幸田文のレビュー一覧
-
暮らしの手帳的、というか非常に生活という地面にしっかりと足をおろした「哲学」を感じさせる文章だな、と思う。そのあたりは親子の血は争えない。何気ないことを書いていながらはっとさせられるのは、こうした随筆の書き手として最高の手腕ではないか。男性にもおすすめ。Posted by ブクログ
-
「父」
「じゃ、おれはもう死んじゃうよ」、死を身近に感ずる年齢の自分もこういう風に行けたらよい。文さんの、時にはユーモアすら感ずる看病の七転八倒が如何にもであり、こういう人が傍に居た父親露伴は幸せ者かも知れない
「こんなこと」
「おまえが馬鹿なのはものをよまないからだ」幸田親子の戦いの模様が誠実に...続きを読むPosted by ブクログ -
大好きな幸田文さんの本を岩波少年文庫で見つけた。
読んだことのあるものとないものが入り混じっていたが、表題の「台所のおと」
は初めて読んだ。(「みそっかす」は読んだことあり)
著者得意の人情の機微が台所仕事で生まれる「おと」に込められており、心に沁みたり、ホロリとさせたりする。
料理人のとても繊細...続きを読むPosted by ブクログ -
主人公である「げん」と、弟の碧郎、父親、継母の、四人の家族の物語だが、それよりも「げん」の姉としてもあり方、母の代理としての在り方、若い娘としての在り方など、とかく「女」を感じさせる作品だった。
だからか、どんどん「げん」に感情移入していった。感情的になっているかと思えば、ふと冷静になる「げん」の思...続きを読むPosted by ブクログ -
戦前、戦後あたりの日常のエッセイ。
上品で綺麗な日本語。
きものについてが特に良い。
ただの衣服を越えたもの。
おしゃれの考察は深い。
ただ小奇麗にセンス良く装うだけでない。
その人に似合わしい装い方、振る舞い、気遣いすべてが
合わさって印象に残る「おしゃれな人」と呼ばれる。
現在、文さんのいうよ...続きを読むPosted by ブクログ -
弟に世話を焼く姉がいじらしかった。弟がグレてしまう理由が書かれていたが、大抵の不良はこういう理由でグレてるのではないかと感じた。(勝手な思い込み)
泣けると聞いていたが、じんわり程度であった。
評判通り、文章はとても綺麗だった。Posted by ブクログ -
古き良き日本の習わしや言葉が散りばめられてとても素敵だし、幸田さん独特の言葉遣いも魅力があって面白い。
短編集なので読みやすいけど、少しずつ味わいながら読み進めていきたい本。できれば100日とは言わず、365日それぞれの季節感全てを幸田さんの言葉で読んでみたかった。Posted by ブクログ -
父を題材にした2編。再読です。最初に出会ったのは中学生の時、国語の先生に薦められて。名文というものは、こういうものですよ。と言われるまま手に取り、当時はさほど内容には興味を持てず、ああ、文章ってこういうものなのね。と、半ば作業的に読んだものでした。そしてそれからだいぶ年月を経た今回。身近な人の死に幾...続きを読むPosted by ブクログ
-
るつ子の人生ときもののお話。
おばあちゃんがイキすぎて素敵。
イキと野暮ってこういうこと。
書いている時に幸田文は亡くなったので、若干続きは気になる遺作。Posted by ブクログ -
「番茶菓子」は、○○の小品という章立てに分かれて、短いエッセイがつまっています。花、夏、きもの、・・・など。
この中で、強烈に記憶に残ったのが梅のエッセイ。
その決め台詞は、「奥さん。どこへ逃げたって、あなたのからだからは梅の花の匂いがするんですよ」ちょっとどきっとしますね。Posted by ブクログ -
淡々と綴られる情景と、感情。
当時のきものそのものや作法を殆ど知らずに読んだので、るつ子と共におばあさんに躾られているような心持だった。
細やかな心配り、真心が伴ってこそ、装いや振舞いは美しくなるのだろう。Posted by ブクログ -
幸田露伴の実生活に基づく像が見えてきて、興味深かった。
幸田文さんの悪戦苦闘の日々を通して、昔の父親は絶対と考えられていたころの時代の空気を感じることが出来た。
現在のわれわれの世代ではあまり父親の威厳というものは強く感じる機会はないが、この作品を読んで、古き良き日本を感じることが出来た。Posted by ブクログ -
日本は地震の多い国であると同時に火山国でもあるんだよね。
日本人は自然災害を受け入れながらしなやかに生きている国民なんです。3.11の自然災害も原発事故も乗り越えられる、そう強く思いました。Posted by ブクログ