医者から余命半年と宣告されたごく普通のサラリーマン、藤山幸弘。
藤山は延命治療を拒否し、残りの人生を「やりたいこと」に費やすことにした。彼の「やりたいこと」とは、関わった人たちに直接会って”遺書”を渡すこと。
自分と関わった人たちと出会い、過去を振り返ることによって、「自分の人生とは何か」に気
...続きを読む付いていく藤山。
果たして彼は、最後に何を思うのだろうか。
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もし自分が癌で余命半年と宣告されたら何を思うだろう?と考えてしまった。何十年も会っていない人に、伝えたくて伝えられなかったメッセージを伝える、なんて、できるだろうか?
僕にもそういう人はいる。そういう人を探してお別れを言ってまわるなんて、できるかなあ?
こういうことは何も言わずにお墓にもって行くべきこと考えていたので、ちょっとコペルニクス的な衝撃を受けました。
「自分の醜いところもみんな、家族なら受け入れてくれるに違いない」と何もかも家族に素直にさらけ出すって、ちょっと身勝手すぎじゃない?と鼻につく場面もあったが、後に残された家族にいい想い出を残してあげたいと思う気持ちとの対立軸もきちんと議論されていた。
よい死に方とは一体何なのか?という事をまじめに見つめていた点は評価したい。
圧巻なのはホスピスの事を実によく描けている事。
僕も死んだ事はないのでよくはわからないが、
死ぬとはこういうことなのか、とわかるような気がした。
そして僕の好きな一節、ホスピスの医者を評して
”「この人は医師になるために生まれてきた人だ」
と思った。天職に出会えた人間のみが持つ、
独特の自信のようなものがある。”
患者さんが「この医者についていこう」という
目を僕にする時がごくたまにありますが、
それってこういう時なのかなあ、と思いました。
秋元康の人間ウオッチング、なかなかです。
井坂聡監督、役所広司・今井美樹主演で映画化されています。