フィリップ・K・ディックのレビュー一覧

  • ユービック
    この話、すごく回りくどい。悪い意味ではないです。
    ユービックという、アイテムとしては微妙な位置づけのものが、一番初めの章からずっと、怪しげな、けど、世に溢れている広告の形で、姿を変えながら登場している。話と絡んでくるのはずっと後で、それは多くの先人たちが力を尽くして作り出した、主人公が生き延びるため...続きを読む
  • 時は乱れて
    ハードカバーを見て、表紙のかっこよさで読んでみたいと思った本。
    洋物なのに大変読みやすく、内容もすごく面白かった。30年前の本だというのが驚きです。
    ただ、後半の急展開になかなか付いていけなかった。終わり方もここで終わり!?て感じで、もう少し先を読みたかった。
  • ユービック
     あとがきで触れられていた通り、中盤から後半にかけてはA・E・ヴァン・ヴォークトの影響を強く感じた。フィリップ・K・ディックの諸作をすべて読んだわけではないが、彼の本には、世界と自分を繋ぐ感覚の脆さへの表現があり、個人が持つ感覚が他者と本質的には共有できないという孤独がある。と同時に、人間が感じる世...続きを読む
  • ザップ・ガン
    久しぶりのSF小説(といっても1ヶ月ぶりだが…)、そして久しぶりのディック作品(といっても4ヶ月ぶりだが…)ということもあって、期待以上に楽しめた本書は、ディック曰く「クズ」みたいな作品とのこと。「後半はまあまあだけど」とフォローをいれるものの、「前半はまるで読めた代物じゃない」と述べるように、ディ...続きを読む
  • 人間以前 ディック短篇傑作選
    ファンタジー色が強いものから、古典的なディストピアの話まで、全部趣向が違っていて粒ぞろいの話が集まっている。
    表題作の「人間以前」がやはり面白い。フェミ的に反発があると思うけど、批判的な側面に偏らないで、もしこんな世界があったら、という空想で生き生きと描いているのが良い。

    あとは、「地図にない街」...続きを読む
  • 流れよわが涙、と警官は言った
    ディックの不条理物 違和感を感じるがそれがディック
    表紙   7点上原 徹
    展開   6点1974年著作
    文章   6点
    内容 700点
    合計 719点
  • 偶然世界
    正確に書くと3.5かな。

    ハヤカワ文庫が相変わらず嫌いなんだけども買ってしまった。
    どうしてサイズ合わせないかな。
    これはずっとぶつぶつ言い続けてやる。
    ツイッターでも書いてやる。

    久しぶりのディック。
    最近はこういう完全なるエンターテイメントのものは再読ばかりで
    新しいものは仕入れていなかった...続きを読む
  • 時は乱れて
    映画ブレードランナーの原作SF作家として有名なヒィリップKディックの作品。初ディック。
    新聞の懸賞クイズに2年間勝ち続けている男が、日常の存在感に違和感を感じるところから物語が始まる。最初は古いアメリカンファミリーの日常描写かなと思っていたら、段々とSFになっていくあたりの展開がうまいと思った。映画...続きを読む
  • 流れよわが涙、と警官は言った
    TVスターがトラブルで手術室に運び込まれ,目が覚めると世界中の誰も自分を覚えていないし,データバンクに彼の存在を示す記録が何も残っていない,,,という,ディックお得意の「現実と非現実の違いって何?」というお話し.
    と聞くと極めてSFチックなのだが,ただし,実は設定はそれほど重要ではなく,読んでみると...続きを読む
  • 流れよわが涙、と警官は言った
    解説というものを人生の中で指折りで数えられるくらいしか読んだことがないが、読んだ。
    小説に対する某かの感想なんてあまり意味のないように感じていたが、これは理解を深める上では役立つこともあるのかもしれない、と思い直した。

    名は体を表す、か。
    肝に銘じておこう。
  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕
    ディックは読むのがしんどい
    表紙   6点渡部 隆
    展開   6点1964年著作
    文章   6点
    内容 640点
    合計 658点
  • トータル・リコール
    全体的に読みやすい。翻訳がこなれているからだろう。古い作品なのだがどれも古さを感じさせない。元のアイデアが良いからだ。個人的に印象に残ったのは、「出口はどこかへの入口」「地球防衛軍」「訪問者」「世界をわが手に」の4作品。人の良心を試されているかのようなもの作品が多い。

    以下、個別作品の感想。

    ...続きを読む
  • ユービック
    「ブレードランナー」の原作である小説を書いた著者の本はちゃんと読んでおきたいなと思い、この本から。世界がありました。また、違うんだろうが、インセプションの発想にもヒントを与えたのかな、とか死者を保存しておくみたいな、かぷせるに入った諸SFのイメージはここからきたのかなと思ったり、読んでよかったと思う...続きを読む
  • ユービック
    フィリップKディック総選挙,栄えある第一位作品.
    反超能力者達が月面で罠にかけられ事故にあう.その直後からおこる時間退行現象.一体何が起こっているのか? 犯人は誰なのか? ユービックとは何か? 伏線を拾いつつラストになだれ込み,謎は解けたかに思えたが,現実はさらにその斜め上をいっていた,というところ...続きを読む
  • ユービック
    引きずり込まれるようにして読んでしまったけど、一体なんだったんだろう。
    反超能力者たちが月に集結し、地球に戻ると起きている時間退行現象の謎を追っていく話。主題が解決しているような、していないような、不思議な読後感。読んでいる間はぐるぐるとジェットコースターに乗っているような疾走感を味わっていたのだけ...続きを読む
  • 人間以前 ディック短篇傑作選
    表題作が興味深いのだが、巻末収録短編のタイトルが「シビュラの目」である…
    私はSFを完全に誤解していたなぁ、だから手を出さなかったんだろう、SFは全てにおいて「無機質なもの」と思い込んでいた。人間の在り方も科学的に進んでしまう事で精査され、人間味が薄れ、設定の奇抜さを楽しむもんだと思い込んでた。設定...続きを読む
  • トータル・リコール
    ディックの短篇は、長篇に比べて読みやすくて解りやすい。そして、とっても面白い!
    本書は、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の「トータル・リコール」(最近はリメイクもされました)やスティーブン・スピルバーグ監督により映画化された「マイノリティ・リポート」の原作を含む全10篇収録の短篇集です。

    地下...続きを読む
  • 宇宙の眼
    意外にも良心的な結末にちょっとビックリ(…ハッピーエンドですよね?)。
    先日読んだ「発狂した宇宙」と並び多元宇宙の金字塔と評される本書です。どちらも現実と異なる世界に迷い込み、四苦八苦するという点では同じですが、「発狂した宇宙」における多元宇宙が無限にある宇宙のひとつだとすると、こちらは極端な考え方...続きを読む
  • 流れよわが涙、と警官は言った
    作者のメッセージ性が強いですが、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」などと比べると少し伝わりにくい内容なのではないかと思います。

    ただ主人公の行く先を追っているだけでは読み終わった時に ん? となりそうです。

    途中途中の伏線が最後に結びつくのでじっくり読むことを推薦します。
  • ユービック
    前半は伏線を匂わせ設定を張りめぐらせ、後半はこれでもか!というぐらいにその伏線・設定をフル活用して混線・混乱を仕掛けてきます。プロットの破綻がさらに破綻を巻き込んでの最後の1ページには唖然とさせられること間違いなし。あと単純に新装版の表紙がかっくいいので、部屋に飾るだけでもオシャレで好きです。