若く美しい母・静子から溺愛されている中学2年生の静一。
クラスの女子・吹石に淡い思いを寄せたり、従兄弟のしげると遊んだり
ごく普通の中学生として暮らしていた彼の日常は
夏休み中に両親としげる一家との登山中に起きた事故から明確に壊れ始めます。
事故当時に母が取った行動が信じられず、彼女の一挙手一投足に過敏になる静一。
静一の心境を知ってか知らずか、吹石と静一の関係の進展を露骨に阻み、抑圧する静子。
抑え込んでいた苦しみと狂気を解き放ち始めた母と、静一はどう闘っていくのでしょうか?
事故の真相が明らかになるかどうか、というサスペンス要素もあり、
とにかく緊張感がすさまじい一作です。
感情タグBEST3
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この母の表情
ドラマ化もされた僕は麻里のなかの著者押見修造の最新作である。
特に大きなドラマがあることのなく始まる導入部。
白い紙面そこに描かれているありきたりの日常。
中学生の息子と母 キレイな母であるのだけどどこか違和感が…
息子の幼き日の記憶を聞いたその時の母の表情にこの先起きることの意味が隠されている。
毒親と支配
田舎に住む少年静一。
父親がいて、母親がいて学校へ行けば友達がいる、ごく普通の少年である。
静一の一日は母親・静子が彼を起こすところから一日が始まる。
静一のリクエストで中華まんの味が肉まんになったりあんまんになったりしても静子は笑顔で用意する。
学校へ行けば友達とじゃれあい、気になる女の子と会話する。
休日は父方のおばがいとこのしげちゃんを連れて毎週やってくる。
正直気乗りしない静一だが静子を見ると笑顔なので嫌とは言えない。
やわらかいタッチで淡々と描かれる田舎の少年を題材にしたおはなしなのに、常に何か恐怖を感じながら読んでしまう。
冒頭に出てきた猫の死骸のかたわらでの静一と静子の会話が夏の暑さが伝わってくるのと、うすら寒さが忍び寄ってくるのが絵からとても伝わってくる。
あと繰り返される描写として静子の常に笑ってる顔と、おばさんの嫌な感情が伝わってくるような笑顔、笑い声がとても印象的。
端々に静子と静一がバカにされててそれを心の底でよく思ってないけど言い返せないのがもどかしい。
のどかな田舎の風景がどこか、監獄のように閉鎖的で、人間関係の狭さに拍車をかける。
しげちゃんを突き落とした静子の真意はなんなのか。
これから親子の関係はどうなっていくのか気になる。
名作の予感
どこか懐かしさを感じさせる絵に引き込まれ、最初はどういった話なのか全くわからず、読むのが止まりませんでした。読み進めていくと、母の狂気ともいえる息子への愛情が垣間見え、背筋がぞっとしてきます。子供への愛情の範疇を超えた感情をもつ母親の静子が、この先どうなっていくのか。そしてそれを受け入れる息子の静一がこの先どうなってしまうのか。まるでサスペンス小説を読んでいるような感覚に、誰しも取り込まれる作品だと思います。
綺麗なお母さんの裏の顔
テーマは毒親。果てしなく重いストーリーですが、とても綺麗なお母さんと、思春期真っ只中である13才の中学生男子のもどかしい距離感や、実際にありそうなリアリティあふれる描写にどんどん引き込まれてしまう作品です。綺麗な顔して、いとこを崖から突き落としたり、同級生からもらったラブレターを破ったりと、ありえない行動ばかりの母親に追い詰められていく息子の静一。今後の展開が怖いと同時に楽しみです。
不思議な感じです。
描写が独特で、さらに独特な世界観があります。
思春期の男の子の主人公が昔、猫が死んでいるのを見つけたが、それを見て微笑む母親。まったく謎です。しかし謎があるからとても続きが気になる!
あの微笑みの意味はいったいなんなんだろう。今後どう物語が進むのか期待します!
毒親をリアルに描いた漫画
「ぼくは麻里のなか」などで有名な押見修造さんの最新作です。
息子を溺愛する母親の毒親ぶりに注目です。心理描写が細かく、人の心理の移り変わりが分かりやすく描かれています。息子視点からの話ですが、この母親の心情が絵で伝わってきます。身内、親戚であれど許せない事や気にくわない事ってありますよね。ささいなことでも。まさにこの母親は身内に潜む悪魔です。子離れできない親など身近な話題なだけに余計ゾッとするシーンもあります。これからどうなるのか続きが気になる漫画です。
Posted by ブクログ
⚠️最終巻までのネタバレを含みます⚠️
筆致がエドワード・ゴーリーの絵本のように細かくおぞましさを含んでいて、母親と静一の精神の異常性がよく描かれていた。特に発狂した時の線のぐちゃぐちゃ加減はまるで幼稚園児が書いたみたいに崩れていて、他の漫画には無い狂気を感じさせた。
あとは目や口といった体の部位の描写が生々しくリアルで、台詞がなくとも表情で感情がこれでもかというほど伝わってきて緊張感がとても伝わってきたので、あぁ、次のページを捲るのが怖い……と躊躇う瞬間が度々あった。
内容については、静一が母親からされた虐待じみたことを恐怖し、恨み、自分の精神と人生を殺した母親を自分の中から殺して生きることになったけれど、再会して母親の過去を聞いた時に”あなたも殺されたんだね”と、第三者からみれば決して消えないであろう憎しみに折り合いをつけて、母親を介護する選択をしたことには色々考えさせられました……最期の最期には本音を言い合って笑い合って”母と子”になっていた……。
そして自殺未遂を繰り返していた静一が最終話で綺麗な風景を見て「綺麗だ」と思える心を持つことができたことには、一人の人生が救われたというか、生きていてくれてありがとうと言いたくなった。最後母親の顔を思い出せなかったのは、きっと静一がちゃんと静一自身の人生を歩むことができているからだと思いました。
年の瀬に素晴らしい漫画を読むことができて嬉しいです。私も自分の人生を歩んでいけるようになりたい。怖いものみたさから読んだ漫画でしたが、私に生きる勇気をくれました。
独特でどことなく薄気味悪い
作者さんにしか出せないこの世界観が読み始めてすぐに癖になってあっという間に読み進めてしまいました。まだどんなお話かよくわかりませんが先が楽しみです。
読んだ後表紙の生々しさに気づく
「悪の華」「ハピネス」で評価された作家・押見修造先生の最新作。
今までの作品同様、生々しすぎるリアリティを淡々と描くような内容で良い意味で読むのにカロリーを使います。
サイコホラーやサスペンス的な内容なのですが、キャラの精神面に深く踏み込んでおり、それらを上手くストーリー上で転がす感じが巧妙でかつ、秀逸です。
これは毒親フォローの漫画かも?
個人的には押見さんはあまり好きではなかったが、毒親がテーマだというのに何か惹かれて購入した
毒親とその子供を非難したり嘲笑う感じの内容なのだろうかと思いながら読み始めたが、一巻を読んだ範囲で感じられたのは、むしろ毒親と子供の間の愛情への同情と、その愛情を無神経かつ無邪気に批判する従兄弟の親子への敵対視だったように思う
これからの展開は楽しみ
美しく恐るべき「母親」の姿。
これまでも様々な作品で強烈かつ独自性の高い人間像を描いてきた押見氏が本作で主軸に据えるのは、親子。さらに言えば「母親」です。若々しく美しい静子は息子、静一にとって「良き母」であり続けました。しかし静一も中学二年生、友達との遊びや恋愛など、徐々に自分の世界を築いていく時期ですが、あまりにも距離が近く、かつ濃密な「親子」であり続けてきた静子には、その変化は耐え難いものであり……という前提から、真綿で首を締められるような息苦しさがある話が展開されていきます。恋人とも無関係な女性とも違う、「母親」の恐ろしさが凝縮されているような作品だと思いました。
息子を溺愛する母・静子
「血の轍」の第1巻を読みました。猫が亡くなった時の、静子のほほ笑みが異質で怖いです。静子がしげるを崖から突き落とし、また同じようにほほ笑んでいました。これはどういったことなんでしょうか?「過保護なお母さんの恐怖」を感じます。まだまだ謎が多く今後の展開が気になって仕方がありません。同級生の吹石さんが次のターゲットにならなければイイなと思いました。
何故か引き込まれてしまう
はじめはほのぼのとした普通の親子かと思いきや…母親の狂気が突然見え始めました。毒親をテーマにしたものだということはなんとなくわかるのですが、実際の毒親は表面上だけであったとしてもこんなに穏やかな振る舞いはできないです。特に子供の前では。そこがまた怖いのです。はっきりとまわりからも息子からも毒親だとはわからないところが。どこか現実感が薄く感じるところも何故か不思議と引き込まれてしまいました。
毒親サスペンス
初っ端から不穏です。
綺麗な絵なのになんだか怖い。
そんな始まり方です。
地味だけどぞくっとするような綺麗なお母さんに、あの平凡なお父さんはミスマッチな気がしますがどうなんでしょうか。
いわゆる毒親のお話ですが、スケールの違う毒親っぷりがすごいです。
サスペンス映画を見ているような感覚になります。
Posted by ブクログ
丁度、3巻まで読みました。
常々、男は皆マザコンだと思う。
思考回路の何処かの部分は、母親に無言の支配をされている。
自分を命懸けで産んでくれた女に逆らえないのは、
男の運命なのだろうか?
【過保護】【溺愛】と【普通の子育て】【普通の教育】の境界線は、
一体何処からなんだろう?
自分も一人っ子男子を産み育てていると、
登場人物の静子の気持ちも少し解るような気もする。
サイコパス的な思想を持った静子は、
一巻では読み手に言い知れぬモヤモヤする感情を与えるが、
3巻では精神が殆ど壊れて行ってしまう、
一人息子の静一は、そんなママ静子への愛情と、
そして、思春期特有の純真と相反する反抗心が交差する時期。
普段、漫画は読まないけれど、
「血の轍」というタイトルと画力。
それから、何処かの町の片隅で起きているようなストーリー展開。
リアリティー溢れるヒューマニズムの塊のような作品に、
3巻30分というビックリするような速さで読み倒しました。
この漫画、終焉はどうなって、どんな終わり方をするんだろう。
凄く気になる。
絵が上手くなってる
まず作画が絵画風でとてもキレイ
なぜか朝ごはんは餡まんか肉まんの2択。。
息子を溺愛する美人のお母さんでも何かが引っ掛かるおかしい。。
毎週末いとこ親子が押しかけて迷惑するも
明るく対応する
登山に出かけることになり。。。ある事が起きてしまうという1巻だった
そこまで・・・
人当たりが良くて息子を溺愛する母親が最後にやったことはまあ理解できなくはないんですが、この先どう話が進むのかは気になりますね。
この調子でバンバンやっちゃうのでしょうか。