幸田文のレビュー一覧

  • 父・こんなこと(新潮文庫)
    幸田露伴は厳しい父ちゃんですが、
    素敵だなと思った。
    はたきをかける格好、掃除の音、
    「女はいつでも見栄えがよくなくてはいけない」「何のために音楽をならっているんだ」
    って娘に言えるお父さんは今、どれくらいいるのでしょうか…?
  • 包む 現代日本のエッセイ
    儂が生まれた頃に書かれたエッセイ集。観察のこまやかさ、内省の深さは流石。人に対する観察には怖さも感じる。感覚は大変モダン。
  • 雀の手帖(新潮文庫)
    しゃきしゃきっと気持ちのいい随筆集。昭和30年頃、西日本新聞に連載されていたものをまとめた本。ちょっと空いた時間にも読めるところもいい。
  • 木(新潮文庫)
    映画『PERFECT DAYS』で
    主人公が読んでいた文庫本です。
    就寝前に少しずつ。
    たしかにそんな読み方が似合う。

     人にそれぞれの履歴書があるように、
     木にもそれがある。
     (P43)

    と考えて、林の木々を見に行ったり
    木を木材にする現場を見せてもらったり。
    木材にした後も「木は生きてい...続きを読む
  • 季節のかたみ
    すごく怖いというか、叱られ感が凄い、読んでいて。
    少なくとも背筋伸びてますよね?と暗黙の圧があるようで。。。
    こうなってくると父と娘の緊張感に繋げたくなりますわな、致し方なし。
    こういったお方は今後なかなか出てくることないのは間違いなし。
  • 木(新潮文庫)
    筆者が実際に日本各地に出向いての樹々に対する
    情感が描かれていて実際に自分も目にしてみたい
    気持ちになりました。
  • きもの(新潮文庫)
    ★3.5。
    これはいかにも未完というか未発表の作品という感じがする。
    前半と後半の筋立てというか視点が若干ブレている感じがあり、タイトルに合わせる訳ではないですが、前半部は唸らされる読感ありです。
    その点、後半はある意味の非日常をストーリーに据えてしまったので前半にあった緊張感というか異常とも言うべ...続きを読む
  • 流れる(新潮文庫)
    文章が独特で、調子が悪い時は頭に入って来ず苦労した。でも、面白い部分は面白かったし、今の職場に似ている場面がたくさんあった。女が集まるとどこもこうなるのかな。仕事のできる梨花さんかっこいい。
  • 崩れ
    著者が日本全国の崩壊地を巡る随筆。

    72歳にして、日本の風景に厳然とあり、そして記憶から忘れ去られたようなこの山崩れを尋ね、それを著者独特の目線で、言葉で捉えようとする。

    その捉え方は優しい。

    自然の冷酷さに嘆きつつ、それに立ち向かう人たちを励まし、暴れる自然に対してけして諦めず愛そうとする。...続きを読む
  • おとうと(新潮文庫)
    主人公のげんと同い年です。
    偶然、私にも弟がいて碧郎(げんの弟)と同い年でした。
    私とげんは全く違う生活をしていますが、げんの碧郎に抱く想いに少し共感できたような気がします。
    “家族”とは特別な関係であり、げんと碧郎は何があっても“姉と弟”でした。
  • 崩れ
    幸田文さんの文は時代か、難しいものが多い。この本も例外ではない。おそらくもう少し歳を重ねてもう一度読んだ時にちゃんと理解できると思う。
  • 幸田文 生きかた指南
    昭和を生きた女性の力強い言葉。

    決して順風満帆の人生ではなく、さまざまな苦労を乗り越えてきたからこそ紡げる言葉なんだろうな。

    苦労、不仕合わせを経験したからこそ感じられる仕合わせ。

    不仕合わせの上に、長い時間をかけたあと、静かにもたらされるほのかな仕合わせ。

    ああ、幸せとはそういうものなんだ...続きを読む
  • 流れる(新潮文庫)
     1956(昭和31)年作。
     住み込みの女中となった女性の視点から、落ち目の芸者家の様子を描いた小説。
     文章がとても良い。ちょっとした言葉の選出などにいちいち味があり、絶えず気を配った彫琢された文体である。これに浸っているだけで充実感がある。
     一方物語内容や構成などにはさして出色のものはないと...続きを読む
  • 流れる(新潮文庫)
    言葉はきれいだけど、話はよくわからなかった
    久しぶりに眠い話だった
    自分には合わない作風なのかな
    でも、言葉の表現はきれいなので、他の作品を読んでみようと思った
  • 回転どあ・東京と大阪と
     幸田文「回転どあ 東京と大阪と」、2001.2発行。庶民生活を清新に描いた単行本未収録のエッセイ101編。 ①明けまして、という挨拶には希望がこめられている。 ②自慢、高慢、馬鹿の骨頂という。(心に留めておかねばw) ③年の暮れは忙しい。年の暮れも、卒業も、結婚も、葬式も、区切りは忙しいにちがいな...続きを読む
  • 流れる(新潮文庫)
    男の自分にとっては、すごく女性の視点が新鮮に感じた。

    男とは体の作りとか、体力とか、その前に備わってるもんが全然ちゃうということがよくわかる。
    それは、生物学的とか、社会的とかをやかましく言わんでもあるもの。

    話は戦後の花柳界へ女中にいった主人公の話。

    どこにでもある、人間芝居を色鮮やかという...続きを読む
  • 雀の手帖(新潮文庫)
    幸田露伴を父に持つ著者が、昭和34年に身の回りの出来事や日常のあれこれを綴った随筆集(10年ぶりの再読)。
    その時代ゆえ、「美智子様へ」という現上皇后の結婚に関する項もある。
    「御結婚生活は長いのである。きょうははじまりの第1日である。めでたいのは1日だけではならぬ。末ながく末ひろがりでこそめでたい...続きを読む
  • 流れる(新潮文庫)
    掃除婦や犬の食事係といった様々な仕事を勤めた未亡人・梨花が、芸者置屋の女中として住み込んで花柳界の舞台裏を経験する物語。
    慣れぬことに苦労しつつ働くのでなく、ひたすら強い女性として仕事を淡々とこなす梨花には感情移入しにくかったものの、芯のしっかりした優しさがあり、その強さのために加速度的に没落してい...続きを読む
  • 崩れ
    山伏・八紘嶺に登山に行く折、地図に大谷崩下に「幸田文」の文字。何だと思って検索すると、幸田露伴の次女とのこと。
    大好きな山域に関するエッセイとあり、手を取った次第だ。

    作者は還暦過ぎてからこの大谷崩れを目にする。その荒々しさがずっと心に引っかかり、「崩れ」に興味もち日本中の崩れ巡りをする。
  • 崩れ
    70歳を越えた幸田文が山岳地の崩れに興味を持ち、調べ、歩いて書いた随筆集です。
    松之山の崩れを見学したものの、それを書くべきか書かざるべきか逡巡するところが特に好きでした。被災した方のそれぞれが抱える一様でない気持ちと、心の動く方向が一様でないからこそ生まれる歪みみたいなものに思いを巡らせているとこ...続きを読む