おすすめ鬼畜BL漫画8選【愛と暴力の危ういバランス】
さまざまあるBLジャンルの中でも、コアなファンを持つ鬼畜BL漫画。鬼畜BLとは、精神的・肉体的に受けを痛めつけるもの、または、そういう趣味・嗜好が描かれた作品群です。愛情表現として暴力をふるってしまったり、受けが暴力をふるわれることを望んでいたり、また、攻めが嫉妬と執着心から受けを痛めつけてしまったりすることも……。そこにはギリギリの均衡を保った愛と暴力が描かれ、その危うさ故に読むものを惹きつけます。
今回は、愛と暴力が描かれる、鬼畜BL漫画を8作品ご紹介します。これまで鬼畜BL漫画を読んだことのない方は、読後にその印象が変わるかもしれませんよ。
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『スニーキーレッド』
『スニーキーレッド』 1~3巻 たなと / 祥伝社
【エロ度】★★★★☆
【鬼畜度】★★★
【このプレイ・台詞が鬼畜!】ボコボコに殴った後で、無理やり口にねじ込みながら「大好きだもんな こういうの まぁーーじでドMじゃん」
暴力と愛がせめぎ合う、究極のボコり愛
出会いがしらの喧嘩が発端で、タチの悪いヤンキー・釧路に絡まれる日々を送っているフリーターの三崎。出会うたびに顔を殴られ、仕事にも支障をきたすようになってきたのに、なぜか釧路のいる道を通ってしまう三崎は、徐々に自分が殴られて快感を得ていることに気付きます。そんな三崎に感づいた釧路は、ある日、無理やり三崎を襲い、何度も繰り返すうちに情がわくようになっていきます。
躊躇なく顔面を殴ったり、痛がる相手に強引にねじ込んだりと、始めは釧路の鬼畜ぶりが激しく、流血や生傷などかなり暴力描写が多い作品です。しかし、この作品は単なる暴力を扱った作品ではありません。互いに悩みを抱える二人が、暴力を発端にして、絆を深めていく物語です。特に釧路は、もともとの暴力的な性格に加えて家庭にも問題を抱えており、そのイライラや憤りが暴力として露見していました。しかし、三崎にまるごと受け入れてもらうことにより、徐々に自分自身と向き合あえるようになっていくのです。
「ボコり愛」というジャンルを確立したといえる本作。暴力から始まった2人ですが、肉体的にも精神的にもお互いになくてはならない関係になり、未来に明るさを感じられるラストです。
『その唇に夜の露』
完結『その唇に夜の露』 全1巻 深井結己 / 芳文社
【エロ度】★★★☆☆
【鬼畜度】★★★
【このプレイ・台詞が鬼畜!】バスの中で無理やり襲った後に「お前は このバスに乗っている限り 俺から逃げられないもんな」
酷いことをされてもなお、抱いてしまう恋心…
学生時代、ちょっとしたすれ違いから友人の恭一に裏切られたと思った琢紀は、行き場のない怒りを恭一にぶつけ、無理やり襲ってしまいました。15年後、バスの運転手になった琢紀は車内で恭一と偶然に再会。恭一は琢紀に人生を狂わされたと恨み続け、そんな恭一に琢紀はバスの車内で襲われてしまいます。過去のせいで屈折した性格に変わってしまった恭一は、復讐のために行為を繰り返し……。
愛情表現でも嫉妬や執着心でもなく、怒りや憎しみから無理やり痛めつける鬼畜BL作品です。復讐のために、無理やり肉体を開かせるだけではなく、それを琢紀の仕事場であるバスの中で何度も行い、精神的にも追い詰めている恭一。恭一の尽きることのない怒りに対し、琢紀は過去の負い目から拒めず、嫌と言いつつもされるがままでしたが、やがて恭一への気持ちに気付いてしまいます。恭一の暴力的な行為に対して、琢紀の胸の内が切ないです。すれ違ってしまった過去から、再び2人は向き合えるのか、憎しみに満ちた再会の結末はどうなるのか、ぜひ本編で。
『夜はともだち』
完結『夜はともだち』 全1巻 井戸ぎほう / ふゅーじょんぷろだくと
【エロ度】★★★☆☆
【鬼畜度】★★☆
【このプレイ・台詞が鬼畜!】「あからさまなんだもん その面(ツラ) そんなに俺に酷くされるの好きなんだ?」
真性Mと似非Sの交わることのない感情が切ない
人当たりもよく友達も多い真澄と、無口で無表情でミステリアスな飛田は高校からの同級生です。ある日、大学で飛田が男に絡まれているところを助けた真澄は、彼がゲイでドMだと知ります。そして、好奇心から飛田の似非ご主人様になることに。プレイメイト以上の関係を求めない飛田に対し、やがて真澄は普通でまともな関係を求めるようになってしまいます。
手足を縛ったり、首を絞めたり、目隠しをしたり……いたぶられることが気持ちいい飛田のために、真澄はSMプレイを手探りで勉強し、楽しんで割り切った関係を続けていました。しかし、同じ時間を過ごす中で、真澄は飛田を痛めつけたり縛ったりすることが怖くなってしまうのです。「好きだから普通に愛し合いたい。傷つけたくない。」、「いたぶられることが気持ちいい」という、相反する性癖を持つ2人。感情がわかりにくく、プレイ以外には無関心のように見える飛田の心の内が明かされた時、切なさに胸が震える作品です。
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『やじるし』
完結『やじるし』 全1巻 はらだ / ビーボーイ編集部
【エロ度】★★★★☆
【鬼畜度】★★★
【このプレイ・台詞が鬼畜!】フェラを強要した後で「なあ キスしてやろうか はは、うそだバーカ ザーメン臭ぇ」
健気な受けを利用した攻めのクズっぷりが腹立たしい
鬼畜やクズっぷりが際立つ作品が集められた短編集。表題作の「やじるし」は、一見好青年な攻めが、新歓コンパで出会った気弱そうな受けに目をつけるところから始まります。受けが自分のことを好きだというを利用して、パシリや性欲処理をさせるというクズっぷり。しかし、ある日、パシリの彼から「彼氏ができた」と言われてしまい…!?
言ってることもやってることもかなり酷いはずなのに、そんな攻めの言うことを聞いてしまう受けの恋心が切ない表題作。ゲス攻め・健気受けの対照的な2人の物語は、衝撃的な結末が待っています。ほかにも、「ひきずる音」では、交通事故をきっかけに異常なまでに過保護になった受けとその気持ちを利用している攻めの共依存が描かれ、「歪みはじめ」では、クズで鬼畜な教師の手に落ちる男子学生の姿が描かれます。変態度でいうと「痴漢させている彼を偶然発見して、的な展開で」が飛び抜けています。中身の濃い短編が読みたい時におすすめです。
『俺のパンツが人質にとられています』
完結『俺のパンツが人質にとられています』 全1巻 春田 / 一迅社
【エロ度】★★★★☆
【鬼畜度】★★☆
【このプレイ・台詞が鬼畜!】「男に触られてイっちゃう先輩もどうかしてると思いますよ 気持ちよかったくせに」
シリアスとギャグのバランス!脅迫から始まるソフト鬼畜BL
替えのパンツが一枚もなかったためにノーパンで学校に来てしまった主人公・亮。コンビニで買ったパンツをトイレで履こうとしていたら、後輩の野島にノーパンであることがばれてしまいます。つい野島を殴ってしまった亮は、ノーパン写真と暴力を理由に、野島から1週間のノーパン生活を強要されることに。しかも、野島の要求は徐々にエスカレートしてきて……!?
亮の弱みに付け込んで、ノーパン・ブラジャー着用で授業に参加させたり、エッチなことを強要したりと、野島は精神的にチクチク追い詰めるタイプの鬼畜です。「日曜日まで」という期間限定で、野島の鬼畜な行為をしぶしぶ受けることになった亮ですが、野島から与えられる快感に徐々にほだされていきます。後輩にドSなことを強要されているのに気持ちよくなってしまったり、ふいうちで照れる後輩をかわいいと思ってしまったり、亮の葛藤もかわいい本作。ギャグも随所にちりばめられ、クスっと笑えるソフト鬼畜な恋愛模様です。
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『スピンアウト』
完結『スピンアウト』 全2巻 国枝彩香 / 竹書房
【エロ度】★★★☆☆
【鬼畜度】★★★
【このプレイ・台詞が鬼畜!】人通りの多い道のすぐ横で嫌がる受けを無理やり襲いながら「――声をたてるな …誰か来るぞ?」
平凡な男が鬼畜に目覚め落ちていく
ごく平凡な会社員・巽(たつみ)の秘密は、月に1度か2度の息抜き。それは、ホテルの一室である出来事をきっかけに出会った男・三木と会い、合意の上でSMプレイを楽しむこと。巽が三木を手荒く扱うのは、決して汚してはいけない人、社長子息である涼馬への思いのはけ口として。しかし、ある日、女性と親しく話している三木が男に襲われたところを巽が助け、割り切ったはずの2人の関係は急展開します。
殴ったり、髪を掴んだり、前戯なしにつっこんだりと、相手を痛めつけるプレイが好きな巽。普段の物静かで柔らかい笑顔を見せる人とは到底同一人物に思えない変貌ぶりです。三木と出会ったことで、巽は自分の中の隠れた嗜好に気付き、逢瀬を重ねるごとに巽の暴力性はエスカレートしていきます。三木に対する執着は相性なのか、それとも愛情なのか…、巽自身もはっきりと自覚していませんでした。三木と涼馬が接触したり、三木の過去や姉の存在が明らかになったりと様々な人々を巻き込み、物語は怒涛の展開を見せます。タイトル通り、普通の道を「スピンアウト」してしまった巽はどこにいきつくのか、目が離せない作品です。
『かわいさ余って何かが百倍』
完結『かわいさ余って何かが百倍』 全1巻 エンゾウ / オークラ出版
【エロ度】★★★☆☆
【鬼畜度】★☆☆
【このプレイ・台詞が鬼畜!】「誰がホモの相手なんかするかっつの」「散々”都合のいい相手”をしてきたくせに今更何言ってんだよ」
泣き顔に萌える…好きな子ほどいじめたい
花屋オーナー・一ノ宮しのぶと最悪な出会い方をした真面目なサラリーマン・三國蓮次。三國は隠れゲイで、上司との不毛な社内不倫を続けており、タイミング悪く、その現場を一ノ宮に見られてしまいます。三國の泣き顔にそそられた一ノ宮は、その日から “キチク”な言葉と態度で三國をからかうようになって……!?
「人の嫌がることがすき」と明言しているだけあって、三國に対しての一ノ宮の言いようはかなり酷く、落ち込んでいる相手を煽るだけ煽って突き落すという容赦のない鬼畜ぶり。そんな一ノ宮の言葉に心をえぐられた三國は、感情をあらわにして泣くので、一ノ宮の加虐心は一層高まり、もっと泣かせたい欲求・苛めたい欲求が芽生えてしまうのです。言ってることは鬼畜以上の何物でもないですが、2人の関係性が深まるにつれて一ノ宮が「好きな子をいじめたいタイプ」だとわかり、激しい愛情の裏返しにほのぼのしてしまうこと間違いなしです。
他にも、美形オカマ×強気ボーイの逆転ラブや、高校生同士の甘酸っぱい恋も同時収録されています。
『In These Words』
『In These Words』 1~4巻 Guilt|Pleasure / ビーボーイ編集部
【エロ度】★★★★☆
【鬼畜度】★★★
【このプレイ・台詞が鬼畜!】受けを拘束し背中にナイフを突きつけながら「一生忘れられないよう刻み付けてやる 俺以外の誰も目に入らなくなるように…」
愛してるから苦しめたい、全部自分のものにしたい
精神科医の浅野克哉は、顔の見えない男に監禁され、犯され、「愛している」と囁かれつづける悪夢に苦しめられていました。ある時、警察から極秘で連続殺人犯の篠原のプロファイリングを依頼され、篠原から自白を引き出す任務につくことに。そこで克哉は現実と夢が似ていることに気付いて…!?
今回紹介した作品の中で、鬼畜度合いが最も高いのがこの作品。夢の中の男は克哉にひどく執着し、監禁の末、身体を傷つけたり、無理やり身体を開かせたりします。肉体的にも精神的にも痛めつけられる、かなりダークな鬼畜作品で、克哉と篠原の攻防戦の様子と克哉の夢の話が交互に展開します。夢の男は一体誰なのか、克哉が見ているのは本当に夢なのか…、謎が謎を呼び、サスペンスとしても楽しめる作品です。
最後に
癖のある作品が多い鬼畜BLですが、心の機微や行動に隠された本心などが丁寧に描かれている作品も多く、1度読むと病みつきになる人も。気になったものから読んでみてはいかがでしょうか。
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