中学生だか高校生だかで読んだ時もそれなりに泣いたような記憶があるけど、改めて、芭子ちゃんが道を違えた時の年齢になって読み返すと、嗚咽するほど泣いた。
家族にも縁を切られ、唯一の社会との繋がりであった仕事も辞めた芭子も、「独り」ではなくて。
お向かいのおじいちゃん、おばあちゃんが仕事を辞めたことに
...続きを読む気がつき、気にかけてくれていたこと。
絶縁を申し出された弟から、これからの芭子の人生を想う手紙が送られたこと。
もちろんずっと支え合ってきた綾香の存在も、全てが温かくて、苦しくて。
ひとりでは生きられないことが、時に苦しくもあるけれど、やっぱり救いなんだなあと改めて感じた。
こんなにも芭子に共感して泣いたのは、私が芭子ちゃんと同じ年齢だからか、同じ3つ下の弟がいるからか、はたまた同じゴールデンレトリバーを飼っているからか。
なにがトリガーになったのかわからないけれど、一番はやっぱりわたしも「夢がわからない」ことかなあとおもう。
「普通のCDショップなどでは売られていないCDや、名前も聞いたことのない歌手が世の中にはあんなにも多いということを、芭子は、綾香から聞いた店を訪ねて初めて知った。スポットライトを浴びることなどなくても、好きな道を歩んでいる人が、こんなに多いのかと思うと、何となく胸のあたりがざわついたほどだ。」
テレビで自分よりうんと若いスポーツ選手やアイドルやらの活躍を目にしたりして、なんとなくちくっとしたり。
親戚やら身近な人が夢に向かって頑張っている噂を聞いて、ちょっぴり惨めになったり。
そんな経験はきっと誰しも少なからずあると思っていて。
まして7年間孤独に罪と向き合っていたら、「夢を見る方法を忘れちゃう」ことへも深い共感が持てた
けれどそんな芭子が、誰かに頼りにされたい、支えたい、そのためにしっかりしよう。と決めたように、とりあえずはわたしも「1人で立てること」を目指してゆっくり生きようかな。
このシリーズはこの1作しか読んでいないから、この先の芭子と綾香の人生が、きっと2人の満足のいくものであることを願って、また残り2作も読んでみようと思います。