國分功一郎のレビュー一覧

  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ
    デカルトとスピノザの思想の関係が、やさしく的確な言葉で整理されていてありがたい。また、本質を形ではなく力として捉えなおすという視点は、ニーチェやフロイトにはじまる理性批判の流れを見通しやすくするものだと感じた。
  • スピノザ 読む人の肖像
    読み終えた僕らは、岩波新書らしからぬ煽りに煽った帯コピー「この思考は、人間のすべてを根底から覆す」が、全然大げさではないことを体感する。
    スピノザという至高の読む人と、國分功一郎という気鋭の読む人との対話を通じて、読むこと、読み継ぐことの難しさと楽しさ、素晴らしさを体感できる一冊でもある。
    難解なテ...続きを読む
  • スピノザ 読む人の肖像
    スピノザに惚れ込んでから、手当たり次第スピノザ本を読んできたが、この本は新書の体裁ながら、第一級のスピノザ研究である。現時点で日本語で読める最上のスピノザ解釈ではないかと思える。
    著者が10年以上かけて書き上げたというのは、むべなるかな。
    一切の外的なるもの=超越的なものを必要とせず、すなわち目的論...続きを読む
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ
    読みやすい。
    國分さんの『中動態の世界』の話がスピノザを主題に語られている。

    理解とは主体の変容を伴っている。

    本書では触れていないが、徹底的にロジカルで反駁のしようのない「数学」が一番、その考え方になじむのは不思議だ。

    自由意志概念のラディカルな見直しも。

    デカルトとの対決を通して、もう一...続きを読む
  • スピノザ 読む人の肖像
    スピノザの著作を想定される時系列でその人生でのできごととも関連させながら、紹介していく。そのため、「エチカ」の執筆を中断して、「神学・政治論」を書いたということを踏まえて、エチカの前半と後半の間に「神学・政治論」の解説がはいる。そして、「神学・政治論」の議論が「エチカ」の後半にどう影響を与えたかが検...続きを読む
  • 言語が消滅する前に
    Audibleで。対談本を聴くのはなかなか良いですね。

    前半國分さんの『中動態の世界』について考える補助線が引かれた感じでよかった。千葉さんの『勉強の哲学』も読んでみたい。

    考えたいことが色々あったけど「勉強のあり方」とあとは「帰責性と応答性」については特に、NPO等の評価と結びつけて「帰責性評...続きを読む
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ
    スピノザを「汎神論」として学んでしまうと、どうしても神のことばかり考えたスピリチュアルな人だと思いがちだ。だが、実際にはそういうことではない……ということがよく分かる一冊だった。スピノザについてぼやっとしていた所がはっきりできたので良かった。
  • スピノザ 読む人の肖像
    既にある著者「はじめてのスピノザ」より何歩も踏み込んだ内容でありながら、はじめての読者にも寄り添ってくれる内容だと思う。

    神の定義、
    第一〜第三認識という概念、
    受動と能動。

    自由という概念がぼくの外にあるんじゃなくて、ぼくは自由になったときに、それが自由だと気づく。自由の定義づけじゃなく、あく...続きを読む
  • スピノザ 読む人の肖像
    一歩ずつ立ち止まって、ターンイングポイントだよと言ってくれたり、後回しにしましょうと提案してくれたりと、懇切丁寧な解説をしながら伴走してくれます。
    が、理解できない。何度も読むしかない。難しい。
  • 言語が消滅する前に
    哲学する威力を思い知る。ラディカルな視点を提示しつつも、それで全て事足れりとはしないバランス感覚。対談が成功している稀有な本。

    ・依存症からの回復とは回復し続けること
    ・コロナ禍でのアガンベンの発言
    ・理系の数学、文系の言語
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ
    めちゃめちゃ分かりやすいしおもしろい


    *自由について
    たとえば今日ぼくはテニスをしたけど、それは自分が今いる会社に入ったからで、というかそもそもテニスができるからで、でもそれはそもそも○○なのが原因で、あのときだれだれにこういわれたからで、じゃあそれはそもそも、、とたどると、(テニスに限らず)文...続きを読む
  • 「利他」とは何か
    ずっと以前から、私が求めていたものは利他だったんだなぁとわかった。
    小さい頃から「意志が弱い」ことがコンプレックスだったけど、むしろその「余白」が私には力になっていたのかもしれない。

    状況に身を置き、そこから生まれる力にほだされて、気づいたら動いてしまってきた。
    「そうやって仕事増やして、自縄自縛...続きを読む
  • 未完のレーニン 〈力〉の思想を読む
    レーニンという人物が何故、資本主義、国家をこの世から暴力革命という非民主的な方法で破壊して、ソビエトという民主体制を作る矛盾した事をしたのか?、コレ全てがレーニンによる完全な論理によって行動されていた事を示してくれる驚愕の名著。
    レーニンの革命はまだ終わるどころか始まってもいなかった事を購読後我々に...続きを読む
  • 言語が消滅する前に
    それぞれ異なるテーマについての対談だが、言語が消滅しようとしているという危機意識がこの本の最も深いところで共有されている。個人的には最近言語から遠ざかってしまっていたので、このタイミングで読むことができて良かった。
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ
    文學界での若様との対談から國分先生の著作に興味を持ったリトルトゥースへ。「中動態の世界」の中にもスピノザさんの主張が取り上げられる箇所が多くあるので、ぜひ本作から読んでみてください。
  • 「利他」とは何か
    荒木博之のbook cafeで紹介されたものを偶然拝聴し、「利他」の在り方を本書で触れてみたいなと思い、手に取ってみた。総じて、利己的な利他へ陥ることへの警鐘と。「うつわ」としての自己からさらに上位へと昇華したものとの関わりからの達観した感覚を受け取りました。

    第一章 「うつわ」的利他 - ケアの...続きを読む
  • 言語が消滅する前に
    タイトルに惹かれ、昨今の言葉の誤用を嘆いた内容なのかなと軽い気持ちで手に取ったらもっと深く切り込んだ内容でした。
    著者の方々やきちんと内容を知らずに購入したので、こちらが不勉強なため中々理解が難しかったです。

    漠然と今まで自分の中で考えていたこと、気になっていたことが次のステップに進むようなヒント...続きを読む
  • 言語が消滅する前に
    とても面白かった。同世代ということもあり、私にとっては難しい内容の所があっても、肌感覚で分かる部分もあり、楽しく読んだ。恥ずかしながら、千葉雅也氏のことは本書で初めて知り、勉強の哲学を読み始めた。キモ友、欲しくなりました。
  • 「利他」とは何か
    近代的な「主体」を前提とした「利他」は利己の変奏に過ぎない。では、利他がたちあがる場とはどのようなものか。そのことを5人の論者がそれぞれのフィールドに引きつけて読者にわかりやすく説いてくれている。5人話はどれも本当に面白い。
  • 言語が消滅する前に
    現代に生きて社会の病的に感じることや不安について清々しいくらいに切り込んでいて、もやが晴れる気分で読みました。お二人の俯瞰した視点から自分だけでは見えなかった世界について考えを巡らすことができました。また、言語そのものが消えて行く過程にあると実感は湧かないものの、消えつつあるとはどういうことか、感覚...続きを読む