藤原正彦のレビュー一覧
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私にはイギリス人が、何もかもを知ったうえで、美しい熟年を送ろうとしているように見えた。彼等は、年輪を重ねた自分達が、テニスチャンピオンになったり、マラソンで世界新記録を樹立することが、できないのを知っている。ならば、騒々しく、生き馬の目を抜くような、軽重浮薄で貪婪な若者であるより、気品あり、知恵も...続きを読むPosted by ブクログ
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数学だけではなく、文化的な事柄にも通じている著者のことがよくわかった。
217ページ付近には、この本がバブルの頃に書かれたことが理解され、その頃のイギリスの状況が将来の日本であると予言し、かなり的中している。Posted by ブクログ -
国家を正しく導くためには真の教養が必要で、日本もドイツも偏った教養のために破滅の道を突き進んだ、という。また、第二次大戦前のアメリカの日本へのオレンジ作戦など、私の知らない記載が多く、目を疑った。世界には偏った教養ばかりで、真の抵抗は生まれなかった。▼「教養が哲学や文学に偏るのは危険で、人文教養・社...続きを読むPosted by ブクログ
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三角形の内角の和は180度。
平べったい三角形もとんがった三角形も…。
そしてそれは100万年前も100万年後も変わらない。こんな真理はない。
→「三角形の内角の和が180度だという美しさを
どれだけ情熱的に語ってくれたかで、小学生の数学への興味は変わる」
→本当にその通りだ。
この本を読み終わった...続きを読むPosted by ブクログ -
知的で教養に溢れた文章を、こんなにうまくユーモアを交えて書ける人がいるんだなぁ。人を小馬鹿にされるのもうまい。なぜか腹が立たない。むしろ、愛や温かみを感じる。#藤原正彦Posted by ブクログ
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【情報を論理的に体系化したものが知識とすると、これからの教養は書斎型の知識でなく、現実対応型のものでなくてはなりません。現実対応型の知識とは、屍のごとき知識ではなく、生を吹き込まれた知識、情緒や形と一体となった知識です】(文中より引用)
主に日本、そして欧米における教養の歴史を振り返りながら、現代...続きを読むPosted by ブクログ -
西洋史が大半を占めていますが、とても勉強になりました。また、教養=読書の重要性を改めて再認識しました。
将来の日本を担う子供たちへ、今後も読書を強く勧めていきたいと思います。Posted by ブクログ -
語りおろし的な、さーっと読める本だが、なかなかに本質をついていて、現代人必読の書。
藤原氏の辿ってきた戦後の生育体験、アメリカでの学究生活からの知見、今までの日本の大学生に接してきた経験、豊富な読書体験などに裏打ちされた話はどの世代が読んでも有益だと思う。
ドイツの教養主義の誕生を歴史的背景から考察...続きを読むPosted by ブクログ -
古典的な教養論だが、情報過多の現代こそ必要な生き方。
最初は軽く読み流すつもりだったが、実は「現代日本への警鐘」として、あるいは現代人へ生き方の問題提起として、真摯に受け止めた。
アメリカ主導の市場原理主義・新自由主義が主流となる中で、金融資本主義による覇権が至上の価値となり、
実務・金銭・収益の...続きを読むPosted by ブクログ