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製本会社朝日堂の屋上にひっそりと建つ小さな工房。生真面目な野島志乃はそこで、本を一冊だけ作ってほしいという個人の依頼を受けている。 「志乃ちゃんは本が大好きですもんね」 「私が好きなのは『本を作る仕事』です」 見習いの田中哉太とともに志乃は、特殊製法も駆使し、依頼人の想いが込もった本を丁寧に手作りしていく。 メーテルリンクの『青い鳥』、宮沢賢治の『セロ弾きのゴーシュ』にまつわるエピソードが詰まった、本好きには堪らない、心にしみる物語。
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Posted by ブクログ
読み終わって表紙を見ると、本の上に座るのはオッケーなんだ…とちょっと思う。 個性的なパンフレットを広げて見るコンサートはきっと素敵だろうなぁ。不器用で無愛想だけど優しい志乃さんと哉太くん、二人とも好き。
祖父からの日記帳、昔もらった絵本 同級生のパンフレット作り。 印刷所を軸にした3篇は、当然本にまつわるもの。 本の作り方も色々出てきますが、説明がついているので 何となくこんなものかな? と想像できます。 本であれ何であれ、人からもらったものは その人からの心がこもっています。 それに触れられる...続きを読むのは、幸せな事かな、と思います。
製本会社朝日堂を舞台に一冊の本に纏わる3編からなっています。 本といっても本の内容以上に製本の仕方等が出てきて、職人的な感じです。 不器用で優しい登場人物達が過去の辛い思い出と向き合って昇華させていく様子が描かれていますが、少し物足りないです。
読んでいたら、日記を付けるのもいいなと思えるようになった。 いざ自分で書こうとすると長続きしないのだが、それが祖父手作りの日記帳となるとやる気も重みも変わる気がする。 その手作りの日記帳が、拗れてしまった母子の仲も取り持つことになるのだから。 本は読むけど本の装丁までは気にしなかった浪人生と、本は...続きを読む読まないけれど本を作らせたら天下一品の女性職人との出会いから、話は広がる。 最初は前述の日記帳なので、本よりはノートや手帳よりだが、彼が進路を定めてからは、物語の本の装丁の話なども出てくる。 その人のためだけに作られるオーダーメイドの本。 同じ品質のものを大量に出版する(出版数自体は右肩下がりという話は、この際置いておいて)世の中にあって、それとはほぼ真逆を行く職人のありがたさ。 しかも、本を通じて繋がっていく縁の大切さも身に染みて分かる。 その本に込められた想いの大切さも。 日記帳の話も、「青い鳥」の話も、最後のパンフレットの話も、人の縁って不思議で魅力的で、そして大切な縁は時間が経っても、遠く離れてしまっても繋がっているものなんだと、そう感じることのできる話だったと思う。 そして、世界は案外狭い。 大事な縁は、自分も気付かないうちに繋がれて、目の前にあるものである。 どの話も、想いが消える前に間に合って本当によかったと思う。 特に女性職人さんの青春時代の縁が切れていなくて、本当によかった。 元浪人生の彼には、少し気の毒な展開だったかもしれないが。 本の構造などを分かりやすく解説してくれていて、普段読んでいる本により愛着がわいた気がした。 確かに「本好き」なら読んでほしい作品だと思う。 今読んでいるこの一冊に、どれだけの技術と想いが込められているのか、伝わると思うから。
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