正義を貫き通す！ おすすめの刑事・警察漫画11選
映画やドラマ、小説といったさまざまなジャンルで高い人気を誇る「警察もの」。もちろん「警察漫画」も人気作が目白押し！知っているようで知らない警察の日常を垣間見ることのできる作品や警察組織の闇に迫る作品、正義の在り方を問う作品など、おすすめの刑事・警察漫画11作をご紹介します。
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目次
『ハコヅメ～交番女子の逆襲～』
『ハコヅメ～交番女子の逆襲～』 1～4巻 泰三子 / 講談社
テレビドラマの刑事だけが主役じゃない！ 交番勤務の日常をコミカルに描く
安定収入を求めて公務員試験を受けまくった結果、警察官になった主人公・川合。昼夜を問わない激務や市民からの罵声に心折れて辞職を考えていたところ、美人で凄腕だけど性格に難ありまくりの元刑事部エース・藤部長と出会います。そして、警察官としての美学を持った藤と共に任務に当たる中で、ただ辛いだけだった警察の仕事に、大切な意義を見出していくのです。
婦人警察官として10年間勤めた経験を持つ作者だから描けた、リアリティあふれる作風が人気の本作。
「警察犬に対しては課長くらいだと思って接しろ」
「刑事課の人が怖くて提出物を渡しづらい」
「逮捕術訓練で怪我をして逆に執行力が下がる」
など、時にブラックながらも、思わずクスリとしてしまう警察あるある（？）ネタが満載です。藤部長を筆頭に、熱血若頭キャラの山田刑事や、男性恐怖症のため刑事課で存在感を消して働く女刑事・牧高、天才的な取り調べの才能を持つアフロ刑事・源部長といった個性的な面々に囲まれて、理不尽な目に遭いながらも警察官として成長していく川合の姿にほっこりさせられます。
また、コミカルな中にも、警察官という仕事の大切さが同時に描かれているのが本作の魅力。「UFOらしきものが見えた」「部屋に出たゴキブリを駆除してほしい」という迷惑通報にうんざりしつつも、狂言自殺を繰り返す男からの通報に際しては
「通報内容にはいたずらや虚偽通報 くだらないモノも多いけど それに対応する私たちは いつだって本気でなきゃダメなの」（3巻P19）
と、窓を破って部屋に突入し、見事に通報者の命を救う藤部長がかっこよすぎます！
作者の泰三子先生は「多くの人に警察の仕事について知ってほしい」という思いから、警察官を辞めて本作で漫画家デビューを果たしたそう。それだけに他の作品にはない“現場感”が堪能できます。読めば、警察漫画を読む楽しみが一段と深まりそうです！
『Sエス―最後の警官―』
完結『Sエス―最後の警官―』 全20巻 藤堂裕・小森陽一 / 小学館
保護か制圧か……真実の正義を追い求める男たちの熱きストーリー
警察組織の中で「制圧」（犯人の命を奪ってでも事態を解決する）が許されたSITとSATに対し、「確保」（犯人を生きたままとらえる）を最終目標として設立された新しい特殊部隊NPS。そこに所属する神御蔵一號（かみくらいちご）は、「犯人をも護る」熱い心の持ち主です。SAT出身の香椎隊長をはじめとしたNPSメンバーや、SATの凄腕スナイパー・蘇我らと事件解決にあたりますが、日本全土を揺るがすテロ事件に巻き込まれていき……。
向井理と綾野剛のダブル主演でテレビドラマ化、映画化もされた超人気作。犯人保護を目的とするNPSと犯人制圧を厭わないこれまでの“S”（特殊部隊）との対立や葛藤が描かれています。それぞれの組織の考え方を代表するのが主人公・神御蔵とそのライバル・蘇我です。神御蔵は幼い頃に両親を殺されますが、その犯人も制圧時に死んでしまったことで行き場のない思いを抱えており、対する蘇我は連続強姦魔に姉を殺された過去から「（犯人は）死をもって裁くべき」という考えを持っています。生きて罪を償わせるべきか、死を持って償わせるべきか……。そんな答えのない問いに真っ向から挑んでいく、神御蔵の強さと優しさに胸が震えます。
ともすればシリアス一辺倒になりそうなテーマを扱っていますが、神御蔵を取り巻く個性的なキャラクター達が見せるユーモラスな一幕も。中でも、焼酎を一口飲めば射撃の的が定まる美少女（？）スナイパー・林イルマや、警備犬のポインター3号をこよなく愛するハンドラー・梶尾らは、作中の癒やし的存在としても活躍してくれます。
原作は海上保安官を主役とした『海猿』（佐藤漫画製作所／漫画onweb）の原案や、新米潜水士の奮闘を描く『トッキュー!!』（講談社）の原作を手がけた小森陽一先生。綿密な取材に支えられた、緊迫感あふれる作戦シーンも見どころです！
『刑事が一匹…』
完結『刑事が一匹…』 全7巻 きたがわ翔 / 講談社
わが道を行く一匹狼のかっこよさを描き切る！
犯人（ホシ）を挙げるためなら別件逮捕だろうが違法取り調べだろうが、なんでもアリ。まるで野獣のような殺気を漂わせ、被疑者逮捕への執念を燃やす孤高の刑事（デカ）・高円寺大樹。上からは疎まれ、組織から爪弾きにされながらも、難事件に立ち向かっていきます。
アウトロー刑事の高円寺が主人公なだけに、警察のブラックな面が生々しく描かれています。ツケ払いが溜まっていることから「詐欺罪」をでっち上げで逮捕し、その後の取り調べで殺人容疑について締め上げ、違法捜査を咎める同僚を殴り飛ばす……。そんな無法ぶりから、ただの悪徳刑事にしか見えない高円寺ですが、胸の内には彼独自の正義感が秘められています。「ストーカー事件の揉み潰し」「捜査ミスの隠匿」「裏金作り」といった、警察組織内部の悪には決して染まることなく、ただひたすらに真実を追い求める姿がうなるほどにかっこいいのです！
また、取り調べシーンのリアリティや刑事の権限の限界をも描き切る、重厚な作風も人気の秘訣。職業としての刑事だけでなく、一人間としての刑事の姿が読者の胸に迫ります。
ストーカー殺人などの身の毛もよだつような犯罪だけでなく、汚職刑事とヤクザの友情といった人間ドラマも描かれている本作。悪人の美点や善人の汚点が垣間見える、奥深い人物描写が魅力的。酸いも甘いも知った、大人の心にこそじわりと沁み入る名作です。
『ウロボロス―警察ヲ裁クハ我ニアリ―』
完結『ウロボロス―警察ヲ裁クハ我ニアリ―』 全24巻 神崎裕也 / 新潮社
読む者を裏切るストーリー展開は圧倒的
冴えない見た目ととぼけた言動とは裏腹に署内トップの検挙率を誇る刑事・龍崎イクオと、容姿端麗で頭脳明晰な松尾組の若頭・段野竜哉は同じ児童養護施設で育った幼馴染。警察官とヤクザという相容れない立場にある2人ですが、育ての親である柏葉結子を殺した「金時計の男」を探すために、秘密裏に共謀していたのです。
柏葉結子殺害事件が警察関係者の圧力によって揉み消されてしまったため、イクオは警察に竜哉はヤクザに――それぞれの組織に入り込むことで真相を暴こうとするピカレスク・ロマン。さまざまな事件を解決しながら、警察上層部にいると目される「金時計の男」への手がかりを探るスリリングな展開が本作の魅力。「今日はここまでにしておこう」と思いつつも、全24巻を一気読みしてしまいたい衝動に駆られるので、注意が必要です……！
裏切りに次ぐ裏切りで、読者に先を全く読ませないストーリーテリングに、気持ちよく踊らされちゃってください。
また、固い絆で結ばれたイクオと竜哉のブロマンス的な関係性も見どころ。警察漫画好きのみならず、大きなお姉さん方も必見です！
松坂桃李主演で2017年に映画化された『不能犯』も神崎裕也先生による作品。自分の手を汚さずに、心理的に人を追い詰めて死に至らしめる「実証不可能」な殺人犯が主人公です。主人公・宇相吹は一体何をなそうとしているのか……。また、2018年10月に発売された神崎裕也先生の最新作『チェンジザワールド―今日から殺人鬼―』も要注目。こちらも一度読み始めたら止まらなくなってしまうタイプの作品なのでご注意を。
『ドロ刑』
『ドロ刑』 1～3巻 福田秀・古谷謙一 / 集英社
”人を愛する”その行為の深淵に迫る問題作
空き巣やスリ、ひったくりといった「盗犯捜査」を担当する、捜査3課所属の若手警察官・斑目。警察学校で教わった「操作の全てはドロ刑に始まりドロ刑に終わる」という言葉の影響を受け、配属当初はやる気に満ち溢れていた彼ですが、取り扱う事件も手柄も小さいことから、いつしか仕事への張り合いを失いつつありました。そんな中で、伝説の泥棒「煙鴉」と目される謎の男・ハルトと出会い……。
「煙鴉（ハルト）」という魅力的な獲物に出会ったことから職務に燃える斑目と、猛犬のように猪突猛進な斑目をからかいつつも好ましく思っているハルト。追うものと追われるもののはずなのに、不思議と仲良しな2人がなんとも微笑ましい……。ハルトの知恵と斑目のパワーで事件を解決していくさまも爽快です！ また、3巻現在、警察組織の陰謀的な要素は入ってこないので、安心して楽しめる警察漫画といえるでしょう。
中島健人✕遠藤憲一でドラマ化もされている本作ですが、ドラマ版での斑目は「安定しているから」と警察官の道を選んだイマドキの若者、煙鴉は斑目の成長を願う熱血（？）泥棒として描かれています。ドラマをきっかけにハマった人も、またひと味違った『ドロ刑』の世界を覗いてみませんか？
泥棒と警察官が主役とだけあって、
「ポストなどに書かれた謎の文字には要注意（空き巣やセールスマンが家主の情報を共有している）」
「空き巣は音を嫌うので、家の周りに玉砂利を敷き詰めておくと狙われにくい」
といった、明日から使える防犯知識も身につくお得な作品です。
『監視官 常守朱』
完結『監視官 常守朱』 全6巻 三好輝・サイコパス製作委員会・天野明・虚淵玄（ニトロプラス）/ 集英社
豪華制作陣が贈る人気アニメのコミカライズ
舞台は2112年の近未来日本。人々は、「シビュラシステム」と呼ばれる福祉支援システムによって、「PSYCO-PASS（サイコパス）」と呼ばれる心理状態や、性格傾向を管理されて生活しています。主人公・常守朱もシビュラによって適性を示されて、公安局監視官の道に進みますが、そこは狡噛慎也ら「執行官」と呼ばれる「潜在犯（既定値を超えた犯罪係数を有する人間）」を部下に従えて、犯罪捜査を行うシビアな現場だった……。
ドラマ「踊る大捜査線」の監督・本広克行を総監督に、『魔法少女まどか☆マギカ』の脚本家・虚淵玄をメインストーリーライターに、『家庭教師ヒットマンREBORN！』の天野明をキャラクターデザインにむかえて制作された、オリジナルアニメ1期のコミカライズ。新任監視官・常守朱を主人公に、管理社会ならではの犯罪や、それを取り締まる公安局メンバーの活躍・葛藤などが描かれています。さまざまな事件を追ううちに成長していく朱の姿、徐々に明らかになっていく狡噛の過去――現在と過去が絡み合う人間ドラマにも魅せられます。
また、部屋の内装や服装などを自由に変えられるホログラムや、シビュラシステムと連動して目の前の人間の犯罪係数によって形態を変える武器・ドミネーターなど、近未来的な描写もクールで魅力的！ 近未来SFファンにもおすすめです。
狡噛慎也を主人公に、本作以前の世界を舞台にした『PSYCHO-PASS サイコパス 監視官 狡噛慎也』（マッグガーデン）や、アニメ第2期のコミカライズ『PSYCHO-PASS サイコパス ２』（マッグガーデン）、『学園さいこぱす』（マッグガーデン）など、スピンオフ作品も充実。多くの人も魅了してやまない、「PSYCHO-PASSワールド」へようこそ！
『サイレーン』
完結『サイレーン』 全7巻 山崎紗也夏 / 講談社
迫り来る、美しきシリアルキラーの魔の手
武蔵県警機動捜査隊に所属する里見偲と猪熊夕貴は、職場に秘密で交際中のカップル。公私共に充実していた2人ですが、とある事件をきっかけに美しいキャバ嬢・橘カラと出会い、彼女の罠に絡め取られていきます。
稀代の悪女女優・菜々緒が、シリアルキラー・橘カラ役を演じたドラマ版を記憶している方も多いのではないでしょうか？ 美しく聡明でミステリアスな魅力を持つカラですが、自分のことをも顧みない夕貴の正義感に魅せられ、彼女を手に入れたいと考えるように。夕貴の友人のふりをして彼女が女子寮に住んでいることを聞き出したと思ったら、その向かいのマンションに住む男性の家に転がり込む、その手際の鮮やかさに震えます……。自分がほしいものを手に入れるためなら、眉一つ動かさずに人を陥れ奪い、手中に収めていくカラは、その手段が残酷であればあるほど美しさを増していくのです。真綿で首を絞めるように、じわじわと夕貴やその周囲の人間を追い詰めていく展開に「逃げてー！」という気持ちと、「カラ、もっとやれ！」という気持ちが交錯してしまうーー……！
殺人に誘拐監禁、戸籍乗っ取りetc…ありとあらゆる犯罪に手を染めてきたカラですが、恐ろしさと同時に不思議な純粋さも感じられます。純粋悪をその身に宿した美女がどんな運命をたどるのか、その目で確かめてみませんか？
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』
完結『こちら葛飾区亀有公園前派出所』 全200巻 秋本治 / 集英社
日本一有名な警察官の知られざる警察官らしい一面
警察漫画を紹介する際に、外せないのがこの作品。40年に渡る週刊誌連載、単行本の発行巻数200巻、アニメ化、ドラマ化など、さまざまな記録や伝説を打ち立ててきました。
主人公の両さんといえば、度重なる悪行を大原部長から「こら〜〜両津〜〜!!」と怒られているダメダメなイメージしかありませんが、実はちゃんと警察官らしい行いもしているのです。こち亀ファンの間でも名作と名高い「浅草物語の巻」（57巻）では、小学生時代の同級生で現ヤクザの村瀬を説得し、自首させています。もっとも、大原部長からは
「クラスで一番できの悪い両津だからこそ説得力があったのだぞ」
と言われてしまっていますが……。
長期休暇などたっぷり時間の取れるときに、日本が誇る名作長編漫画を読破してみるのはいかがでしょうか!?
『シバトラ』
完結『シバトラ』 全15巻 朝基まさし・安童夕馬 / 講談社
小柄な刑事が特殊能力を使って事件解決に挑む
中学生に間違えられてカツアゲをされるほど、小柄で童顔な少年係刑事・柴田竹虎。死の危険が迫った人間を連れて行こうとする“死神の手”が見えるという特殊能力を生かして、事件解決に奔走します。
見ているこちらが不安になるくらい無条件に少年たちを信じ、結果彼らと心と通わせていく様に思わず涙が滲む名作です。
作者は『サイコメトラーEIJI』（講談社）や『クニミツの政』（講談社）で知られる、朝基まさし先生と安童夕馬先生。小池徹平主演でドラマ化されたこともあり、面白さは折り紙付きです！
『刑事ゆがみ』
『刑事ゆがみ』 1～5巻 井浦秀夫 / 小学館
人間臭いドラマが胸に染み入る
浅野忠信と神木隆之介のW主演のドラマが好評を博した本作。主人公は、緊迫する事件現場で放屁をするは、未処理の書類を溜め込むは、いい加減な行動ばかりの弓神適当（ゆがみゆきまさ）。その行動と名前にちなんで「テキトー刑事」とあだ名されるほど。しかし一度事件が動き出すと、持ち前の洞察力とカンを頼りに解決に乗り出します。
弓神をはじめとした登場人物が繰り広げる、むせ返るほどに人間臭いドラマが読者を惹きつけます。「（娑婆に戻ったら）誰もがみんな幸せになれる仕事を見つけて…俺はクタクタになるまで働きたい」と語るベテラン泥棒や、覚悟を決めたものの待ち合わせ場所がわからなくなって人殺しにならずにすんだ認知症の老人など、一般市民と犯罪者の境界線が紙一重であることを語りかけてくるよう。特殊部隊や敏腕刑事を主人公とした作品のような派手さはありませんが、じんわり胸に沁み入って何度も読み返したくなる作品です。
『警視庁美人局』
完結『警視庁美人局』 全4巻 山口譲司 / 集英社
セクシーなお色気描写が特徴的なエロコメ警察漫画
性犯罪者を取り締まるための専門部署として、全国の美人警察官を集めて設立された「美人局」。各々のチャームポイントや特技を武器に、卑劣な犯罪者たちと戦う警察官達の奮闘を描いたエロコメコミックです。
美尻が武器の主人公・爽尻愛を筆頭に、Gカップの持ち主である巨乳刑事・大地千佳や美人局一の美脚の持ち主・脚辺美子など、個性的なキャラクターが集結。セクシーな（読者）サービス満載の捜査で犯罪者を捕らえていきます。警察官側だけでなく、股間を黒バラで隠した女怪盗BTやレオタード姿のドロボウグモなど、敵役もお色気満載！ 美しき女たちのエロスの乱れ咲きを楽しんでください。
終わりに
警察組織の陰謀を描いたシリアスなものから警察あるあるネタを扱ったコミカルなものまで、バラエティ豊かな警察漫画。スリリングなストーリー展開にハラハラしたい時や人情話にほっこりしたい時、はたまた善と悪について深く考えてみたいとき――どんな気分のときでも、コミックのスーパー警察官たちがあなたの頼もしい味方となってくれるはずです！
