國分功一郎のレビュー一覧

  • 「利他」とは何か
    思ってたんとちがう。

    読後に感じたこの違和感は、この本がそれだけ私に価値ある一冊だったことを物語ります。なぜそう感じたのか、お話します。

    この本は、東京工業大学内にある、人文科学の「未来の人類研究センター」に集まった5人の研究者による合作本です。
    様々なキャリア、視点から、「利他とは何なのか」と...続きを読む
  • 「利他」とは何か
    善とは利他のことではないかと常々考えていたところにぴったりの名前の本を見つけたと思い読んでみた。目論見は外れたものの、著者ごとの角度から面白い知見を得られた。特に國分氏の古代ギリシャには意思がないというのは興味深く、人間に自由意志はないとする話を思い出した。
  • 原子力時代における哲学
    原子力に関する問題を哲学の視点から考察する。戦後間もなく、核兵器反対の風潮は高まったが、核技術そのものへの問いかけはなされてこなかった。そんな中で1950年代といち早くそれに言及したのがハイデッガー。ハイデッガーの思想を応用し、原発や核技術管理について考える。
  • 「利他」とは何か
    利他とは?を、異なるバックグラウンドの複数人の観点から追求した結果、様々な料理や素材を受け止めるような「うつわ」であると結論づける本。個人的には自分と他人を一体として捉えた自然への同化と解釈した。
  • 「利他」とは何か
    4人それぞれの「利他」についての考察が書かれていた。わかったようなところと難しいなぁと思うところがあったが、「利他」を考えるきっかけになった。
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ
    哲学者・国分功一郎によるスピノザの倫理学入門書。Eテレ『100分de名著』の増補改訂版とのこと。
    冒頭から『組み合わせとしての善悪』『物がもっている力を本質と考える』と、今の社会にこそ必要ではないかという物事の捉え方が説かれていて、ここまででもう読んでよかった。
    「はじめに」で「思考のOSが違う」と...続きを読む
  • 「利他」とは何か
    昨年NHKの番組でジャック・アタリ氏が発した「利他主義とは合理的な利己主義」という言葉に私もとても共感したのだけど、この東工大の研究会のメンバーがまた豪華だし、とても面白かった。特に伊藤さん、中島さん、若松さんの章はわかりやすいし読んでいて膝を打つことが多かった。
    放送直後にもこのジャック・アタリ氏...続きを読む
  • 社会の抜け道
    哲学者の國分さん(39歳くらい)と、社会学者の古市さん(28歳くらい)が、消費社会、デモ、保育園、食の問題、反革命について雑談した本。

    カジュアルな文章で読みやすいし、2人の博識なところが面白い。國分さんの子育て論的な部分も経験者だけにリアルで良かった。

    とても旬な話題を取り上げているので、なる...続きを読む
  • 来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題

    住民参加制度を取り入れるには

    政治への無関心が広がっていると言われて久しいが、行政がすべてを決めて我々市民は一つ一つの政策に関与できない体制になっていること、そして、いくら選挙で議員を選んだところで何も反映されないどころか、偉そうにふんぞり返っている議員ばかりで誰が信用できるのかなんて分からない、そんな状況じゃあ無関心になるのも...続きを読む
  • 原子力時代における哲学
    「原子力時代における哲学」國分功一郎
    哲学講義録。

    フクシマ後の原子力を、ハイデッガーの著作を下敷きに、哲学者が講義する一冊。
    著者によれば、原子力の平和利用についてこれまで語ってきた哲学者は少ない。そんな中、1950年代の原子力発電黎明期に、その技術論的な矛盾を説いているのがハイデッガーである。...続きを読む
  • 社会の抜け道
    社会は革命で一気に変わるのではなくて、社会の中にある、ちょっと楽しい抜け道みたいなところを、気づいた人が通ったり使ったりしていくうちに少しずつ変わる、という考えに納得。
  • いつもそばには本があった。
    この本は、ドゥルーズなど仏哲学を中心とした哲学研究者の國分功一郎さんと、雑誌編集者兼ソシュール研究者でもある互盛央さんが、昔読んだ本に関する文章を相互に交換リレーする形式で綴ったものである。フォーマットとしては珍しく面白い仕掛けだが、それが成功してこの本を特別な本にしたかというと、それほどまでではな...続きを読む
  • 保育園を呼ぶ声が聞こえる
     前期高齢者の男性が読んで、何だか暗澹としてくる現場の報告です。

     自分の子供たちのことをきちんと考えなかったし、ましてや保育園とかについて実質的行動を何もしなかった「子育て」だったことに対して、まず振り返らないと、というのが一つ。

     今、目の前の、お孫さんたちや、その母親、父親の置かれている社...続きを読む
  • 原子力支援  「原子力の平和利用」がなぜ世界に核兵器を拡散させたか
    原子力支援の提供側と被提供側双方に様々な思惑(経済的利益、周辺国への脅威等)があり、結果的に核兵器拡散につながった可能性が高いことが統計的分析により示された。IAEAにとって日本がよい事例(原子力支援を受けていながら核兵器保有を企図しなかった例)であることは興味深かった。
  • 近代政治哲学 ──自然・主権・行政
    人が集まり、そこでできる、せざるを得ないルール作り。
    それが、どんな「哲学」で成り立っているのか、それを整理する著書。
    分かりやすい良著。
  • 哲学の先生と人生の話をしよう
    引用が上手。引用されてる本を読みたくなる。
    関口存男の、世間が面白くない時は勉強にかぎる。 失業の救済はどうするか知らないが個人の救済は勉強だ。という文章が印象的。改めて読んで見たい。
    人生相談の回答はなかなか良い。人間は間の抜けた自意識に振り回されてるんだなあ、と自分含めてこっぱずかしいものも多い...続きを読む
  • 来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題
    議会制民主主義においては、民衆の代わりとなる代議士が政治を行いますが、実際に政策などを実現するのは行政であり、その行政には独断的な強い決定権がある。つまり、この国を動かしているのは民衆が選んだ政治家ではなくて、公務員たち行政の側だというところに、日本の民主主義の欠陥があることを解説しています。そこを...続きを読む
  • 近代政治哲学 ──自然・主権・行政
    タイトル通り近代政治哲学の主要な人物における理論、主張の概説なのだが、紹介されている7人の考え方にどのような差異があり、またどのように変遷を辿ってきたのか、そしてなおも解決されていない課題には何があるのか、という点に言及がある。結論といえるものはなく、最後はこちらへ投げる形で終えているのは、その先は...続きを読む
  • 近代政治哲学 ──自然・主権・行政
    近代政治思想といえば、社会契約説がすぐに頭に浮かぶが、ボダン、スピノザ、ヒューム、そしてカントの政治論をそこに並べてみれば、ホッブズやロックの思想がまた違って見えてくる。
  • 近代政治哲学 ──自然・主権・行政
    たまたま目に入って、気になったので読んでみる。

    フランスのポスト構造主義のドゥルーズの訳者による政治哲学入門と思ったら、実は、こっちのほうが本業らしい。ほ〜。

    かくいうわたしも、実は、政治学のM.A.だったりするので、メジャーな関心に近かったりする。

    といっても、政治哲学をちゃんと勉強したわけ...続きを読む