フィリップ・K・ディックのレビュー一覧

  • 時は乱れて
    SFとかミステリーとか全ジャンルを含めて考えても、P.K.ディックは私のなかで特異で特別な作家。

    彼の場合は、小説という創作物の「出来が良くない」方が、時として「読者としての満足感が得られる」事が多いという、グラフでイメージすれば反比例の曲線を持つ、珍しい作家。

    起承転結がうまくいっている作品と...続きを読む
  • 時は乱れて
    他の作品と文体が違うので戸惑うが、読み進めればいつものディック小説。映画「トゥルーマン・ショー」がインスパイアされた物語。
  • 高い城の男
    ドラマをシーズン3まで観てから読んだ。「原作」と「ドラマ」の共通点と相違点の両方が大きくて、、先にドラマを観たことで、どうしても認識がドラマに引っ張られてしまって本の内容が上手く入ってこないという残念さと、逆にドラマを観てなかったらわからなかったかもしれない所がたくさんあって、なんとも言えない気持ち...続きを読む
  • 高い城の男
    "第二次世界大戦に勝利した国は、我々が生きている世界の歴史では連合国(アメリカ・イギリス・ソビエト連邦・フランス・中華民国など)となっている。
    もしも、枢軸国(ドイツ、イタリア、日本など)が勝利していたとしたら・・・・
    この歴史のもしもを小説にしたものが本書。
    100人の作家がいれば100種類の小説...続きを読む
  • 高い城の男
    実はまだ読んだこと無かったので、読んだのだが。
    この読書体験は何だったのかw
    易を立てないとわからんww
  • 人間以前 ディック短篇傑作選
    表題作と『地図にない町』を読んだ。
    ・表題作:12歳未満の子供は人間とみなされず両親の希望があれば中絶トラックによって回収、処分されてしまう。かつての中絶の概念が拡張され、人間とみなされるかどうかは、産まれてくる前かどうかではなく、代数(高等数学)を扱える年齢以降の世界となっていた。
    表題作は後ろの...続きを読む
  • ユービック
    「ユービック」とは「ubiquity(いたるところに存在すること、神の遍在)」を基にした造語(同じ語源の言葉としては、IT用語の「ユビキタス」などがあるよう)。作中では、各章の冒頭に「ユービック」の広告が掲載されており、それが車であり、ビールであり、コーヒーであり、鎮痛剤であり、銀行であり、女性用下...続きを読む
  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕
    フィリップ・キンドレッド・ディック作、浅倉久志訳のSF長編。
    ディックの名短編『パーキー・パットの日々』を下敷きに、架空のドラッグによる、共同幻想への没入、過去への回帰、物質への転生、それら幻覚の現実世界への侵食…といったトリップ体験を融合させている。
    ディストピア小説でありながら、ドライな筆致、零...続きを読む
  • ヴァリス〔新訳版〕
    神秘体験とそれに合致するシンクロニシティへの出会い、友人たちのサークルを巻き込みながら神性に到達しようと試みる壮大な物語。
    ある意味これを今の自分が読むこと自体が神秘体験的で、まさかのフィクションと現実の入れ子構造神秘体験。私もどっかの人工衛星からピンク色の光線を脳内に照射されているのかもしれない。
  • 流れよわが涙、と警官は言った
    フィリップ K ディック 「 流れよわが涙と警官は言った 」
    近未来SFの面白さもあるが、キーワードは 涙の意味であり、愛のサイクルの物語(愛する→失う→悲しむ→悲しみが去る→また愛する)だと思う。特に ジェイスンとルースレイの愛についての会話は素晴らしい

    近未来SFとしての面白さ
    *遺伝子操作→...続きを読む
  • ジャック・イジドアの告白
    非SF作品ってことで読んでなかったけど意外に楽しめた。ディックは本当はこういうの書きたかったていうか主流文学を書きたかったのかなと思った。人物造形が丁寧で、描きこみもきっちりしており、アメリカ文学だなって感じする。読んで損はない。
  • ジャック・イジドアの告白
    訳注が過剰で煩わしく感じてしまった。^^;
    ディックファンなら解説本に手を出しちゃうと思うし、今は楽にネットで検索出来ると思うのですが、知らないままで間違った解釈をして欲しくないという意向があったのかな?
  • 銀河の壺なおし〔新訳版〕
    質問や命令に対して「ウィリス○○しろ」
    というルールを頑なに守ろうとしながら
    人間(状況)に合わせて、苛立ちながら妥協したり、
    実は□□になる夢を持っていたり、脇役ながら光る。
    まさにいま「OKグーグル」で反応する世界を予言。
    葛藤があるあたり、当時は違ったかもしれないが
    現在からすると風刺・パロデ...続きを読む
  • 銀河の壺なおし〔新訳版〕
    楽しい!ある意味ナンセンス。
    Wikipediaを見ようとして通信制限にかかるとか、機械翻訳の再翻訳誤謬ゲームもそうだし、OK, Googleって言わないと反応しないAIみたいなのとかなんで’60年代に思いつくのか。しかもそのチョイスが微妙すぎる。
  • 銀河の壺なおし〔新訳版〕
    おー、確かにセリフが違うぞ。
    旧訳より読みやすく感じたのは、既にストーリーが頭に入っていたからか、自分が年取ったせいなのか、訳者の優劣かは謎。
  • ヴァリス〔新訳版〕
    なかなか読み終わらないが、読むたびに新しい発見がある。
    ドラッグ体験、精神の壁を超越することからくる世界の歪み、社会からの枠組みから自由になる事を垣間見れるような文章。

    読み終わったらまた書くよ。
  • 人間以前 ディック短篇傑作選
    これまで読んだフィリップ・K・ディック作品とは少し毛色が違うものが多かったような印象を受けます。
    「妖精の王」はファンタジー要素が強く、珍しくしっかりとハッピーエンド!
    「欠陥ビーバー」はビーバーが主人公の作品だし、「父さんもどき」は子供たちが主人公(私の頭の中ではスタンドバイミー的な雰囲気でした。...続きを読む
  • スキャナー・ダークリー
    なんか話が複雑で追いかけるのがしんどかった。フレッドとアークターが混じっていくとことか、カウンセリングの場面とか、何がおきてるかさっぱりわかんなかった。
    後半のどんでん返しはなかなかショッキングでよかった。中盤がだれていて読み続けるのがしんどかったけど、終盤のあたりは展開が早くてテンポがよかった。
    ...続きを読む
  • 流れよわが涙、と警官は言った
    最後バッドエンドじゃなくて本当に良かった。読むのを迷ってる皆様、バッドエンドじゃないから安心して読んで下さいと言いたい。あ、でも若い学生さんとには少し難しいかも。

    SF冒険奇譚かと思ってたんですが、あとがきで衝撃。そういう視点もありですね。なるほど、そこからあのタイトルかー。登場人物も面白く個性的...続きを読む
  • 流れよわが涙、と警官は言った
    デッィクに慣れてきたのかそれともそういう本なのか、いつになく話の筋がすっきり見える本だった。そのぶんグラグラ感は少なかったけど夢中で読んだ。やっぱりディック面白い!自分がある日存在しない世界に飛んでしまった男の物語。冒頭プルーストのくだりでにやり/人間何が起こるかわからないし理屈通りには動かない/<...続きを読む