強大、態度は尊大ですが、ムコーダのメシが大好きなので、素直に言うことを聞くところがかわいい、旅のパートナーです。
スイ(スライム)
ムコーダの2番目の従魔となるスライム。同じく主人のムコーダによって「スイ」と名づけられます。出会ったときはレベル1のベビースライムでしたが、異世界メシの効果ですぐにスライムに進化。さらにはしゃべれるようにもなっていきます。
ニンリル
フェルを眷属とする風の女神。神の世界で暮らしていますが、夢を通してフェルと意思の疎通ができます。フェルはニンリルの加護によって、毒や病気などの状態異常を無効化する力が備わっていますが、ムコーダも後に、異世界の甘味をお供えすることで加護を受けることに。どんな性格の女神なのかは、このコマで分かっていただけると思います(笑)。
ムコーダの持つスキルが、実は有能すぎる!
異世界に召喚された段階でムコーダが持っていたスキルは、実は3つあります。まずは彼だけが持つ固有スキルの「ネットスーパー」。あらすじでも紹介した通り、日本のスーパーのサイトで売られているものは、何でも買えて、しかもすぐに届くというスキルです。
さらに一般的なスキルとして「アイテムボックス」と「鑑定」があります。「アイテムボックス」は、いわゆる四次元ポケット 。空中に空いた穴の中に、どんな大きなものでも、いくらでも収納できるという、これも優れモノ。しかもボックス内は時間が流れていないので、生肉を腐らせることもありません。
「鑑定」は人間、魔物、アイテムのステータスが数値になって表示されるというスキル。これによって、ムコーダの作る“異世界”(日本のこと)の食材を使った料理を食べると、人も魔物も能力値が上がることが判明します。
どれも直接、戦闘に効果があるスキルではありませんが、異世界メシによって人脈を広げたり、フェルやスイを強くしたりすることが可能。戦闘能力が低いムコーダにとって、この3スキルのコンボはある意味、最強なのです。しかも、「アイテムボックス」は千人に一人という保有率で、異世界召喚者仕様だとほぼ無限に収納可。「鑑定」は異世界召喚者しか持てないという、レアスキルです。
ムコーダの異世界メシ、徹底紹介!
では、ムコーダはどんな「異世界メシ」を作っているのでしょうか。具体的に紹介していきます。
レッドボアの生姜焼き
巨大なイノシシのような魔物レッドボアの肉を、「ネットスーパー」で買った生姜焼きのタレに漬けて焼いたもの。生姜焼きの美味さは、日本人なら誰もが知るところ。しかし、異世界の人々にとっては初めて食べる味。フェルが最初に引きつけられたのも、この料理です。
バイオレットトラウトの塩焼き・キングトラウトのムニエルとホイル焼き
フェルが湖で獲った魚を調理。ムコーダが包丁を使って、魚を三枚におろしていきます。湖畔での食事はピクニック気分。ムコーダは「ネットスーパー」で買った缶ビールを開け、いい気分に。
異世界のお惣菜
ニンリルにお供えするお菓子や、旅の途中で手っ取り早く食事を取るときなど、全く調理をしない食べ物も登場します。これは、ムコーダが初めてダンジョン攻略に向かうとき、フェルとスイと一緒に食べた、出来合いのお惣菜。能力値を一時的に上昇させるという目的 のため、「ネットスーパー」で買いそろえました。
ブラックサーペントの唐揚げ
巨大な蛇の魔物、ブラックサーペントを唐揚げに。蛇の肉ということで最初はドキドキのムコーダでしたが、食べたらイケる! フェルとスイも気に入って、ほとんどの唐揚げを独占されてしまいます。
オーク肉のあつあつとんかつ
顔はブタですが、二足歩行で人間に近いオーク。トリやヘビは調理できても、さすがにオークを食べるのは抵抗があったムコーダ。しかし、「これはただの豚肉!」と自分に言い聞かせてとんかつにすると超美味! もちろん白飯と味噌汁は必須です。
タンドリーロックバード
久しぶりに町の宿屋に落ち着くことができたムコーダは、今まででもっとも手間のかかる料理に挑戦。ロックバードを細切れにして、プレーンヨーグルトやカレー粉で味付けし、じっくり寝かせた後にフライパンで焼いた、いわゆるタンドリーチキンです。
ムコーダの料理はフェルとスイだけでなく、人間も笑顔に。みんなで食べるご飯の美味しさが、コマから伝わってくるのが本作の一番の魅力かもしれません。
『とんでもスキルで異世界放浪メシ』の世界観
国家
異世界の設定が具体的なのも本作の魅力です。ムコーダを召喚したのは、レイセヘル王国。王が領土拡大路線を取り、周辺国家との紛争が絶えないキナ臭い国です。他にも大陸にはいくつかの国があり、政治形態や社会情勢がしっかり設定されています。
最初は地図を持たなかったムコーダですが、酒場で手に入れることができて(冒険者にぼったくられますが)、異世界の地理を理解します。
では、どんな国家が存在しているのでしょうか? 簡単にご紹介します。
・ガイスラー帝国→ガチガチの独裁軍事国家で、皇帝に逆らうと死あるのみ。
・レバノフ神聖王国→人族至上主義の宗教国家。ソレス王国を属国に持ちます。
・フェーネン王国→ムコーダが2番目に訪れた国。上記の国よりも亜人差別は緩いです。
・マルベール王国→亜人差別のない国ですが、周辺国に狙われています。
・エルマン王国・レオンハルト王国→大陸東にある平和な国。二国間の関係も良好です。
ギルド
この世界を旅するなら、ギルドに登録したほうが便利と教えられたムコーダは、商人ギルドと冒険者ギルドの両方に入ることに。商人ギルドは、商人の規模によって5つにランク分け。ムコーダは店舗を持たないので、最も低いアイアンランクで登録します。
商人ギルドでは、商品の買い取りもやってくれます。ムコーダは早速、「ネットスーパー」で買った塩と胡椒を持ち込みますが、高品質により高額買い取り。銀貨1枚で買ったものが、なんと金貨17枚で買い取られることに。「ネットスーパー」があれば、異世界ではお金に困らない!
冒険者ギルドは、新登録の場合は最低ランクのGからスタート。クエストの依頼を受け、ランクアップしていくことが必要になり、一定期間、依頼を受けないと登録抹消されるというペナルティがあります。こちらは、倒した魔物の解体や買い取りをしてくれるのが利点。フェルがどんどん高ランクの魔物を倒してくれるので、冒険者ギルドでも大金が稼げることに。本当にムコーダはお金に困らないのです。
魔物は肉を食用にするだけでなく、いろいろな部位が素材として利用可能。こういう設定もしっかり作り込まれています。
スライムのスイが、便利&かわいい!
2巻から登場する、スライムのスイ。ムコーダの2番目の従魔となりますが、この子がめちゃくちゃ便利なのです。そんなスイの能力を紹介しましょう。
・異世界のゴミを食べてくれる
「ネットスーパー」で買った食材にはゴミがつきもの。空き缶や空きビン、プラスチックのパックを異世界に捨てるわけにはいきません。そんなゴミをまるっと消化してくれたのがスイ。雑食のスライムには、ゴミも食べ物なのです。超便利!
・ベビースライムからスライムへと進化!
生まれてまだ3日のベビースライムとしてムコーダと出会ったスイは、経験値を積むことでスライムに進化、しゃべれるようになります。また、もともと「酸弾」という高濃度の酸液を撃つスキルを持っていて、戦闘もけっこう強い。フェルによれば、特殊な個体かもしれないとのこと。
フェルのことは、「フェルおじちゃん」と呼ぶようになります。かわいい!
・新たなスキル「回復薬生成」
回復効果のあるヒーリング・マッシュルームを食べたスイは、なんと回復薬を作ることもできるように。また、そのかわいらしさにも癒やし効果があるみたいです(笑)。
スイのかわいらしさをぎゅっと詰めこんだ公式スピンオフコミック『とんでもスキルで異世界放浪メシ スイの大冒険』も発行されています。
『とんでもスキルで異世界放浪メシ スイの大冒険』を試し読みする
今後の見どころ
比較的平和な国と言われた、大陸東のレオンハルト王国を目指して、旅を続けたムコーダ。4巻でいよいよレオンハルト王国の町カレーニナにたどり着いた彼でしたが、ずっと森の中を旅していて冒険者ギルドの義務を果たさず、登録切れになってしまいました。再登録して、ゼロからポイントを稼がないとギルドの恩恵が受けられないことに。
一方、魔法による手紙の転移によって、各地の冒険者ギルドに、フェンリルを従えた冒険者の情報が飛び交い、ムコーダの知らないうちに彼ら一行は注目の的になっていました。
国王や貴族といった権力者にも興味を持たれるようになる中、クエストのレベルが上がり、自らも魔物と戦うようになっていくムコーダ。
周囲が騒がしくなることで、フェルとスイに美味しい異世界メシを食べさせながらの、ほのぼのとした旅はどう変わっていくのか? それとも変わらないのか? 今後の展開に注目です!
『とんでもスキルで異世界放浪メシ』の感想
今までの異世界召喚では主人公が典型的な勇者で「俺強い!」的展開が多かったけど、これは面白いですね!
主人公が特別な能力持ちで強い力(従魔)はあるけど、料理スキル高くてネットスーパーというのが面白かった。
今後も主人公の身にとんでもスキルで何が起こるのか楽しみです!
試し読みで気になり、一気に1〜4巻を全購入。
ご飯系漫画好きには、たまりません!
異世界ネタと魔物が食材になる、という事以外は、料理シーンが本当に、本当に美味しそう!!!
お腹が減ってる時に見ると、飯テロでやられます。
▼原作小説はこちら
とんでもスキルで異世界放浪メシ 1 豚の生姜焼き×伝説の魔獣