宇江佐真理のレビュー一覧
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父親からも捨石扱いされてしまった優柔不断な小十郎だったけれど、死んだふりをしてまで慕ってくれた娘、ゆたと一緒になって初めて生きる意欲が湧いた様だ。
死んだふり、一度してみたけれど俗世間にいる間では本当に難しいものだ、病気覚悟しなければ。Posted by ブクログ -
闘ガン生活の中で描かれたとは思えないクオリティ、宇江佐真理最晩年の作品。この短編集に出てくる登場人物たちでもっと作品を描きたかったのだろうな。まだまだ広がっていく奥行きのありそうな舞台設定である。
江戸を舞台に現代にも通じる問題を描く、小さいけど明るい幸せを描くとともに、挫折や悲しみも描く。
救わ...続きを読むPosted by ブクログ -
黙って客の話を聞く。
ただ聞くだけで助言は一切しない。
日頃他人には言えず心にためているあれやこれやを、聞いてもらうことで頑なな心をほぐしてくれる。
江戸の繁華街・両国広小路で「聞き屋」をしている与平の連作短編。
時代が違えど人の悩みは相も変わらず尽きることはない。
仕事や旦那、姑、浮気、先行きに...続きを読むPosted by ブクログ -
時代は江戸。出戻りのおふくは口入れ屋の娘。口入れ屋とは、今で言う就職斡旋業のようなもの。奉公人と奉公先を引き合わせるのが仕事。
ただ、良い女中が見つからないときはおふくが駆り出される。様々な奉公先でおふくが奮闘するお話。物語は単発で読みやすい。おふくは奉公先で様々な癖のある人物と出会う。中にはわかり...続きを読むPosted by ブクログ -
人気シリーズも終盤です。
惜しくて、大事に少しずつ読んできましたが‥
廻り髪結いの伊三次は、同心の不破親子の手伝いもしています。
江戸市中で起きるいくつかの事件の探索と交えながら、身近な人間模様を描いていきます。
不破の娘・茜は、松前藩の奥女中。剣の腕を見込まれての警護役ですが、若君に気に入られ...続きを読むPosted by ブクログ -
まず…この作品は文庫で読んで欲しい。単行本未収録作品が掲載されています。
江戸市井人情物の新展開、なんと江戸時代の「派遣小説」である。エエとこ目をつけるわ宇江佐先生。
つましくも明るく明日に希望を持つ庶民の暮らしを描く市井人情物。読者層は、現代を一生懸命生きる中でのしんどさつらさを読書で息抜きし...続きを読むPosted by ブクログ -
宇江佐先生が体調不良のなか書き上げた本だと思うと有り難くて涙が出ました。いつも江戸市井に生きる庶民の暮らしを生き生きと描写され主人公のみならずその他の登場人物にも愛着が沸くような先生のお書きになる小説が大好きでした。叶う事なら、この為吉の物語に出て来る岡っ引き田蔵も近所の人々から神様と呼ばれている霊...続きを読むPosted by ブクログ
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2017/11/23
そりゃダメだよ、不破様。謝って。
いや時代的にも謝らんでもいいけどめっちゃ申し訳なさそうに反省してて。
カブキブでも思ったけど信頼ゆえの仲違いって萌える…
期せずして続いた。
お金ないのって侘しいよね~荒むよね~わかりすぎる。
でも伊佐治のように矜恃を持って私もがんばろう。Posted by ブクログ -
宇江佐作品のうち、残された貴重な未読本。
舞台設定も登場人物も申し分なし。
シリーズで続けてもらいたいような内容であったが、終わり方を見ると、これはこれできれいな形で終焉を迎えさせていたのかな。Posted by ブクログ -
この巻もとても良かったです。
伊三次と夫婦になり長屋暮らしとなったお文。まあまあうまくやっていたのですが、近所と子どもの夜泣きをめぐって騒動をおこし、長屋を出ていってしまいました。気が強いけれど情も深いお文。そんなお文のことを大切に思っている伊三次。解説にもありましたが、夫婦の絆がちゃんと出来ている...続きを読むPosted by ブクログ -
伊三次シリーズ最終作。
もうこれで、宇江佐版の伊三次は終了。
グイン・サーガのように、後継者が後を書き継ぐということもないだろうし、それを望んでるわけでもないのだが、やっぱり寂しい気持ちである。
改めて、作者である宇江佐真理さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
表題作「擬宝珠のある橋」は市井人...続きを読むPosted by ブクログ -
なんとも濃厚な一冊でした。
『因果堀』では増蔵の過去の因果が哀れな女心を浮き彫りにしました。
『ただ遠い空』も夫婦愛を感じさせる話でした。
『竹とんぼ、ひらりと飛べ』ではお文の出自が分かりましたし、『護持院ヶ原』はまるで別の短編を読んでるような気がしました。
『さらば深川』ではいよいよ伊三次も覚悟を...続きを読むPosted by ブクログ -
このシリーズ、髪結い伊三次シリーズくらいエエ伸び方しそうなんだけどなぁ。キャラクターもたってるし、古着屋って舞台設定も応用の幅がありそうだし…。
でも、これが最終巻。実に哀しい。Posted by ブクログ -
シリーズ二冊目にして濃密な巻でした。
表題作『紫紺のつぱめ』では早くもお文との別れ?と思ったし、『ひで』は惚れた女のために板前から大工になり体調を崩して…という哀れと思える話でした。『菜の花の戦ぐ岸辺』では伊三次がご隠居殺しの下手人としてひっぱられるという衝撃的な展開でハラハラしました。その事件で自...続きを読むPosted by ブクログ -
人気シリーズの14作目。
ただし、初の文庫書下ろし。
8作目の「我、言挙げす」のラストで火事があって家を無くした伊三次とお文一家。
9作目「今日を刻む時計」では、10年がたっていたのです。
この10年間の空白に起きた出来事を描く内容になっています。
伊三次の妻で芸者のお文は、父親を知らずに育ちま...続きを読むPosted by ブクログ -
正義を貫くことで人を傷つけてしまうことがある。
小さなうそで救われることがある。
阿久悠の詞をふと思い出した。
上から読んでも、下から読んでも・・・ 世の中バカなのよ♫Posted by ブクログ