フィリップ・K・ディックのレビュー一覧

  • 小さな黒い箱 ディック短篇傑作選
    2023/10/3再読
    読み返してみて今回印象深いのは「聖なる争い」。
    大統領の役割は情報分析し判断するコンピューターシステムが代替している。どうしてそのような判断が下されたかは人間側はわからない。敵が攻めてきているとの判断がくだされ一気に戦争状態になってしまうのを止めようとするFBI とコンピュー...続きを読む
  • スキャナー・ダークリー
    潜入麻薬捜査の胸糞さも良いが、ヤク中のとりとめのない会話や更生施設の様子が良かった。
    ドナがコカコーラのトラック撃つところがサイコーだけどマイクと打ち合わせしてるときは普通にドナがコーラ飲んでて、掴み所ないなと思った。

    ディック自身の経験が多いに生かされているので巻末に軽く触れてくれているのがあり...続きを読む
  • トータル・リコール
    ■トータルリコール
    「自分の記憶は本物なのか」誰もが一度は考えたことがあるようなことが設定となっている話。
    何が本物で偽物か?フィリップ・K・ディック作品に通ずるテーマが本書にも埋め込まれています。

    ■出口はどこかへの入り口
    自分の夢を、正しいことをせず、ただ権力に従う。その結果としての評価が「い...続きを読む
  • ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕
    山形浩生さんの訳で読みました。とてもおもしろかった。ジョンレノンの亡くなったニュースはそろばん塾で聞いたなーとか。そんときそもそもビートルズってまだ生きてるんだくらいに思ってたこととか。シャタックアベニューの中華料理屋とか言われるともうなんか懐かしくて泣けるし。
  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕
    火星や金星に殖民するため、国連によって地球を追われ、過酷な環境下に強制移住させられた人々にとって、ドラッグ・キャンDは必需品であった。キャンDは目の前の模型セットに精神を投影させ、あたかも地球に居るかのごとくトリップすることができるのだ。P・P・レイアウト社の社長レオ・ビュレロは、流行予測コンサルタ...続きを読む
  • トータル・リコール
    映画化されたトータルリコール、マイノリティレポートを含む短編集。名作と言われているのは聞いていたが、読むのは初めて。面白い。時代背景からか、核戦争に絡んだ話が多いのも興味深い。
    子供の頃、SFはよく読んだが、ここしばらくはご無沙汰。人生後半にたくさんの楽しみが残されている感じがして嬉しいかも。
  • ヴァリス〔新訳版〕
    初めて読んだ時は「釈義」の内容についていくのに必死だったけど、読み直す内に、これはディックにとって非常にパーソナルな小説だったのではないかと思うようになった。ソフィアがリピドン協会の三人に語る言葉(実に感動的!)は、書いている自らに檄を飛ばしているように見える。人間の可能性と、その善なるところを信じ...続きを読む
  • ユービック
    ディック好きなはずが、これまだ読んでなかったという。
    超能力者対反能力者。Ingress(と言うスマホゲーム)とちょっと構図が似てるな、なんてチラッと思いました。異論は認める。
    テレパス(思考を読む)やプレコグ(予知)を雇うスパイ会社と、それらの能力を中和させる反能力者を雇う会社。
    読み始めてあっと...続きを読む
  • ユービック
    世界の退行とともに展開がめまぐるしく、何が正しいのか分からないまま引きこまれた感じ。ランシターの実体化現象の気味悪さ(特にコインの)が印象的だった。
  • 変数人間
    ディックのSF短編集.正直SFは苦手だったのですが,この本を機にSFを面白く感じるようになりました.どの短編も面白いです.
  • 時は乱れて
    新聞の懸賞クイズ「火星人はどこに?」に2年連続で勝ち続け、クイズの賞金で生計を立てているレイグル・ガム。片田舎の小さいのどかな町で、妹夫婦と共に穏やかな日々を送っているガムは、しばしば自分を取り囲む現実が「現実ではない」という感覚に囚われていた。ある日、甥っ子が遺棄された空き地から拾ってきた古びた電...続きを読む
  • 時は乱れて
    SFマガジンのPKD特集に再度刺激され、ディック祭り継続中。
    57年の「虚空の目」と62年の「高い城の男」の間に位置する作品。何かが違っているように見えるのは自分が狂い始めているのか世界が本物なのか?普通小説にしか見えない出だしから、徐々に不安感が高まって・・・100ページ以内でどちらがおかしいのか...続きを読む
  • トータル・リコール
    映画化された「トータルリコール」、「マイノリティー・リポート」含む10篇の傑作短編集。

    ディックの映画化されたものは「ブレードランナー」を除いてつまらないので、この短編集も期待しないで読み始めたのですが・・・

    やるではないですか!ディックにサイエンスは期待しませんが、人間(自分)は何をもってして...続きを読む
  • ユービック
    読むもののエネルギーを吸収するような、異様な読書体験。本作が内在するエネルギーと、読者のそれとが秤にかけられるよう。傑作。
  • 火星のタイム・スリップ
    ディックの諸作品はどれも印象的なタイトルだ。「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」や「ユービック」など、どれもインパクトのあるタイトル。そんな中で「火星のタイムスリップ」というある意味ベタなタイトルのこの作品。黒の背景にスタイリッシュなデザインを施した新装版ラインナップにもなかなか入ってこず、どうなの...続きを読む
  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕

    壮大な悪夢

    こんな未来には住みたくない!と思わされるような陰鬱な惑星植民地にもたらされる違法ドラッグ!という感じの、とても40年以上前の作品とは思えない面白さ!とはいえディック濃度200%なので、『ブレードランナー』くらいのつもりで読むと面食らうかも。
  • 火星のタイム・スリップ
    人類の植民が進みつつある火星。圧倒的な水不足を背景に絶大な権力を持つ水利組合の長アーニイ・コットは、火星の開発計画に伴う利権争いに出遅れ、地球の資産家達に先を越されてしまう。損失を取り返さんと憤怒に燃えるアーニイが目を付けたのは、常人と異なる時間感覚を有しているらしい自閉症の少年マンフレッドだった。...続きを読む
  • ユービック
    もう本当に面白い!
    ミスリードの応酬
    この世界や人生そのものの不確かさを描いた作品か 程よい適当さも良い
    ハッキリ言って、この作品から得られる人生の教訓的なものは僕にはなかった笑
    その代わり生きる上で必要も無い疑問が一つ増えただけ

    でも娯楽に教訓なんていらない!面白ければいいんだ!
    ランシターの前...続きを読む
  • スキャナー・ダークリー
    ディックの中で一番好きな話です。今回新装版になっていたので再購入。

    これはディックが友達への思いを込めて書いているのだと思います。
    悲劇的、アンハッピーエンドとされることが多いようですが
    あくまで私個人としては、ディック作品の中でも特に切なくも優しい話だと思います。

    しかし、スクランブルスーツが...続きを読む
  • ユービック
    予知能力者を狩るべく月面に集結した不活性者を待ち受けていたのは彼らによる罠であった。月面での小規模の爆発から始まった時間逆行現象。コーヒーは腐り、タバコは萎れ、家具はどんどん古い型番になって行く。彼らの持っていた通貨もやがて古いものへと退化していく中、それに効く唯一の特効薬である”ユービック”を探し...続きを読む