久々の万城目学さん。やっぱり良いです、万城目学さん。
万城目さんの作品はどれも清々しい。作品自体が清々しいし、読者側の気持ちとしても読み始めから読み終わりまでずっと清々しい。
それを、解説で「品がある」と表現されていて、なるほど!!と膝を打った。確かに「品がある」はしっくりくる。
主人公は縁結びの
...続きを読む神様。姿かたちはおっさん。神々の中でも下級に属するらしく、ノルマに追われているよう。この神を取材したいと常にそばにいるライター神様。姿かたちは、銀行員。もうこれだけでわけわからん設定だけど、「神喜劇」とあるだけに、本当に楽しめる。
このおっさん神様の言葉(セリフ)だけで物語が進んでいく部分と、おっさん神様に目をかけてもらったりした人間側のストーリー部分とが交互になる構成。うまく説明できていないけど。
以下、ネタバレあります!
このおっさん神様、ちょこちょこ文句や悪口を言ったり、上位の神々にはいい顔をしようとしたり、ズルいところがあったりして、神というより人間っぽくて憎めない。こんなふうなのに、大神様がお出ましになられ、大地震を起こすからと避難命令が出された時に、人間と街を捨てて避難できないと言い切ったときには不覚にも涙が出た。私たちがあの震災を経験したからかもしれない。楽しいエンターテイメントな作品の中に、作者の祈りにも似た思いが詰まっている気がした。そして、神社行ったらちゃんと参拝しようと思った。宗教とか神とかあまりよくわからないけれど、そこには何かあるんじゃないかと思った。
大神様に逆らった時や、言霊が勝手に使われた時に、「吐きそう」とかいうお茶目なこのおっさん神様、本当に憎めないので、ぜひ読んでみてほしいです。