國分功一郎のレビュー一覧

  • 言語が消滅する前に
    中動態、勉強、コミュニケーション、エビデンス主義などなど、様々なトピックが、「言語」の横軸で横断的に議論されている1冊でした。とくに第3章「「権威主義なき権威」の可能性」が、示唆に富む内容が個人的に多かったです。

    現代的なコミュニケーションは、何でも明確に表出することを求める、明るみの規範化が問題...続きを読む
  • 未完のレーニン 〈力〉の思想を読む
    めちゃめちゃおもしろい!
    白井聡の初めての著書の文庫化だが、今文庫化してくれた講談社ありがとう!の気持ちが溢れる。

    レーニンの著書に明るいわけではないので、この読解が新しいのかどうか、判断はできない。
    でもはじめてレーニンのやりたかったこと、やろうとしたこと、やったことの意味がわかり、めちゃくちゃ...続きを読む
  • 「利他」とは何か
    医師は患者さんのために働くし、産業医は働く人のために働くので、利他的な職業でありそうですが、そこで利己的な利他を発動しがちなのもまた真だと思うので、メタな視点ってやっぱ重要なんだなあ、と思いました。
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ
    自由についての章が私にとって1番印象的であった。自由とは何か、自分が誰からも何からも制約を受けずに思い通りに出来ること、曖昧にそんな風に思っていた。そんな自由など獲得できるのかという思いがあったが、スピノザの視点を知り少しずつ獲得して行けそうな楽な気持ちになった。
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ
    「エチカ」についてわかった気にさせてくれた。
    荘子の「万物斉同」の考え方を思わせる善悪の考え方、同じく荘子の「道」に近い「神」の考え方は日本人にも馴染みやすいと思う(個人的には科学とも親和性高いと思うんですよね)。そして近年の神経科学の知見にも通じる意志と意識の関係についてもとても面白かった。「自分...続きを読む
  • 近代政治哲学 ──自然・主権・行政
    めちゃくちゃ勉強になった。難解な哲学をかなりわかりやすく書いているし、何より現代に引きつけて例示をしてくれたりしているので、一層わかりやすい。もちろん全て簡単に理解できるものではないので悩みながら読む時間は必要だけれど、一冊読み終わった時には自分の認識がかなりアップデートされていることは間違いない。...続きを読む
  • 「利他」とは何か
    コロナ禍に「利他」が流行っているらしい。それを東京工大の「未来の人類研究センター」のメンバーで、この言葉の論考を集めた本。伊藤亜紗、中島岳志、国分功一郎、若松英輔、磯崎憲一郎と今はときめくかどうかは分からないが、私自身は共感を呼んでいる著者ばかり。それぞれの論考の切り口が興味深い。「利己」の反対は「...続きを読む
  • 原子力時代における哲学
    国分先生の著作を数冊読んだけど、これだけ毛色が違うので躊躇ってましたが、原発事故10年かぁ、いい加減考えないとなぁと思ってようやく読みました。
     内容は思っていたほど難しくなくて、講義録なのもあって非常に読みやすかったです。途中のハイデッカーの引用は難しかったですが、要は結論を述べるんじゃなくて、対...続きを読む
  • 来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題
    来るべき民主主義
    国民主権は主権者である国民が立法権を持つことだと定義されている。近代国家は統治の規範を公開性の高い法に求めてきたためである。しかし、行政府が立法府の定めた法の執行機関に過ぎないという前提が崩れ、行政府が立法府を超えた権力を持つ現在において、現状の国民の政治参加の方法は十分に民主的で...続きを読む
  • いつもそばには本があった。
    著者たちとあまり学生時代を過ごした年代が変わらないので、この本でふれられている”あの時代”の雰囲気はよくわかる。なぜか浅田彰の本がベストセラーになって、ドゥルーズ=ガタリの『アンチ・オイディプス』などという本が平積みになったりしていた時代だった。ちょっと前には「朝日ジャーナル」などという雑誌があって...続きを読む
  • 近代政治哲学 ──自然・主権・行政
    主要な政治理論を明晰にまとめている。多くの学者がごまかしているロック政治論の欺瞞性を指摘しているのもよい。主権概念が立法権を中心に考えられてきたことを問題化し、強大な行政権力とどう向き合うかというところで終わる。個人的には、スピノザ・ルソー・カントの章がおもしろかった。
  • 哲学の先生と人生の話をしよう
    単に質問にたいして、國分さんがそれに答えるというよりは、質問者の問いに秘められた欲望を明らかにして、質問者にそれを再提示するというやり取りが鮮やかで興味深かった。
  • 原子力時代における哲学
    1950年代、核実験や核開発が進む中で、
    「原子力の平和利用」に関しては誰も警鐘を鳴らさなかった。

    ハイデッガーを除いては。

    誰もが「原子力の平和利用」や原子力発電に夢を見ていた時代にあって、どうしてあの哲学者、ハイデッガーは核戦争よりも「原子力の平和利用」の方が恐ろしいと看破することができたの...続きを読む
  • 原子力時代における哲学
    タイトルから敬遠していたが、読んでみるとさすが國分功一朗氏。単に原子力にNOを言いたい主張本ではなく、「原子力という困難な問題に向き合うために、人類が鍛えるべき思考や態度は何か」をハイデガーを中心に紐解いた実践的哲学書。
    ハイデガーが「会話劇」というスタイルで主張したかったことは何だったのか?という...続きを読む
  • いつもそばには本があった。
    新しい形式である。対談でもない。往復書簡でもない。同時代を生きてきた二人のなかで本を介した記憶や思想のネットワークがつながり、広がる。アクチュアルな哲学に興味のある人ならば、引き込まれるはず。いわゆるエッセイやガイド本ではない。

    ・アーレントは最後まで実存主義を離れなかったには目からウロコ。
    ・内...続きを読む
  • 保育園を呼ぶ声が聞こえる
    現状の保育園事情からも日本は世界の先進国より随分遅れているし、保育園のみならず、幼児教育のこと、子供の権利のことを真剣に考えられていなかったことにただただ驚く。保育園にただ子供を預けられればいいという話ではない。 実際に自分がいくつも保活で保育園を見学して、狭い、汚い、交通量が多い立地など、小さい子...続きを読む
  • 保育園を呼ぶ声が聞こえる
    昨年は「保育園落ちた‥」のブログや、新規保育園の計画中止のニュースで「待機児童問題」という言葉を何度も聞いた。
    だけど「待機児童」の何が問題なのか?本当には分かっていなかった‥問題は、保育そのもの。安心して「保育」を受けられなければ、親は働くことができない。もちろんそれは二人であろうがシングルだろう...続きを読む
  • 哲学の先生と人生の話をしよう
    相談者のメールにまるで推理小説のような明晰な洞察を加えて普通の人生相談を超えた内容の解答が素晴らしかった。知性の高い人ってこういう人の事を言うんだなぁと思った。
  • 原子力支援  「原子力の平和利用」がなぜ世界に核兵器を拡散させたか
    原子力分野の二国間関係と国際機関のあり方について、学ぶには最適の本。国際政治の勉強をしようとする人には、本書を読むことを強く勧めたい。なぜなら、国際政治における、国家と国際機関のあり方を考える上での一助となるからだ。
  • 近代政治哲学 ──自然・主権・行政
    緩い封建社会と宗教戦争から主権や自然状態といった概念が生まれ、磨かれ、近代政治哲学が構築されてきたんだけど、それからはみ出たところにある強大な権力を有する行政をどうしていくのか、それが現代の課題であり、近代政治哲学をさらに発展させていく必要性もそこにあるのかな。