幸田文のレビュー一覧
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父:恥ずかしさから父親と向き合って生きていくことをあまりしてこなかったが、これを読んでそれを少ししなければいけないと感じた。
また、作者の表現に植物が多く用いられるところは作者らしくてとても好き。Posted by ブクログ -
著者のエッセイをまとめた本です。
本書の表題になっている「包む」という文章では、かつてお菓子屋に務めていたひとが著者のもとをおとずれ、菓子折りを包装紙で包む手順などが昔のままであることを見て、包を受け取ったとたんに心のなかのわだかまりが解けていくのを感じたと語ったことが記されています。そのひとの心...続きを読むPosted by ブクログ -
父の病臥、逝去の前後とその後。
娘・幸田文による幸田露伴の記録と想い出の記。
・父ーその死ー
菅野の記 葬送の記 あとがき
・こんなこと
あとみよそわか このよがくもん ずぼんぼ 著物
正月記 そつ(口偏に卒)啄 おもいで二ツ あとがき
巻末の解説は塩谷 賛。文中に登場す...続きを読むPosted by ブクログ -
細やかな感受性に引っかかる生活の事柄。この人の手にかかると練り直され、新しい味付けをされ読者に提示される。ゆったりとした気分でないと自分には堪能できないことがわかった。Posted by ブクログ
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平松洋子さんが幸田文のことを書かれていた。それで家事や着物について書かれたエッセイを手にしてみたのだが、歯が立たなかった。少し古い言葉が判らなかったのか、僕はこういう凛とした文が駄目なのか、敗北感が残った。
立ち寄った本屋で見つけた本書。
何事も蔑ろにしない文章。冒頭の向島の大川の土手の風景。風の...続きを読むPosted by ブクログ -
姉は弟を想い、弟は姉を想う。
それは偏った愛情ではなく、読んでいてとても美しいと思えるものでした。
学生時代のやんちゃな弟は、迷惑ばかりかけては姉や親を困らせているけれど、どこか憎めない青年。
姉は家族を支える縁の下の力持ち。縁の下というより、一家が生きていくためになくてはならない存在。
弟が結核を...続きを読むPosted by ブクログ -
私自身弟を思うとその身勝手さに苛立ちを覚え、同時に切なさと愛くるしさとがない交ぜになって泣く一歩手前のような気持ちになる。
兄には抱かない特別な感情。
ここまで的確に表現されている作品に初めて出会った。Posted by ブクログ