國分功一郎のレビュー一覧

  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ
    思考においてエビデンス偏重をしているのではないかと言う側面と、その対称としてスピノザによる体験としての真理、主体の成長を伴う確信などについて。
    医学においては経験や理屈偏重の治療に対する反省でエビデンス至上主義みたいな時期があり、今はいずれも尊重している印象がある。触れる機会も多いので、個人的にはエ...続きを読む
  • 「利他」とは何か
    利他: うつわになること。意図的な行為ではなく人知を超えたオートマティカルなものであり、そこに利他が宿る。
  • 「利他」とは何か
    専門が異なる著者らの視点から「利他」を考察する。利他は主義にすると怖い。なぜって「私の思い込み」でやったことが、結果的に他者の助けになれば「利他」だろうが、時として「余計なお世話」にも「押しつけ」にもなる。自分の思いを正当化して、相手の言葉や反応にほとんど耳を傾けず、独善的な「支配」でしかなかったと...続きを読む
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ
    17世紀、社会の分岐点となった時代に生きた哲学者、デカルトとスピノザ。人類が歩んできた近代はデカルトの思想を中心に発展を遂げた。(全部を疑い万人に理解されるものだけが真理であるというエビデンス絶対主義)
    スピノザの思想は現代を生きる我々と「思考のOS(考える前提)」が異なり、わかりづらい部分も多い。...続きを読む
  • 来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題
    そうだよね、めざすものなんだよね。
    何にでも当てはまる話。

    思想というのは、それほど普遍的なのだと教えてくれた。
  • 言語が消滅する前に
    脳みその中がいい具合にシャッフルされる感覚の対談。中動態の話はいつ読んでもおもしろい。
    2人の本の第二弾が読みたい。
  • 近代政治哲学 ──自然・主権・行政
    近代国家成立までの歴史や基本的な概念について。ホッブズ、スピノザ、ロック、ルソー、ヒューム、カントの思想がコンパクトにまとまっており読みやすい。一般の教科書では「ホッブズは絶対王政を擁護した〜」とか「ロックは抵抗権を認めてた」のような記述がよく見受けられるが、解釈としてミスリーディングな部分もあり原...続きを読む
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ
    むかし難解すぎて挫折していたスピノザ。著者がとてもわかりやすく整理してくれました。

    最初にデカルトとOSが異なると言ってくれたので、読み進めやすくなった。
    自由のところは特に共感した。私たちは自由の意味を履き違えているのかもしれないと。

    そして最後の章のデカルトにあたる回収の部分もとても興味深く...続きを読む
  • 言語が消滅する前に
    対談形式は諸刃の剣みたいなもので、両者の対話がマッチしているとすごく良いが、そうでない場合はあっさりと読む気を失ってしまう。中間はあまりなくて、良いか悪いかどちらかに偏る傾向がある。
    本書はお二人の相性がよく、それぞれが良い味を出している前者の好例だと感じた。
  • 「利他」とは何か
    「器」のような人に自分はなれるだろうか?

    人間は意志の保有者ではなく、思考が留まる「場所」なのだということ。自分が人生に対して抱いている不可抗力的な恐ろしさの断片を言語化してくれているように感じた。
  • 「利他」とは何か
    「利他」とは何か。
    タイトル通り、利他的であることについて様々な観点から論ずる。本質的に絶対の利他は存在しうるのか、利己的な利他の点から。あるいは、利他はどこからやってくるのか。利他を民藝の観点から。意思を超えた中動態から利他を考える。そして、小説ははたして作者のものなのかという点から利他を考える。...続きを読む
  • 「利他」とは何か
    「利他」の対義語は「利己」だが、両者はメビウスの輪のような関係性。
    この世界の全てを「利己」と「利他」に分けたら、98%が「利己」で、残りの2%が「利他」、そのくらい利他というものは貴重。
    「情けは人のためならず」という諺は、利他ではなく利己を表している典型的なものだと思う。ボランティアも同様。愛も...続きを読む
  • 言語が消滅する前に
    他者の時間と自分の時間の二局に縛られずに生きていくことを心に留めて、訳のわからない時間を許容できればいいのか。
  • 言語が消滅する前に
    20世紀の哲学は、言語論的転回ということだったんだけど、その「言語」が消滅しているという。ならば、21世紀の哲学はどうなのか?

    みたいな問いがあるのだが、直接的にそれを考えるというより、SNS、ポピュリズム、コロナなどなど、今起きていることを例にしながら、ぐるぐると周りながら、その問題に近づいてい...続きを読む
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ
    とっても面白く、わかりやすかったです。
    スピノザの倫理学のロジックをしっかりと理解できたつもりになりました。
    「物の本質は「力」である」、「自由意志は存在しない」などなど今までのものごとの捉えかたをひっくり返されるような内容が次々とでてきました。
    自分であれやこれや考えながら、概念を自分のものにして...続きを読む
  • 「利他」とは何か
    最大多数の最大幸福を意識した利他の考え方…同じお金があるなら、なるべく効果的に使おうとする考え方が新鮮。

    贈与は支配に容易につながりうる(pityが伴う)という点が印象的だった。

    第3.4章は哲学的で私の理解が追いつかず…
  • 言語が消滅する前に
    「責任回避論」のところが面白かった。ケーキ屋さんでの例え。相手に(お客)に改めて確認することによって「私は、ちゃんと確認しましたよね」というような自分が責任を負わなくても良くするというくだり。なんでも「責任」を追求してしまうあまり、社会や人間関係が窮屈になっているような印象を抱いていたので。どこかで...続きを読む
  • 哲学の先生と人生の話をしよう
    「相談」って難しい、と思う。
    誰に何をどんなふうにどこまで伝えたらいいのかが分からない。そして、誰かに何かをどういうふうに伝えられたときにどう返したらいいのかも分からない。
    人と人との関係があって初めて成立するコミュニケーションであると感じる。
    本書で相談者は、インターネットを利用して仮面を被った状...続きを読む
  • 言語が消滅する前に
    今をときめく國分さんと千葉さんの過去からの対談をまとめた本。ご本人たちも述べられていたが、別々に企画されたとは思えないほどに一貫性のある対話になっている。後から編集したこともあるだろうけど、筋は通っている。
    そこで語られているのは、エビデンス主義というか、責任と主体の問題というか、言語なき透明なコミ...続きを読む
  • 「利他」とは何か
     「利他」の気持ちは、見返りも期待せずに、自然と沸き起こるもの。
     このことを仏教、ギリシア語、民藝、小説の作家法などの多様な観点から各論者が主張している。いわば「決定論」であり、自由意思否定論が根底にあると思われる。この意味でも、とても興味深かった。