メディアワークス文庫作品一覧

  • めたもる。
    3.6
    たとえば、すれ違いばかりの彼と彼女がいたとする。本当にちょっとしたボタンのかけ違い。でも、きっかけがなくて──。 そんな時、彼/彼女はふと善行をする。弱っている猫にエサをあげたりといった些細なことだ。だが、枕元に神様が立って、何にでもなれるお札をくれるという。え? そんなおとぎ話を信じられない? いやいや、嘘じゃない。実際彼らはお札を手に入れ、それがきっかけとなり二人の関係は変わっていくんだから。 大人のメルヘンをどうぞ。
  • たったひとつの、ねがい。
    3.6
    彼女と知り合ったのは学生時代だった。互いに心を通わせてる、そのことすらも確認しなくてもわかる日々。 そして今日。 思い切って結婚を彼女に持ち出してみた。下手に出て、お伺いしてみる。恐る恐る顔を上げて反応を確かめると、非常に希少なものが拝めた。 彼女がにたにたと、ともすれば意地悪く見えるほどにやついている。 つまり、良いよ、ということ? やったぁ……と、思ったその瞬間。あんな、あんなことが起こるなんて。 それから、僕のもう一つの人生は始まった。
  • 舞面真面とお面の女
    3.6
    工学部の大学院生・舞面真面(まいつらまとも)は、ある年の暮れに叔父の影面(かげとも)からの呼び出しを受け、山中の邸宅に赴く。そこで頼まれたこととは、真面の曽祖父であり、財閥の長だった男・被面(かのも)が残した遺言の解明だった。 ―― 箱を解き 石を解き 面を解け ―― よきものが待っている 従姉妹の水面(みなも)とともに謎に挑んでいく真面だったが、謎の面をつけた少女が現われたことによって調査は思わぬ方向に――? <メディアワークス文庫賞>受賞者、野崎まどが放つ怪作登場!
  • ひとりぼっちの王様とサイドスローのお姫様
    3.6
    三年ぶりに帰国し、日本の高校に入学した綾音。彼女には幼馴染みの巧也と野球をするという目的があった。そう、甲子園を目指すのだ! だが、久しぶりに再会した彼は冷淡で 「野球はやめた」 という。実は巧也には秘密があって!?
  • 演じられたタイムトラベル
    3.6
    大学生の朝倉僚は、目を覚ますと知らない場所に閉じ込められていた。ずきずきと痛む頭、はっきりとしない直前の記憶、首に巻かれた無骨なワイヤー。そして、その場所には“ある共通点”を持つ人間たちが集められていた。 かつて制作の頓挫したゲームアプリ【SOD】 ―― その開発者たちが一同に集められ、ゲームのプレイヤーを“演じる”ことを命じられる。 矛盾を起こせば死 ―― 記憶だけを頼りに“抜け落ちた時間のイベントを補完する”、決死の舞台が幕を開ける! 土橋真二郎のMW文庫デビュー作 『殺戮ゲームの館』 に連なる≪密室≫シリーズ!
  • 絵画の住人
    3.6
    国分寺駅から徒歩数分のところに、まるで人の目から隠れるかのように建つ画廊がある。名画の複製ばかりが飾られている、その小さな画廊には、ある特別な秘密が隠されているらしく――。 高校を中退し、その場しのぎのバイトで食いつなぐ青年、諫早佑真。ある日、この世のものとは思えぬ美しい少女に導かれるように、AOKI画廊へと足を踏み入れる。絵画には興味のない彼だったが、画廊のオーナーから頼まれ、雇われ画廊主を務めることに。しかし、働きはじめた佑真は、すぐあることに気づく。 ――この画廊の絵、生きているんじゃないか……!?
  • 探偵・日暮旅人の壊れ物
    3.6
    目に見えないモノを視ることで事件を解決する青年・日暮旅人。彼が経営する『探し物探偵事務所』に、ある日見生美月と名乗る美しい依頼者が現れた。 旅人のことを「旅ちゃん」と親しげに呼ぶ美月は、どうやら旅人の学生時代の先輩だという。今日も今日とて探偵事務所を訪れていた保育士の陽子は、旅人の過去を知る美しい女性の出現に、動揺を隠すことができず――? 旅人の学生時代が語られる『昔日の嘘』のほか、『箱の中』『傷の奮え』『憧憬の館』『竹馬の友』の全5編を収録。愛を探す探偵の物語、セカンドシーズン第2弾登場。
  • 月だけが、私のしていることを見おろしていた。
    3.6
    高学歴、高年齢、高層マンション住まいの3K女・二宮咲子は、元彼の御厨に未練たらたらの日々を送っていた。週末の友人の結婚式で御厨と奥さんに再会することを悩む咲子は、占い師に一週間で出会いがないと一生独身と宣言される。驚いた咲子は合コンやお見合いなどの予定を入れていくのだが、相手を御厨と比べてしまい、逆に自分の未練を自覚していく。そんな咲子には、誰にも言えない楽しみがあった。それは、年下青年の住むぼろアパートを中古の天体望遠鏡で覗くこと。今の彼女の心を暖めてくれるのは、月夜に望遠鏡を通して知り合った青年・瑞樹との交流しかなくて──。
  • 絶望センチメンタル
    3.6
    今日こそはアイツに復讐しよう。公園のベンチに座ってそう決意する僕の目の前に、女子高生のお姉さんが落ちてきた。 ……アスレチックの上から。彼女は微笑んで言う。 「しようぜ、復讐」 見知らぬお姉さんに引きずられ、僕(=小学五年生)の奇妙な旅が始まった。旅なのか……な? 第17回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉受賞後、第一作。可愛げのない小学生と、破天荒な女子高生。おかしな二人の奇妙な旅を綴るメランコリック・ロードノベル。
  • 俺のコンビニ
    3.6
    東京暮らしに挫折して、故郷へと舞い戻った青年、牧水良平。実家の小さな商店を手伝うわけでもなく、悶々とした日々を送っていた。そんな彼が一念発起! 人口の少ない田舎町で、コンビニを起ち上げようと決意する。当然のごとく次から次へと難題が降りかかってきて、若き店長は行き詰まるのだが――。 あなたがいつも立ち寄るコンビニの裏でも、こんな熱いドラマが繰り広げられているのかもしれない!? 何事にもへこたれず、前へ進んで行こうとする一人の青年を描いた、元気をもらえる爽やか青春小説!
  • バカが全裸でやってくる
    3.6
    バカが全裸でやってくる。僕の夢は小説家だ。そのための努力もしてるし、誰よりもその思いは強い。しかし努力と環境では、才能は覆せない日々が続いていた。お話をつくることを覚えた子供の頃のあの日から、僕には小説しかなかった。けれど僕は天才じゃなかった。小説家になりたくて、でも夢が迷子になりそうで。苦悩する僕のもとにやってきたのは、全裸のバカだった――。大学の新歓コンパ。そこにバカが全裸でやってきた。そして、これが僕の夢を叶えるきっかけになった。こんなこと、誰が想像できた? 現実は、僕の夢である 『小説家』 が描く物語よりも、奇妙だった。
  • 殺戮ゲームの館<上>
    3.6
    ── 誰かが言った。この二つには共通点があるのではないか。 一つは時折マスメディアをにぎわす集団自殺のニュース。そしてもう一つは人間が殺し合う娯楽ビデオが存在するという都市伝説。 出会いや遊びが目的のオカルトサークルに所属する福永祐樹は、ネットで偶然見つけた自殺サイトに興味を持ち、集団自殺の現場となったというある廃墟にたどり着く。だが祐樹が目覚めた時、彼を含むサークルメンバー11名は密室に閉じ込められていた……。 戦慄の密室サスペンス、上巻。
  • 迷子宮女は龍の御子のお気に入り ~龍華国後宮事件帳~
    3.5
    第7回カクヨムWeb小説コンテスト、〈恋愛部門〉特別賞受賞の新・後宮恋愛ファンタジー!  失踪した姉を捜すため、龍華国後宮の宮女となった鈴花。ある日彼女は、銀の光を纏う美貌の青年・コウレン(※)と出会う。官正として働く彼の正体は、皇位継承権――《龍》を喚ぶ力を持つ唯一の皇族だった!  そんな事実はつゆ知らず、とある能力を認められた鈴花はコウレンの側仕えに抜擢。後宮を騒がす宮女殺し事件の犯人探しを手伝うことに。後宮一の人気者なのになぜか自分のことばかり可愛がる彼に振り回されつつ、無事に鈴花は後宮の闇を暴けるのか!? ラブロマンス×後宮ファンタジー、開幕! 【登場人物】 ・鈴花(りんか) 人の纏う「色」が視える不思議な目の持ち主。 健気で努力家だが方向音痴が悩みの種。 ・コウレン 皇位継承権を持つ絶世の美青年。しかし現皇帝との関係は微妙なようで……。 心優しい鈴花に次第に惹かれていく。 ※コウレン:「王へんに光」「王へんに連」
  • 皇帝陛下の御料理番
    3.5
     険しい山間で猫又妖怪とひっそりと暮らす少女・紫乃は、ある日川から流れてきた美しい男――皇帝・凱嵐を助ける。 「御膳所で働くか、この場で斬って捨てられるか……どちらでも好きな方を選ぶが良い」  紫乃の料理に惚れ込んだ凱嵐に強引に連れ去られた先は、皇帝が住まう豪奢な天栄宮。紫乃は、皇帝の口に合わない食事を作れば首を刎ねられると噂の御膳所の「料理番」に任命されてしまう! 礼儀作法も知らない紫乃に周囲は反発するが、次第に彼女の料理で宮廷は変わっていき――!? 「第8回カクヨムWeb小説コンテスト」カクヨムプロ作家部門《特別賞》を受賞した、成り上がり宮廷グルメ物語!
  • 氷の侯爵令嬢は、魔狼騎士に甘やかに溶かされる
    3.5
     こんな温もりは知らなかった。 あなたに出会うまでは――。  生まれながらに「大聖女」の証を持つ侯爵令嬢エリーゼ。しかし、自身を疎む義妹と婚約者である王太子の策略によって全てを奪われてしまう。  辺境に追放される道中、魔獣に襲われ命の危機に瀕した彼女を救ったのは、その美貌と強さから「魔狼」と恐れられる騎士・ギルベルトだった。彼は初めて出会ったエリーゼの願いを真摯に受け止め、その身を匿ってくれると言う。  彼の元で新しい人生を送るエリーゼ。優しく温かな日々に、彼女の凍えた心は甘く溶かされていくのだが……。
  • 後宮の夜叉姫
    完結
    3.5
    後宮の奥、漆黒の殿舎には人喰いの鬼が棲むという――  泰山の裾野を切り開いて作られた綜国。十五になる沙夜は亡き母との約束を胸に、夢を叶えるため後宮に入った。  しかし、そこは陰謀渦巻く世界。ある日沙夜は後宮内で起こった怪死事件の疑いをかけられてしまう。  そんな彼女を救ったのは、「人喰いの鬼」と人々から恐れられる人ならざる者で――。 『座敷童子の代理人』著者が贈る、中華あやかし後宮譚、開幕!
  • 子ども嫌いな私のアパートに、座敷童が住んでました。
    3.5
     ハウスメーカー勤務の東湖澪・通称とっこは子供が苦手。ある時、兎のビッケと悠々自適に暮らしていたアパートの両隣と真上の部屋に子連れのファミリー世帯が住むことに!  突如敷かれたお子様包囲網を脱するべく引っ越しを決意したとっこだったが、新たな物件に入居した日の晩、そこには見知らぬ子供の姿が……!? 「ぼくは…ざしきわらしぜよ」  やむなく座敷童子のたっくんと同居生活を始めたとっこ。それでも一緒に暮らし、次第に打ち解け始めた頃、たっくんの悲しき真実を知ることに――。
  • 永遠のあなたと、死ぬ私の10の掟
    3.5
    500年を超える悠久の時を生きてきた不死身の床無くん。 平成の終わり頃、髪結いを生業とする彼と出会い、一瞬で恋に落ちた真昼は、奇妙な「十の掟」を交わす。それは二人がうまく付き合っていくための大事な約束だという。第一の掟「掟ヲ守ル事」、第二の掟「姓デ呼バヌ事」……。 煌めくような日々の経過と共に明かされる掟に秘められた真意と、床無くんが古から見送ってきた幾つもの人生。しかし、第九の掟がもたらしたのは残酷な運命だった――。 これは、永遠に残る愛の形。
  • 香屋 夢見堂 ~夢の香りは縁を結ぶ~
    3.5
     東京の下町・人形町に店を構えるお香屋「夢見堂」。その店には夢を売り買いし、悪夢を食べ吉夢を授ける「獏」がいるという――  夢で見たことを人に話すと現実になる。そんな能力を持つ女子大生の結は、ある日突然、「夢見堂」店主の獏と名乗る人物と夢の世界で出会う。楽しい夢逢瀬の日々もつかの間、彼女の稀有な能力ゆえ、人に悪夢を植え付ける「夢魔」に目をつけられて、彼女は両目の視力を失ってしまう。絶望する結は、夢に関する専門家である獏を頼るのだが、実は彼も夢魔によって、自分一人で夢を見ることができない体質にさせられていたのだった。  二人は欠けた部分を補うように共に暮らし、夢魔を探しながら、夢にまつわる依頼を解決していく。  ――どんな悪夢にうなされても、俺が助けに行きますから。  縁と夢と香りがつなぐ、少し不思議な夢物語。    応募総数1,210作品の頂点! 魔法のiらんど大賞2020 小説大賞《大賞》受賞作!
  • おとなりの晴明さん ~陰陽師は左京区にいる~
    3.5
    一家で京都に引っ越してきた女子高生・桃花。隣に住んでいたのは、琥珀の髪と瞳をもつ青年・晴明さんだった。不思議な術で桃花の猫を助けてくれた晴明さんの正体は歴史に名を残す陰陽師・安倍晴明その人。晴明さんと桃花の前に現れるのは、優しい鬼や京都の街を守る平安京サル会議、美の御利益をもたらす女神様。晴明さんは、いつも憂鬱そうな顔で、けれど軽やかに不思議な世界の住人たちの願いを叶えていく。そして現世での案内係に任命された桃花も、晴明さんの術で思わぬ姿に変身して――。悠久の古都・京都で紡ぐ、あやかしファンタジー。
  • 明けない夜のフラグメンツ あの日言えなかったさよならを、君に
    3.5
    将来を誓い合った恋人を事故で失った燈は、心の傷が癒えないまま高校生となった。  彼女の唯一の居場所は誰もいない図書室。日々読み終えた本の感想を共用の「読書ノート」に書き込んでいた燈はある時、同じノートを使う、顔も知らない生徒と文章を介した交流を始める。不思議と気の合う相手との文通に安らぎを感じる燈。ところがその相手が死んだはずの恋人「翼」だったことが判明し――?  最愛の恋人との文章だけの再会によって、止まっていた時間が今、再び動き出す――。
  • 目的地はお決まりですか? ~森沢観光どこでも課~
    3.5
    憧れの旅行会社に入社して四年目。社内で悪名高き3課――通称・どこでも課に突如異動となった亜夜(26)。人たらしな優男の課長と、塩対応(でも甘党)な後輩男子と亜夜、たった三人のどこでも課。その仕事は『個人向けオーダーメイドプラン作成』という名の、“面倒”な依頼処理係だった! 『恋人に別れを切り出したい』 『昔、友人と訪れた思い出の地に行きたい』  ――訳アリなお客様の裏には様々な物語があって……。疲れた心を温める、非日常な『旅』をどうぞ。
  • 姫陰陽師、安倍晴明 ~平安あやかし草子~
    3.5
    数々の逸話を残す史上屈指の陰陽師、安倍晴明。その晴明が、もし女性だったら――。  法師陰陽師として、自由気ままに暮らしていた若き晴明。久しぶりに都に戻ってくると、師匠の賀茂忠行が急に体調を崩してしまう。大内裏で何か起きていると気づいた晴明は、自らを男と偽り、宮中に入り込むのだが……。  陰陽道の師・忠行。兄のような賀茂保憲。晴明に寄り添う妖狐・雨暗。生意気な天才・蘆屋道満。そんな平安の優男たちとともに、女・晴明は怪異に挑んでいく。
  • 神楽坂・悉皆屋ものがたり 着物のお直し、引き受けます。
    3.5
    鎌倉にある呉服屋の長女・紬は、どうしても着物に興味をもてず、店の経営に腐心する日々を送っていた。そんな様子を見かねた両親の強引な指示によって、彼女は神楽坂の路地裏に建つ悉皆屋で修業することになる。  仕立て直しや洗い張りなど、着物のメンテナンスを一手に引き受ける悉皆屋。飄々とした店主や軟派な大学生らと共にこの店で働くうち、紬はこれまで気づかなかった着物の魅力にはまっていく――。  瀟洒な街・神楽坂には、日本伝統の美が、よく似合う。
  • 妖怪解析官・神代宇路子の追跡 人魚は嘘を云うものだ
    3.5
    鷹橋川で発見されたミイラ化した遺体の上半身と、それに合致する巨大な魚の下半身。  怪事件に悩まされていた新米刑事の御堂陸は、手がかりを求め、美貌の科学者・神代宇路子の元へ押しかけることに。私生活はちょっぴりだらしないが、妖怪、特に人魚について語り出すと止まらない彼女は、陸が追う事件についても何か知っている様子で──。  生真面目な刑事と妖艶な解析官が人魚の秘密を解き明かす! ……ただし、人魚は嘘をつくことがあるのでご注意を。
  • 綺羅星王宮曲
    3.5
    神棲まう不知森に足を踏み入れた高校生の光流が気づくと、そこは「照国洛豊」という華やかな都だった。  元の世界に戻る方法を知るという“賢大婆”を探しに、後宮へ入るが……現代っ子の光流は身分もしきたりもお構いなし、目立つ存在に。お付きの女官の祥華の手助けもあり、気のいい内宮女の梨香、麗雅という友達を得、高官・徐煌貴の目にも留まり――。  同じ頃、血族が途絶えかけ皇帝の力が弱体化する照国に不穏な影が。王宮に渦巻く黒い陰謀は、光流にも忍び寄る。
  • 幸せは口座に預けることはできません はみだし銀行員の業務日誌
    3.5
    失敗続きの日々にクビを恐れながら働く、新人銀行員カズマ。しかし、常識にとらわれないユニークな彼は、金銭トラブルを抱えて銀行を訪れる人の悩みを意外な方法で解決し、多くのお客たちを幸せにしていく――。
  • もうひとつの命
    3.5
    あの頃の僕らはまだたくさんの高いものに世界を囲まれて、息苦しさを覚えていた。自由に走り回っているようで、ふと気づくと自分がどこにも行けないような気がして焦り、苛立ち、空を仰いでいた。僕らが『魔女』に出会ったのは、そんなときだった。あれから数年、自殺した稲村が生き返った。思い返すのは、例の魔女のこと。あの場に居合わせた僕ら六人は、どうやら命を一つ分だけ貰っていたらしい。一度だけ復活できる。なら命一つ犠牲にして、僕らに何が成し遂げられるだろう。
  • おかえりシェア
    3.5
    新鮮みのない毎日。人生の不感症。アラサ―OLの道子は、退屈な日々を過ごしていた。ときめきを求めていたある日、家に帰ると、部屋の壁に「穴」が!? そこから覗いていたのは隣人のイケメン男子手近くん。穴を空けたお詫びとして、彼が引っ越すまでの1週間、毎日顔を合わせて会話することを提案される。『あいさつ、おしゃべり、一緒にごはん』 三つのルールでつながる不思議なシェア生活がはじまってーー? 期間限定ときめきラブコメ!
  • あやかし会社の社長にされそう。
    3.5
    ブラックなアパレル企業から逃げ出したOL、萩原優奈。父親の薦めにより再就職した先は……なんと「顔が見えない」のをいいことに、現代の妖怪たちが働く不思議な『電話受付センター』だった! 雪女や天狗、カッパやらがヘッドセットを装着して電話応対する会社……そんなおかしな光景が広がる「九十九コールセンター」だが、センター長の妖狐(ちょっと格好いい)・稲野さん曰く、肩身の狭い妖怪たちのために父が立ち上げた会社なのだという。次期社長として期待される優奈は、問題児だらけの会社を救うべく立ち上がる――!?(……え? ……ホントに?)
  • フレンチ女子マドレーヌさんの下町ふしぎ物語
    3.5
    私の名前はマドレーヌ。フランスの田舎町から和裁を学ぶために日本にやってきました! 日本に来て驚いたのは、夜でも町が明るく安全で、コンビニは便利で電車は時間通り、カフェの店員さんのサービスも最高! ひとつだけ残念なのは、着物を着ている人がほとんどいないことです。ある日、古民家でルームシェアをしている華ちゃんから、フィナンシェの美味しい商店街の洋菓子店に誘われたのですが……そこには、フランス生まれの私には想像もつかないドラマが待っていたのです。
  • 刑事と怪物―ヴィクトリア朝臓器奇譚―
    3.5
    19世紀の倫敦(ロンドン)では、怪物(スナーク)たちが起こす奇妙な事件が巷を賑わせていた。スナーク――それは犯罪者の臓器を移植され、身体能力が拡張し、異能を手にしてしまった人間のことだ。熱血だけが取り柄の新人刑事アッシュは、配属初日、あるスナークとコンビを組むよう命令される。「怪物と組むなんて」反発するアッシュの前に現れたのは、冷めた性格の根無し草な男ジジ。彼は自らの異能を明かそうとせず、捜査にも非協力的だった。「不真面目な怪物」「甘いお坊ちゃん」互いが気に食わない二人は、衝突を繰り返すことに。凸凹コンビが霧の街を駆ける、倫敦異能奇譚開幕!
  • 時をめぐる少女
    3.5
    並木道の奥にある小さな広場では、未来や過去の自分に逢えるらしい――。その日、九歳の葉子の前に現れたのは、恋人と婚約したばかりだという将来の自分自身で……。母親との衝突、繰り返す転校、上手くいかない就活、そして不安が押し寄せる結婚。いつも悩んで涙をこぼしてばかり。だけど、そうしてめぐっていく時間の先に、「私」は幸せを手に入れたのだろうか? それぞれの時代、五月の憂鬱な一日。過去と未来が入り交じるこの特別な場所で、私はいつかの私と向かい合う。
  • 兼業作家、八乙女累は充実している
    3.5
    突然の婚約破棄に昇進取り消し。完璧な人生を送っていたはずの大手通信会社営業職、八乙女累は人生のどん底に沈んでいた。そんな彼女にまさかの小説新人賞受賞の吉報が! 夢の作家生活がスタート!? と思いきや、待ち受けていたのはイケメン鬼編集の手厳しいダメ出しに山積みの本業タスク、そして容赦なく迫り来る締切だった! 覆面ベストセラー作家、索太郎の助言ももらいながら、どうにかOLと作家業の両立を目指す累だったが!? 兼業作家の泣き笑いを描く業界お仕事小説!
  • 東京バルがゆく 会社をやめて相棒と店やってます
    3.5
    大手メーカー正社員の座を捨て、独立を決意した貝原。始めたのはカフェ兼酒場、つまりスペイン風のバル。それも移動屋台という意外なものだった。怪しげな風体の青年を相棒に、都内を流す。大都会東京は24時間眠らない。そこで暮らす人々は多種多様、思いがけぬ出来事に遭遇することもある。でも、出会いは一期一会。貝原は青年ならではの純朴さで客に振る舞うのだ。料理と酒とちょっとだけおせっかいを添えて。なんとかなるし、明日は変わらずやってくる。そんな気持ちにさせてくれる、大都会のささやかな出会いの物語。
  • スメラギガタリ ~新皇復活篇~
    3.5
    1984年、帝都東京。若くも卓越した陰陽師として働く女性・土御門晴見は、ある日、かねてより陰陽寮による日本の呪的業界の一元的支配に不満を募らせていた在野の術士・芦屋道代から呪力蜂起の宣言を受ける。誘拐を予告された皇族の姫君・澄香内親王殿下を守るため、古くより皇室に仕える退魔の一族の末裔・殿克夜らと共に事態へ備える晴見らだったが、相手の思惑は彼女らの想像を超えたところにあった。一方、姫君の身代わりに攫われた華族の少年・継実夜統は、道代らと行動を共にしながら、帝都の裏側に隠された歴史の闇を知り……。壮大なる伝奇譚、ここに語りの口を切る。
  • 猫と金髪としあわせの湯
    3.5
    自宅の給湯器が壊れたため、スーパー銭湯に行こうとしていたOLの塔子は、かわいい猫につられて、街の裏通りへと誘導されてしまう。着いた先には、まるでドラマにでも出てきそうな町屋造りの銭湯がひっそりと建っている。「五福の湯」と書かれた暖簾を塔子がくぐると、なんと番台には、金髪イケメンのチャラ男が座っていた――! ここは愛知県は岡崎市。ひょいと裏通りに入ったところにある銭湯「五福の湯」は、カラダもココロも温めて、悩みまでもキレイに洗い流してくれるという。貴方も、ひとっ風呂、いかがですか?
  • こひすてふ
    3.5
    神童と持て囃されたのも今は昔、ただのひねくれ女子高生になり果てた御厨紀伊。そんな紀伊が平安時代へタイムスリップ、そこで出会ったのは格好いいけどぶっきらぼう、プライド高くてちょっと優しく、そして誰よりも和歌への情熱溢れる三十六歌仙の一人、壬生忠見だった。平安時代での日々を送るうち、紀伊はときにいがみ合いながらも壬生との距離を縮めていく。しかし、壬生にはある未来が待っていた。時の村上天皇によって催された歌合での勝負に敗れ、悔しさのあまり悶死するという――。はたして二人の関係の行方は、そして壬生の運命は!?
  • 下宿屋シェフのふるさとごはん
    3.5
    小洒落たフレンチレストランで働く若手シェフ・龍之介は、祖母が営んでいた大阪の下宿屋「ひばり荘」で大家をすることになる。なぜ俺が……と愚痴を言いながらも、本場フランスで磨いた自慢の腕を存分にふるって下宿の大学生相手に豪華な食事を提供するが、「よくわからん」「食べた気がしない」と散々な評価を下される。プライドを傷つけられた龍之介は、なんとか彼らに「うまい!」と言わせようと、ひとり頭を悩ませるのだが――。家庭でも簡単に作れる美味なる「ふるさとごはん」(レシピ付)を堪能してください!
  • まいごなぼくらの旅ごはん
    3.5
    体を壊して仕事をリタイアした颯太。とある理由から大学を休学中の、食いしん坊女子ひより。 人生迷子な二人は、亡き颯太の父が遺した小さな食堂『風来軒』で出会う。 町の人たちからとても愛されたこの食堂を存続させるため、二人は新たなメニューを探して旅に出る。 父の最期の料理はどこに? 幻の絶品コロッケの材料は? 東京から岩手の盛岡、そして北海道は美しい羊蹄山の麓、真狩村へ。 二人が歩む“おいしい旅”。元気になれるフード&ロードノベル、登場!
  • ノロワレ 怪奇作家真木夢人と幽霊マンション(上)
    3.5
    『もし深夜に子供がドアをノックしても、絶対に開けないで下さい』 ホラー小説レーベルの編集者・西任結は、子供の喘息を憂い地方への引っ越しを決めた。だが、そのマンションでは奇妙な出来事が多く起こる。川に浮かぶ幾つもの紅い流し雛、不自然に多い空き部屋、「よそ者は出て行け」と怒りを露わにする老人、そして掲示板に貼られた謎の掲示――。 結は「新居がいわくつきだったら教えて下さい」と告げた若きベストセラー作家・真木夢人に相談を持ちかけるのだが、事態は一向に変わらず。そして、ついに住人の子供が奇怪な死に巻き込まれ――。
  • トリックスターズC PART2
    3.5
    魔術師の青年教授と助手のぼくによる推理小説を象った魔術師の物語、待望の復刊第6弾。『魔術師からの挑戦状』が投じた一石は、次々に複雑怪奇な謎へと波及していく。いよいよ物語は佳境へ! 魔術師が“名探偵”でないのが、魔術師たるゆえん。事件すらも解体・構築してしまう手腕に酔い、鮮やかに騙されることに喝采間違いなし。あっと驚く結末は、もう一度読み直したくなること必至! 真相に到達したとき、魔術師の“最後”の物語が始まる。トリックスターズシリーズ、堂々の完結。
  • トリックスターズD
    3.5
    西洋文化史の異端の系譜「魔学」を説く、風変わりな青年教授。そして、不本意ながら先生の助手に収まったぼく。推理小説を象った魔術師の物語、待望の復刊第3弾。 学園祭という日常の非日常で起きる奇妙な監禁事件。それに二人が関わると展開はもう予測不可能! ソリッドシチュエーションをあざ笑う奇抜な設定に幻惑され、めまいを起こすこと間違いなし。現実と虚構の境界が曖昧になり、読んでいる者も狐につままれる。衝撃のラストは必見!
  • お近くの奇譚 ~カタリベと、現代民話と謎解き茶話会~
    3.5
    「──ねえ、こんな話を知ってる?」 この町では、古風な黒電話がそこかしこに置かれている。そんな黒電話の向こうには、『カタリベ』と呼ばれる黒いフードを被った謎の人物がいた。 噂話の怪異。 それが『本当のこと』になるこの町で、『カタリベ』の黒い糸に導かれた少年と少女は、今日も奇妙な謎解きに挑む。 それは、『噂の語り替え』のために開かれる、すこし不思議なお茶会。 郷土を愛する皆様、この噂話を紐解くときは、お茶請けに甘いものをお忘れなく。
  • スマッシュエース!
    3.5
    わずかな油断や予想外のアクシデントなど、さまざまな理由で人は挫折を経験する。そんなとき、誰しも「もうおしまいだ」と、心が折れそうになるだろう。けれど、どんなときにも必ず光明はある。希望を捨てなければ――。 この物語の主人公は、いずれは日本を代表するバドミントン選手になると将来を嘱望された少年。しかし彼は、ある事故によって、スポーツ選手として致命的なケガを負ってしまう。誰もが絶望する中、彼自身は諦めなかった。 少年は奇跡を追って、再び走り出す。もう一度、空高く翔ぶために。
  • レトリカ・クロニクル 香油の盟約
    3.5
    人間が大陸の支配者であると説くアシミア教会が勢力を持つ西の大国ヴァルト王国。その国境付近で野盗に追われている獣人の娘フィーネを助けた話術士シンと狐の師匠カズラは、彼女に同行し近くの修道院を訪れる。  香油の生産に長けるフィーネたち赤犬の獣人の部族は、永く人間の支配を受けていた。その状況に我慢ならず暴走しようとする族長ベルノルトを止めるため、修道院長ジークムントに仲裁を求めるのだが……。複雑に絡み合う因縁や思惑がシンたちを思わぬ窮地に陥れる! 話術士シンと狐の師匠の心温まる旅物語、第2弾!!
  • 行列のできる不思議な洋食店 ~土曜の夜はバケモノだらけ~
    3.5
    ある土曜の夜のこと。  空腹を満たそうと自宅を出た女子大生の山嶺結は、自宅近くの商店街にひっそりと建つ洋風家庭料理店『すずらん』の前に立っていた。 木製の扉には「会員専用時間帯です」と書かれたサインプレートがかかっている。  うしろからやってきた他の客と話すうち、なし崩し的に彼女は店に足を踏み入れる。  そこで結が目にしたのは、バケモノ――いわゆる怪物、幻獣、妖精などと言われる存在で満席の店内だった……。  あなたも『すずらん』で、愉快なバケモノたちと一緒に、美味しい料理に舌鼓を打ってみるのはどうだろう。
  • たいやき
    3.5
    堅く真面目なサラリーマンの長兄、いいかげんで放浪癖がある大学生の次兄、そして登校拒否中で家に引きこもって漫画家をめざす妹――。 母が入院し、父が旅に出たために、小さな家に三人だけで暮らすことになった彼ら。 心を開けるほど親密ではなく、かといって無視できるほど疎遠でもない。ひとつ屋根の下に住んでいながら、微妙な距離感でつながっている三人兄妹の平穏な日常が少しずつ崩れていく様子を、コミカルかつ繊細に綴っていく。 家族って、イライラするほど厄介だけど、だからこそ、愛おしいのかもしれない。
  • レイカ 警視庁刑事部捜査零課
    3.5
    警視庁刑事部に配属となった若き刑事、大和。彼が足を踏み入れたのは刑事部捜査零課。そこは、組織から弾かれたアウトローの刑事ばかりが集められた部署。 デスクのそばに置いた盆栽に語りかける昼行灯の羽佐間警部、ソファでくつろぎながらスマホゲームに熱中する春日警部補、ほとんど刑事部屋に戻ってこない陣内巡査部長。個性的な刑事たちの中でも、音無レイカは、驚くべき才能をもつ女性刑事だった――。 心に深い傷を負った美しき女刑事レイカと、正義感あふれる大和刑事。陰惨で哀しい殺人事件に遭遇する彼らが、凶悪な犯人を追いつめていく。
  • 星の眠る湖へ ―愛を探しに―
    3.5
    侯爵家に幼少の頃から居候している静かな少年、廉。侯爵家の跡継ぎで、廉を本当の弟のように可愛がる、闊達な壮。そして壮の美しい婚約者、羽衣子。キラキラと輝く、まるで絵に描いたような青春時代を過ごした三人は、それぞれの運命に導かれ、やがて離ればなれになっていく。 数年後、絵描きを志してデザイン事務所で働くようになった廉のもとへ、壮と羽衣子が結婚したとの知らせが届く。忙しさにかまけ、二人と会えないまま、また数年が過ぎた頃、壮から連絡があり――。 繊細な心をもった三人の男女が紡ぐ、美しくも切ない愛と友情の物語。
  • 史上最低の女弁護士
    3.5
    弁護士。それは、基本的人権の擁護と社会正義の実現を職務とし、訴訟や申し立てをした依頼人のために戦う、清廉潔白な社会的エリート。 灰水縁も、そんな弁護士の一人だ。腕は確かで、超美人。ただし不健康なまでに白い肌は、まるで死人のよう。なぜなら……彼女は薬中だからだ。そう、四六時中ラリっている。口癖は「世の中、バレなきゃ何でもアリなんだ!」。法の穴をくぐりぬけ、今日も彼女は依頼人を救っていく――。 史上最低の美人弁護士と、純朴で腹黒の少年助手が繰り広げる、知的でポップなリーガルドラマ、登場!
  • 私と彼女と家族ごっこ
    3.5
    ボロアパート「八十陰荘」。 そこは悪食大学教授をはじめ、肉体派和美人や元神童・現人間のクズ、やや色ボケの気のある女性にマッドサイエンティストと《普通》の枠に収まらない変人が揃いに揃った魔窟であった。この度そこに、教え子と駆け落ちした小学校教諭の私と、私が愛するその教え子の二人が加わってさらに混迷を極めることになり――だがその時、不思議な事が起こった。ある日を境に、住人たちは私と少女を自らの『肉親』であると認識し始めてしまったのだ。天涯孤独の私と、家族の愛に飢えていた少女は、その温かい《家族ごっこ》の関係に身を委ねかけるが……。
  • 黒百合の園 わたしたちの秘密
    3.5
    名門進学校で、お嬢様ばかりが通う、華百合女子高等学校。一見、華やかな花園のように思えるが、生徒の中には、心に闇を抱えた女子高生たちが大勢いる。 恋人を通り魔に殺された上に記憶を失った蓬来みすず。モデルのような容姿でクラスのリーダー的存在、橘綾芽。彼女と対立するグループを形成するクールな汀利香子。クラス委員長を務め、中立的立場を保つ藤嶋雪……。 陰湿ないじめ、行き過ぎた万引き、隠れた同性愛、禁断のレイプ、そして事故を装った殺人――黒く染まった美しい少女たちを生々しく描いていく問題作、登場!
  • 不良少年と彼女の関係
    3.5
    有名チームのヘッド拳児。バイクを駆る、鋭いまなざしに憧れる後輩は数知れず。数々の伝説を作ったらしいが、今はただの人。というか、それ以下のプータローだった。 そんな彼が、ひょんなことからセレブの代名詞紅堂家で働くことに。しかも超がつくお嬢様の専属執事だという。 紅堂家令嬢の朱乃は気品あふれる美少女だが、やや人見知りで内弁慶。だがデリカシーという言葉とは無縁の拳児はお構いなし。 かくして違った意味で火花を散らす主従が誕生! これで事件が起こらぬ訳がなく!? コミカルなハートウォーミングストーリー。
  • あやかし飴屋の神隠し
    3.5
    「俺は、多分、なんだって、視える」 「僕は、大体のものは、つくれますから」 皮肉屋の青年・叶義は幼い頃、あやかしの神隠しに遭って以来、いかなるものも“視えないものはない”という。妖しい美貌を持つ飴細工師・牡丹はその手で“つくれないものはない”という――。 二人の青年が営むは、世にも不思議な妖怪飴屋。奇妙な縁に惹かれた彼らは、祭り囃子の響く神社で今宵も妖怪飴をつくりだす。人と寄り添うあやかしの、形なき姿を象るために。あやしうつくし、あやかし飴屋の神隠し。
  • 路地裏のあやかしたち 綾櫛横丁加納表具店
    3.5
    高校生の小幡洸之介は、画家である父の作品が夜になると動き出すという怪奇現象に日々悩まされていた。そんなとき、クラスメイトから 「綾櫛横丁にいる大妖怪が、そうした事件を解決してくれる」 という噂を聞き、半信半疑で訪ねることにする。丑三つ時を狙って綾櫛横丁の奥へと足を進めると、たしかに怪しげな日本家屋が建っていた。意を決して中へと入った洸之介が目にしたのは、驚くような光景だった。そして洸之介は、加納環と名乗る、若く美しい女性表具師と出会う ――。 人間と妖怪が織りなす、ほろ苦くも微笑ましい、どこか懐かしい不思議な物語。
  • オーダーは探偵に 謎解き薫る喫茶店
    3.5
    就職活動に疲れ切った女子大学生・小野寺美久が、ふと迷い込んだ不思議な場所。 そこは、親切だけど少し変わったマスターと、王子様と見紛うほぼ美形な青年がいる喫茶店 『エメラルド』 だった。 お伽噺でしか見たことがないようなその男性に、うっかりトキメキを感じてしまう美久だった。……が、しかしその王子様は、なんと年下の高校生で、しかも口が悪くて意地悪で嫌みっぽくって……おまけに 『名探偵』 でもあったりして……!? どんな謎も解き明かすそのドSな 『探偵』 様と、なぜかコンビを組むことになった美久。 謎解き薫る喫茶店で、二人の騒がしい日々が始まる。
  • 悩み相談、ときどき、謎解き? ~占い師ミス・アンジェリカのいる街角~
    3.5
    昼間はOLにして鍵穴からの観察者、ミス・ブースカ。夜は街角の婚活占い師として人気の、ミス・アンジェリカ。女達の悩みのエネルギーを換金するために始めたインチキ占いだったが、いまやこの街角には、様々な悩みを抱える人々が集ってくる。恋愛相談をはじめ、結婚運や仕事運、さらには不倫関係まで悩みは尽きることがない。だがまれに一風変わった悩みを持ち込まれることがある。隣でキャンドルを売る誠司のおせっかいもあり、度々それぞれの事情に巻き込まれてしまい──。
  • メイド・ロード・リロード
    3.5
    まったくさっぱりちっとも売れないSF作家・湯浅のもとに、昔の担当編集者から電話がかかってくる。 「えっとぉ、ライトノベル、書けますか?」。生活に困っていた湯浅は、書ける見込みもないのに一も二もなく承諾。そして打ち合わせの日、指定された喫茶店へと赴くと、なんとそこはコテコテのメイド喫茶だった……。 メイドに囚われ、四苦八苦しながらライトノベルらしきものを書き進めていく小説家の姿を、個性派SF作家の北野勇作がシュール&コミカルに描く。 メイドの絶対領域とシュレディンガーの猫の関係とは?
  • かめ探偵K
    3.5
    街はずれに、寂れた博物館が建っていました。なんの変哲もない建物ですが、その屋根裏部屋には、亀が住んでいるのです。部屋の扉には、クレヨンでこう書かれています。「かめ探偵K」。 かめ探偵Kの仕事は3つ。1つめは 「甲羅干し」。2つめは 「かめ体操」。そして3つめが 「謎解き」。依頼人が持ち込んでくる奇想天外な謎を、かめ探偵Kは甲羅の中で推理していきます。はてさて、どうなることやら……。 SF作家・北野勇作が紡ぐ、どこか懐かしい、でも近未来の小さな小さなおはなし。
  • 紳堂助教授の帝都怪異考
    3.5
    時は大正。伝統とモダンが共存する帝都東京。レンガ造りが並ぶ銀座、風情のある花街の神楽坂に、見世物で流行る浅草。 その街を闊歩する青年が一人。若くして帝国大の助教授の肩書を持つ美青年は、博学多才にして超自然的なことにも通じているとか。警察の手に余る事件が彼のもとに持ち込まれることもあるという。 そして、彼の傍らにいるのは助手の美少年。その賢さとまっすぐな心を青年はこよなく愛し、常にそばにおいている。 これは帝都の巷で起こる不可思議な事件を、助手の少年が記録したものである。
  • 瞳のさがしもの
    3.5
    「あ?」 僕の乗っているバスが、交通事故に巻き込まれた。隕石が落ちてきたような、とても大きい音がした。それと同時に、僕の隣に偶然座っていた、とてもかわいい女の子と、激しくぶつかりあう。 事故に遭ったことを瞬時に理解できず、僕の頭の中は真っ白になっていた。唯一記憶しているのは、その衝撃によって、自分の『右目』を失ってしまったこと。そして、隣に座っていたかわいい女の子と、ファーストキスを交わしたこと――。 『片目』と『初恋』を描く『静電気の季節』ほか、『ひかりの消える朝』『みんなおかしい(ぼく含む)』、最新書きおろしエピソードを加えた短編集。
  • エウロパの底から
    3.5
    私は小説家だ。そしてこれは私の小説だ。私が心血を注いだ惨殺があり、私が身を削るように描いた苦悩がある。文の始まりから果てまで、すべてが私だ。 事件は私の書いた小説の通りに起きていた。犠牲者、殺害の方法、現場の描写。すべてが私の描いたとおりに。 私の見る『小説』通りに。 こんな殺し方ができるのは誰だ。こんな小説が書けるのは、なぜだ。 警察も、被害者も、加害者も私を疑う。『犯人』と決めつける。 だが私は『犯人』ではない。 私は、小説家なのだ。
  • すべての愛がゆるされる島
    3.5
    太平洋の赤道直下に浮かぶ、名前のない小さな島。そこには教会があり、神父とわずかな島民が暮らし、訪れるどんな二人も祝福され、結婚式を挙げることができる。同性愛、近親愛、不倫愛、そこではあらゆる愛が許される――二人が、本当に愛し合っている限り。 その島を訪れる、父親と娘。それから姉と弟。ある者は愛の存在証明のために。またある者は不在証明のために。様々なものを見失って渇いた者たちの、いのちと時間がその場所で交錯する。
  • バンク! コンプライアンス部内部犯罪調査室
    3.5
    全国に数多くの支店をもつメガバンク、東協名和銀行。新入社員の有村麻美が配属されたのは、表沙汰にはならない数々の不正を追究する 「コンプライアンス部内部犯罪調査室」。そこには、仕事はできるもののファッションセンスが壊滅的な八代主任や、頼りなさそうな中尾課長など、クセ者ばかりが揃っていた。 前途に不安を覚える有村だが、普通の企業では考えられないような事件が次々と起こり、激務の奔流に呑み込まれていくのだった――。 元銀行員の著者がリアルに炙り出す、銀行内部の驚くべき実情。銀行って……こんなに生臭いものなの……!?
  • 彼女を好きになる12の方法
    3.5
    なんとなく 『彼女』 を好きにならないといけない気がする。そのためには 『彼女』 と一緒にどこかへ出かけたり遊んだりしないといけない。 今年で俺と彼女は大学三年生。この一年をのんきに過ごしてしまったら、就職活動も控えて、顔を合わせる機会は激減するだろう。 だからこの一年が、彼女と暢気に過ごす最後の年と言っても良い。その一年の間に、俺は 『それ』 を見つけたいと祈った。 これは、優柔不断な大学生の 『俺』 が過ごす一年間の記録だ。必ず、一年の間に見つけなければ。 彼女を好きになる方法を。
  • 太陽のあくび
    3.5
    愛媛の小さな小さな村で開発された新種の夏ミカン『レモミカン』。鮮やかな黄金色の外見と、溢れ出るような豊富な果汁、そして爽やかな酸味が特徴の逸品だ。 テレビの通販番組で取り上げられることになり、村の少年部のリーダー、風間陽介は父と一緒に東京へ乗り込むのだが、番組は失敗。大量のミカンが売れ残ってしまう--。 父親や片思いの少女らと衝突をしつつも、自分たちが作ったミカンの素晴らしさを信じて奔走する素朴な少年たちを、みずみずしく描いていく。 第16回電撃小説大賞<メディアワークス文庫賞>受賞作。
  • 宮廷医の娘
    続巻入荷
    3.4
    黒衣まとうその闇医者は、どんな病をも治すという――。 由緒正しい宮廷医の家系に生まれ、仁の心の医師を志す陽香蘭。ある日、庶民から法外な治療費を請求するという闇医者・白蓮の噂を耳にする。 正義感から彼を改心させるべく診療所へ出向く香蘭。だがその闇医者は、運び込まれた急患を見た事もない外科的手法でたちどころに救ってみせ……。強引に弟子入りした香蘭は、白蓮と衝突しながらも真の医療を追い求めていく。 どんな病も治す診療所の評判は、やがて後宮にまで届き――東宮勅命で、香蘭はある貴妃の診察にあたることに!?
  • 純黒の執行者
    3.4
     怪死体や猟奇殺人事件を捜査する“奇特捜”に所属の刑事・一之瀬朱理には、一つの噂がある――彼の担当した事件は必ず【被疑者死亡】で終わると。  3年前に起きた一家惨殺事件の唯一の生き残りである朱理。瀕死の重傷の中、突如現れた悪魔を名乗る青年・ベルと契約した朱理は、己の死を回避する代償として、犯罪者の命を捧げていた。  全ては家族を殺した犯人に復讐をするため――謎めいた狡猾な悪魔・ベルと共に、朱理は凶悪犯罪者逹を葬る。  冷静無慈悲な刑事×謎めく狡猾な悪魔が紡ぐ、宿命のバディサスペンス! 【登場人物】 ◆一之瀬朱理 担当する事件の被疑者は必ず死ぬ、と噂される孤高の刑事。妻子を殺された過去を持つ。 ◆ベル 悪魔を自称する、見目麗しい謎の青年。欲望に忠実で奔放な性格。なぜか時代劇が好き。
  • 犯罪社会学者・椥辻霖雨の憂鬱
    3.4
    「無味乾燥な記録にも、そこには生きた人間がいた。例えば新聞の片隅の記事、自殺者数の統計にも――」 椥辻霖雨は京都の大学で教える社会学者。犯罪を専門に研究する、若き准教授だ。 霖雨のもとにある日、小さな同居人が現れた。椥辻姫子。14歳、不登校児。複雑な事情を抱える姫子は「死者が見える」らしく……。 頭脳明晰だが変わり者の大学教授と、死者を見、声を聞き届ける少女。二人の奇妙な同居生活の中、ある自殺が起きる。そこは住人が連続死するという、呪いの町屋で――。 大ヒット中、究極のサスペンスミステリシリーズ『破滅の刑死者』の著者による待望の最新ミステリ!
  • おんみょう紅茶屋らぷさん ~陰陽師のいるお店で、あなただけの一杯を~
    3.4
    人気の街、吉祥寺。でもあなたが道に迷ったとき、人知れぬ場所にひっそりと隠れている不思議な紅茶屋に、出会うかもしれません。あたたかな空気に満ちたその紅茶屋の店主は、優しい微笑みでお客さんを迎える、その実ちょっぴり辛辣なところもある陰陽師の青年。就活に疲れた女子大生、迷える若い恋人たち、結婚を前に危機に陥ったOL――それぞれの道で戸惑う人たちに、そしてあなたに。不思議であたたかな「紅茶屋 らぷさん」で、陰陽師が淹れる運命の一杯、いかがですか?
  • 死にかけ探偵と殺せない殺し屋
    3.4
    殺し屋・御堂禅の朝は早い。規則正しい日常こそが「殺し」という非日常から戻るための処方箋だから――それなのに。「おい、早く驚けよ」 禅にそう言うのは、宙を漂う男。彼が昨日殺したはずの私立探偵・東馬京だった。生霊として取り憑いた京は、暇にあかせて禅へと舞い込む依頼に次々と口を挟んでいく。実力派俳優の依頼した殺しに秘められた謎、暴力団の裏切りもの粛清に隠れた秘密、顔の見えない依頼者が請う連続殺人犯殺し……。護岸不遜な名探偵の推理が、殺伐とした依頼の裏に隠れた真実と、生真面目すぎる殺し屋の心を解き明かす。
  • 秀吉の交渉人 キリシタン大名 小西行長
    3.4
    豊臣秀吉政権下、キラ星のような武将がひしめく中、ひときわ異色を放つ武将がいた。キリシタン大名、小西行長 ――。洗礼名アウグスティヌス。堺の商家に生まれ、秀吉の家臣として才覚を発揮し、のちに肥後二十数万石の領主にまで登りつめた武将。熱心なキリシタンでありながら、朝鮮出兵(文禄の役)の折りには、豪傑・加藤清正を抑え、先鋒として果敢に戦う一面も見せた。時代に流されることなく、自らの信ずる道を真摯に歩き続けた一人の男の生き様を、圧倒的な筆致で永田ガラが描く。戦国時代を新たな切り口で見せる娯楽歴史小説、誕生。
  • TOKYO GIRL’S LIFE ~絶対に失恋しない唯一の方法~
    3.4
    出来る女として後輩から憧れられるけど、仕事ばかりで恋がお留守な編集者・遙希。恋愛に絶対的な自信があるけど、最近気になる人には冷たくされている腰掛けOL舞衣。プロ演奏家という夢が諦めきれないけど、自分を卑下してばかりのフリーター佳奈子。東京の片隅、一軒のBar[シュガー&ソルト]で、タイプの違う3人の女の子たちが出会う。それぞれに悩みを抱える彼女たちの間に芽生えるのは、果たして友情なのか、それとも――? 第16回電撃小説大賞〈選考委員奨励賞〉受賞の菱田愛日が贈る、悩める女の子たち応援ストーリー!
  • 犬は書店で謎を解く ご主人様はワンコなのです
    3.4
    「俺とおまえは中身が入れ替わった。魂が入れ替わったと言えばわかるか」「うんうん」「自分の手を見てみろ。人間の手だ。必ず俺が元通りにしてやるから、それまでその身体を大事に使え。わかるな」「はい!」 頭はキレるが、ヒネくれた性格ゆえに友人のいない青年。そして彼が飼っている人懐っこくて素直な柴犬。ひょんなことから、この主従の魂が入れ替わってしまう! 街で起こる様々な謎に挑む二人(?)を描く、笑いあり涙ありの、異色入れ替わりストーリー!!
  • 探偵・日暮旅人の遺し物
    3.4
    目に見えない物を“視る”ことで事件を解決する探偵・日暮旅人が、待望の帰還! 保育園の帰り道、旅人に内緒で捨て猫を拾った灯衣ちゃん。子猫のワタゲとの温かい日常を描く『テイちゃんと子猫と七変化』。  ヴェールに包まれた旅人の高校時代。そこには、旅人に寄り添った優しき兄妹との時間と、秘められた恋の物語があった――『君の声』。  ほか、嵐の洋館で像の呪いに旅人が挑む『像の殺意』、廃校の謎を紐解く『畢生の接ぎ』、旅人が五感を失わなかった世界を描く『愛の夢』など、本編では語られなかった物語全5編を収録した番外編。
  • 犯罪者書館アレクサンドリア ~殺人鬼はパピルスの森にいる~
    3.4
    父親が多額の借金を残して死んだ。神田六彦はその肩代わりとして殺されかけるが、突如として現れた夏目と名乗る女によって、彼女の経営する店で働くことを条件に命を救われる。 しかし、そうして足を踏み入れたアレクサンドリアは、殺し屋を始めとする非社会的な人間だけが利用する言わば犯罪者書館。常識も法律も通用しないその店では、シャーロック・ホームズを名乗る殺人鬼によって次々と常連達が消され始めていた。 本好きの悪い奴しかいない。そんな店で神田が出会うのは、名探偵を愛する犯罪者達と、それに纏わる薄暗い物語。
  • 優しいサヨナラの遺しかた とある終幕プランナーの業務記録
    3.4
    童話作家の父を亡くした大学生の智永読が、火葬場で出会った謎の美少女・小日向しるし。彼女は、依頼主の希望どおりに人生の最期を演出する“終幕プランナー”だと名乗るのだった。 葬儀屋とも納棺師とも違い、この世を去った依頼主に代わって彼らが遺したかった物を守り、遺したくなかった物を処分するのが仕事だという彼女。その足跡を追って辿り着いたのは小日向人生相談所という怪しげな事務所で……。 とある能力を買われ、そこで働くことになった読。彼は、老若男女様々な依頼主が望んだ十人十色の“サヨナラ”を目の当たりにするのだが――。
  • 五感を研ぎ澄ませて
    3.4
    夢のような音楽を 「聴く」、好きな相手の匂いを 「嗅ぐ」、素晴らしい料理を 「味わう」、懐かしい思い出に 「触れる」、美しい人を 「見つめる」。 いつの時代も、どんな国でも、身体に刻まれる鮮やかな五感で、人は愛を知る。 由緒あるチェロに導かれた大学院生、留学先のフランスで恋に落ちる美大生、特殊な才能を武器に世をわたる料理人……。一見なんのつながりもない人々の運命が思わぬところで絡み合い、不思議なストーリーを形作っていく――。 心の機微を細やかに描く作家・永田ガラによる、情感溢れるファンタジックな物語。
  • 三瀬川さんの冥界カウンセリング
    3.4
    働きすぎて階段から落ちた平凡なOLの貴子。目覚めた先は、三途の川のほとりだった。悲嘆に暮れる貴子の前に、この世の者とは思えない美しい青年・三瀬川が現れる。――彼の額には、二本の角があった。 有無を言わせず貴子を連れて三瀬川が向かったのは、江戸情緒溢れる不思議な町。彼はそこでカウンセリングルームを営んでおり、貴子に助手をしてほしいのだという。「地獄のカウンセリングルーム」とは? そして貴子の運命は? 悩みがあるのは人間だけじゃない。地獄蘊蓄満載、毒舌カウンセラー三瀬川さんによる、地獄の住人たちの相談受付が始まります。
  • 不思議絵師 蓮十 江戸異聞譚
    3.4
    時は文化文政期の江戸。幕末なんてどこ吹く風の太平楽な町の片隅に、駆け出しの浮世絵師がひとり。女性と見紛うばかりの美貌に、優れた才を持つ。名は石蕗蓮十という。 蓮十の筆には不思議な力が宿っている。描くものに命が吹き込まれるのだ。でも、それは内緒。知っているのはごくわずか。 蓮十の周りはいつも賑やかだ。蓮十の世話を焼きたがる地本問屋のお嬢さん小夜に、悪友の歌川国芳。彼らとともに蓮十は、今日もふしぎな筆の力で町で起こる事件を解決することになり?
  • C.S.T. 情報通信保安庁警備部
    3.4
    脳とコンピュータを接続するブレイン・マシン・インターフェイス、通称BMIが世界でも一般化している近未来。海外から苛烈なサイバー攻撃にさらされた日本政府は、サイバー空間での治安確保を目的に新機関「情報通信保安庁」を設立する。 だが、それを嘲笑うかのように、コンピュータ・ウィルスによる無差別大量殺人が発生。神を名乗る謎の犯人を追う情報通信保安庁警備部・御崎蒼司は、その一方で、恋愛に鈍感な美しい同僚に翻弄されるのだった――。 スリリングな捜査ドラマと、不器用な恋愛模様が交錯する、超エンタテインメント作品!
  • 彼女と僕の伝奇的学問
    3.4
    明応大学・民間伝承研究会のメンバーは、ある日 『実地調査(フィールドワーク)』 のため、山奥にある葦加賀村を訪れた。高校からの知り合いである新垣七海の誘いで会員になった民俗学初心者の大学1年・能美啓介はその矢先、白いワンピースを着た謎の人影を目撃する。彼女に大学の同級生 「弓立桜花」 の面影を見た啓介は、訝しみながらも村で行われる祭事のリサーチを進めていく。 だが村の人々と交流を深めるうち、彼らは村人たちに不審な点があることに気づく。深夜の謎のかがり火、メンバー以外のよそ者に対する過剰な反応……。 果たして《祭事》に秘められた真相とは。そして啓介が見た人物との関係は――!?
  • 香彩七色 ~香りの秘密に耳を澄まして~
    3.4
    犬並みの嗅覚をもちながら今までその能力を美味しいものを食べることにしか使ってこなかった秋山結月。 そんな彼女が大学で出会ったのは、古今東西の香りに精通する香道宗家跡取り・神門千尋(家出中)だった。 人嫌いの千尋に邪険にされつつも、結月は次第に香りの世界に魅了されていく。香水、精油、そして香木……。初めて耳を傾けた香りは、何より饒舌に秘密を語っていた。 「目に見えるものだけが、この世のすべてじゃない」──人々が香りに託した様々な想いを読み解いていく、ほのかなアロマミステリー!
  • 鴨川貴族邸宅の茶飯事 恋する乙女、先斗町通二条上ル
    3.4
    京の風情あふれる鴨川ぞいをそぞろ歩き。するとその貴族邸宅が見えてくるでしょう。あなたは優雅な仕草の四人の執事たちに迎え入れられるはずです。 優しさにじむ笑みの遠矢、鋭利で奔放な晴、穏やかで優美な瑪瑙、静謐にして清冽な真。彼らはあなたとともに笑い、そしてともに悲しんでくれます。ですが、彼らにはお気を付けください。抑圧されたあなたを解き放ち、京の町へと誘うからです。まるで恋人のように。 え? 何に気を付けるのかですって? それは彼らが隠している大きな秘密に、です。
  • ビューティフルマンデー
    3.4
    黒崎の仕事は、人殺しだ。しかし土日は休みなので、たとえ高額の依頼があっても断る。彼は真面目な男なのだ。 正哉は、勉強もスポーツも万能の天才少年だが、いまは万引きを繰り返す日々。ある少女と出会い、彼は初めて恋というものを知ることになる。 翔子は、太めの男性専門の結婚詐欺師。相手にサービスするのだから見返りは当然と考える、良心的な女性だ。 どこか歪んだ生き方をする彼らの運命が交錯するとき、奇妙で予測不可能なドラマがうねりはじめる――。 切なくも意外なその結末に、人生の美しさを痛感する。
  • 死神と桜ドライブ
    3.4
    地味なOL生活を送っていた美咲は、アイドルのように中性的で、若くお洒落な彼氏と付き合っている。ようやく捕まえた愛しい彼のため、美咲は借金の連帯保証人にまでなっていた。だがある日、彼の口車にのって引き合わされたのはヤクザな男たち。まんまと彼氏に騙され、美咲は風俗に売り飛ばされることになったのだ。自暴自棄になった彼女は、走ってきた車に思わず身を投げるのだが――。 『太陽のあくび』で〈メディアワークス文庫賞〉を受賞した有間カオルが、受賞後1作目として放つのは、死の薫り漂う異色のミステリアス・ストーリー! ユナイテッド・シネマ シネマプロットコンペティション2008のグランプリ受賞作。
  • サトリの花嫁 ~旦那様と私の帝都謎解き診療録~
    3.3
    「わたしが死ぬまでのわずかな間に、あなたに幸福というものを教えてあげる」 虐げられ、自分の価値を知らずに育った少女は旦那様と出会い、幸せを知る――。  幼い頃に火事で全てを失い、劣悪な環境で働く蒼。天性の観察眼と記憶力で苦境を生き抜く彼女の心の支えは、顔も知らない支援者“栞の君”だけ――しかしある日、ついに対面できた彼・城ヶ崎宗一は、原因不明の病魔に冒されていた。宗一専属の看護係として城ヶ崎家に嫁ぐことになった蒼は、一変した生活に戸惑いながらも、夫を支えるために医学の道を志すが――?  文明華やかな帝都・東京。「サトリの目」で様々な謎を解明しながら、愛されること、恋することを知る少女の物語。 【登場人物紹介】 ◆蒼(あおい) 手品団に拾われて育った天涯孤独の少女。たぐいまれなる観察力「サトリの目」を持つ。 ◆宗一(そういち) 蒼へ本を贈りつづけていた支援者“栞の君”。麗しい容姿の陰に、重い病と秘密を抱えている。
  • さよなら、誰にも愛されなかった者たちへ
    3.3
    賽の河原株式会社――主な仕事は亡き人々から六文銭をうけとり、三途の川を舟で渡すこと。それが、わけあって不採用通知だらけの至を採用してくれた唯一の会社だった。 ちょっと不思議なこの会社で船頭見習いとしての道を歩み始めた至。しかし、やってくる亡者の中には様々な事情を抱えたものたちがいた。 三途の川を頑なに渡ろうとしない少女に、六文銭を持たない中年男性。奔走する至はやがて、彼らの切なる思いに辿り着く――。人々の生を見つめた、別れと愛の物語。
  • 百鬼夜行とご縁組 ~あやかしホテルの契約夫婦~
    3.3
    「このホテルを守るため、僕と結婚してくれませんか」  結婚願望0%、仕事一筋の花籠あやね27歳。上司とのいざこざから、まさかの無職となったあやねを待っていたのは、なんと眉目秀麗な超一流ホテルの御曹司・太白からの“契約結婚”申し込みだった!  しかも彼の正体は、仙台の地を治める大妖怪!? 次々に訪れる妖怪客たちを、あやねは太白と力を合わせて無事おもてなしできるのか――!?  杜の都・仙台で巻き起こる、契約夫婦のホテル奮闘記!
  • 物産展の女
    3.3
    老舗百貨店かねた屋の食品バイヤー・蓮見春花は、社運をかけた九州物産展を担当することに。張り切る春花の前に突如、謎の上司が現れた。 「あなたにバイヤーの資格はない!」 真っ赤なスーツにサングラス。奇妙な姿に圧倒的オーラを纏う女、御厨京子。どんな気難しい店主も口説き落とし、関わる物産展は軒並み大成功。本物を見極める厳しい目と強引な手法で恐れられる、伝説の〈物産展の女〉だった――! 型破りな御厨に振り回されながらも、人の心を動かす彼女の哲学に春花も変わっていく。 伝説の女が、食を通して、人を、世界を変える! 老舗百貨店を舞台に、食のプロたちが命がけで見つける、極上のおいしいグルメ。
  • 僕がきみと出会って恋をする確率
    3.3
    幼い頃に両親をなくしずっと孤独に生きてきた久遠。憂鬱な高1のある日、見知らぬ女の子いのりから告白される。 「君は私の運命の人です」 強引ないのりに押し切られるように始まった関係は、やがてモノクロだった久遠の日常を鮮やかに変えていく。 天真爛漫で、宇宙と量子力学と天体観測に夢中で、運命を強く信じているいのり。時折見せる陰に戸惑いながらも、彼女を好きになっていることに気づいた夏――。 いのりは殺人事件を起こして、久遠の前から姿を消してしまう。 運命の人に出会える確率は、0.0000034%--。 切なすぎる衝撃のラストに、号泣必死の純愛ラブストーリー。
  • 小料理屋「春霞亭」 かりそめ夫婦の縁起めし
    3.3
    『幸せにならなくていいから一人でいたくない』  ブラック職場に疲れ果てた花澄が辿り着いた、閑古鳥鳴く老舗小料理屋「春霞亭」。店主の敦志と利害の一致から契約結婚した花澄は、共に店の再建を目指すことになる。  華やかな街並みから浮いた古びた店構えに、センス無しの盛り付け、ヘンテコな内装。味は絶品だけど問題が山積みな店を繁盛させるため協力する二人の間には、次第に特別な想いも芽生えていき――。  幸せ願う縁起めしを届ける、美味しい小料理屋奮闘記。
  • 朝日堂オーダーメイド製本工房
    3.3
     製本会社朝日堂の屋上にひっそりと建つ小さな工房。生真面目な野島志乃はそこで、本を一冊だけ作ってほしいという個人の依頼を受けている。 「志乃ちゃんは本が大好きですもんね」 「私が好きなのは『本を作る仕事』です」  見習いの田中哉太とともに志乃は、特殊製法も駆使し、依頼人の想いが込もった本を丁寧に手作りしていく。  メーテルリンクの『青い鳥』、宮沢賢治の『セロ弾きのゴーシュ』にまつわるエピソードが詰まった、本好きには堪らない、心にしみる物語。
  • 推理作家(僕)が探偵と暮らすわけ
    3.3
    彼ほど個性的な人間にお目にかかったことはない。同居人の凜堂である。人目を惹く美貌ながら、生活破綻者。極めつけはその仕事で、難事件解決専門の探偵だと嘯くのだ。  僕は駆け出しの推理作家だが、まさか本物の探偵に出会うとは。行動は自由奔放。奇妙な言動には唖然とさせられる。だがその驚愕の推理ときたら、とびきり最高なのだ。  これは「事実は小説より奇なり」を地でいく話だ。なにせ小説家の僕が言うのだから間違いない。では僕の書く探偵物語、ご一読いただこう。
  • カミサマ探偵のおしながき
    3.3
    東京都某所の隠れた名店、居酒屋「とりい」には神様の探偵さんが居着いている――。金髪碧眼にライダースジャケットを羽織った酔っ払いのロクデナシ美女、葛城コトハ。その正体は、古代より託宣の神として祀られた「葛城の一言主の大神」の成れの果て。暖簾という名の「鳥居」をくぐり、御神酒代わりのビールと焼酎を報酬として振る舞えば、彼女はどんな難題でも答えを導いてくれる。――ただし、受ける依頼は、「一言」だけに限ります。ポジティブ&脳天気な元神様と、苦労人の店主が織りなす、季節の料理と日常の謎をどうぞ。
  • かなえの八幡さま
    3.3
    父親の再婚話が原因で家を飛び出した少女・百合は道すがら、亡き母から貰って身につけていたお守りを壊してしまった。その途端、彼女は謎の「怪異」的現象に襲われ始める。そんな彼女を救ったのは黒い羽織を着た『烏』のような姿の青年・弥次郎。彼は百合に近づく怪異を不思議な筆で祓った。「行くあてがないなら、ここに居ればいい」弥次郎の居候先で、百合の叔父が神主を務める神社・清澄八幡に転がり込んだ彼女は、巫女として神社周辺に暮らす人々の事情に関わっていく。百合のいつもと少し違う夏休みが始まる……。
  • 恋する殺人オーディション
    3.3
    大型アイドルユニットのメンバーを集めるためのオーディションに向かった七沢明日菜。しかし彼女が目覚めると、そこは天井や壁を大量のモニターが埋め尽くす密室だった。そして、彼女と同じように状況が分からない少女たちが……。不安におびえる明日菜たち。すると突如、モニターのスイッチが入り、プロデューサーと名乗る男が告げる。「ではオーディションを始めます。選考はネットによる人気投票。合格は5人。そして落選者には死んでいただきます」。はたして謎のプロデューサーの目的とは!? そして明日菜たちの運命は!? 狂気の特番がいま幕を上げる。
  • トリックスターズL
    3.3
    名門城翠大学に着任した風変わりな青年教授。佐杏冴奈──彼の担当教科は普通ではない。西洋文化史の異端の系譜「魔学」である。そして、不本意ながら先生の助手に収まったぼく。推理小説を象った魔術師の物語、待望の第2弾が登場。 密室と化した実験場にて繰り返される惨劇。犯人は内部の者しかいない──王道の「嵐の山荘」もこの二人にかかれば、一筋縄ではいかない。 摩訶不思議な怪事件は現実と虚構が入り混じり、予想だにしない展開へ! あっと驚く結末は、もう一度読み直したくなること必至。極上エンターテインメント!
  • 隣人の死体は、何曜日に捨てればいいですか?
    3.3
    凶悪事件が後を絶たない状況を受け、日本政府が新たな法律を施行した。5人組――それは隣近所の5世帯が、犯した罪に連帯して処されるというもの。そんな中、5人組の班長に任命された来栖克明の隣に住む、真鍋老人が殺された。しかも、殺したのは同じ5人組の正体不明の人物。井辻という男らしく……。このままでは、ほかの5人組のメンバー全員が殺人罪に問われてしまう……。  ごく普通の平凡な生活から一変、ここから狂気の日々が始まった。近所を徘徊する不審者、来栖の娘に忍び寄るストーカーの影、謎が事件を呼ぶ、猟奇ミステリー。

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