梶よう子のレビュー一覧

  • 迷子石
    実際に起こった事件に新たな人物を加えて脚色した話だと知らずによみました。解説から読んだらもう少し理解を深めなが読めたと思います。
    登場人物の名前や薬の読み方が難しく、最初はなかなか読めませんでしたが面白かったです。
  • お茶壺道中
    重厚な構えの話の進め方、嬉しいですね、梶節。
    もし叶うならば、梶さんの筆でお香のお話を読んでみたい。
  • 決戦!忠臣蔵
    結局、真相は、藪の中。なぜ浅野内匠頭は、吉良上野介に斬りかかったのか。ここまで資料が何も出てこない事件も珍しい。

    諸田玲子の「与五郎の妻」が特に良かった。泣けた。
  • 三年長屋
    武士を捨てて差配になった、一言多い左平次を中心にして繰り広げられるお話。
    最後が急展開でめでたしめでたし、人情時代物には平穏な結末が一番だと思う。
  • みちのく忠臣蔵
    相馬大作、名前だけは知っていた人の話。
    主役は旗本の子息だが、語り部であって、事件の主体は相馬大作。
    津軽と南部の確執からの、事件を扱っている。
    前半のテンポがいまいちだったが、半ば過ぎからは一気読み。
  • 吾妻おもかげ
    浮世絵師・菱川師宣のお話。菱川師宣という名前と、『見返り美人図』は知っていましたが、そもそも”浮世絵の祖”と言われることや、狩野派のような”菱川一門”を形成していたことも知らなかったので、とても興味深く読めました。江戸と上方の出版事情の違いや、名もなき絵師と名のある絵師の違いも語られていて面白かった...続きを読む
  • とむらい屋颯太
    葬具屋の颯太と仲間達の人情もの
    作者さんの江戸時代お仕事小説の幅広さを感じる

    ニヒルな美青年風の颯太、ちょっととっつきにくかった
    テーマが死に関わるお仕事のため、全体的にトーンは重め
    しんみりするのも嫌いではないからよし
  • 空を駆ける
    会津に生まれた大川カシ(若松賤子)の一代記。
    幼くして会津で母を失い、祖母とも別れ、父に連れられて横浜の大川商店へ養女に出される。店の経営が傾き、フェリスセミナリー(のちのフェリス女学院)へ給費生として入学したカシは、そこをホームと決め、英語を学びキリスト教に帰依する。
    職業婦人という概念のなかった...続きを読む
  • 吾妻おもかげ
    浮世絵師である菱川師宣がどう生まれ、絵師として覚醒したのかを描く半生記。それまで絵画というのは京都にお手本があり、古くから伝わる画法を頑なに守ることに価値があった。故に、将軍お抱えの狩野派のみが絵師として認められるという世の中であり、個人が画才を生かして活躍するということはなかった。そこに登場したの...続きを読む
  • 空を駆ける
    会津の子としての誇りを忘れずにと父の教えを胸に商家の番頭の養女に出され、横浜の女学校に学び…カシという一人の女性が力強い生き方が とても丁寧に描かれていると思う。『花嫁のベール』の詩がとても良かった。この作者の作品は初めてだったけれど、とても読みやすい。そして装画がとても素敵。
  • 我、鉄路を拓かん
    見たこともない陸蒸気を走らせるために鉄道を敷く。さらに、長大な築堤を設けて海を走らせる。重機のない時代にだ。鉄道開業150年という節目を迎え、平野弥市なる影の功労者にスポットが当たる。新政府は産声をあげたばかりで、攘夷の名残もまだ根強い。小説とはいえ、何千もの人夫をまとめる苦労たるやいかばかりか。そ...続きを読む
  • 空を駆ける
    会津藩士の娘として生まれ,戦禍を逃れ商家の養女となり女学校の寄宿生となって,その後大きく羽ばたいた若松賤子こと松川甲子の一生.フェリス女学院の設立の事情背景や生き生きとした学生生活など読んでいて楽しく,女性の自由や権利に目覚めるところもわくわくした.が,巌本善治との結婚は果たして幸せだったのだろうか...続きを読む
  • 空を駆ける
    また一人、
    偉大で素敵な方の一生を経験できたようでした。若松賤子さん、
    なんて強い意志、志しを持ち、それを貫いた女性なんだろう。こんな風に生きれたら・・・そう思わせてくれる、本当に手本となるような方ですね。
    この小説に出会ったおかげで、若松賤子=松川カシという女性が、日本が明治に変わった激動の時代に...続きを読む
  • 連鶴
    大政奉還後の桑名藩士が主人公。
    この時期の桑名藩の難しい事情を軸に、藩士の兄と、商家に養子に出た弟の話。
    この時期の桑名藩は、会津藩と共に、苦難に満ちている。幕末に京都守護職を務めた会津藩松平容保、京都所司代の桑名藩松平定敬。この兄弟が大政奉還後に、薩長側の標的にされたといっていい。徳川慶喜は完全に...続きを読む
  • 空を駆ける
    道なき道を拓いていった凛とした女性の一代記。読後に爽やかさ、同じ女性としての共感と励ましを感じる良書。出合えてよかった。
  • 迷子石
    富山藩幕末、江戸屋敷に住む医師見習いの青年が主人公。
    実際にあった、富田兵部事件がモチーフ。
    当時の富山藩と置き薬売りの関わりなどとても興味深い。
    事実を背景にしているが、主題は大人しく頼りない医師見習いの青年の成長譚。
    とても良い子で、関わる周りの人々とのやりとりも心地よかった。

    史実と創作の混...続きを読む
  • はしからはしまで―みとや・お瑛仕入帖―(新潮文庫)
    シリーズ3作目。
    のんきで憎めない兄としっかりものの妹との二人三脚でやってきた「みとや」だったのに・・。二親に続いてなので、本当に寂しくなる。
    それでも周囲の助けでなんとか店を続けるお瑛。仕入もお瑛が行うことになり、仕入帖を元に兄の足跡を追うことになるが、本のタイトル「みとや・お瑛仕入帖」がこういう...続きを読む
  • 五弁の秋花―みとや・お瑛仕入帖―(新潮文庫)
    シリーズ2作目。
    何でも三十八文均一が売り物の店。お気楽者の兄が仕入担当だが、いい加減なわりに目利きでもあるので、ちょい高の三十八文でもお得に思わせる品物が揃う。今回はそれが仇になり、騙されて品物を仕入れて、盗品を扱っていると噂になり大騒動。
    妹のお瑛の猪牙船の操船や、自分の出生の疑問等いろいろな出...続きを読む
  • 夢の花、咲く
    朝顔に魅入られた人々が織りなす悲しいさ。主人公も現代ならさしずめ朝顔オタクと、皆に一線を引かれてしまうタイプに見えるし行動が伴わないイライラを感じる時もある。けれど、事件の真相に近付いて行くにつれ、周囲の暖かい見守りの中で変化して行く。それを成長と呼ぶのかはわからないが自分の能力の中で一生懸命できる...続きを読む
  • 噂を売る男 藤岡屋由蔵
    シーボルト事件の顛末を、市井の男が絡んで解き明かす。禁制の伊能地図持ち出し事件について知らなかったので、学ぶことが多かった。高橋作左衛門と間宮林蔵との確執、彼らとシーボルトとの親交は史実であり、どうやら江戸の長崎商人が記した書からシーボルト事件が露見したという説が検証されているようだ。そこに町人風情...続きを読む