フィリップ・K・ディックのレビュー一覧

  • 変種第二号
    戦争物が多いが、
    オチが面白い作品が多かった。

    表題作品は、
    映画「スクリーマーズ」の原作ということもあり、
    映画と合わせて読んだら、
    さらによかった。
  • 人間以前 ディック短篇傑作選
    表題を含む12篇のSF短編を収録した本。
    著者の他の作品と同様かそれ以上に、独特な世界観が繰り広げられている。

    個人的には、8番目の『新世代』が皮肉たっぷりで話の落としどころも意外で面白かった。
    子どもの人格が歪むのは全て親の養育が関係しているため、18歳まではロボットに人間の子どもを育てさせよう...続きを読む
  • 小さな黒い箱 ディック短篇傑作選
    『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の原型作を含む11篇の、SF小説の短編集。

    個人的には6作品目の『聖なる戦い』が一番面白くて怖かった。
    SFとホラーは紙一重というのを体現しているような作品だったと思う。

    全作品を通して、「よくこんな設定を思いつくなあ」という舞台設定でありながら、現実をよく...続きを読む
  • 偶然世界
    ディック27歳のSF長編第一作。権力者がくじびき機械のランダム性によって決められるという設定を皮切りに、テレパシー、最終戦争、植民惑星、管理階級社会、人造人間、など、この時期からすでに世界観ががっつり作り込まれていて、読者を引きずり込むディックらしさが感じられる。ただ、得体のしれない不安感を誘うとこ...続きを読む
  • アジャストメント ディック短篇傑作選
    映画「アジャストメント」「クローン」の原作短篇を収録した短篇傑作選。現実と虚構の狭間をスリリングに描くディックらしい筆致は短篇でも変わらず。いささかシュールだったり、ブラックユーモア的な、ラストがスッキリしない作品も多かったが、そこは好みの問題で、どれも設定が秀逸で引き込まれるのはさすが。映画化され...続きを読む
  • 火星のタイム・スリップ
    精神分裂病が引き起こす、時間感覚の崩壊。ディック作品おなじみ現実崩壊感の別バージョンな感じ。序盤では描写される火星開拓の行き詰まりがリアルに感じられて面白い。中盤は火星の住民たちと分裂病患者をとりまく人間ドラマが印象的。終盤でタイムスリップがキーとなって物語を飛躍させ、SFらしい驚きの感動を与えてく...続きを読む
  • シミュラクラ〔新訳版〕
    タイムトラベルとパラレルワールドをはじめとして、模造人間(シミュラクラ)、小型宇宙船、火星移住、架空歴史、管理社会、ミュータント、超能力、未来戦争、などなど、SFガジェットてんこ盛りの長編。数十人の登場人物に、主人公級の人物が何人もいて、それぞれに絡み合いながらプロットが駆動していく。要素が多すぎて...続きを読む
  • ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕
    〈ヴァリス〉三部作の第三弾。
    とはいえ、前二作とのストーリー上のつながりはなく、共通するのはそのテーマ性。これまでに引きずってきた神学談義や神秘体験などのオカルト妄想に決着をつけた作品である。
    小賢しいが常識的な感覚を持ったインテリ女性の一人称による語りが、「そっち系の話を信じる人」の実態を暴き出す...続きを読む
  • ザップ・ガン
    マンガ的な雰囲気のB級SF。
    トランスで新型兵器のアイディアを手に入れる兵器ファッション・デザイナーが、究極兵器“ザップ・ガン”の開発を目指すというぶっとんだ設定。SFアイディアのてんこ盛り+ディックおなじみのドラッグや社会描写などがあるが、前半部分が読みにくく、全体的にまとまりがない印象。
    とはい...続きを読む
  • 去年を待ちながら〔新訳版〕
    「いっしょに暮らさなくてはいけない人物と、とてもやっていけないと思うことはある?」
    日々お互いに不満をぶつけ合うしかない、冷え切った夫婦仲。妻が気晴らしに手を出したドラッグによって、とんでもない事態が引き起こされる。
    時は2055年、人類は異星人同士の星間戦争に巻き込まれ、リーグ星人と泥沼の交戦状態...続きを読む
  • 宇宙の眼
    ディックの出世作となる初期長編。
    目に見えている現実が崩れていくような、ホラーじみた感覚から読者を引きずり込んでいく作風はこの時点ですでに強烈だ。主人公が目的を達するために戦いを挑む、全体としてはつかみやすいストーリー展開。ワクワクのピークはタイトル回収のところまで、中盤以降はイメージを奔放にぶちま...続きを読む
  • 流れよわが涙、と警官は言った
    「いったい何が起こっているんだ?」
    主人公を襲う、夢なのか現実なのかわからないサスペンス劇、かと思いきや……?
    「これからどうなる?」というドキドキやハラハラで終盤まで引っ張り、昨今のエンタメに慣れた人にも面白く読める。そして明かされた謎……も良くできているが、この作品の本題はそこではないのだろう。...続きを読む
  • 高い城の男
    舞台は、第二次大戦が史実と異なる結果を迎え、ドイツと日本が戦勝国となった世界。敗戦国アメリカの国民は自尊心を失い、両国との狭間で翻弄されていく。
    舞台設定的には、ifモノの歴史が好きな層に受けそうだし、それだけでワクワクしてしまうが、本質としてこの物語が訴えたかったことは、「今、生きているこの世界こ...続きを読む
  • 人間以前 ディック短篇傑作選
    現代的ファンタジーから古典的なSFまで12+1編を詰め込んだ短編集。冷戦時代のアメリカを痛烈に批判する姿勢を強く感じる。
    描写は飛び飛び&奇想天外な部分もあり若干読みづらいが、尖ったアイデアはどれも秀逸。
    私のベストは『新世代』『ナニー』『フォスター、おまえはもう死んでるぞ』
  • アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

    人間とは?

    初めは見たことの無い用語に面食らってなかなか読む気が起きなかったけれど、中盤から一気に面白くなり、夢中で読みました。
    人間とアンドロイドの境目とは?単に感情あるなし、だけになるのか?
    結局マーサー教とは何だったのだろうか。
    エンターテイメント性もありつつ考えさせられる小説で、素直に面白かったです!
  • シミュラクラ〔新訳版〕
    フィリップ・K・ディック作品!
    ジャケ買いではなく、シミュラクラという響きを聞いたことあったからのタイトル買い。

    途中じゃん!?って感じで終わった。

    登場人物が多すぎて全然把握できない。
    そもそもストーリーも把握しにくい。それがディック流っぽくはあるが。
    半分くらい読み進めてようやくなんとかわか...続きを読む
  • タイタンのゲーム・プレーヤー
    中国の軍事兵器により出生率が下がり、タイタンからやってきた異星生物ヴァグとの戦争に敗れた人類は、ヴァグによる緩やかな支配の下、地球上の土地を賭けたゲームに明け暮れていた。カリフォルニア州に住むピート・ガーデンは、ある晩のゲームに負け、居住地でもあったバークレーを奪い取られてしまう。失意に暮れるガーデ...続きを読む
  • トータル・リコール
    発想に感嘆する。星新一のSFをヘビーにした印象。映画でしか知らなかった「トータルリコール」がこんな短編だったのも、こんなストーリーだったことにも驚き。表現が重厚なものだから、話の軽妙さがより際立って楽しめた。訳のおかげかもしれない。ここからあれだけ内容を膨らませた映画作品にも改めて拍手。シュワちゃん...続きを読む
  • 変種第二号
    フィリップ・K・ディックの短編集。
    学生時代は夢中になって読んだが、久々に再読。

    本書は新しく編纂した戦争をテーマにした短編集ということで、自分が覚えていたのは表題作の『変種第2号』だけ。
    でもやっぱり面白いな~。
    SFのすべての古典がここにあるっていう感じだよね。

    SF好きにはディックの短編集...続きを読む
  • 高い城の男
    第二次世界大戦でドイツ・日本が勝利し、日本がアメリカを、ドイツがヨーロッパ、アジアを支配している設定のSF。
    日本とドイツの冷戦的な関係も描かれる。
    物語の舞台は日本に支配されたアメリカ。
    「わかりやすいストーリー」はなく、映画「マグノリア」に似た、多数の登場人物による群像劇的な作品。
    それぞれに共...続きを読む