小説・文芸 - 筑摩書房作品一覧

  • 絵本とは何か
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    子どもは早くから文字を読むようにしむけられ、親は熱心に文字を覚えさせようとする。はたしてこれで読書のたのしみを知るだろうか? ―良質の絵本とはどういうものか、子どもはどんなふうに絵本の世界へ入ってゆくのか。福音館書店で数々の名作絵本を世に送り出し、日本の児童出版文化の礎を築いた著者による絵本の本質と魅力をまとめた第一論集が初の文庫化。
  • 岩波書店の時代から ――近代思想の終着点で
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    1960年代からポストモダンの時代を通じ岩波書店で多彩な出版活動を展開した大塚信一に、同じく編集者だった堀切和雅が問う――脱魔術化され、人間の精神が寄る辺をなくした近代において学問や芸術は何と格闘してきたのか。河合隼雄・中村雄二郎・大江健三郎・山口昌男・宇沢弘文・木田元・磯崎新らとの仕事を組織しつつ、何を理解しようとしてきたのか。近代の思考もまた新手の魔術だったのではないか。我々はなぜ地球的破局に向かう終着点にいるのか――人類の思想史を対話でたどる。 【目次】はじめに 堀切和雅/第1章 「敗戦」のアンビバレンス/第2章 「近代」という問題群をまるごと問う/第3章 日本近世・準備された逆説/第4章 言語と「場」、そして意識/第5章 「主体」の観念、以前/第6章 「心」──変性するもの/第7章 ポストモダン思想の淵源/第8章 リアリズム・ニヒリズム・ファンタジー/第9章 トポスと人物/第10章 思考空間としての社会/第11章 「場所」から考える/第12章 脱魔術化と再魔術化/第13章 生・ロマン・崇高/終章 いま、破局に至るのか/あとがき 大塚信一/人名索引
  • 水鏡綺譚
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    著者にとって「自分の仕事の中で一番好きな漫画だった」という代表作。時は戦国の世、狼と行者に育てられ、立派な人間になるべく修行をする少年ワタルと、記憶をなくした少女・鏡子の物語。鏡子の家を探す旅の途中、護法童子、白比丘尼、外道丸……などによるさまざまな妖しい事件に出会う。そして、二人は……。完結版、待望の文庫化! 解説=南伸坊 推薦文=高橋留美子
  • 狂言サイボーグ 増補新版
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    700年の歴史を背負って舞台に立つ狂言師の身体は、どのようにつくられたのか? 師父・野村万作の一言一句を繰り返し、先祖先達から伝わる「型」を獲得した自身の稽古を振り返ることで、伝統芸能の本質に迫る。二十代の武司時代から萬斎襲名まで、狂言を生きることを率直に語った原点の書。
  • 平賀源内
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    18世紀江戸。内外の品を集めて全国物産会をひらき、戯作・浄瑠璃の人気作家となり、秩父に金山を開発、油絵を描き、オランダ製の静電気発生器エレキテルを復元……と多彩に活躍した平賀源内。さぬきの地に生まれ高松藩を脱藩し、のちに杉田玄白、司馬江漢、鈴木春信、大田南畝、小田野直武ら同時代人と広く交流、刺激しあった源内の生涯は、豊かなヴィジョンと果敢な試行錯誤、そして失意と焦燥と挫折とからなっていた。「分」と「仕来り」の時代にあって、自身の志と好奇心とによって奔放に生き、殺傷事件の果てに獄中で死去したとされる「非常の人」の生涯を鮮やかに描く、評伝文学の傑作。
  • エラスムス 闘う人文主義者
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    中世の大ベストセラー『痴愚神礼讃』の名を知る人は多いだろう。ヨーロッパ文化への貢献者に与えられる栄えある賞に今もその名を残す、西洋知性の粋、デジデリウス・エラスムス。宗教改革をはじめ、世俗権力と教会の対立が顕在化し、争いが絶えなかった狂乱の時代を生きた彼は、つねに学問に打ち込み、「何者にもその道を譲らない」という自らの信条が揺るぐことはなかった。派閥に属さない知性的な態度や人間味あふれる魅力的な人柄、「世界市民」としての生き方を、西欧文化を知悉する著者が憧憬をこめて描き出す傑作評伝。 【目次】まえがき/第1章 我、何者にも譲らず/第2章 不信の時代/第3章 変革への底流/第4章 古代へのめざめ/第5章 ふたつの友情/第6章 イタリアへの旅/第7章 ヴェネツィアの印刷業者/第8章 ゆっくり急げ/第9章 『痴愚神礼讃』/第10章 宗教改革の嵐/第11章 嵐のなかの生涯/第12章 自由意志論争/第13章 栄光ある孤立/はしがき
  • 聖トマス・アクィナス
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    「カトリック哲学の第一義的にして基本的な部分が、実は生の賛美、存在の賛美、世界の創造主としての神の賛美であるということを理解しない人は、誰も最初からトマス哲学、言いかえれば、カトリック哲学を理解することはできない」。文学者一流の機知とともに描かれるトマス・アクィナスの肖像。聖人の歩みをたどりながら、哲学は神学に、神学は聖性に依存することをチェスタトンは説く。鋭敏な感覚を通して築き上げられたトマスの理論体系。それは、実際的なものと不可分であるがゆえに、われわれの精神に今も近しい。専門家から無条件の賞賛を勝ち得たトマス入門の古典。
  • 子どもをおいて旅にでた
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    「名探偵ミルキー」シリーズで人気の児童書作家・杉山亮が妻と二人の幼児を残し出かけた若き日の旅の記録。徒歩・野宿・行き先未定・1ヶ月間。そんな風変わりな旅で何を見つけるのか。「子どもをおいて」出る旅は一見、無責任のようだが、家族の結びつきを確認する行為でもある。家族といることが好きなのに、一人にもなりたくなってしまう矛盾を抱えた全ての人に。
  • 記録 ミッドウェー海戦
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    1942年6月のミッドウェー海戦は、日本がアメリカに大敗を喫し、太平洋戦争の転換点となった海戦である。この海戦の取材は著者の予想を越えて、約7年に及ぶ壮大なプロジェクトとなった。日米双方の戦死者を調査し、戦闘経過を史料から跡付け、敗戦原因の定説であった「運命の5分間」に異を唱えることとなったのだ。本書は、ときにミッドウェー島へ赴き、日本側3056名、アメリカ側362名の戦死者の生年、所属階級、家族構成などをあらゆる手をつくして突き止め、手紙やインタビュー等を通じて戦死者とその家族の声を拾い上げた圧巻の記録である。「彼らかく生き、かく戦えり」。全名簿と統計を付した第一級の資料。
  • 地方豪族の世界 ――古代日本をつくった30人
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    古代の地方の人びとはどのように暮らしていたのだろうか。史料の残っている豪族クラスの人物の活動に光を当てれば、彼らがいかに躍動していたかかがわかる。郡・郡司、国衙機構や在庁官人の研究により地方支配の歴史的変遷をたどり、立体的な地域史を復元してきた著者が、神話・伝承の時代から奈良時代末まで、そこから平安時代末までに活躍したそれぞれ15人の人物を選出。一般読者向け古代史書ではあまり扱われない人物30人を紹介し、地方の動向や中央との関係を通時的に描き出す。 【目次】はじめに/I 古代国家の形成と展開/1 八束水臣津野命──国引きから国造りへ/2 野見宿禰──相撲と埴輪のはじまり/3 上毛野君の祖荒田別──海外への雄飛/4 上道臣田狭──吉備氏の力/5 筑紫君磐井──中央集権化への画期/6 箭括氏麻多智──神々との交渉と開発の推進/7 笠原直使主──国造制の施行/8 朴市秦造田来津──白村江戦での奮闘/9 尾治宿禰大隅──壬申の乱を勝利に導いた力/10 他田神護──中央出仕と郡司就任/11 壬生直小家主──後宮を支えた女性官僚/12 高麗朝臣福信──天皇への近侍と地域への貢献/13 生江臣東人──東大寺領の開発/14 田中真人広虫女──郡司妻の経営手腕/15 越優婆夷──仏教信奉の利益/II 古代国家の成熟と転換/16 伊治公呰麻呂──征夷三十八年戦争のはじまり/17 入間宿禰広成──征夷事業を支えた坂東の豪族/18 槻本公老──桓武天皇即位秘話/19 大墓公阿弖流為──坂上田村麻呂とも対峙した蝦夷の英雄/20 佐伯直真魚(空海)──真言宗の将来と布教/21 壬生吉志福正──国分寺塔の再建と子息涯分の租税前納/22 春澄朝臣善縄──祖父の学業支援と最優秀成績者の足跡/23 円仁──入唐求法の辛苦と天台密教の確立/24 於保臣(磐城臣) 雄公──地域を支配する郡司氏族の力/25 武蔵武芝──平将門の乱を誘発したもう一つの武士への道/26 真髪成村──膂力の相撲人/27 安倍頼時──源頼義・義家との対決/28 阿波民部大夫成良──神戸港の礎を築いた平清盛の家人/29 伴信明──島津庄の経営と薩摩平氏との対立/30 伊福部臣資経──流人源頼朝を支援した余慶/おわりに/人名索引
  • 十六夜橋 新版
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    南九州・不知火(しらぬい)の海辺の地「葦野」で土木事業を営む萩原家。うつつとまぼろしを行き来する当主の妻・志乃を中心に、人びとの営み、恋、自然が叙情豊かに描かれる傑作長編。作者の見事な筆致で、死者と生者、過去と現在、歓びと哀しみが重なり、豊饒な物語世界が現れる。第三回紫式部文学賞受賞作品。
  • 「最後の」お言葉ですが…
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    中国文学、日本語、漢字、書物等について辛口のエッセイを多数刊行し、一昨年、惜しくも亡くなった著者は『週刊文春』誌上で1995年から2006年まで「言葉の語源や、本来の正しい使い方、などについて」のエッセイ「お言葉ですが…」を連載した。この連載最後の58篇を初の文庫化。(目次より敬語敬語と言いなさんな・なんと読むのか「文科省」・ぼくはウンコだ・歴史の通し番号・豫言、預言、予言、ほか)
  • 韓くに文化ノオト ──美しきことばと暮らしを知る
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    ハングル、料理、宗教、文学、ソウルの街、ひとびとの暮らし…この小さな本には韓くに(韓国)のさまざまな文化についてのエッセイが収められている。読めば、韓くにの地に思いを馳せることができる。読めば、ひとびとのこころに触れることができる。読めば、その美を知ることができる。『韓国語はじめの一歩』を改題、大幅に増補して文庫化。韓国文化について知りたいひとは必読の一冊。
  • 変容するシェイクスピア ──ラム姉弟から黒澤明まで
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    現在、英文学の代名詞として語られるシェイクスピア。元々は舞台の台本として書かれたその作品は、後世の創作家たちによっていかにして新たな息吹を吹き込まれ、世界に知られるようになったのか? 『高慢と偏見』『大いなる遺産』などの英語圏文学、ラム姉弟による児童文学『シェイクスピア物語』、ローレンス・オリヴィエ、黒澤明による映画など、時代と地域を超え、姿形を変えた作品の数々を分析し、名作の知られざる魅力に迫る。
  • 落日の譜 ──雁金準一物語
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    若い頃から囲碁の才能に秀で、伊藤博文に可愛がられて人望厚く、次期本因坊を確実視されながら悲運一転、野に下った伝説の棋士・雁金準一。その雁金が再び本因坊に挑戦、一世一代の勝負、大正大争碁に挑むまで。将期界のアウトロー小説『真剣師 小池重明』に並ぶ傑作評伝。著者急逝のため未径に終わった本編に、高木祥一九段による解説「その後の雁金準一」を得てついに出版。
  • 平和憲法をつくった男 鈴木義男
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    福島県出身の法学者・弁護士・政治家である鈴木義男は、東北帝国大学教授を務めるも、軍事教練に反対して教壇を追われ弁護士に転身。河上肇ら治安維持法違反者の弁護などで活躍後、戦後は衆議院議員として帝国憲法改正案の審議に携わる。鈴木の提案から第九条に平和の文言が加わり、GHQ草案にはなかった第二五条の生存権が追加された。「ギダンさん」と呼ばれ親しまれた鈴木義男の、平和憲法成立への知られざる努力を含む多方面の活躍と、その波乱の生涯を描く初めての本格評伝。
  • プルースト 読書の喜び ──私の好きな名場面
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    よく知られた“紅茶とマドレーヌ”やヴァントゥイユの小楽節との再会、海辺の乙女たち、祖母の死――。20世紀最高の小説『失われた時を求めて』から、著者が鍾愛してやまない場面を読み解き、この大作へ読者をいざなう。なぜプルーストはかくも多くの人々を魅了するのか。人間を見る際の認識が精細を極めていることはもとより、知覚対象がもつ生命の再創造を小説の言葉によって成し遂げたこと、それが読む者に精神の躍動、つまりは幸福感をもたらすからである。傑出したプルースト学者が、読書の愉悦をあますところなく伝える珠玉のエセー。
  • 遊歴算家・山口和「奥の細道」をゆく
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    中国から輸入された数学的知識は、江戸時代には「和算」として大きく花開き、後期になるとその愛好者は、地方や庶民層にまで及んだ。その牽引車となったのが、旅をしながら数学を教えた遊歴算家だった。当時の主流、関流の実力者・山口和が遺した遊歴の記録『道中日記』をもとに、数学の魅力や愛好者たちの思い、さらに歌枕を訪ねた芭蕉との共感まで含めて、主人公の人間的成長を生き生きと描いた和算時代小説。文庫オリジナル。
  • 見えない音、聴こえない絵
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    エネルギッシュに創作し続ける画家・大竹伸朗。創作に駆り立てる衝動とは何か? 東京都現代美術館での大規模回顧展「全景1955‐2006」、18歳の時に働いた北海道別海の牧場での個展、瀬戸内直島の銭湯など個性的な展示の続く日々。それらに向けての軌跡を描くエッセイ。原点と現在を繋ぐ書き下ろし「絵ビートの轍」、新作木炭線画30点を収録。
  • 評伝 岡潔 ――星の章
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    「K.OKAとはひとりの数学者の名前だったのか」。当代一流の世界の数学者たちをもってしても手に負えなかった難問の数々を、ただひとりで次々と解明し、深遠な高みに達した生得の数学者・岡潔。野の花を摘むように数学の果実を摘みながら、ベストセラー『春宵十話』をはじめとして多くのエッセイを通じ、日本人の情緒の奥深さを語り、大切さを説き続けた。数学の世界に日本的情緒を開花させた天才の思索と発見の諸相を、全生涯にわたり克明に描いた圧巻の評伝。全2巻のうち、第1巻は、人生を彩る多彩なエピソードを交えながら、誕生から絶頂期に向かう三十代までの軌跡を収録する。
  • トランプ大統領のクーデター ――米連邦議会襲撃事件の深層
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    暴徒化した数千人のトランプ支持者による連邦議会襲撃事件。警官1名を含む5名の死者、700人以上の逮捕者を出したこの事件の深層を抉る渾身のドキュメント!
  • 落語会を自腹で五十回続けた七十二歳の私が考える落語の魅力
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    落語好きが高じ30年間に50回も噺家を呼び、落語会を開いた酔狂な御仁が語る、昭和末から平成にかけての落語界の思い出。三遊亭小遊三師匠との対談も収録。
  • 「世間」心得帖
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    「社会学部はあっても世間学部はなくて、世間そのものは厳然としてあるのだった。世間は学問のレベルをはるかに超越した虚空にあるものと思えた」。若き日に学んだ「世間」、万華鏡のように千変万化する文士的「世間」、夫婦の、老人の…変遷するこの不可思議なものを追いながら、巷に潜む「世間」を描く。博識と豊富な経験とユーモアが横溢し、熟達の筆が明らかにする「世間」の姿とは。
  • 空想亭の苦労咄 ――「自伝」のようなもの
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    『安野光雅氏(あんの・みつまさ、画家)○日○時○分、老衰による心不全のため××クリニックで死去、八十+X歳。葬儀・告別式は○日正午より、三ヶ月間、インターネット・ホームページ○○○上において施行、したがって供花、弔慰等、金品はすべて辞退。』(本文「私の死亡記事」より)。大好きな落語の語り口を借り、得意の空想癖とユーモアを駆使して自由奔放につづった、幼少期、戦争、焼け跡、芸術、闘病、死生観……鮮やかに浮かび上がる人生の苦味と甘味。
  • 密室殺人ありがとう ──ミステリ短篇傑作選
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    作家、翻訳家、エッセイスト、俳優など多岐にわたる活躍をし、「コミさん」の愛称とコミカルなキャラクターで知られる著者による文庫オリジナルのミステリ短篇集。1970年代から80年代初頭に文芸誌掲載のみで終わってしまった未書籍化の作品を多数発掘、日下三蔵氏の編集と詳細な解説とともに贈る。軽妙洒脱、独特の文体とリズムで描かれる“異色”ミステリを、初めて単著としてまとめた。
  • 悪意銀行
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    犯罪の芸術性を求め〈悪意銀行〉を設立した土方に、ある都市の市長暗殺計画が舞い込む。それを知った近藤が現地に乗り込み黒幕を追いかけると――。幾重にも仕掛けられた罠とハイスピードな展開が織りなす怪作アクション小説。『紙の罠』に続くシリーズ第2弾。表題作他、同シリーズ中篇「ギャング予備校」、当時の貴重な解説、さらに編者による詳細な解題も収録した〈完全版〉。
  • 日本資本主義の群像 ──人物財界史
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    近代日本経済の礎はいかにして築かれ、発展していったか。渋沢栄一、岩崎弥之助、住友吉左衛門、団琢磨、池田成彬、鮎川義介など、明治維新から太平洋戦争終結までに活躍した、日本実業界の巨頭10人の活動を通して描く。巻頭の1章「概観 日本財界小史」は、卓抜な近代日本経済史ともなっている。財閥研究で知られる経営史研究者が、広範な読者に向けてものしたリーダブルな一冊。登場する財界人の自伝・伝記一覧など、関連資料を付す。
  • 哀愁新宿円舞曲 増補版
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    1950年代の新宿、青線地帯での男女の交わりを描いた人情話「娼婦の街」「歌舞伎町夜景」、日記や手紙で構成され思いもよらない結末で読ませるサスペンス「狂犬日記」「手紙の毒」他、様々な題材や形式を用いて、都会の街角で生きる人々の歓びと悲しみ、笑いを描いた鬼才・都筑道夫のエッセンスが詰まった幻の短篇集。2作品と日下三蔵氏の解説を加え、増補版として待望の文庫化。
  • 宋詩選
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    唐詩の時代より、「詩」という形式が広く親しまれるようになり、作者も作品もはるかに数多かったと言われる宋代。本書では、この安定した中国的国家体制が敷かれていく時代を、北宋と南宋に大別し、おのおの約30人ずつの数作を選ぶ。自分が好きな詩に限って選んだと述べつつ、王安石、黄庭堅、蘇軾、陸游ら、偉大なる詩人たちの名作を解釈し訳出する。巻末につけられた編訳者による「解説」は、親しみやすい調子で書かれた充実の宋詩論かつ漢詩概説にもなっている。
  • 妖精悪女解剖図 増補版
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    若い男との同棲の末、殺害を決意する女の想い、喫茶店に嫌がらせの落書きを続ける女の目的、給料強盗事件の真相を知ったことで性格が豹変する女の心理――。“女性”を各作品のメインに据えたサスペンス小説集。彼女たちの行動や思惑、二面性が物語に波乱を巻き起こし予測不能の結末を用意する。単行本未収録の短篇2作を増補し、日下三蔵氏の詳細な解説を付した。鬼才・都筑道夫の隠れた名作。
  • 古事談 上
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    鎌倉時代前期、源顕兼によって編まれた全460余話に及ぶ説話集の傑作。聖徳太子に弘法大師、藤原兼家に藤原道長、小野小町に清少納言、信西入道に西行法師、鳥羽僧正覚猷から仏師定朝など、古代以来の歴史、文学、文化史上の著名人を主とし、その人たちにまつわる隠れた逸話の一大集成。一般の古典文学や日本正史では取り上げられることのない話が数多く収録されている。本書は、ひらがな交じりに書き下した読みやすい本文に、的確な人物注と明快な現代語訳、評を初めて全話に施す。説話集というスタイルが、日本文学史上なぜ一世を風靡したのかが体験できる画期的訳注書。
  • 食べちゃいたい
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    「男は私を四つ切りにすると、溶けかかった私の四分の一からたれている汁に指をべとつかせてひと口で舌の上で潰した。……歯と舌が近づいて来る。なんだかとっても幸せで安らかな感じ。至福ってあるのかしら」(柿)セクシーなじゃがいも。湯上りブロッコリー。ざくろの喜び。プリンスメロンのコンプレックス。野菜と果物を題材に、人生の官能と悲哀と愉楽を描き出す傑作ショートショート集。
  • 歌を探して ――友部正人自選エッセイ集
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    言葉の感覚の鋭さで1972年のデビュー以来、高く評価されるミュージシャンが自ら編んだエッセイ集。尖った感性の「ちんちくりん」(78年)、毎日が新鮮な「生活が好きになった」(86年)、予期せぬ国に滞在することになる『パリの友だち』(91年)、詩と音楽の日々『ニューヨークの半熟卵』(2003年)、そして未収録作や書き下ろしも。
  • 内村鑑三交流事典
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    近代日本を代表するキリスト者・内村鑑三。一見孤高の思想家に見えながら、実は内村は、日本人のなかでは類例がないほどの文化的「山脈」を形成していた。宗教界から、教育界、文学界、社会事業界に至るまで、多くの分野に及ぶ交流のさまを追うことによって、一個の精神と時代の姿が浮かび上がってくる――。本書は、序章で質的漸進を遂げていった内村の生涯を記した後、生前に関係した人物二百数十名を対象に、両者の交流を事典形式で紹介。巻末には詳細な内村の年譜も収録する。文庫オリジナル。
  • 飛田残月
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    飛田の旅館に出入りする私は、かつて亭主といきさつのあった娼婦・芳子と一晩をともにするが、そこで泥沼から這い上がろうとする女の狂おしくも悲しい復讐心にふれ――(「飛田残月」)。過去を秘めながら雑草のように身を寄せ合い生きる娼館の女たち。水面下で互いを守ろうとする静かな想いの正体は……(「雑草の宿」)。酷薄さとやさしさの溶けあう筆致で淪落の者たちへの愛を描き切った、直木賞作家による傑作8篇。
  • 秘本大岡政談 ──井上ひさし傑作時代短篇コレクション
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    没後10年。時代小説にも多くの名作を残した著者の、単行本未収録作品を中心とした傑作短篇集。江戸城の御文庫に通い、古今東西の判例を調べ上げ、「裁き」の根拠を決める町奉行大岡忠相の姿を書物奉行の視点から描く表題作のほか、一話のみで中断した「いろはにほへと捕物帳」、「戯作者銘々伝」の番外編とも言える「質草」等の未収録作品に明治開化期を舞台にした短篇「合牢者」「帯勲車夫」を併せて収録。
  • アカシア・からたち・麦畑
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    ふり返ってみたいような、いちばんふり返りたくないような小さかった時。いじめられて泣いている私。泣き顔を見せまいと井戸端で水をガブガブ飲む私。子ども同士のずるさにムシャクシャした私。おとなの嘘をみていた私。甘味でつらかったあの頃が時のむこうで色鮮やかな細密画のように光っている。あの頃のすべてのものに声援を送ろう。がんばろうと。
  • 日本大空襲 ──本土制空基地隊員の日記
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    太平洋戦争時、帝都防衛の任をおびていた陸軍飛行第五十三戦隊。その整備兵であった著者は、日本全土への空襲が本格化する昭和19年11月から翌年の敗戦に至るまで、手許にあった文庫本の余白にひそかに日記を書き綴っていた──。苛烈をきわめる各地への空襲とその被害の経過を定点観測のように詳細に記録しつつ、そこに疲弊していく兵士の日常や傍観者たらざるを得ない自身へのやるせなさ、膨らんでいく戦争・国家への疑念、荒廃していく国土や次々と斃れていく戦友への痛切な思いが、随所に差し挟まれていく。等身大の兵士の視点から本土空襲の全貌を綴った貴重な記録。
  • 変貌する古事記・日本書紀 ──いかに読まれ、語られたのか
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    ヤマトタケルは近代以前、ヤマトタケという名だった。不老不死を求めて常世国から、「ときじくのかくの木の実」を持ち帰ったタヂマモリは、後世、お菓子の神に変貌を遂げる。『古事記』や『日本書紀』に載る古代の説話は、それぞれに違いを持ち、さらに、その後の時代の状況に沿って、意図的に変化させられることが数多くあったのだ。日本の成り立ちが記された記・紀が、いかに受容され、変化していったのか、その理由を探っていく。
  • 嫌ダッと言っても愛してやるさ!
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    日本のパンクロックの元祖・遠藤ミチロウの第一エッセイ集。著者が自著の中でも最も愛した本。「この一冊で、あの(THE STALIN)デビューから解散まで(80~85年)自分が何を考えていたのか、あらゆる角度から手にとるようにわかるのだ」。破壊的で土着的。吉本隆明との83年の対談を収録。文庫化に際し、詩、未収録エッセイも収録。【※紙書籍版に含まれる歌詞は、本電子書籍には含まれません。】
  • 現代語訳 雑兵物語
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    武器運び、馬の世話、土木作業、衣類・食糧運び、戦が始まれば最前線で敵と向き合い、集団で槍、鉄砲を扱う。そんな戦場の現場人の役割ごとの声を収録し、多くの武士が戦場心得の参考とした『雑兵物語』。江戸前期に成立し後期の1846年に刊行され一般にも流布した古典を、わかりやすい現代語訳とリアルな挿画で送る。現在の最前線ではたらく人々も切実に読める一冊。
  • 千家尊福と出雲信仰
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    千家尊福(1845~1918)は明治のはじめ、出雲大社の祭祀をつかさどる国造(宮司)につくと、近世までの出雲信仰をもとに近代的な大社教を創立。日本全国に出向き出雲信仰を説き、神道界を二分した祭神論争では出雲派のリーダーとして活躍した。「生き神様」として絶大な人気を誇った尊福は後に政治家ともなり、埼玉・静岡・東京の府県知事、司法大臣や東京鉄道社長なども務め政財界で指導力を発揮した。出雲が生んだ希代の偉人の足跡をたどり、知られざる出雲信仰の世界を描く。
  • ベストセラー全史【近代篇】
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    1巻1,705円 (税込)
    明治・大正期、そして昭和戦前・戦中期のベストセラー本を全て紹介。福澤諭吉『西洋事情』やスマイルズ『西国立志編』に始まる近代日本のベストセラーの歩みは、明治期に出版社‐取次‐小売の体制が整い、大正期に再販制が導入されると、昭和初年には円本ブームという革命的変化を迎えるが、やがて戦争と出版統制で停滞を余儀なくされていく。出版界の発展と、個々の本が売れた時代の背景をあまさず描く、壮大な日本文化史。
  • S&Gグレイテスト・ヒッツ+1 ──橋本治短篇小説コレクション
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    誰かを好きだと言ってしまいたくて、誰かを嫌いだと言ってしまいたくて、でも、それがとても恐いことを招きよせてしまうような気がして──。甘えと優しさが毀れると、その向こう側には闇と憎悪がぽっかり口をあけている。サイモンとガーファンクルの名曲にのせて、80年代の「青春」の重さを描く15の物語。
  • 刺さる言葉 ──「恐山あれこれ日記」抄
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    死者を想うとはどういうことか。生きることの苦しみは何に由来するのか。曹洞禅の根本道場・永平寺に二十年、死者供養の聖地・霊場恐山に十年、“生きて在ること”の根源を問い続ける著者のブログ「恐山あれこれ日記」を精選し、編み直して一冊とする。よるべなき現代人におくる思索と洞察の書。
  • 詳講 漢詩入門
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    二千数百年の歴史をもつ中国文学。日本人にとっては、文学のみならず教養の主軸を為してきたといえるが、その中国文学の中でも、とりわけ詩歌の占める地位は高い。孔子が活躍していた春秋時代に最古の詩集『詩経』は成立したが、それ以前から中国に詩歌の歴史があったことは間違いない。その文明と共に長い歳月、詩歌は人々に愛され、その努力と工夫を蓄積しつつ歩んできたのだ。本書は、一般に「漢詩」と呼ばれる中国古典詩の、概念・テーマ・韻律上の規則・その他技巧等々について、初歩から易しく体系的に学べるものである。
  • 資治通鑑
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    『資治通鑑』は11世紀なかば、北宋の皇帝英宗の詔により編纂された編年体の歴史書である。中国の戦国時代から北宋建国前年に至るまで1362年間にわたる歴代君臣の事績をまとめた本書は、「治を資(たす)く」という書名の示す通り統治者が参照すべき書として、『貞観政要』と並び政治家や学者の読むべきものとされた。294巻にのぼるこの膨大な『通鑑』のなかから、本文庫では後漢の「党錮の禁」、南北朝時代に勃発した「侯景の乱」、そして大唐帝国を揺るがした「安史(安禄山)の乱」を綴った巻を収録。権力者たちのたくらみが交錯するドラマが流麗な訳文で蘇る。
  • 解説 百人一首
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    現代語訳と易しい語句説明、そして歴史的背景や古文の読み方、楽しみ方も根本から学べる「解説」と「余録」つき。遊びながら、寄り道しながら、子どもたちが自ら学ぶ力を養うという、受験教育とは一見対極にある方法をとりながら、灘校を第一級の進学校になるまで導いた、その授業とはいったいどんなものだったのか? 橋本流教育実践が凝縮された、古文入門の決定版。
  • いにしえの恋歌 ──和歌と漢詩の世界
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    1巻1,540円 (税込)
    和歌と漢詩。古代東アジアに誕生した二つの傑出した言語芸術は、それぞれ共通点を持ちながらも、独自の世界をつくりあげてきた。本書は、両者の「恋歌」を入口に、その豊穣な世界を逍遙し、魅力を語る。そして古代の日本と中国に生きた人々の心情と運命に迫る。日中の文化をともによく知る気鋭の比較文学者による、渾身の一冊。
  • 西洋古典学入門 ──叙事詩から演劇詩へ
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    散在する古いテクストを集め、照合し、可能なかぎり「原典」と呼ぶにふさわしい校訂版を作ること。それが古典学の使命である。また、言語学的側面をはじめ、原典を享受するための厳密な知識の追究も行う。西洋の場合、その主対象は古代ギリシア・ローマの諸作品である。古典学の営みとはいったいどのようなものなのか──。本書では、西洋古典学の要諦を紹介しつつ、ホメーロスの叙事詩からギリシア悲劇・喜劇まで、西洋文学の源流となった作品群の構造と意味を解説する。
  • 江藤淳と大江健三郎 ──戦後日本の政治と文学
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    大江健三郎と江藤淳は、戦後文学史の宿命の敵同士として知られた。同時期に華々しく文壇に登場した二人は、何を考え、何を書き、それぞれどれだけの文学的達成をなしえたのか。また、進歩的文化人=左翼の大江と、保守派文化人=右翼であった江藤の言動から1950年代以降の日本の文壇・論壇とは一体どのようなものだったのかを浮き彫りにする。決定版ダブル伝記。
  • 西成山王ホテル
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    片足に障碍を持ちながら山王町で水商売をする澄江は年下で喘息持ちの高井と心を通わせるが、西成で生きる人々の業がふたりに悲劇をもたらす(「湿った底に」)。裕福な家に育ち空虚な人生を送っていた青年と夜の街で奔放に踊る女性。互いに惹かれあいながらもすれ違う男女の行方(「落葉の炎」)。「魂の観察者」と称された作家が大阪西成を舞台に描く傑作短篇集。
  • フルトヴェングラー
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    フルトヴェングラーの生涯の軌跡がわれわれに突きつける問題とは何か──。本書は、ヴァイマル期からナチ期、そして戦後における音楽家の振る舞いと内面を同時代人たちとの関係を通して再検討した渾身の作品である。政治に対する倫理のありようを見定め、さらには、その音楽思想がいまなお投げかけてくるものを考察する。
  • 戦場カメラマン
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    銃弾砲弾が飛び交う最前線。死線を越えた写真家の眼前で米兵が頭を撃ち抜かれ、擲弾銃によって解放軍兵士が吹き飛んだ。米ソ冷戦を背景にしたベトナムの悲惨な戦場、自国民を大虐殺したカンボジア。祖国を守るため、自由を得るため、差別や貧困から脱するため、戦う兵士、破壊される農村民。戦争ドキュメントの最高峰。
  • 笛ふき天女
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    旧藩主のお姫様に生まれ、上流社会で裕福な少女時代を過ごすも、松方財閥に嫁いだ最初の結婚では不慮の事故により夫との死別を経験。戦後、独身生活の中ではじめての会社員生活を送った。39歳のとき知人を介し獅子文六と再婚。人気作家の晩年を支えた。天女のような純真さと爽やかさ、天真爛漫でユーモラス、まるで獅子文六作品の登場人物のような女性の自伝的エッセイが甦る。
  • 初学者のための中国古典文献入門
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    中国の古典には古人・古代崇拝のあまりニセモノが多かったり(偽書)、皇帝の諱を避け別の字に代えたり画数を減らすことがある(避諱改字)。漢文訓読法は学校で教えられても、こうした知識を学ぶことはまずない。中国学(文学・哲学・歴史)を学び研究しようとすれば、どうしても古典文献を読まなければならなくなる。本書は、中国古典の原資料いわゆる「白文」を読むにあたって、初心者が誤りを犯さないよう版本や分類などの書誌学的事項を丁寧に案内する。
  • 夢を食いつづけた男 ──おやじ徹誠一代記
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    クレイジー・キャッツのメンバー、俳優の植木等が描く父の人生。息子から見ると「支離滅裂」というその人生は? 若い頃、義太夫語りを目指し、やがてキリスト教の洗礼を受けたと思ったら、後に浄土真宗の住職に。その間、社会主義者として労働運動や部落解放運動に身を投じる。治安維持法違反の嫌疑で繰り返し投獄されても平等と平和を求め続けた。名著、ついに復活!
  • 死言状
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    麻雀に人生を学び、数十年ぶりの寝小便に狼狽し、男の渡り鳥的欲望について考察する。「無害で有益な人間はほとんど存在しない」「男の顔の化粧ないしカモフラージュとして、ヒゲほど有効なものはない」「美人好みはホンイチ狙い」「人間は長生きしすぎて、せっかくの完全形をみずから壊す」等々の風太郎流名言(?)も次々と登場。ナンセンスに見えて深遠。これぞ風太郎エッセイ。
  • 日本に就て
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    「知識人批判」「保守党の立場」「吉田内閣論」などの超辛口社会時評と、目を細めながら日本を味わう「或る田舎町の魅力」「小休止」などの小紀行文を収録した、甘辛エッセイ選。
  • 時代小説盛衰史
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    中里介山「大菩薩峠」から司馬遼太郎の登場まで、半世紀に及ぶ時代小説の栄枯盛衰を豊富なエピソードと味わい深い語り口で描ききった力作。大衆文学研究賞・長谷川伸賞受賞。(※電子書籍ではちくま文庫版の上下巻を合本いたしました。)
  • 文壇さきがけ物語 ──ある文藝編集者の一生
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    大正の終わりに新潮社へ入社し、長きにわたり文藝編集者生活をおくった楢崎勤の一生を追うことで、戦前から戦後にかけての昭和文壇草創期の舞台裏を描き尽くした名著。『文壇栄華物語』『文壇挽歌物語』以前の時代を描いた“文壇三部作”の最後。
  • 文壇栄華物語
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    「文藝春秋」「オール讀物」が永井龍男により復刊される敗戦直後から和田芳恵「一葉の日記」の完成を見た昭和三十一年までの十有余年。栄枯盛衰ただならぬ文壇と中間小説誌の発展期に重なる華やかな時代を舞台に生きた人々──筆一本に賭けた作家たちと編集者が織りなす哀歓の明け暮れを豊富な資料をもとに描いた、もう一つの戦後文壇史。第18回新田次郎文学賞受賞。
  • 文壇うたかた物語
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    興亡激しい文芸雑誌の世界を舞台に、松本清張、司馬遼太郎をはじめ、池波正太郎、吉行淳之介、野坂昭如、井上ひさしら多くの文士たちが獅子奮迅の活躍をみせた疾風怒涛の一時代。その華々しい小説雑誌の時代を往年の名編集長が自らの編集者体験を通して語った、悲喜こもごもの文壇回想録。
  • 古今和歌集
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    最初の勅撰和歌集『古今和歌集』の全歌訳注。序詞・枕詞・縁語・掛詞・見立て・擬人法などの表現技法によって鮮明かつ複雑に詠まれた歌々の世界を、正確な現代語訳と注解、補注などによって明らかにする。発想や表現技法、鑑賞・読解の要点を簡潔に解説し、歌語研究をふまえた堅実で独自な著作として高い評価を受けた名著。本文庫での刊行に当たって全篇を見直し、新たに「四季の景物一覧」を設け、「歌語索引」を補訂し、「参考文献」を書き下ろした。
  • 中国史談集
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    中国小説、なかでも怪異譚や笑話など庶民文学研究の第一人者が、多くの資料に目配りを利かせ、洒脱な筆さばきで歴史の表面に浮かび上がってこなかった知られざる裏面を独自の視点から鮮やかに掘り起こす。採りあげられる話題は、皇帝、彫青、にせ倭寇、流言、筆禍事件等と多彩で、特に仏教の僧侶、道教の張真人、宗教結社の問題は、現代中国にも密接に連なるテーマ性を兼ね備えている。
  • ヨセフス ──イエス時代の歴史家
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    『ユダヤ古代誌』『ユダヤ戦記』の著者として高名な歴史家フラウィウス・ヨセフス(37年ころ‐100年ころ)は、パリサイ派の祭司でもあり、ユダヤ反乱軍の指導者でもあった。その多面的な相貌と同様に、著作も愛読と同時に、誤用・濫用・悪用されてきた。その人物と歴史を語ることは、キリスト教の裏にある反ユダヤ主義というヨーロッパ文化の・思想の根源を考えることに他ならない。本書は、その生涯、著作の内容と著された背景、そして近代に至るまでの著作の運命、現代におけるヨセフス学の意義などを考察した本邦初の試み。
  • こんなコラムばかり新聞や雑誌に書いていた
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    「ヴィレッジ・ヴォイス」から池波正太郎、筒井康隆まで夜を徹して読んで読んで、書きまくる。各紙誌に書いた「本」にまつわるコラム集は1960年代から1970年代の海外小説の良質なブックガイドであり、植草流「読書術」と呼べる一冊。中でも大評判だった東京新聞連載の「中間小説研究」は、J・J氏の仕事の中でもめずらしく日本の中間小説(すさまじい分量!)と対峙した傑作コラム。
  • 帝国軍人の弁明 ──エリート軍人の自伝・回想録を読む
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    昭和の戦争を経験した陸軍軍人たちが書き残した書物は数多い。そこには開戦から終戦に至るまでの生々しい経緯、帝国陸軍内の空気、さらには戦後思想への評価など、当事者でしか描きえない貴重な証言の数々が見出される。石原莞爾、瀬島龍三、堀栄三、田中隆吉、遠藤三郎等々の著作を取りあげ、書き手の政治的立場や帝国陸軍内での地位、見識と教養、さらには語り手としての誠実さを見極めながら、第一級の昭和史資料を読み解く試み。
  • 末の末っ子
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    「あなた、どうなさるおつもり?」「驚き、あわて、かつ困る」。作家・野村耕平は二男一女の父、末っ子の友雄も小学四年生になるというのに、妻が懐妊。末の末っ子誕生を控えながら軍艦小説の執筆、親炙するS先生の全集編纂と仕事は多忙。お寝坊の秘書と、新しいお手伝いさん、悪戯好きの作家仲間と身辺はまったく落ち着かない。──昭和ファミリー小説の決定版!
  • 枕草子 上
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    1~2巻1,320~1,430円 (税込)
    大人のための、新訳。北村季吟の『枕草子春曙抄』本文に、文学として味わえる流麗な現代語訳を付す。上巻は、第一段「春は、曙」から第一二八段「恥づかしき物」までを収録。全二巻。
  • たべもの芳名録
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    食べ物の味は、思い出と、ささやかな薀蓄、そしてちょっとのこだわりで奥が深くなる。ビフテキの表情をうかがい、鮓が届く前の予感を楽しみ、「カツソバは冷やしにかぎる」と忠告する。「鯛」「うなぎ」「天ぷら」「ふぐ」「カレー」「じゃがいも」などなど、洒脱な文章で雅俗とりまぜた食材の真髄と広がりを官能的に描き出す、食べ物エッセイの古典的傑作。
  • 私のつづりかた ──銀座育ちのいま・むかし
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    1935年、銀座・泰明小学校の2年生だったオザワノブヲ少年が書いた作文の数々は、持ち帰るたび最愛の父により綴じられ、80代後半となった作家の眼前にある。遠足や軍楽隊パレードなどの学校行事、花火やデパートへのお出かけなど家族との思い出、そして友人と遊んだ銀座の町並み──幼少期の作文から思い出されるのは、愛すべき出来事や風景である。オザワノブヲ少年が描いた絵も多数掲載!
  • 中国説話文学とその背景
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    「私のこの書は私の心を惹かれた中国古典の説話、随筆、短篇小説、歴史の断片などを蒐集して、私の得た新鮮な驚き、感動、あるいは哄笑などを多くの人と頒ち合いたいために書かれたものである」(本書「あとがき」より)。世界的数学者が、その本業の傍ら、永い年月をかけこつこつと集め、訳し、解説を施した“私の「収集展示館」”。原作者の意図や歴史的背景に迫る記述は、随所に新発見、新説、新釈が見られ、新鮮で奥深く、かつ滋味あふれる中国説話文学への誘いとなっている。書き下し文庫オリジナル。
  • やなせたかし ──「アンパンマン」誕生までの物語
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    傷つくことなしに正義はありえない。心優しいヒーロー・アンパンマンの生みの親が乗り越えてきた、別れと、戦争と、長い長い自分探しの旅の物語。「傷つくことなしに正義はありえない」奇想天外・前代未聞の心優しいヒーローが生まれるまで。
  • フリーダ・カーロ ──悲劇と情熱に生きた芸術家の生涯
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    重度の障害を背負いつつも、自己への冷徹なまなざしを表現した数々の肖像画で多くの人々を魅了した、メキシコを代表する女性芸術家の生涯。描くことが生きること。キャンバスに心の葛藤を表現し続けた女性芸術家の生涯。
  • マリ・キュリー ──放射能の研究に生涯をささげた科学者
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    「放射能」の命名者にして、二度のノーベル賞受賞に輝く女性科学者。あくなき探究心と闘志で科学界のみならず世界に影響を与えた生涯を描く。科学者として、他国の支配に苦しむ人として、女性として、母として、常にまっすぐ前を見ていた人。
  • オードリー・ヘップバーン ──世界に愛された銀幕のスター
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    バレリーナの夢を断たれた少女は、「ローマの休日」で一躍スターの座に駆け上がる。世界を魅了した銀幕の妖精が生涯をかけて追い求めたものとは。「コンプレックスを武器に」スクリーンの“妖精”が輝き続けられた理由。
  • 陳建民 ──四川料理を日本に広めた男
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    四川料理が日本の家庭料理のひとつになったのは、この男がいたからだ。料理の確かな腕と好奇心を胸に日本にやってきた中国人青年の波乱万丈の物語。「少しウソのある料理」とは? 麻婆豆腐を日本に広めた男が教える料理の極意。
  • 風山房風呂焚き唄
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    執筆上のうっかり話、明治の文学者の貧乏ぶりから死刑執行方法、はては「一握の牌」という歌つくりまで、妄想はばたく長編エッセイ(表題作)ほか、旅、食べ物、読書をテーマに、著者の万華鏡のような魅力があふれるエッセイ集。
  • ドキュメント 北方領土問題の内幕 ──クレムリン・東京・ワシントン
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    鳩山内閣の時に締結された日ソ共同宣言によってソ連との国交が回復し、シベリア抑留者の返還や日本の国連加盟などが実現した。しかしそれには、ソ連ばかりでなくアメリカの思惑や米ソの確執、それに何よりも自民党内の激しい権力闘争を克服しなければならなかった。同時に、「北方領土問題」はここから始まったのである。一九九〇年代以後に次々に明らかになった新資料を用いながら多くの謎を読み解き、日本外交の原型と可能性をも浮き彫りにする。
  • 陶淵明伝
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    官界をきらい、野にあって酒を愛し、自由を謳った陶淵明。伝説に彩られ、日本でもファンの多い大詩人だが、著者は「淵明のこころのゆたかさが、かえってにが手」と語り、また「矛盾を矛盾のままに表白しているのが、淵明の文学」と書く。野心に満ちた乱世、意に染まぬ仕官、挫折、帰郷。平坦ではない人生において、淵明は何を表現したのか。本書はこの稀代の詩人と正対し、主要作品の味読を通して、平静な言葉の裏にひしめきかげろう複雑で濃厚なものに眼を凝らし、その文学世界と生涯に迫る。「閑情の賦」「陶淵明詩の訓話」「燃焼と持続」の関連論考3篇を併録。
  • ウィガン波止場への道
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    イングランド北部の炭鉱町ウィガン。1936年、オーウェルがこの労働者の町を訪れたとき、不景気と失業がひろがっていた。炭鉱夫たちと生活をともにしながらオーウェルは、彼らの顔貌を独特な身体感覚のもと丹念に書きとめていく。ここは、中産階級下層の彼の階級意識が決定的に試される場所となった。たとえば、「労働者階級には悪臭がする」。社会主義への支持を表明しながら、越えられない階級間の「ガラスの間仕切り」。彼はこの違和感を、あえて率直に表明する。声高に語られるドグマではなく、人間らしい生活、すでに中産階級からは失われてしまった生活様式への愛が、未来を考えるひとつの指標として提示される。20世紀ルポルタージュの嚆矢。
  • 徘徊老人の夏
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    「また出てきたんだよ、じいさんが」……このひとはふだんは老人養護施設におとなしく入居しているが、発作的にベッドを脱走して横浜の場外馬券売り場で有金をはたく。勝てば野毛の飲食街でえんえんと飲み続ける。すっからかんになったところで箱根のK・Hさん宅に転げ込む。(「徘徊老人の夏」より)ありふれた日常から別世界へと誘う、諧謔と機知にあふれたエッセイの数々。
  • 僕は考古学に鍛えられた
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    小学校五年の時、近くの川で拾った土器のかけらを辞典で調べたら、朝鮮式土器だった──これが森少年と考古学の出逢いである。戦時中から遣跡探訪を続けノートに細かく記録した中学時代。荒れ果てた古墳の緊急発掘や占領軍キャンプ内での調査に追われた体験は、やがて壮大な森・遺跡学へと結実する。考古学の魅力をあますところなくつづった自伝的エッセイ。
  • ゲーテ スイス紀行
    -
    ゲーテにとって旅とは、またスイスとは何だったのか。あのイタリア旅行に先立つこと12年、26歳のゲーテは『若きヴェルテルの悩み』の恋愛体験から逃れるように、スイスに向かう。「力強いライン河の烈しく泡立つ瀑布、万年雪をいただく峰々の王冠の輝き……その中に作用する創造力が脈々と魂の中にめざめてくる」と、偉大な理念を感知し科学的自然把握に決定的な指針を得る。アルプスの多種多様な自然は、研究対象の無限の宝庫であった。作品としてはまとめられなかったこのスイス体験を一書に成した本邦初の編訳書。訳者注解では、形態学・地質学などのゲーテ自然科学へと連なる体験的背景があざやかにひもとかれる。
  • 萬葉集に歴史を読む
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    古の人びとの愛や憎しみ、執念や悲哀――『萬葉集』には、数々の人間ドラマと歴史の激動が刻まれている。考古学的な知見を駆使して、はじめて美しい歌の背後に潜むこうした生の歴史が浮かび上がる。持統天皇が病をおして、死の直前に行った三河行幸の真の目的とは? 壬申の乱の知られざる背景から、遣新羅使の謎、東歌から読み解く関東の文化と経済まで。「古代学」を提唱する考古学の第一人者が、古墳をはじめとする考古学的資料と文字史料とを織り合わせ、従来の文学的理解では決して明かされなかった謎の数々と古の日本人の心に迫る。
  • モーツァルト
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    驚異の神童として名を轟かせながら、貧困のうちに不遇の晩年を送った天才作曲家―世に広く根付いているモーツァルトの姿は、誇張されたフィクションだった! 新たな視点から資料を読み直すことにより、作品がその生涯と手をたずさえ、ますます美しい輝きを獲得してゆく。才能を誇りとも重荷ともしながら、史上初のフリー音楽家として各ジャンルに革新をもたらした青年音楽家が、苦闘の末、野心から解き放たれて満ち足りた調べを奏でるまで。知られざる真の姿をあざやかに描く。厳選15の名曲・名盤紹介つきのモーツァルト入門決定版。
  • ワンガリ・マータイ ――「MOTTAINAI」で地球を救おう
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    アメリカ留学から戻ってきたら故郷の自然は荒れ果てていた。優等生の少女が始めた植樹運動が、民主・平和活動となって世界に広がるまでを描く。(巻末エッセイ・柳田邦男)
  • 紅茶の国 紅茶の旅
    -
    紅茶のやってきた遙かな道を辿り、香りのある風景をつづるティーエッセイ。世界三大銘茶の一つ、祁門茶を訪ねて中国、祁門へ。スコットランドの田舎に生まれ、セイロン紅茶の偉大なパイオニアとなったジェームス・テーラーの足跡を訪ねて、スリランカ、英国へ。なにげなく口にしているいつもの紅茶に、こんな物語があったなんて―。イラスト多数。
  • 万葉集 ――歌のはじまり
    -
    村落的な風景から普遍的な律令国家の世界への転換期にあった万葉の時代。人々は何を思い、感じて歌を詠んだのか。千年の時を超えて、万葉集をリアルに読む。
  • 散歩の極意
    -
    楽しめてお金がかからず、しかもからだにいい余暇の過ごし方、それが散歩。ガイドブックに掲載された店やコースを訪ねることは誰にでもできる。でも、もっと自分だけのオリジナルな散歩があるはず。目的地めがけて一目散に歩くのではなく、空を眺めたり、路地に名前をつけてみたり、銭湯を見つけたらひとっぷろ浴びるのもいい。途中下車、回り道、寄り道もOK。本書では、お仕着せではない散歩の究極の楽しみ方を披露。忙しい毎日に、ぽっかり空いた贅沢な時間を味わいませんか。
  • 54歳引退論 ――混沌の長寿時代を生き抜くために
    -
    わが国の経済は低迷を続けている。多くの企業が、人員整理、賃金カットなどのリストラを敢行、中高年の雇用は悲惨な状況だ。特に、五十五歳以降の人たちに対する処遇は厳しい。多くのサラリーマンにとって、ローンや子供の教育が一段落するこの年齢。しかし年金はもはやあてにできない。本書は、かつて余生だった五十五歳以降を、高度成長期の単線・単眼的な捉え方でなく、寿命八十歳時代をベースとした人生再構築期とし、さまざまな角度から「五十四歳引退」を提唱する。中高年にあらたな挑戦を呼びかける静かな革命の書。
  • おんな忠臣蔵
    -
    忠義に殉じた男たちの美学の陰で泣かされるだけが女の役回りではない。臆病な男の尻も叩けば恋もする。挙げ句の果ては化けてでる。賢夫人と称えられた浅野内匠頭や大石内蔵助の妻、大高源五の母、そして『仮名手本忠臣蔵』に登場する早野勘平のおかるや『四谷怪談』のお岩などなど、キャラクターにはことかかない。事件の七十年後、堀部弥兵衛の娘と名乗り、忠臣蔵物語の語り部として活躍した妙海尼のしたたかな生き方を幕開けに、史実と伝承の皮膜の舞台に生きた女たちの晴れ姿を描く。
  • 裸の大将一代記 ――山下清の見た夢
    -
    「裸の大将」の愛称で、人々からこよなく愛された山下清。昭和46年に亡くなったにもかかわらず今もなお、テレビドラマの主人公となり、各地で展覧会が開かれ、その人気は衰えることがない。しかし、その「山下清」の実像とは? 昭和の時代を、とてつもなく自由に生きた大放浪画家の生涯と作品に迫り、また戦後の「山下清ブーム」の中、虚像化される過程をも迫った渾身の評伝。
  • ウィーン ――ある都市の物語
    -
    「ここでは時間は存在しない。いつも暖かく、四囲はくすんでいて古めかしい。なにがなくふくよかで、それでいて、少しばかりむなしいのだ。」ウィーンのカフェで一杯のトルコ珈琲をすすりながら、若き日の著者の思念は果てしなく廻る。巨大な骸骨が突っ立っているかのような聖シュテファン寺院の尖塔を遠く見やりつつ、思いはめぐって、やがて一篇の都市論となって結実した。巻末に「ウィーン小事典」を付載。
  • 贋作ドン・キホーテ(上)
    -
    1~2巻1,045~1,100円 (税込)
    遍歴の騎士が風車を怪物と見誤り、従士サンチョ・パンサが必死にとめるのもきかず、槍をかまえて突進していく――不滅の名作『ドン・キホーテ』は発表当初から大評判となり、気をよくしたセルバンテスは後篇を出版すべく執筆に励んでいた。ところがそこに、非常に手の込んだつくりの贋作が現れた!
  • 太宰治 生涯と文学
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    今も光芒を放ちつづける太宰の全作品を読み直し、その生涯をたどって、太宰文学へ誘う入門書の決定版。生い立ちから、青年時代、そして死へと向かう太宰の生き様と文学への情熱が余すところなく描かれている。生前、親交が厚く、『太宰治全集』の編集を手がけた著者ならではの、限りない愛情と理解に富んだ一冊。
  • ドン・キホーテ 前篇(1)
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    スペインの片田舎の紳士が、騎士道小説の読みすぎで妄想に取り憑かれ、「世の不正を正すため」従士サンチョ・パンサと愛馬ロシナンテを引きつれ、遍歴の騎士となって旅に出る。狂気と正気の衝突、夢想へ向かっての猪突猛進、溌剌とした純愛。魅力的な登場人物とユーモアに溢れた世界文学史上に永遠の命をもつ人生探求の長篇。
  • 若きヴェルテルの悩み
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    「彼女はぼくにとって神聖だ。すべての欲望が彼女の前にあっては口をつぐむ。」至福の日々をもたらした恋は、やがてヴェルテルに苦悩を、悲劇の最期を運命づける。激しい感情のうねり。旧社会への反発。ゲーテ自身の絶望的な恋愛体験を題材にしたこの作品は、それまでの小説の常識を覆し、激動期にあった当時の社会に大きな衝撃を与えた。時代と国をこえ、永遠に読みつがれる青春小説の古典。
  • 「大菩薩峠」を読む ――峠の旅人
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    魔剣を操る元甲源一刀流の剣士机竜之介は、大菩薩峠の頂上で老巡礼を斬り殺す。この理由なき殺人が物語の発端であり、終りなき旅の始まりであった。無明の闇の世界をさまよう幽鬼的ヒーロー竜之助はもとより、個性的で愛すべき脇役陣が活躍する雄渾壮大、痛快無比なる一大長編エンターテイメント『大菩薩峠』。漂白とユートピア、記号としての身体、冷静なる愚者、欲望の体系など新たな視点から、人間への深い洞察にみちた予言的な作品の思想的核心を読み解く冒険的試み。

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