乃南アサのレビュー一覧

  • 水曜日の凱歌(新潮文庫)
    鈴子の心の声が良かった!東京大空襲からの終戦、大森海岸の進駐軍相手の施設等、知らないことばかりでした。鈴子の母の生き様、様々な時代に翻弄された女性達の事、鈴子の気持ちの変化等凄く感動しました。乃南アサさんの作品まだまだ読みたいです。
  • 女刑事音道貴子 鎖(下)
    最後までドキドキした。
    上下通して殆ど音道は監禁中。

    音道だけでなく、犯人達も、音道を救出したい警察も鎖に雁字搦めになってるみたいで、身動きが取れない。ギシギシしながら話は進む。

    能天気な星野はちゃんと最後までクソなセリフを言い放ってくれるし、警察を辞めるなんて選択肢1ミリも考えず、「え?なんで...続きを読む
  • 女刑事音道貴子 花散る頃の殺人
    女性であることで何かと理不尽な事が多い音道貴子。今回は理解ある仲間に恵まれている感じで短編6篇、スルスル読めた。

    おっちゃんの活躍、今後も期待です!
  • いつか陽のあたる場所で
    傷ついた人、傷つけた人、見守る人、裏切る人。
    いろいろな人間の心の中。でも自分の心の傷と妙に共鳴してしまう。読みながら、自分の生き方を見直させてもらいました。
  • いちばん長い夜に
    ものすごく良かった。まさに完結編だった。
    途中で休むとかあり得ない一気読みだった。

    芭子と南くんが、仙台からの脱出する所を読んでると、体の中から重い気持ちの悪さがせり上がってきた。また震災の事を色々思い出した。やっぱり未だに私の中にドッカリと重く居座ってるんだな。と思う。

    震災を通して芭子も綾香...続きを読む
  • いつか陽のあたる場所で
    中学生だか高校生だかで読んだ時もそれなりに泣いたような記憶があるけど、改めて、芭子ちゃんが道を違えた時の年齢になって読み返すと、嗚咽するほど泣いた。

    家族にも縁を切られ、唯一の社会との繋がりであった仕事も辞めた芭子も、「独り」ではなくて。

    お向かいのおじいちゃん、おばあちゃんが仕事を辞めたことに...続きを読む
  • すれ違う背中を
    図太く陽気な綾香のイメージが、この本では随分変わった。辛いとかキツいとか声に出して愚痴ったり態度に表さずに、ぐっと堪えて辛い時こそ陽気に過ごす綾香。理想的ではあるけど、こんな風にはなれないなあ。
    マエ持ちゆえに、周囲に対して敏感で用心深くて、なんとも切ないけれど、だからこそ起きる勘違いにもちょっと笑...続きを読む
  • いつか陽のあたる場所で
    芭子と綾香という大人の女性のほのぼのしたやりとりに、親近感がもてた。
    一方で実刑を受けた過去を持つことが、こんなにも生きる場所に影を落とし、生きるための自身の行動すら冷たくかたくしてしまう事に、なるほどと思いつつ、可哀想な仕方ない様な気持ちになった。
    これでは更生なんて生半可な覚悟では出来るはずもな...続きを読む
  • 駆けこみ交番
    「ボクの町」続編。
    本当のお巡りさんになった聖大が、大活躍?
    元々の心根の優しさから とどろきセブン と上手に付き合ってお手柄をあげる。

    心の声はヤンチャなままだけど、社会人として、優しい気遣いもあって聖大、頑張って!と、とどろきセブンの面々と同じく、応援したくなる。
    しかしながら
    途中 とどろき...続きを読む
  • ボクの町
    新人、見習いの頃って聖大みたいな事、よくあったなぁ〜と思う。
    若さ故の、根拠のない自信やらプライドやらで聖大がジタバタもがいているところが面白くもなんだか切なかった。

    カッコいい警察ものは違って、いい事ばかりではないお巡りさんの地味でハードな仕事も改めて分かって…身近なお巡りさん、ありがとうござい...続きを読む
  • 来なけりゃいいのに
    女性だけにスポットを当てた短編集は珍しかったため、興味を持ったがとても面白かった。
    特に「来なけりゃいいのに」は最後の最後で形勢逆転!という感じでまさに衝撃の展開だった。
    個人的に「バラ色マニュアル」の話も好きかも。
  • 水曜日の凱歌(新潮文庫)
    乃南アサ 7作品目。

    太平洋戦争末期から終戦後1年、RAAに纏わるお母様・つたゑの娘・鈴子から見た忘備録。

    「もう懲り懲りなの」お母さま・つたゑの怨念が、したたかに響く。時代に従い、親に従い、夫に従い、国に従ってきた。その結果、手にしたものは、失ったものは、あまりにも残酷だ。それは、日本中のすべ...続きを読む
  • 六月の雪
    文庫本であるが、比較的厚く最初は少しためらわれたが作者乃南アサの文の読みやすさに助けられ、スラスラ読めました。

    近くて遠い国、台湾。私などはその実体や歴史的事実を殆ど分かっていないが、これを読んだら前よりはそれなりに分かってきました。

    台湾の複雑さ、そこに住む人たちの心情描写は、流石に上手。

    ...続きを読む
  • 暗鬼
    「ウツボカズラ…」と真逆なシチュエーション。
    家族ってかなり閉鎖的なもので、その中で何が起きてるなんて本当分からないものだ。
    日本での殺人事件の大半は家族内で起きてるっていうし。拗れたら拗れ切れてしまうのだろう。
    だから
    志藤家は呪われた家族というよりは、大ばばちゃん率いるカルト集団て感じ。
    振り返...続きを読む
  • 六月の雪
    76日本人の知らない台湾の近代史。とってもフレンドリーで温かい人たちの国で起こっていた様々な出来事に心打たれます。おばあちゃんが長生きして主人公が幸せになりますよう、祈るような作品でした。
  • ウツボカズラの夢
    幸薄い未芙由は特に悪いことはしてないのだけど、結果、なんだか怖い女の子に思う。
    生きる場所を確保するのには、こんな貪欲さが必要なんだろうな。

    誰しも弱みはあるもので、そこにすっぽりハマったら相手にに気付かれずに浸食出来る。ウツボカズラにハマった虫も恐怖を抱かずに食されてしまうように。
  • ビジュアル年表 台湾統治五十年
    小説家が書く歴史書とあって、非常に読みやすく興味深い内容にグングンと読み進んだ。
    台湾統治をつぶさに、というよりも50年をざっくりと資料を交えての解説といった内容だが、資料や文体の面白みもあってとてもわかりやすい。
    歴史に翻弄され、武力や暴力に支配され、言葉を次々に変えられ、未だ独立さえ曖昧な台湾。...続きを読む
  • 禁猟区
    監察の話。
    最近、冤罪やでっち上げみたいな話が続いていただけに、この「禁猟区」は私の中で救いになった。
    警察官だから、犯罪を犯す側になってしまう場面も多いのかもしれない。

    短編最後の「見つめないで」では、いつみも、ストーカーもそれぞれが追い詰められていく緊迫感が良かった。
  • 女刑事音道貴子 凍える牙
    疾風が、最初は残忍で恐ろしい印象がついて好感度が低かったが、話が進んでいくにつれどんどん好きになってしまいました。

    また、主人公の貴子と滝沢の仲が徐々に深まっていく過程が、読んでいて微笑ましたかったです。

    動物が好きな人にはオススメの本です。
  • ニサッタ、ニサッタ(下)
    心理描写が上手なので、感情移入されてしまう。同じような場面で同じように考えてしまう気がして余計に落ち込む。だからこその、最後の清々しさがとても良かった。いろんな経験をしたからこそ見つけられた大切なものは、意外と身近にあるし、そんな大層なものでなくて良いのだ、と気付かされる。