【感想・ネタバレ】余寒の雪のレビュー

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ネタバレ

 宇江佐真理「余寒の雪」、2000.9刊行、2003.9文庫。独立9話。大奥での壮絶な経験を持ちながらも静かで凛とした姿をくずさないお梅39歳を描いた「藤尾の局」。大柄で力持ち、豪快に見えるけど純朴で可愛らしい大滝太夫28歳を描いた「梅匂う」。剣術修行のために仙台から江戸に来たつもりの原田知佐20歳、北町同心の後添えとなることが親の希望と知り反発するも、共に過ごす内に剣を捨て同心の家族になることを決めた「余寒の雪」。秀逸でした。この3人の女性の美徳、強さ、可愛らしさ、日本女性のどの女性にもある気がします。

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2022年11月14日

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表題「余寒の雪」がことの外良かった。仙台育ち、男勝りで女剣士。彼女は一人の「侍」として人生を全うしたいと思っていた。が、まわりは放っておかない。年頃になれば縁談が舞い込む。その度にのらりくらりと躱してきたが、今回ばかりはちょっと趣きが違った。叔父夫妻に誘われ江戸まで行ってみましょう。から始まったのだから。まさか江戸で祝言が待っているともつゆ知らず、訪れてみたら、は!うそ!子持ち侍の後添い??さて、そこからどうなるか。少々軽く書いてはいるけれど、ラストシーンの情景、心情全てとても美しい。宇江佐さん、完璧。

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2017年06月16日

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しっとりした美しい作品が多く、ほろりとしました。
女性たちが、身の振りを自分で選べないながらも、芯を持ってうまくその場に収まっていく強さ、しなやかさが感じられました。
「紫陽花」と「余寒の雪」が好きです。

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2014年02月06日

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時代モノ短編集。

人情話だけでなく、方向性が多岐にわたっております。
とくに史実をモチーフにした2編が、なかなか良かったです。
「時代小説」というフィールドで、いろんな試みをされておられますね。

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2011年12月01日

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ネタバレ

2021/10/18
後半の史実に基づいたっぽい話が苦手で。
話が面白くてもその人の歴史とか調べたらだいたい「えー」ってなるやん。史実。
この度は知らんけど。
結局みんな死んだ。ってなるから史実不要。
大陸に渡ってチンギス・ハーンになったらしい。でいいねん。私は。

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2021年10月24日

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宇江佐真理さんの著作を読むたびに、気持ちがほっとします。
哀しく泣ける話もあるけれど、殆どの作品で優しい読後の気分が味わえます。
違う作家の重い作品を読んだ後の宇江佐さんには、気持ちを楽にして貰えます。

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2020年06月21日

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あらすじ(背表紙より)
男髷を結い、女剣士として身を立てることを夢見る知佐。行く末を心配した両親が強引に子持ちの町方役人と祝言を挙げさせようとするが―。幼子とのぎこちない交流を通じ次第に大人の女へと成長する主人公を描いた表題作他、市井の人びとの姿を細やかに写し取る六篇。中山義秀文学賞受賞の傑作時代小説集。

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2015年10月13日

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ネタバレ

【本の内容】
男髷を結い、女剣士として身を立てることを夢見る知佐。

行く末を心配した両親が強引に子持ちの町方役人と祝言を挙げさせようとするが―。

幼子とのぎこちない交流を通じ次第に大人の女へと成長する主人公を描いた表題作他、市井の人びとの姿を細やかに写し取る六篇。

中山義秀文学賞受賞の傑作時代小説集。

[ 目次 ]


[ POP ]
浅草や両国を舞台にした、江戸の人々のあたたかさを描いた人情話の短編集。

精一杯に生きて、恋をして、人に対する思いやりを忘れない、人生に真摯に取り組む主人公たちの姿を想像するだけで幸せな気持ちに満たされる。

主人公たちの職業も小間物屋、両替商、染物屋、遊女屋などすぐにイメージできる定番のもので、感情移入しやすい。

必ずハッピーエンドになるのも、読後感が良くて好感が持てます。

中でも私のお気に入りは「あさきゆめみし」。

女浄瑠璃、京駒の追っかけをしている染物屋の正太郎は仲間からも軽んじられている情けない男。

しかし、その友達に京駒を盗られ、持参金のためだけに正太郎の姉と祝言をあげるということを聞き、とうとう堪忍袋の緒が切れた!

正太郎が段々と成長してゆく姿が微笑ましい。

[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2014年11月26日

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短編集。
平成7年にデビュー後、3年間連載したという初期のもの。
作者の地元・函館に近い松前藩の記録を元にしたものなど、かっちり描かれています。
松前藩は日本最北の藩だそう。
松前藩に忠誠を誓うアイヌ12人の「夷酋列像」という絵があり、見事な絵だが、実像とは違うという説もあり、いつか取り上げたいと思っていたとのこと。「蝦夷松前藩異聞」という作品にまとめた。

「藤尾の局」は商家の後妻になって、なさぬ仲の息子達の狼藉に悩まされる女性。
末娘がなぜ怒らないのかと話を聞くと、大奥奉公で苦労した経験があり、それに比べれば大したことはないから、と。その時一度だけやり返したが、実は後悔が残ったのだという。
妹に話を聞いた息子達は‥

表題作の雪は、富士山の雪。
男装で、剣の腕を磨いてきた娘・知佐。
剣の指導者としてお城に上がる夢を抱いていたが、なかなかそれは難しいこと。心配した両親や伯父が一計を案じ、縁談をまとめてしまう。
江戸見物に同行したら、明日は祝言と言われるのだ。
相手は一回り年上で、3年前に妻を亡くし、幼い子がある鶴見俵四郎。
驚愕して断る娘に、相手方もそれは無理があると同意、帰る算段がつくまで逗留するようにと言ってくれる。
俵四郎は仕事で帰りが遅く、約束した手合わせも出来ないまま日が過ぎる。
寂しげにしている子供・松之丞と遊んでやって懐かれて、男親ともいつしか惹かれ合うように。
落ちつく所は見えるが、心地良く引っ張っていってくれます。

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2011年06月19日

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江戸のさまざまな人々を描いた短編集。元遊女の内儀、若旦那、お庭番、元大奥老女、家老女剣士など、読んでいてじんわりしてスッキリするようなそれぞれの生き様が楽しめた。まだ宇江佐さんの初期の頃の作風を感じるけれど、やっぱり読んでいて心にグッとくる。

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2011年09月17日

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んーーー。んーーーー。私としては、宇江佐先生の良さがあまり出ていなかった気がする。実際の文献を題材にした短編小説が7編。物語の中で時代の説明が入るのだが、その説明の入り方がイマイチな気がする。最後の「余寒の雪」はとても良かった。宇江佐先生はこのように人情にぐぐっと迫った物語を書くのはとてもお上手だと思う。特に男と女の微妙な心模様を書くのがお上手で、ほろっとさせられる。

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2009年10月04日

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2022年5月15日
初期の作品なのかな。
男まさりの知佐が騙し討ちのように江戸の祝言にやって来て、故郷に帰るすべもなく、居残りするほかない。
そこでうまれる情。
大女の大滝。容姿に似合わない女らしさ。
幸せを掴むのに臆病な人たち。
今現在も通じる心の機微。
その世界で幸せ者が増えて嬉しい。

武家ものの2篇は読みづらくて最後までは
読んでいない。
参考文献も書いてあり、解説にあった通り,実験的な作品なのだろう。
かたくて、説明的で。
町民と武士の違いなのか、町民の話の方が好き。

2023年9月9日
再読
梅匂う、大女の大滝
余寒の雪 男まさりの知沙
で既視感。
やはり読んでいたのね。
やはり面白い。

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2022年05月16日

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出張帰りの飛行機と新幹線の中で、申し訳ないけれど、疲労困憊/時差ぼけの頭で読みました。それでも読みきれる読みやすい作品です。
多くの作品は女性を主人公に据えたしっとりした雰囲気の時代小説ですが、その中で「蝦夷松前藩異聞」は著者には珍しい歴史小説です。なかなかしっかりした構成で、重厚な雰囲気に出来上がっています。こんな小説も書くのだと驚かされました。

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2017年11月10日

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時代小説短編集。

特に巻末に収録の表題作は、東北の藩から江戸にやってきた
剣を生きがいに生きてきた女性の顛末譚で、現代の趣味に生き過ぎて、年齢の通過儀礼に出遅れた現代女性の戸惑いにも通じるような心境が描かれていて、このような女性視点での時代小説の作品作りが巧みだと感じる。
作者初期の頃の作品ということもあって、少し情感描写が硬い部分もあるように感じるが、それでも、いち読者としては、函館出身の作者がここまで時代小説モノを描けるというのは素直に感心しながら読んだ。
簡素でじっとりした語り口じゃないのも、この作者のいいところ。

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2014年10月13日

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中山義秀文学賞受賞の短編時代小説。解説にいう「追っかけもの」と史実を土台にした武家もの、そして表題作の、少しテーマが混在した短編集といえるか。その中でも、表題作の「余寒の雪」が特に、作者の持ち味が出ている作品か。女剣士として身を立てる夢を見ている主人公が、行く末を心配した両親の思惑(町方役人に嫁がせる)に抵抗しながら、相手の幼子との交情から、大人の女へと成長し、味のあるエンディングへと収斂してゆく。ほろっとし、そして心が温かくなる。

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2012年09月03日

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初期の頃の作品だそうな。全く違った主人公からなる7つの作品で、芸者あがりの大店の内儀、青春の熱に浮かれた若者などいろいろあったが、市井の物語が個人的に好きだ。

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2011年10月25日

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