空を駆ける

空を駆ける

2,090円 (税込)

10pt

逆光に置かれても挫けずに我が子へ愛を注ぐ母と、その愛を受けて健やかに成長する子の姿を描き、今もなお愛され続ける名作児童文学『小公子』。
この物語を日本で初めて翻訳したのは、明治の女性文学者、若松賤子(しずこ)だった。

江戸末期、会津藩士の父のもとに生まれたカシ(のちの賤子)は、幼子の頃、戊辰戦争で九死に一生を得るが、のちに母を亡くし、横浜の生糸問屋へ養子に出されて孤独な少女時代を過ごす。
転機となったのは、明治八年。
養家を離れ、十一歳でアメリカ人女性宣教師メアリー・キダーが創立した女子寄宿学校フェリス・セミナリーへ入学。
新しい校舎、新しい仲間たち、新しい学び。
そこはカシにとって、会津を離れて以来、初めての心安らぐ「ホーム」となっていく。
「わたしは、翼を広げ、空を駆けるように飛ぶための準備をしなければならない」
カシは、女性の自立と子どもの幸福こそがこの国の未来を照らすと信じ、命を燃やしていく――。
一人の女性として、妻として、そして三人の子の母として。
激動の明治を懸命に生ききった三十一年の生涯に新たな光をあてる渾身長編!

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空を駆ける のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2022年11月22日

    「小公子」を初めて翻訳した若松賤子の生涯、ということでしたが、何よりこの時代に女性の地位についてこのように考えていた方がいたということに驚きと感動を覚えました。

    生きていらしたら、その後の戦争の時代、そして「良妻賢母」たれと説く教育や政治に対して、どう思われたでしょう。

    自分を振り返ると、結婚す...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年08月21日

    素晴らしい本に出会えた。流石梶文学だ。江戸末期から明治の波乱に満ちた時代を生き抜いた女性作家の生涯は感動感動の連続だった。当時は結核は不治の病いだ。業病に罹りながら健気に生き抜いた女性作家の生涯はもう一度言うが感動感動だった。

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    Posted by ブクログ 2022年11月23日

    会津の子としての誇りを忘れずにと父の教えを胸に商家の番頭の養女に出され、横浜の女学校に学び…カシという一人の女性が力強い生き方が とても丁寧に描かれていると思う。『花嫁のベール』の詩がとても良かった。この作者の作品は初めてだったけれど、とても読みやすい。そして装画がとても素敵。

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    Posted by ブクログ 2022年11月07日

    また一人、
    偉大で素敵な方の一生を経験できたようでした。若松賤子さん、
    なんて強い意志、志しを持ち、それを貫いた女性なんだろう。こんな風に生きれたら・・・そう思わせてくれる、本当に手本となるような方ですね。
    この小説に出会ったおかげで、若松賤子=松川カシという女性が、日本が明治に変わった激動の時代に...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年08月23日

    道なき道を拓いていった凛とした女性の一代記。読後に爽やかさ、同じ女性としての共感と励ましを感じる良書。出合えてよかった。

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    Posted by ブクログ 2023年08月20日

    海外文学『小公子』を日本で初めて翻訳した、明治時代の文学者・若松賤子(筆名、本名は島田カシ)の半生記。両親の実家が会津若松にあり、戊辰戦争の影響で横浜の商家に養女に出される。幼少期は波乱に富んだ時期を過ごすが、12歳のとき横浜山手にある「フェリス・セミナリー」に入学して、文学者としての第一歩を踏み出...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年10月02日

    会津の雛鳥だった大川カシが、横浜のフェリスで育ち翼を得て若松しずとして飛びたったお話し。



    NHKの朝ドラ「花子とアン」の村岡花子や
    「らんたん」の河井道を思い出しました。


    -------おかし様と書かれたその筆に懐かしさと嬉しさを覚えた。-----

    この気持ちを味わいたいなぁ~。



    ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年09月28日

    フェリス・セミナリー(現・フェリス女学院)初代卒業生にして、バーネット『小公子』の翻訳者、そして教育者である若松賤子の生涯を描いた作品。

    恥ずかしながら若松賤子という方をこの作品で初めて知った。
    物語の終盤、『小公子』の前編が出版された直後のカシ(賤子の本名)が夫である巌本善治に『怖くなった』と不...続きを読む

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    ネタバレ

    Posted by ブクログ 2023年03月19日

    会津に生まれた大川カシ(若松賤子)の一代記。
    幼くして会津で母を失い、祖母とも別れ、父に連れられて横浜の大川商店へ養女に出される。店の経営が傾き、フェリスセミナリー(のちのフェリス女学院)へ給費生として入学したカシは、そこをホームと決め、英語を学びキリスト教に帰依する。
    職業婦人という概念のなかった...続きを読む

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    ネタバレ

    Posted by ブクログ 2022年11月13日

    会津藩士の娘として生まれ,戦禍を逃れ商家の養女となり女学校の寄宿生となって,その後大きく羽ばたいた若松賤子こと松川甲子の一生.フェリス女学院の設立の事情背景や生き生きとした学生生活など読んでいて楽しく,女性の自由や権利に目覚めるところもわくわくした.が,巌本善治との結婚は果たして幸せだったのだろうか...続きを読む

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