梶よう子のレビュー一覧

  • 広重ぶるう(新潮文庫)
    浮世絵師歌川広重の代表作 錦絵『名所江戸百景』の藍色、大好きな色合いです。また、構図も斬新かつ心を擽ります。何故こんな色彩、何故こんな視点、話を読む中で分かったように思われます。
    主人公含他、チャキチャキの江戸っ子の姿を垣間見るようで、映像としてもきっと面白いでしょう。今の東京とは異なる江戸の街を楽...続きを読む
  • 広重ぶるう(新潮文庫)
    以前読んだ白蔵盈太氏の「画狂老人卍」の北斎の人物像にかなりぶっ飛んだが、この物語の主人公の歌川広重も負けず劣らずの変人。その広重がベロ藍に出会って風景画の名作の数々が如何にして生まれて来たか。版元、弟子との関係、そして広重の絵に対する熱意が伝わって来る。「画狂老人卍」と併読するとより浮世絵の世界が広...続きを読む
  • 広重ぶるう(新潮文庫)
    広重という題材も含め、非常に新鮮でかつ面白かったです。当時の時代考証はもとより感情が浮き出ており、時代ものとしては秀一だと思いました。
  • 広重ぶるう(新潮文庫)
    「描きたいんだ、江戸の空を、深くて艶のあるこの『藍色』で。歌川広重あ絵師を志すが、人気を博していたのは葛飾北斎や歌川国貞。広重の美人画や役者絵は酷評で、鳴かず飛ばず。そんな広重が出会ったのは、舶来の顔料「ベロ藍」だった。遅咲きの絵師・歌川広重が「名所の広重」になるまでの、意地と涙の人生を鮮やかに描く...続きを読む
  • 五弁の秋花―みとや・お瑛仕入帖―(新潮文庫)
    次から次へと厄災が出た回です、幼馴染のおせんがとんでもない、人の足を引っ張る1番ダメな人間って思ったけど、それを飲み込んでこんで幼馴染と騙したのは別ものだと断言する瑛はもしかしたら本間の人情家かも。コロナにかかった人に自業自得と言う腐った人間、腐った保健所に役人の真反対で、本当に見習うべき瑛さん。自...続きを読む
  • お茶壺道中
    お茶壺道中という聞き慣れない習わし、徳川様という当時では最高の存在だろうけど、ちょっと嫌かも。自分の生まれた宇治の宇治茶を、想いを背負って仁吉は江戸で生きて行くのだけど、色んなことが起きた。太兵衛に認められて仕えていたのが、まさか自分が太兵衛になるとはなぁーしみじみ何が起きるかわからんってこと。阿部...続きを読む
  • はしからはしまで―みとや・お瑛仕入帖―(新潮文庫)
    驚きました。しかない。死んだと思わせて毒が抜けて生き返る、おちゃらけ路線を明確にするのかと思いきや、事実が告げられて、本当に亡くなったよ長太郎。2人で生き抜いて困難克服していたのが、あっさり死んじゃう。清吉に寛平に安定感のある日常風景がお栄1人になると途端にもの悲しいですが、辰蔵が?直が?恋人になる...続きを読む
  • いろあわせ 摺師安次郎人情暦
    先に父子ゆえを読んでしまい、やっぱり続編だったと、なんか構成が出来すぎていて、当たり前におまんまの安次郎とか、子供とか出ていたんだよね。読んで直ぐに2度目の父子ゆえを読んでスッキリした。長屋の関係やお初の里や安次郎の生い立ちやおりくさんの謎が分かれば怖いものがないので。摺師の闘いで向こうの父親が負け...続きを読む
  • 父子ゆえ 摺師安次郎人情暦
    こっちが2だったんだ。終わり方も何から何まで続編の匂いがして、でもわからなかったから。これは役者も長屋も仕事も絵になるから、もっと読みたい。信太の登場が3話っておまたせしましただよね、長屋の生活と安太郎の周りにガラッと変化して明るくなってこっちまでハリが出たよ。ラストの掌を乗せて合わせてとか結ばれる...続きを読む
  • 菊花の仇討ち

    こんな早くに第二弾を手に出来て幸せだと思った。颯太の人柄が更に突き詰めて優しいけど表に出さないとか、お吉をとむらい屋にしたのが何よりだ。毎回死んだ人間を蔑ろにする早く退けてくれとか非人情な事を言う自分だっていつかその日が来るのに、馬鹿だよなあって、そのたんびに表情を一切変えず答える颯太がいいかな。...続きを読む
  • お伊勢ものがたり 親子三代道中記
    続けて梶よう子さん。これもまたよかった、東海道を旅するのとお伊勢参りをわかりやすく書いてあるんだけど、なるほど抜け参りがあるくらい人気あったんだ。しかも女性は出来ない事で、武家の家を守るべきが信条の香矢の旅するうちに心が晴れる、娘のことや様々な出会いから得られるものがたくさんあって、本当に色々あった...続きを読む
  • とむらい屋颯太
    颯太の11歳の決意する場面がとても印象深い。おとせ、おもん、おみつが焼け焦げた蔵の場面がなんともやるせない。颯太を1人逃して自分達は大丈夫じゃないのに、安心させて、でも死が迫っていて、今生のお別れするって。飄々としているけど、颯太にも、他の仲間にも人には言えない背負ってるものがある。梶よう子さんは文...続きを読む
  • 墨の香
    江戸時代の新しい開拓しようと探す。梶よう子さん良さそうだと思って。文体も優しくて読みやすいけど、出だしの卯美、汐江、涼代と何故に毎回の出だしが意地の悪い女なんだろうか。新しいページにはヨシっ次だという気持ちが働くのに、気持ちが萎える。昔の職場で性格悪の年下のリーダーがいたけど、敵意を持たれて何かと嫌...続きを読む
  • とむらい屋颯太 漣のゆくえ
    やっぱりいいです、面白い。吟味方の50叩きを必死で食い止めるこうざぶろうにお叱りだけのお裁きの吟味方、めちゃくちゃ優しいわ。姉が名前を変えて目も見えなくて妓楼にいたのを必死で探して説得して妓楼主がお金を持ち出して、朝顔の種を交換条件にして、分かりました200両を楽しみながら育てますと姉を自由にする妓...続きを読む
  • ご破算で願いましては―みとや・お瑛仕入帖―(新潮文庫)
    江戸の柳橋界隈が舞台は初めてだったけど、もうちょい街の違いを知りたかった。毎回の長太郎が仕入れる品物の曰く付きから物語始まるので、そういう安定感が好きかも、同時に死んだ両親、借金、叔父と判明した増次が暗躍してこれから出て来ると思いきや。出てくるの早かったよ、お加津も隠し事をしていたけど、うーむゴール...続きを読む
  • 三年長屋
    三年長屋のタイトルも非常に気になったし、登場人物も個性だらけで、展開する次々に出て来る長屋住人にお梅という家主の裏側をじっくりと解き明かす所が良い。出だしから鬼嶋の腐れ外道に小判鮫の市兵衛の悪事を暴く所が良い。とても良い、暴く種明かしの後の非常に淡白な簡潔な娘の再会とまだまだ続くぞ的な新しい住人=火...続きを読む
  • 決戦!忠臣蔵
    もしかしたら歴史小説を初めて読んだのは忠臣蔵だったかもしれない。
    何作か読んだと思うけど、久しぶりのこの忠臣蔵はアンソロジーで、様々な視点で7人の歴史小説家が書いています。

    葉室麟『鬼の影』
    朝井まかて『妻の一分』
    夢枕獏『首無し幽霊』
    長浦京『冥土の契り』
    梶よう子『雪の橋』
    諸田玲子『与五郎の...続きを読む
  • 空を駆ける
    「小公子」を初めて翻訳した若松賤子の生涯、ということでしたが、何よりこの時代に女性の地位についてこのように考えていた方がいたということに驚きと感動を覚えました。

    生きていらしたら、その後の戦争の時代、そして「良妻賢母」たれと説く教育や政治に対して、どう思われたでしょう。

    自分を振り返ると、結婚す...続きを読む
  • 空を駆ける
    素晴らしい本に出会えた。流石梶文学だ。江戸末期から明治の波乱に満ちた時代を生き抜いた女性作家の生涯は感動感動の連続だった。当時は結核は不治の病いだ。業病に罹りながら健気に生き抜いた女性作家の生涯はもう一度言うが感動感動だった。
  • ヨイ豊
    幕末から明治の絵師、二代国貞、四代豊国。本名は清太郎。これが主役。
    パッとしない絵師だと思う。
    作中でもそう。師匠の三代豊国からも、面白味に欠けると言われていた。その代わり飲む打つ買うには無縁の堅実な人柄。
    清太郎の弟弟子の八十八は画力に優れた天才肌で、宵越しの銭を持たず家に居着かず、何度となく女房...続きを読む