乃南アサのレビュー一覧

  • 水曜日の凱歌(新潮文庫)
    再読。

    14歳の多感な時期の女の子鈴子の目線で描かれる戦後の日本。
    負けた国の女達のそれぞれの生き方に、複雑な思いを感じながらも、大変興味深く読み直しました。

    鈴子が嫌悪感を感じてしまう母つたゑの生き方も、この時代にはやむを得ないもので、ある意味逞しく、羨ましくすら感じました。

    勝子ちゃんとの...続きを読む
  • ウツボカズラの夢
    面白くて、ついつい読み耽ってしまいました。
    ドラマ化されていたのを知りませんでした。
    もっともっと小説が読みたいです。
    未芙由の生き方、その他登場人物の生き方、とても興味深く、楽しめました!
  • 女刑事音道貴子 鎖(下)
    音道貴子刑事シリーズ、
    はらはらドキドキした。くじけない強い精神に
    応援した
    だいぶ前に読んでほとんど忘れてるけど
    夢中になって読んだことだけは覚えてる。
  • 氷雨心中
    長編に疲れたので、暑気払いのつもりで短編を読んだ。

    話が終わるたびに、クーラーの風にゆっくり当たれるので猛暑向きかも。
    きっと知る人ぞ知る名編なのだろう、すぐに読み終わってしまった。

    「氷雨心中」平成16年(2004年刊)

    日本工芸を材にした完成度の高い面白い短編が6つ。
    特に「青い手」は事件...続きを読む
  • 水曜日の凱歌(新潮文庫)
    8月15日
    戦争に負けたその日からすべてが変わってしまった。

    戦後を懸命に生き抜く女たちの生活が
    14歳の鈴子を通して描かれる

    英語力を生かして進駐軍相手の通訳として働く母。
    男を利用しながら「力」を求める母に
    反発しながらも「しかたない」と無気力になる主人公

    今の80代、90代ってこんな思い...続きを読む
  • 結婚詐欺師(下)
    どうやって終わるのか楽しみな1冊でした。
    元カノの美和子さんが登場したことによって
    とても面白くなりました。
    夫婦の会話で、仕事でイラつくダンナと家庭を顧みない
    ダンナにイラつく妻、のやりとりがリアルに感じられた。
    橋口はどうしようもない男だけど
    こういうタイプの人っているんだろうな。
    千草さんも、...続きを読む
  • 結婚詐欺師(上)
    初めての作者の本。
    ホントにこんな手口でだまされるのか?って
    思ったけれど、思いつめたらこうなるんだろうか。
    カツラと眼鏡で見た目の年齢が10歳ぐらい変えれるって
    いうのも面白い。
    自分がだまされた男が冴えない禿げ頭だったら
    余計に落ち込むというのも分かる気がする。
    詐欺師って単に見つけただけじゃ捕...続きを読む
  • 美麗島紀行
    【私が出会った八十代になる男性は,植民地の子として暮らさなければならなかった少年時代を振り返って,「懐かしくて懐かしくて,悔しくて悔しくて」と遠くを見る表情で瞳を潤ませた】(文中より引用)

    その美しさから,美麗島とも称された台湾。その島と人々,そして歴史の魅力に惹かれた筆者による紀行文です。著者は...続きを読む
  • 涙(上)
    結婚式を間近に控えていた恋人が殺人容疑をかけられ、いなくなってしまった。
    テレビに映ったよく似た人を探してドヤ街に出かけるが、、、
    わずかな手かがりを頼りにお嬢様だった主人公が必死に恋人を探す物語。
    乃南アサのテンポのいい作風が進展が少ない恋人探しの旅を読みやすくさせてくれる。

    面白い。
  • 水曜日の凱歌(新潮文庫)
    戦時中の従軍慰安婦問題については、韓国の執拗な追及で、しばしばマスコミに取り上げられる。
    しかし、敗戦直後の日本で、占領軍のために同じような目的のものが、政府によって組織されていたとは、寡聞にして知らなかった。
    著者は、戦後裏面史のこの事実を、14歳の少女鈴子の眼を通して鮮やかに描き出した。悲惨な現...続きを読む
  • 晩鐘〈上〉 新装版
    「風紋」では被害者の家族。こちらは加害者の家族に焦点を向けた作品。主人公は加害者の息子、当時幼稚園位だった子が小学校高学年になっている。私学の教師の妻だった加害者の妻はやはり落ちるところまで落ちてしまって、子供を実家に預けっぱなし。この息子は自分の父親については知らない。化粧が厚い時々くる“おばさん...続きを読む
  • 水曜日の凱歌(新潮文庫)
    初アサ。店頭でふと、帯とあらすじを見て購入。戦争文学の金字塔、だと思うくらい良かった!国は本当に何も教えてはくれないのだな、と。14歳の少女・鈴子を主人公にしているから戦争の悲惨さがより、深く感じられた気がします——。鈴子の心の叫びが心に響き、そして痛い。なんて戦争なんてしたんだと——。星五つ。
  • 幸福な朝食
    私は乃南アサの作品はかなり読んでる方だと思うが、処女作のこの作品が一番の傑作だと思う。なんというか、キモさがいい。ちょっと不思議な魅力のある作品。
  • ボクの町
    インサイド警察、というよりも、主人公の高木聖大が悩みながら、もがきながら、素敵なおまわりさんに近づいていく風景が見えるような、そんな作品でした。続編を先に読んでしまっていたので、聖大がちゃんとしたおまわりさんになっていくことはわかっていたけれど、どんなふうに変わっていくのか?というところがとても面白...続きを読む
  • 地のはてから(下)
    「ニサッタニサッタ」の前日譚。エエ味出してたあのとわさんが主人公。

    大正から戦前戦中戦後といえば、戦争で悲惨なことになったとはいえ、文明国家だと思っていたの本。俺らの祖父祖母の時代だから地続きの世界と思っていたが、北海道開拓史においてはl、こうまで俺の知らない過酷な世界だったとは。

    それにしても...続きを読む
  • 晩鐘〈下〉 新装版
    やっぱり乃南アサさんの長編大作は素晴らしい。
    本当に読んでる時間が楽しくて、終わってしまうのが
    悲しくて寂しくて。
    なのに、先を読まないといられない。

    殺人事件の被害者と加害者の家族たち。
    その7年後が描かれている「晩鐘」
    最後の下巻です。

    被害者側の真裕子が新しい家族ともうまくいきだし、
    「風...続きを読む
  • いちばん長い夜に
    三部作の完結編。下町での二人の再生と人とのふれあいをもう少し見続けていたかったな。居心地が良くてもずっと同じ場所にとどまってはいられないのかな。芭子と綾香の家族も大変な思いをして、たくさん傷ついて、大切な家族を失ってしまったんだとわかってはいても、過去と向き合いながら健気に生きる二人の姿に幸せになっ...続きを読む
  • 晩鐘〈中〉 新装版
    殺人事件の被害者、加害者の家族の7年後が描かれている。
    長崎の祖父母に預けられていた大輔が
    東京の、「伯母ちゃん」のところで住むことになり。
    24才になった真裕子は、好きでもなかった会社の同僚と、不倫に陥り。

    間で、東京に戻った記者の建部が
    二人を再び追っていく。
    なぜか、加害者と被害者の家族は、...続きを読む
  • いつか陽のあたる場所で
    直木賞の凍える牙から音道刑事シリーズにはまり、そういうミステリーものかと思って手に取ったら、全然違う世界を見せられて魅せられてしまった。乃南アサさんの作品にはまってゆく。
    本作は、前科者の女性二人が住宅街の普通の街に溶け込み日々普通にはたらき懸命に生きささやかでほのかに暖かい生活を営む物語。恋人でも...続きを読む
  • 女刑事音道貴子 鎖(下)
    後半、音道が限界に達しようとしている。滝沢がいい味見せます。テレビドラマでは高橋克実だったんだ。確かに。最低野郎は阿部力か。緊迫の籠城戦。読んでてもしんどいわ。