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修行を積み、女剣士として立つ日を夢みる知佐 子持ちの町方役人の後添えにと望まれた女剣士が、幼子との交流を通じ成長する姿を描いた表題作他 市井の人々の機微を写しとる六篇 ※この電子書籍は2000年9月に実業之日本社より刊行された単行本の文春文庫版をを底本としています。
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Posted by ブクログ
表題「余寒の雪」がことの外良かった。仙台育ち、男勝りで女剣士。彼女は一人の「侍」として人生を全うしたいと思っていた。が、まわりは放っておかない。年頃になれば縁談が舞い込む。その度にのらりくらりと躱してきたが、今回ばかりはちょっと趣きが違った。叔父夫妻に誘われ江戸まで行ってみましょう。から始まったのだ...続きを読むから。まさか江戸で祝言が待っているともつゆ知らず、訪れてみたら、は!うそ!子持ち侍の後添い??さて、そこからどうなるか。少々軽く書いてはいるけれど、ラストシーンの情景、心情全てとても美しい。宇江佐さん、完璧。
しっとりした美しい作品が多く、ほろりとしました。 女性たちが、身の振りを自分で選べないながらも、芯を持ってうまくその場に収まっていく強さ、しなやかさが感じられました。 「紫陽花」と「余寒の雪」が好きです。
時代モノ短編集。 人情話だけでなく、方向性が多岐にわたっております。 とくに史実をモチーフにした2編が、なかなか良かったです。 「時代小説」というフィールドで、いろんな試みをされておられますね。
宇江佐真理さんの著作を読むたびに、気持ちがほっとします。 哀しく泣ける話もあるけれど、殆どの作品で優しい読後の気分が味わえます。 違う作家の重い作品を読んだ後の宇江佐さんには、気持ちを楽にして貰えます。
あらすじ(背表紙より) 男髷を結い、女剣士として身を立てることを夢見る知佐。行く末を心配した両親が強引に子持ちの町方役人と祝言を挙げさせようとするが―。幼子とのぎこちない交流を通じ次第に大人の女へと成長する主人公を描いた表題作他、市井の人びとの姿を細やかに写し取る六篇。中山義秀文学賞受賞の傑作時代小...続きを読む説集。
短編集。 平成7年にデビュー後、3年間連載したという初期のもの。 作者の地元・函館に近い松前藩の記録を元にしたものなど、かっちり描かれています。 松前藩は日本最北の藩だそう。 松前藩に忠誠を誓うアイヌ12人の「夷酋列像」という絵があり、見事な絵だが、実像とは違うという説もあり、いつか取り上げたいと思...続きを読むっていたとのこと。「蝦夷松前藩異聞」という作品にまとめた。 「藤尾の局」は商家の後妻になって、なさぬ仲の息子達の狼藉に悩まされる女性。 末娘がなぜ怒らないのかと話を聞くと、大奥奉公で苦労した経験があり、それに比べれば大したことはないから、と。その時一度だけやり返したが、実は後悔が残ったのだという。 妹に話を聞いた息子達は‥ 表題作の雪は、富士山の雪。 男装で、剣の腕を磨いてきた娘・知佐。 剣の指導者としてお城に上がる夢を抱いていたが、なかなかそれは難しいこと。心配した両親や伯父が一計を案じ、縁談をまとめてしまう。 江戸見物に同行したら、明日は祝言と言われるのだ。 相手は一回り年上で、3年前に妻を亡くし、幼い子がある鶴見俵四郎。 驚愕して断る娘に、相手方もそれは無理があると同意、帰る算段がつくまで逗留するようにと言ってくれる。 俵四郎は仕事で帰りが遅く、約束した手合わせも出来ないまま日が過ぎる。 寂しげにしている子供・松之丞と遊んでやって懐かれて、男親ともいつしか惹かれ合うように。 落ちつく所は見えるが、心地良く引っ張っていってくれます。
江戸のさまざまな人々を描いた短編集。元遊女の内儀、若旦那、お庭番、元大奥老女、家老女剣士など、読んでいてじんわりしてスッキリするようなそれぞれの生き様が楽しめた。まだ宇江佐さんの初期の頃の作風を感じるけれど、やっぱり読んでいて心にグッとくる。
んーーー。んーーーー。私としては、宇江佐先生の良さがあまり出ていなかった気がする。実際の文献を題材にした短編小説が7編。物語の中で時代の説明が入るのだが、その説明の入り方がイマイチな気がする。最後の「余寒の雪」はとても良かった。宇江佐先生はこのように人情にぐぐっと迫った物語を書くのはとてもお上手だと...続きを読む思う。特に男と女の微妙な心模様を書くのがお上手で、ほろっとさせられる。
2022年5月15日 初期の作品なのかな。 男まさりの知佐が騙し討ちのように江戸の祝言にやって来て、故郷に帰るすべもなく、居残りするほかない。 そこでうまれる情。 大女の大滝。容姿に似合わない女らしさ。 幸せを掴むのに臆病な人たち。 今現在も通じる心の機微。 その世界で幸せ者が増えて嬉しい。 武家...続きを読むものの2篇は読みづらくて最後までは 読んでいない。 参考文献も書いてあり、解説にあった通り,実験的な作品なのだろう。 かたくて、説明的で。 町民と武士の違いなのか、町民の話の方が好き。 2023年9月9日 再読 梅匂う、大女の大滝 余寒の雪 男まさりの知沙 で既視感。 やはり読んでいたのね。 やはり面白い。
出張帰りの飛行機と新幹線の中で、申し訳ないけれど、疲労困憊/時差ぼけの頭で読みました。それでも読みきれる読みやすい作品です。 多くの作品は女性を主人公に据えたしっとりした雰囲気の時代小説ですが、その中で「蝦夷松前藩異聞」は著者には珍しい歴史小説です。なかなかしっかりした構成で、重厚な雰囲気に出来上...続きを読むがっています。こんな小説も書くのだと驚かされました。
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