忘れられない初恋の女の子、夜間高校で同じ席に座る死にたがりの女の子、公園で一緒に野良猫を愛でる女の子
何のために誰のために生きていくのか、繊細に、けれども力強く描かれた小説。
全てがつながったクライマックスでは思わず泣きそうになった
美しいだけでない展開、納得な結末に満足
面白かった
以下覚書
...続きを読むのための詳細、ネタバレです
命には四つの理由がある
夢や希望「生きる理由」
挫折や絶望「死ぬ理由」
守るべきものや信念「死ねない理由」
病気や事故、抗えない「生きられない理由」
高校2年生、葉月漣
昼と夜間で同じ教室を使う高校
ある日自分の席に遺書と書かれたノートを見つける。
自分も生きたくはないが、以前「いつか、本当に生きるのをやめたくなった時は、一緒に死のう」と好きな女の子(翠川詩織)との約束があり、死ねずに生き続ける。
遺書には自分が生きることで周りを不幸にしてしまうと思っている少女と、少女と仲良くなり事故に巻き込まれてしまった男の子の小説が続く。
遺書に対する返事と共に小説の続きを書くことで、漣と女の子の交換日記&共作が続く。
そんな中漣は公園で野良猫を一緒に可愛がる井澄と会う。交換日記の内容や夜間の生徒という共通点から、漣は相手が井澄ではないかと思うが、何度か話すうちに違うことを知る。
井澄と漣がいい雰囲気になる中、漣は交換日記の相手が詩織であることに気づく。
夏休みの終わり、交換日記が無いことに戸惑う漣
クラスメイトが勝手に見て揶揄ってくる
憤り騒ぎになり、漣は殴られ保健室で目を覚ます
教室に戻ると自分の席には詩織がいて話すも、彼女は虐待されていた父親を突き飛ばし殺したと思い(実際は失神していた)死のうとしていた
説得の末やめようとするも突風により落ちてしまう
それを庇う漣
漣は昏睡状態、その横で自分を責め続け死にたがる詩織に後から来た井澄が漣がどれだけ思っていたかと激昂する
井澄自身、若くして急速に老ける病を患っており、漣と関わることで生きることを決めたのもあり、好きな漣が命をかけたこともあり、説得力が強い
ラストは小学生から現在までの記憶を無くし、眠るたびに少しずつ取り戻す漣とそれを見守る2人の3人とも生きている結末
全てがハッピーでないことも含め良い流れだった