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「一応ノーベル賞はもらっている」こんな学者が闊歩する伝統の学府ケンブリッジ。家族と共に始めた一年間の研究滞在は平穏無事……どころではない波瀾万丈の日々だった。通じない英語。まずい食事。変人めいた教授陣とレイシズムの思わぬ噴出。だが、身を投げ出してイギリスと格闘するうちに見えてきたのは、奥深く美しい文化と人間の姿だった。感動を呼ぶドラマティック・エッセイ。
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Posted by ブクログ
大学の推薦図書として高校3年生の時一度は手に取ったものの、ほとんど読み進めませんでした。 それから8年ほど経ったでしょうか、いつの間にか母親になった今、実家に帰った際ふと目に留まり、家に持ち帰りまた読み始めました。 すると、藤原節の面白いこと、面白いこと! あっという間に完読してしまいました。 19...続きを読む80年代と少々前の話ですが、イギリスの歴史、地理、天候などから来ると思われるイギリス人の思考や行動が実に興味深くユーモラスに描かれています。 年代も国も職業も、自分の世界とかけ離れた人の生活を覗けるのは非常に貴重でありがたいですね(^^)
1209年創立。日本で言えば鎌倉時代。 そんな由緒正しきケンブリッジ大学に、文部省の長期在外研究員として我らが(⁉︎)藤原氏が乗り込んだ。 氏の著書はどれも(笑えるという意味でも)面白く、共感ポイントもすこぶる多い。しかしケンブリッジ滞在時の記録をしたためた本書だけがなかなか手に入らず、今回ようや...続きを読むく悲願達成に至った! 藤原氏が客員教授として初めに招致されたのがアメリカのコロラド州。その頃のエピソードの記憶が濃厚だったから、毛色の違う英国ライフは自分にとっても新鮮だった。 労働者階級やニュースで流れるイギリス英語に苦戦しつつも、大学で他の教授と互角に渡り合う氏に惚れ惚れ。英語力もしかり、あとは度胸に3年のアメリカ生活で培ったユーモアと、見習いたい点が山ほどあった。(イジメにあった次男くんに「何でやり返さない」と「藤原家伝来の戦法」を叩き込んだ点には感心出来なかったが…) 「数学者」と副題にあるので(頭を抱えたくなるような)数式や定理を連想するかもしれないが、他著同様心配ご無用。登場はするが軽く流せる程度だ。 それに教授方も人の子。各々の人生・家族・人間らしい悩みetc.が寄り集まり、さながら一つの文学作品だった。(本書自体もどちらかと言えば文学的要素が強い!) 彼らの教養の高さもグッと作品を味わい深いものにしており、それだけでも読む価値がある。 イギリス人をどこか特異な集団だと感知しながら上手く説明できずにいたが、謎を解く鍵の一つが彼らの、これまた特異なユーモアにあったと言うのが一番腑に落ちた。 George Wellsの『タイム・マシン』よろしく、今昔の作品を行き来してユーモアから探っていくのもアリだな。。今年と言わず、今からでも! ■フレーズメモ↓↓(氏の著書を読んだ際は何かしらメモってしまう…) 「戦争の真実を頭で知ること、そして心で感じることが、若者にとっていま最も重要なことと思います。人間が理性だけで、戦争を廃絶することは不可能なのですから」 …氏の英国ライフを助けてくれたブライアンのお父さんの証言。第二次大戦で独軍と闘った経験を語る中で出てきたものだが、心が大きく揺らいだ。 「人品というのは、洋の東西を問わず、一目瞭然である」 …ここでもまた共感ポイントを発見!思わずメモる。紳士淑女の集まりに出席した際さすがの氏も気後れしたみたいだが、「日本人だから何だ」とジョインしに行ったと聞いて思わず拍手を送った。(買い被り過ぎ?笑)
著者の1987年の1年のケンブリッジ大学での客員研究員としての生活を描いているが、1年とは思えないほど濃い内容でとても良かった。またイギリスやイギリス人についての説明が興味深く、イギリスやヨーロッパに対する理解が深まった。ただ自分のいったジョークが受けた、的な自慢めいた記載も多く少し鼻につく。メイン...続きを読むは次男が学校でいじめられた時の父親としての心境、行動だろうが。このあたり、子供も心配だが仕事も重くてなかなかそこまで手が回らないなど同じ父として非常に共感するものがあった。 ルース・ローレンスという15歳で博士論文を書いている天才少女の話が出てきた。これに対して著者は、こうした天才児は時々報道されるがその後大成したとういう報道は一度も聞いたことがない、と否定的な感想を述べている。実際、このころから25年ほどたっているが、ルース・ローレンスさんはイスラエルの大学の准教授であり、それほど目立った業績を上げている様子はない。著者は数学ばかりやってきた彼女にたいし、野山を駆けまわったり、恋をしたり、文学や音楽に感動するなどといった経験を通して得られる情緒なくして良い研究ができるのだろうか、と心配する。このあたりも共感した。
イギリスに住んでいた人の目線から見た、風変わりなイギリス人のものの考え方や日本との文化の差についての言及が非常に多く、観光者としてではなく居住者としてその土地の人びとと関わらないと見えてこない外国の側面が描写されており、非常に興味深く読むことができた。特に第十二章でイギリス特有のユーモア感覚について...続きを読む書かれた箇所は一読の価値がある。イギリスの料理はおいしくないという話は所々で耳にするが、この本でもイギリス料理に関しては辛辣に評していて実際に確かめてみたくなった。 この本をより特徴づけているのは、なんといっても著者が数学者であるということだ。数学者という言葉にはどこか自分のいる世界とは違うところにいる人という印象を受けてしまうが、この本に登場する様々な数学者もまた人間であり、ジョークを飛ばしあったりそりが合わない相手もいたりと彼らの日常にも自分たちに近しいものがあると感じた。 基本的に面白おかしく、時に考えさせられるというエッセイとしてのみならず読み物としてとても優れていると思う。
イギリスもののエッセイに凝っていた時期に手に取った1冊で、とても大好きな作品。 大学教授ならではの視点でイギリス人やイギリス文化について触れており、一方で文は平易なので読みやすい。再読したい。
数学者である著者の、1980年代の英国ケンブリッジ滞在記。 藤原氏は、故新田次郎と『流れる星は生きている』の著者藤原ていの二男。 『若き数学者のアメリカ』で日本エッセイスト・クラブ賞(1978年)を受賞し、『国家の品格』は2006年の年間ベストセラー1位となっている。 米国滞在から10年以上を経て、...続きを読む今回は夫人と3人の子供と共に滞在した英国での波乱万丈の日々を、変わらぬバイタリティとユーモアで乗り切る姿が描かれている。 以後の作品でもしばしば登場することになる、夫人との掛け合いがまた楽しい。 (2007年10月了)
藤原正彦は、最近の発言にはちょっと気をつけるべき点があると思うが、この初期の頃の随筆は非常によい。解説で南木佳士が述べているように、この本と『若き数学者のアメリカ』は一級の随筆である。ただ、相変わらず愛国調は鼻につくけれど。 ケンブリッジ大学に派遣留学した経験が描かれている。イギリスという国とそ...続きを読むの人々の様子がなかなか生々しく、それが臨場感を与えている。イギリスは一筋縄ではいかないな、と思わせる。それが大英帝国の記憶を持つ国なのだろう。 古いものを大切にするお国柄であるが、これを読む限りでは、とても慕わしいものの、慣れない内はずいぶん不便だろうなぁ。特に冬の寒さやお風呂の貧弱さは辛そうだ。それでも、アメリカよりは落ち着きがありそうで、私は好きだ。 いつか暮らしてみたいと個人的に思う国はイギリスなのだが、その実情を教えてくれて、興味深い。よい本だ。
本の中で「ケンブリッジファイブ」のことをさりげなく触れているのですが、この部分を膨らませてほしかった。もちろん、話に聞いたこと、伝説として伝わっている事柄が多くなりそうですが、興味をもってその部分を読ませてもらいました。著者の文章の持つ磁力の強さ、上手さは言うまでもありません。
数学者のイギリス、ケンブリッジ大学で過ごした日常を紹介した本。イギリスのお国事情もかいま見られる。藤原さんの子育てもとても興味深い。
お世話になった方が藤原正彦さんのファンだったことを思い出して手にとった本。 昼休みに少しずつ読んだが、読みやすく、あっという間に読んでしまった。 イギリスの文化や人々の生き方、アメリカや日本との根本的にある考え方の違いが、藤原さんの実体験を通して書かれていた。紳士の国、イギリス。いつか訪れて見たい。
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遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス―
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藤原正彦
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