幸田文のレビュー一覧

  • きもの(新潮文庫)
    めっちゃ面白かった!!!!
    びっっくりした!

    昔の人ってこうだったんだ・・・
    手に取るようにわかる
    噂には聞いていたあの話、この話、
    細かい着物の描写は、どんな生地なのかとかわからなかったりするけど、
    だから運針を学校で習ったんだな、
    命からがらって関東大震災はこんなだったんだな、
    地域が助け合っ...続きを読む
  • 流れる(新潮文庫)
    零落してゆく置屋の景色と時間を、女中 梨花の視点で華麗に切り取った小説。書かれたのは1956年だが、すでに古典と呼んでも違和感のない風雅さがあり(恥ずかしながら、幸田文はもっと前の時代の作家だと思い込んでいたこともあり…)、現代エンタメ小説が失なってしまった純朴な読書の時間を与えてくれる佳品。

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  • 流れる(新潮文庫)
    名作だった。名作ゆえに、読み終わった途端、もう一度じっくり読んでしまった。私の思う名作とは、味わいのある言葉遣いがあること、何度も読み返したくなること、人にすすめたくなること。美味しくて、足繁く通い、友達にも教えたくなる、名店と一緒だ。

    物語も、女中が見た没落しかかった芸者置き場という、下世話なが...続きを読む
  • 雀の手帖(新潮文庫)
    常日頃感じたことを、素直に率直に。
    その文体に心惹かれて読みふけってしまう。
    時は昭和34年。その当時には今と変わらず入試も就活もあり、PTAの集まりや習い事など、主婦の話題は尽きない。
    皇太子さまのご成婚。自然災害もあり、時代は繰り返されていることに気付いた。
    鳥や花や、身近にあるものに目を向け、...続きを読む
  • 番茶菓子 現代日本のエッセイ
    清少納言は、学生時代に古文で習った程度なのだけれど。
    読みながら、この人は、現代の清少納言みたいだな、と感じてしまった。
    凛としていて、才気あふれていて、孤高で、皮肉もビシバシ口にする、強気な人。
    日常のことを書いているのだけれど、どこかはっとさせられる。
    同じ時代に生まれていたら、気が合ったんじゃ...続きを読む
  • おとうと(新潮文庫)
    他の作品にも言えることだが、女主人公はいつも大人である。家庭の不和の中でも自分の役割を全うしようとするが、年幾ばくも無いため至らぬ点にしばし気づかされるものの、そこで拗ねたり開き直るのではなく、ただただかくあろうとする姿勢で困難に立ち向かっていく。病気を理由に家事をしない義母の代わりをし、自分が弟よ...続きを読む
  • 流れる(新潮文庫)
    やっと手に取った幸田文。期待を裏切らない面白い作品だった。漢字変換されてない言葉が多々あるので慣れるまで少し読みにくかった。意地があって口が達者な女しかいない置屋の内情。主人公:梨花が素人で所謂普通の感覚を持っている人、という設定が読む側が素人であるだけにスッと話に入っていきやすかった。会話の箇所を...続きを読む
  • きもの(新潮文庫)
    着心地重視の主人公に完全にシンクロしながら読みました。肌触りがいいとその日1日気持ちよく過ごせるのすごくわかる。
    おばあさんの生活の知恵、特に着物の含蓄にうなずきまくりました。木綿、毛織、銘仙、絹、いつどの素材を着るか何故その着物なのか全部理に適ってる。縮緬のお布団ってそんなに寝心地いいのかな、寝て...続きを読む
  • おとうと(新潮文庫)
    姉とおとうと、おとうとと義母、姉と娘、父と娘、ひとつひとつの関係性がとてももどかしい。
    この物語には器用な人間は登場しない。全ての人間が不器用で、意地悪で、悩んでいる。が、そこに僕はこの小説の愛嬌を感じる。
    読み進めながら途中、読むのを辞めたくなる。あまりにも日本文学的な、べったりとした描写、物語。...続きを読む
  • さざなみの日記
    母と娘だが女と女。
    刻々と変化するものの中にこそ幸せや憐み、美しさを見出すことができる。

    幸田文とか、その作中の人って口数が少ないから好きだ。その分、奥の方で考えている量と質がすごい。表面にその中身がチョロッとしか出てこないから、一言一言がすごく効いてくる。
  • 父・こんなこと(新潮文庫)
    この人の書く露伴は、気難しくて厳しくて、でもどこかユーモアがあって粋ですらある、ただ一人の、誰のでもないこの人の父親だ。
    「偉大な作家」で包み隠すのではなく、真にこの人が見てきた、感じてきた父・露伴を描いたこの作品は、誰が書くよりも(もしかすると露伴本人よりも)作家・露伴の魅力を伝えている気がする。...続きを読む
  • 父・こんなこと(新潮文庫)
     父・幸田露伴の晩年と看取りをつづった「父―その死―」、父との日常の思い出をつづった「こんなこと」を収録した本。

     「父―その死―」では、父の看病で激しく揺れる筆者の思いがとても正直につづられている。時には憎しみを深く感じる一方で、別の時には心から憐れんで親身になる。その時々に移り変わる気分がつぶ...続きを読む
  • きもの(新潮文庫)
     主人公の子供時代から結婚するまでの人生の歩みを、着るもの、身につけるもののエピソードをふんだんにちりばめて書かれた小説です。

     きかん気が強く、気に入らないことは絶対に受け付けない性質の主人公の子供時代から物語が始まります。姉たちにはからかわれ、親にも持て余されがちな主人公。そして、そんな主人公...続きを読む
  • 台所のおと みそっかす
    随筆→小説→随筆
    の順で載っており、
    やはり随筆でないほうが
    好きだなと読み進めていたが
    最後の「終焉」でやられる。

    この作家の唯一読んでいた作品が
    「流れる」だったので、出てきたのが
    女性ばかりだったが、
    この作家の書く男性も、
    凄く魅力的だ。

    「みそっかす」も読み、
    この作家も、お父様も、お...続きを読む
  • 流れる(新潮文庫)
    女性たちばかり出てくるのに、
    どうしてこんなにはきはきと
    輝いて見えるのか。

    登場人物の人間らしさが
    どろどろ絡み合うのに
    情とか、主人公のさっぱりした
    強さとかが心地よく読める。

    他の作品も読みたい。
  • 雀の手帖(新潮文庫)
    初めての幸田文さん。
    きっと好きな文章だと思いながら読まずに来た。
    予想以上に好きだった。
    解説の出久根達郎さんも書かれているように、自分にとっては肌に合う文章。
    題材や「雀の手帖」というタイトルも。
  • きもの(新潮文庫)
    登場人物の語り口調がぽんぽんと軽快で、するすると読めてしまう。東京の下町の口調はきっと実際耳にしても私にはついていけないだろう…。
    三姉妹(+兄)の末っ子の半生は、進路の悩みや性格の悩み、家族との葛藤など女性なら共感できる部分も多かった。
    祖母からいろいろなことを教えてもらい生活のなかの知恵を得てい...続きを読む
  • 包む 現代日本のエッセイ
    一つ読んでは唸り、また一つ読んでは唸り…
    唸りつくした1冊。見事としか言いようがない。
    昨今の小説を読んでがっかりするくらいなら幸田文さんの作品を読んでいたい。間違いがないもの。

    ちょっと自分にはついていけない…というような、細やかで独自の感じ方をされる方です。
    その感性や鋭い観察力によって心がど...続きを読む
  • 包む 現代日本のエッセイ
    幸田文のエッセイ集は数々ありますが、最初に読むのなら「包む」をおすすめします。
    「何をお包みいたしましょう」で、思いがけないお土産を大量に包んでしまった話、幸田文の父が文が結婚するにあたって相手の親の気持ちになっていろいろ考える結婚雑談、晩年になって「この人私に似ている」と思う話、可愛がっていた猫を...続きを読む
  • きもの(新潮文庫)
    女性の生活目線でのお話が好きです。いろんな着物の柄や素材の名称が出てきて、登場人物たちのこだわり方の表現に、時代を超えて女の私は読んでいてウキウキしました。

    随分前に読んだので、感想が朧げですが、また時間があるときに読みたいな。女の人って、強いなぁと思った記憶があります。