フィリップ・K・ディックのレビュー一覧

  • トータル・リコール
    映画原作でもある2篇を含めた合計10篇の短編集。
    短編集初収録(本邦初訳1篇含む)である3篇は自分的にはイマイチでしたが、それ以外の7篇はすごくおもしろかった。
  • ユービック
    初版1969年の時代に1992年の未来を描いた作品。超能力者から一般人を護るための不活性者を擁する良識機関が存在し、そして冷凍処理された死者との対話が可能になった未来。超能力者を追って月に行ったランシターやジョー・チップ一行だが、相手の策略にはまってしまう。そこからの描写は、時間が逆行する中でジョー...続きを読む
  • ティモシー・アーチャーの転生〔新訳版〕
    自由書房で購入
    遠い未来・放射能に汚染された2020年の異世界を描く作家なんだが、ホンダシビック・Jレノン殺害を体験し時代を共有していたと気付かされる
  • ユービック
    ディック特有の現実と虚構、生と死のような相反するものの境界を崩し、曖昧にされた世界観が展開される。ストーリーは時間退行現象が始まる中で、少しずつ手がかりを見つけていくミステリーのように読みやすい。前半と後半で全く印象が変わるが、それにしてもコイン投入式のドアはめちゃくちゃ不便そうだし、何より主人公の...続きを読む
  • 流れよわが涙、と警官は言った
    主人公のタヴァナーの言動行動がどこか人間味に欠けるなぁと思っていたら、そういうことだったのか…!ある種のアンドロイドなんだ。
    一見悪役であったバックマンがタヴァナーと違って他人にシンパシーを感じ悲しみに涙することのできる人間だったんだな。前半と後半ではストーリーの軸というか誰を主人公と捉えて読むかが...続きを読む
  • 高い城の男
    ◯読み終えて素直に思ったことは、この小説に関して自分がどう考えて良いのかよく分からない、ということだった。
    ◯SF小説を読み慣れていないせいなのかもしれないが、解説まで読んでみても、表面的にしかこの小説を説明していない。訳者あとがきであるから当たり前ではあるが。ある種自由に読めると言えば読める。

    ...続きを読む
  • いたずらの問題
    西暦2114年。世界は道徳再生運動(通称、モレク)の広がりにより、あるゆる反モレク的言動を取り締まる監視社会へと変貌していた。そこではハサミムシ型のスパイ・ロボット”ジュブナイル”が人々の生活を監視し、少しでも道徳に反する行動を犯したものはブロック集会にて匿名のパッシングを浴び、居住権を奪われてしま...続きを読む
  • フロリクス8から来た友人
    22世紀の人類は、極めて高い知能を有する<新人>と超能力を操ることのできる<異人>、そして一般的な<旧人>の3つに分類され、世界は僅かな<新人>と<異人>が60億以上の<旧人>を支配していた。そんななか、窮屈な支配をうける<旧人>の期待を背負って深宇宙へと旅立ったプロヴォーニは状況を打開できる知的生...続きを読む
  • フロリクス8から来た友人
    頭脳の進化した〈新人〉と超能力を持つ〈異人〉が多数の〈旧人〉を管理し支配する、ディストピアとなった地球が舞台のSF小説です。
    地球を脱した人物が体制を破壊する異星人を連れて帰還する、という伝説を心の拠り所に旧人は日々を生きています。
    そんな旧人の一人、タイヤ溝掘り職人ニックを主人公に物語は展開します...続きを読む
  • 宇宙の眼
    陽子ビーム偏向装置が暴発し、ガイドや見学に来ていた8人が事故に巻き込まれる。意識を失い、気付いたら世界が何だかおかしい。それは8人のうちの誰かの精神世界に入り込んでしまったためだった。現実に戻るために色々な世界を彷徨うことになる。8人が協力したり敵対したり、人間関係の変化が面白い。ディックお得意の畳...続きを読む
  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕
    いや〜めくるめくディックの世界を堪能した。特に終盤は「幻影か現実か」「エルドリッチかメイヤスンか」で、エンドレスなマトリョーシカ状態。短編の方も読んでみたい。
  • 流れよわが涙、と警官は言った
    自家用飛行機が飛び交う世界。3000万人の視聴者をもつ人気エンターテイナーーの男はある日突然安宿で目覚める。この世界では絶対に必要な身分証も無く、あるのは直前に持ち歩いていた大量の現金だけ。
    出会うひとも、電話をかけた相手も誰も自分の事を知らない。
    世界観はSFではあるけれど、中身は二人の男の愛と喪...続きを読む
  • トータル・リコール
    フィリップディックの短篇集
    「トータル・リコール」
    「出口はどこかへの入口」
    「地球防衛軍」
    「訪問者」
    「世界をわが手に」
    「ミスター・スペースシップ」
    「非(ナル)O」
    「フード・メーカー」
    「吊されたよそ者」
    「マイノリティ・リポート」
    「地球防衛軍」が面白かった。
  • ジャック・イジドアの告白
    ディックの非SF小説。SF的設定がないので個人的にはものたりない。イジドアの妹・フェイの強烈さが印象深い。フェイの夫の退院後の行動も強烈な印象を残す。
  • ユービック
    「ブレードランナー」「トータルリコール」
    は見たことある。

    フィリップ・K・ディック総選挙の一位になったとか帯に書かれている時期に買いました。初PKD

    超能力者とそれに対抗する能力者派遣会社が
    しのぎを削っていて
    死者は「半生者」として、連絡を取ることができる装置が存在する未来

    ある依頼で月で...続きを読む
  • ユービック
    あらすじがネタバレと聞いたので一切見ずに読んだが、おおう、なんだこれ、すごい世界だ。と思わず嘆息してしまう。

    超能力者、半超能力者という語感から、X-MENのような展開を予想していたら話は凄まじい勢いで違う方向に転がっていく。グイグイ読ませる怪作だった
  • 去年を待ちながら〔新訳版〕
    当時のディックの奥さんが作品に影響を与えてるらしい作品。それをこんな面白い話に仕立てるんだからすごい。ちなみに途中で登場人物がこんがらがりましたが…
  • シミュラクラ〔新訳版〕
    評価4にしたけど、これ傑作じゃないかな?念動力、時間移動、ガジェット、火星、異星生物…登場人物が多いのでメモを取ったほうがいいかも。
  • 時は乱れて
    いま自分がいるところは、本当に自分の居場所なのだろうか。
    このような不安を微かに(しかし確実に)感じながら生きている男の物語。

    上記の不安は、作者が以後の作品で反映させていく不安群――たとえば、自分が記憶していることは、本当に自分の記憶なのだろうかという不安――の一つと考えてよいでしょう。

    戦後...続きを読む
  • 流れよわが涙、と警官は言った
    非常にエモーショナルな作品でした。「哀れっぽい哀しみ」というか、無力感に裏打ちされた希求というか。中盤、ある女性がうさぎの話に続けて語る愛の話は、特にストレートで、今の自分に共鳴しました。(エピローグで彼女のその後を知ってから読むとまた。)あとがきを読んだ限り、当時の作者の精神状態をおおいに反映して...続きを読む