若く美しい母・静子から溺愛されている中学2年生の静一。
クラスの女子・吹石に淡い思いを寄せたり、従兄弟のしげると遊んだり
ごく普通の中学生として暮らしていた彼の日常は
夏休み中に両親としげる一家との登山中に起きた事故から明確に壊れ始めます。
事故当時に母が取った行動が信じられず、彼女の一挙手一投足に過敏になる静一。
静一の心境を知ってか知らずか、吹石と静一の関係の進展を露骨に阻み、抑圧する静子。
抑え込んでいた苦しみと狂気を解き放ち始めた母と、静一はどう闘っていくのでしょうか?
事故の真相が明らかになるかどうか、というサスペンス要素もあり、
とにかく緊張感がすさまじい一作です。
感情タグBEST3
怖い怖い怖い
寒い季節になっても出しっぱなしの扇風機、荒れた部屋で静子の精神状態が病んでるのが読者に伝わってくる。
吹石さん可哀想、清一も可哀想。
そして静子も自分には可哀想に見える。
次第に成長していく息子に適応できず
息子の成長を止めることを選んでしまった。
夫に頼れず息子をどう扱ったらいいかも分からず
彼女は混乱しているように見える。
そしてついに「その瞬間」がくる。
彼女はそれを待っていたようでもあり、恐れていたようでもあり
…多分両方だろう。次巻に期待。
背景も生きている
ページをめくる度に次は何が起こるのだろうとハラハラする。まるで実写の映像を観ているよう。散らかった部屋のシーン、ティッシュが2つあるが、これは新しいティッシュ箱を開けて古いティッシュの空箱を捨てずに放置しているから2つあるのだろう。気力がないときの自分の部屋そっくり。何気ない一コマの背景までしっかりと考えられていて、細部までじっくり読んでしまう。
Posted by ブクログ
静子には地方都市の専業主婦という生き方が合わないのだと思う。
他の人生を選べない閉塞感やストレスが息子へと向かってる。
過干渉と拒絶の繰り返し。精神的な虐待だ。
母親をやめて静子の身勝手に生きてもらった方が息子のためなのではなかろうか?
母親という役割には過剰な期待と負担があると思う。
苦手な人が病んでしまうのもわかる気がする。
Posted by ブクログ
本筋とは関係ないが疑問がひとつ解けた。
客観的にも静子は若く美しく描かれている。思春期の中学生男子の母親としては不自然なほど、下手すれば同年代の性や恋愛の対象になりうるほどに。
なのに作中誰一人としてそのことに言及しない。従兄弟も同級生も周囲の人間も、「静ちゃんのママ相変わらず美人だね」の一言もない。
それが何故なのか考えて、わかった。
息子視点だからだ。
静子と静一の共依存を前提にするとこの説は非常にしっくりくる。そしてぞっとした。おそらく周囲の人間にとっては静子はどこにでもいる普通の母親、ちょっと若作りなだけの普通のおばさんなのだ。だが静一には特別美しく見える。
呪いがとけた時、静一には本当の静子が見えるのだろうか。
Posted by ブクログ
名作。もはや芸術。
ここまでの話で7巻もかかってるけど、全く無駄じゃない。
表紙がすごく美しく描かれているのに見ていられないほど気持ち悪くて拍手喝采。