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原作ファンも納得の漫画化! おすすめのラノベコミカライズ作品20選

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原作ファンも納得の漫画化! おすすめのラノベコミカライズ作品20選

毎月、数多くの新刊が世に出るライトノベル。アニメ化もひっきりなしで、ジャンルの勢いは止まりません。そして、もちろんコミカライズされている作品も多数。いったい、どれから読んでみたらいいのか? 漫画としても面白いのはどの作品なのか? 選びたい放題の分、迷ってしまうこともあるかと思います。そんなアナタのために、漫画としてオススメのラノベコミカライズ作品を、20作紹介いたします!

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『幼女戦記』

『幼女戦記』

『幼女戦記』 1〜15巻 東條チカ・カルロ・ゼン・篠月しのぶ / KADOKAWA

幼女が大隊を率いて戦場を舞う。架空歴史モノとしても読み応え十分の『幼女戦記』

原作小説は2018年末の段階で累計発行部数400万部越え。2017年にTVアニメ化、2019年2月には完全新作による「劇場版 幼女戦記」が全国公開されたヒット作です。

コミカライズを担当するのは、『コードギアス 双貌のオズO2』の東條チカ先生。原作を読んで魅了され、「超大作にしなくちゃただでは済まされないだろう」という意気込みで取り組んだとのこと 。迫力に満ちた人間ドラマとアクションが描かれています。

物語の舞台は、20世紀初頭のヨーロッパのような異世界。魔法が存在し、それを操って戦う航空魔導士が、戦場において重要な役割を果たす世界です。主人公のターニャ・フォン・デグレチャフは天賦の才能により、9歳で士官候補生に。幼女ながら最前線で軍功を立て、「白銀」の二つ名を授かるのでした。

ターニャは9歳とは思えない、知識と洞察力を持つ幼女として描かれます。なぜなら彼女は前世の記憶を持っているからです。もともとは現代日本に生きたエリートサラリーマン。冷徹なリストラ担当で恨みを買って殺され、死後に出会った創造主の逆鱗に触れて、

「非科学的な世界で女に生まれ戦争を知り追いつめられるがよい!!!」

と、軍国主義の帝国に転生させられたのでした。

エリートサラリーマンとしての超合理的な思考のもと、軍人として出世して、この世界を生き延びようとするターニャ。彼女はやがて、選りすぐりの魔導士を集めた第二〇三航空魔導大隊の大隊長として、各地を転戦し、活躍していくことになります。

キャラクターも世界観も魅力満載の本作。まずは、架空戦記モノとしての面白さが挙げられます。現実世界に照らし合わせるとドイツのあたりに存在する帝国は、周囲の列強に常に国境線を脅かされている国家。国境での紛争がやがて、「世界大戦」へと拡大する様相が、架空の歴史としてリアルに描かれ、前線での戦闘や訓練の内容、兵士の装備なども、実に克明。そこに魔法の要素が加わり、美しくも禍々しい魔方陣が戦場の空に浮かびます。

そして何よりも、主人公ターニャの魅力。幼女ながら、高い戦闘力に裏打ちされた鋭い眼力を持ち、軍上層部にも一目置かれる存在で、戦闘シーンは震え上がるほどかっこよく描かれています。しかしその実、本人の希望は常に、命の危険のない後方任務。計算高いセリフで、上官の不信を買わないように、それとなく前線には行きたくないという意思を伝えようとしますが、上官には逆に前線を希望しているように受け取られてしまうのが、面白いところ。互いの意図がずれまくる会話シーンは、ターニャが大マジメな分、逆にコミカルです。幼女としてのかわいらしさがてらいなく描かれるシーンもあり、漫画で読むとターニャの魅力が直に伝わってきます。

ミリタリーファンも納得の美少女ファンタジーで、自信をもってオススメしたい作品です。
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『異世界居酒屋「のぶ」』

『異世界居酒屋「のぶ」』

『異世界居酒屋「のぶ」』 1〜8巻 蝉川夏哉・ヴァージニア二等兵・転 / KADOKAWA

日本の居酒屋メニューを、異世界の人々が美味そうに味わう『異世界居酒屋「のぶ」』

現代の日本にありながら、店の入り口が異世界に通じている居酒屋のぶ。異世界の人々が日本の居酒屋メニューに舌鼓を打つ、平和なファンタジー&グルメ漫画です。

夜空に月が二つ浮かぶ異世界。城壁に囲まれた古都アイテーリアでは、城を守る傭兵が訓練に励んでいました。傭兵のハンスが訓練後に、同僚のニコラウスに誘われて、小さな店に訪れるところから物語が始まります。

瓦のひさしに暖簾、ガラスの引き戸という純和風の構えを持つその店の名は、「居酒屋 のぶ」。扉を開けて入ると、大将のノブと看板娘のシノブが二人を出迎えてくれます。店員の作務衣姿も、カウンターとテーブルという内装も、日本人の我々にとってはごく普通の居酒屋。しかし、ハンスにとっては予期せぬ異文化とのファーストコンタクトになったのでした。不思議な光景に茫然と立ち尽くすハンスの横で、店の常連であるニコラウスは

「トリアエズナマ」

を注文します。

すぐに察していただけたと思いますが、「トリアエズナマ」とは、ジョッキで出る生ビールのこと。日本人が一杯目を頼むときに言う「取りあえず生」が、異世界ではそのまま、メニューになっているのです。また、異世界ではビールは常温で飲むのが当たり前。キンキンに冷えたビールを目の当たりにして、ハンスは驚き、ぐびっと飲み干して、その美味さに感動します。我々読者としては、「そうだろう、そうだろう」とハンスの肩を叩きたくなるようなシーンです。

そんなふうに、居酒屋メニューの美味さに、異世界の人々がいちいち感動してくれる姿を、微笑ましく見守ることができるのが、本作の最大の魅力。1話でハンスが味わうのは、ホクホクのおでん。出汁が染みこんだ具の一つ一つを、夢中で口に運んでいくのでした。

基本的に1話完結で、異世界の人々が「のぶ」を訪れては料理に感動するという、平和な展開。出てくる料理は、若鶏の唐揚げ、湯どうふ、刺身、豚汁と、日本人にとってはありきたりのものです。一流料亭出身であるノブの腕前はたしかで、料理の作画も巧み。さらにそれに合うお酒も一緒という、「飯テロ」ここに極まれり、という作品で、夜中に読むのは危険かもしれません(笑)。

どうして、「のぶ」は料理やビールを出せるのか、仕入れはどうしているのか。なぜ異世界と繋がったのかといった謎も次第に明かされることに。また、「のぶ」に存続の危機が訪れるエピソードなど、スリリングな展開も出てきて、飽きさせません。

最新8巻で「のぶ」は異世界での開店1年を迎えることに。新しい店員も増え、ますます店は繁盛しているようです。
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『とある魔術の禁書目録』

『とある魔術の禁書目録』

『とある魔術の禁書目録』 1〜22巻 原作:鎌池和馬・作画:近木野中哉・キャラクター原案:灰村キヨタカ / スクウェア・エニックス

能力者同士のバトルと、主人公・当麻の不屈の意志が魅力の『とある魔術の禁書目録』

スピンオフ作品も含め、TVアニメ化、劇場アニメ化を重ねているライトノベルの大ヒット作。小説のスタートから3年後に始まった漫画版も22巻を重ね、現在も継続中です。

物語の舞台となるのは、東京西部を開拓して作られた「学園都市」。大小様々な教育機関に230万人もの住民をかかえる巨大な街です。そして、街には「一大能力開発機関」という裏の顔が。投薬や生体刺激、催眠暗示などの科学的な方法によって、学生達の超能力を人為的に開発することが目的とされていたのでした。

主人公・上条当麻は高校1年生。夏休みにも補習を課されてしまう落ちこぼれの無能力者(レベル0)でしたが、彼はとてつもない異才がありました。それが、「幻想殺し(イマジンブレイカー)」。超能力であろうが神の奇跡であろうが、あらゆる異能の力を打ち消す、彼の他には誰も持ち得ない能力なのでした。

物語は、夏休みが始まった7月20日、当麻の住むマンションのベランダの手すりに、一人の少女が引っかかっていたところから始まります。シスターの姿をした彼女の名前は、禁書目録(インデックス)。その名が表すように、彼女は10万3000冊に及ぶ魔道書を記憶している“生ける図書館”であり、魔術結社(マジックキャバル)に身柄を狙われて、逃げてきたのでした。

科学万能の「学園都市」に住む当麻と、魔術の存在を是とするインデックスの、科学×魔術のボーイ・ミーツ・ガール。やがてインデックスの身を狙う何者かが現れ、当麻の戦いが始まります。

当麻とインデックスだけでなく、科学サイドにも魔術サイドにも、数多くの異能力者が登場し、派手なバトルを繰り広げるのが、本作の特徴。魅力的なキャラクターが多く、ストーリーが進むごとに群像劇の趣を強めていきます。その最初のひとりが、「超電磁砲(レールガン)」の異名を持つ御坂美琴。中学2年生ながら学園都市で7人しかいないレベル5の超能力者で、当麻をライバル視する少女です。

いずれも高い攻撃力を持つ能力者を相手に、無効化の能力だけを持つ当麻がいかに対抗していくか。ある意味、当麻は究極の受け身の主人公で、どんなに傷ついても強い正義感を失わないのが最大の魅力です。

読者に絶大な人気を持つ美琴を主人公にした『とある科学の超電磁砲』、学園最強と呼ばれる少年、一方通行(アクセラレータ)を主人公にした『とある科学の一方通行』といったスピンオフ作品も。まずはこの漫画版で、豊かな世界観を持つ『とある』シリーズに触れてみては?
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『紫色のクオリア』

『紫色のクオリア』

完結『紫色のクオリア』 全3巻 うえお久光・綱島志朗 / KADOKAWA

科学的論理を駆使した、読み応えのあるハードSF、『紫色のクオリア』

1巻完結の小説を、全3巻でコミカライズ。中学生の少女たちの物語ですが、科学的論理を駆使した、いわゆるハードSFに分類される作品です。漫画版は、原作イラストの綱島志朗先生の作であり、小説と全く同じキャラクターが躍動感を持って描かれているのも魅力です。

長身でボーイッシュな主人公・波濤学(ハトウ マナブ)は、ある日、廊下で自分に向かって突進してきて、その勢いのままキスをしてしてまった同級生・鞠井ゆかり(マリイ ユカリ)と友達になります。ゆかりは紫色の瞳を持ち、自分以外の「生物」がすべてロボットに見えるという女の子。学は、奇想天外な彼女の言い分を受け入れて、ゆかりの理解者となっていきます。ちなみに、ゆかりにとって学は、装備を換えれば陸海空のどこへでも行けるスーパー系のロボットに見えるそうです。

このように紹介すると、ボーイッシュな女の子と、かわいくて不思議系の女の子との友情のストーリーに見えますが、やがて本作はサスペンスの様相を呈していくことに。二人は街で起こった猟奇殺人事件に巻き込まれていくのです。そして、犯人に襲われてひどい怪我を負った学を、ゆかりは常識では考えられない方法で修復するのでした。

1巻のクライマックスにも驚かされますが、本作の真価は2巻以降に発揮されることに。学がもうひとりの重要キャラクター・天条七美(テンジョウ ナナミ)と平行世界の存在について、高度な会話を交わすシーンから始まり、学が平行世界に無数に存在する自分と交信しながら、何度も時間を行き来する、予想外の展開に入っていきます。

SFファンにも高い評価を得た本作。哲学的とも言えるストーリーは、一読の価値ありです!
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『キノの旅 the Beautiful World』

『キノの旅 the Beautiful World』

『キノの旅 the Beautiful World』 1〜5巻 時雨沢恵一・シオミヤイルカ・黒星紅白 / 講談社

人語を話すバイクと旅するキノ。寓話的なエピソードが心に刺さる『キノの旅 the Beautiful World』

小説は2000年に文庫の刊行が始まり、現在も続く長寿作。2017年に出版社の違う2作のコミカライズがスタートし、そのうちの1つが本作です。

小さな国がいくつも点在する世界を、相棒のエルメスとともに旅するボーイッシュな少女キノ。エルメスとはキノが乗るモトラド(二輪車のうち、空を飛ばないもの)で、機械でありながら人の言葉が話せる存在です。

タイトルの中に「the Beautiful World」というワードが含まれていますが、この世界に点在する国々は、美しい場所ばかりではありません。むしろ、ひどいことが起こるほうが多いのですが、キノとエルメスはそんな国々や、そこに住む人々の姿を淡々と見つめ、通り過ぎていきます。各エピソードはどれも寓話的で、キノの体験から何を導き出すのかは、読者に委ねられているのが特徴。さらりとしつつも重たい印象を残す読後感が、この作品の大きな魅力です。

たとえば、1巻でキノが訪れる「人の痛みが分かる国」。その国では、自分の考えが他人に伝わる、いわゆるテレパシー能力を人為的に作り出す技術が開発され、普及しました。しかし、他人の考えが分かってしまったことで心が傷つく人が続出。やがて、人々はたった一人で家にこもり、誰とも会わない暮らしを選んだのです。キノはその国でひとりの男と出会い、国民全員が対人恐怖症になってしまった顛末を聞きます。

また、ストーリーが進むと、キノ以外の旅人の姿も描かれることに。そのひとりが、日本刀を持つ青年・シズ。人語をしゃべる犬・陸(リク)とともにバギーに乗って旅する彼も重要なキャラクターになっていきます。たとえば、キノの後にシズが同じ国を訪れることで、キノが去った後に起こった事件が描かれるエピソードもあり、物語の重層化に一役買っているのが彼です。

クラシックなバイクやその他のメカ、銃の描写も精緻で、ガジェット好きにとってもたまらない作品です。
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『All You Need Is Kill』

『All You Need Is Kill』

完結『All You Need Is Kill』 全2巻 桜坂洋・竹内良輔・安倍吉俊・小畑健 / 集英社

戦死を繰り返して、屈強な兵士となる主人公。見事な構成に目を見はる『All You Need Is Kill』

桜坂洋先生の小説を、竹内良輔先生の原案、小畑健先生の作画でコミカライズ。原作は、トム・クルーズの主演によってハリウッドで映画化され、国際的にも話題になった作品です。

舞台となるのは、近未来のジャパン。「ギタイ」と呼ばれる謎の生物が地球のあらゆる場所を襲撃し、人類は存亡の危機を迎えています。

主人公のキリヤ・ケイジは、「ギタイ」と戦う総合防疫軍の機動ジャケット兵。新兵である彼は、初出撃で戦死してしまうのですが、出撃の前日に時間が戻って目覚めることに。最初は悪夢かと思っていたケイジですが、自分が時間をループしていることに気づきます。なぜなら、時間が戻っても戦死した記憶は引き継がれていたからです。

ケイジは手の甲にループした回数を書き記して、何度でも戦っては死に、「ギタイ」を倒し続けることを誓うのでした。

いわゆるループ物のSFで、小畑先生の精緻な作画による戦闘シーンは迫力満点。巨大なウニのような怪物で、口からスピアを吐き出して人間を無残に殺していく「ギタイ」の禍々しい描写からも目が離せません。

ヒロインとなるのは、USから来た歴戦の勇士リタ・ブラタスキ。可憐なルックスとは裏腹に、200キロを越える斧を振り回して戦う“戦場の牝犬”です。ケイジにとっては、最初に戦死したときに死を看取ってくれた存在であり、やがて大切なパートナーになっていきます。

衝撃的な展開を見せる1巻のラストは鳥肌もの。それを越えた2巻では、なぜケイジがループするかの謎解きも。ストーリーテリングが見事で、何度も読み返したくなる作品です。
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『魔法科高校の劣等生 入学編』

『魔法科高校の劣等生 入学編』

完結『魔法科高校の劣等生 入学編』 全4巻 原作:佐島勤・キャラクターデザイン:石田可奈・構成:林ふみの・作画:きたうみつな / スクウェア・エニックス

最強の兄妹が互いを想い合いながら大活躍する、『魔法科高校の劣等生 入学編』

「魔法科」の略称でファンに親しまれる人気小説をコミカライズ。魔法の設定の膨大さと緻密さが作品の一つの魅力であり、それを図解して説明してくれる漫画版は、初めて「魔法科」の世界に触れる読者にとって最適かもしれません。

魔法が現実の技術になった世界。各国は魔法師の育成を競い、日本も例外ではありませんでした。物語は、司波達也と深雪の兄妹が、魔法師の育成機関である「国立魔法大学附属第一高校」(魔法科高校)に入学するところからスタートします。

魔法科高校の生徒はエリートの一科生と、その補欠的な存在である二科生に分けられています。妹の深雪は、入学試験で主席となった優秀な一科生、兄の達也はペーパーテストでは優秀でしたが、魔法の実技能力に欠ける二科生として、高校生活が始まっていきます。

劣等生と言っても、それはあくまで入試の魔法実技においてのこと。主人公の達也は、頭脳明晰にして、格闘にも長けた万能タイプ。実は魔法の能力も、一般的なことができないだけで、決して劣っているわけではありません。深雪はそんな達也が大好きで、二人の親密なやり取りは、血を分けた兄妹とは思えないほど。いちいちイチャつく二人の姿は、この作品の名物シーンになっています。

また、この世界における魔法は、不思議な存在ではなく、科学によって分析されているもの。いろいろな法則が解明され、魔法を補助するメカも開発されており、ストーリーの中で詳細に解説されます。最初に述べた通り、漫画版はそれを分かりやすく図解。この世界における魔法体系を紐解いていく面白さは、設定好きにはたまりません。

『入学編』は、達也と深雪が魔法科高校で体験する最初の事件を全4巻で描いた作品。生徒会や風紀委員などの主要メンバーが登場。また、達也に秘められた謎や、日本最強の魔法師集団「十師族」の存在もほのめかされます。コミカライズはさらに、『九校戦編』『横浜騒乱編』と、原作の進行に合わせて続いていきます。
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『ぼくたちのリメイク』

『ぼくたちのリメイク』

『ぼくたちのリメイク』 1巻 閃凡人・木緒なち・えれっと / 講談社

10年前の自分に戻って、青春の輝きを取り戻す『ぼくたちのリメイク』

もし、学生時代に別の選択をしていたら、今とは違う人生が歩めたのではないか。社会人になってから、そんなふうに妄想したことはありませんか? 本作は28歳の主人公が、大学入学時に戻って人生をやり直す「二度目の青春」ストーリーです。

地方大学を出て、今は弱小のゲームメーカーでディレクターとして働く橋場恭也。しかし、社長の借金により会社は解散。彼は失意のまま実家に戻ります。

ネット中継で、大手ゲームメーカーの華々しい新作発表会見を見た恭也。新作ゲームには自分と同い年の今をときめくクリエイターが名前を連ねていました。彼らはすべて、大中芸術大学の出身者でプラチナ世代と呼ばれる存在。大学受験のとき、大中芸大にも受かっていた恭也は、もしそこに通っていたら、自分も彼らと同じ道を歩めたかもしれないと後悔します。

「もしもあの時に戻れたら──」

そんな恭也の願いが不思議なことにかなってしまい、彼は10年前の2006年に逆戻り。大中芸大に入学して、人生をリスタートさせるのでした。

大学に通うため、移り住んだシェアハウスで3人の個性溢れる仲間と出会う恭也。そのうちの一人・志野亜貴が、プラチナ世代のイラストレーター、秋島シノの若き姿だと気づいた彼は、自分もクリエーターになるべく奮起するのでした。

芸大時代の青春を振り返った有名な作品に、島本和彦先生の『アオイホノオ』がありますが、本作の舞台は、島本先生や庵野秀明監督が通った大阪芸大がモデル。未来のクリエイターを目指す若者にまじって、28歳から18歳に戻った恭也は、理想の人生を手に入れられるか否か。熱のこもったドラマが展開します。

コミカライズはまだ1巻で、本格的なストーリーはこれから。閃凡人先生が描く女性キャラもちょっとエッチでかわいい、今後注目の作品です。
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『狼と香辛料』

『狼と香辛料』

完結『狼と香辛料』 全16巻 小梅けいと・支倉凍砂・文倉十 / KADOKAWA

中世の経済の仕組みが分かる、知的好奇心を刺激するファンタジー、『狼と香辛料』

中世ヨーロッパ風の異世界を舞台にしたファンタジー。原作小説は2006年から刊行開始。2007年には宝島社の「このライトノベルがすごい!」で作品部門第1位を獲得したヒット作です。また、2008年、2009年と2期にわたってTVアニメ化されました。

異世界ファンタジーではありますが、異能力を持った人間は登場せず、リアルなストーリーが展開します。最大の特徴は主人公のロレンスが行商人であること。作者は、中世ヨーロッパの経済の仕組みを深く学び、それをフィクションに見事に活用していきます。

25歳でそれなりの経験値を持つ行商人・ロレンスの馬車に、いつのまにか潜りこんでいたのがヒロインのホロでした。獣の耳とふさふさのしっぽを持つホロの正体は、なんと狼の化身。長い間、豊穣の神としてとある村を守護してきましたが、技術革新によって村人が信心をなくしたことで、人間の姿となり故郷の北国に帰ろうとして馬車に乗ったのでした。ロレンスとホロを旅のパートナーとして受け入れ、物語が始まります。

最初に二人が巻き込まれたのは、新貨幣の鋳造に関わる儲け話と、その裏に潜む陰謀でした。銀貨における銀の含有率が、王の命令によって変わることで、市場にはどのような変化が起こるのか。そんな経済の問題がサスペンスフルに描かれていき、読者の知的好奇心を刺激します。

そして何よりもホロのかわいらしさ。獣の耳としっぽはもちろん、ときにロレンスに甘え、ときに彼を守って戦い、美味しいものにはしっぽを振ってかぶりつく。コミカライズでは、チャーミングなホロを原作以上に味わうことができるのです。

漫画版も10年の長きにわたって連載され、16巻でこれ以上ないというハッピーエンドを迎えることに。原作ファンにも高い評価を得ています。
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『とある飛空士への追憶』

『とある飛空士への追憶』

完結『とある飛空士への追憶』 全4巻 小川麻衣子・大村小六 / 小学館

大空で繰り広げられる身分違いの純愛ストーリー、『とある飛空士への追憶』

「次期皇妃を水上偵察機の後席に乗せ、中央海を単機敵中翔波せよ。」

主人公の飛空士・狩乃シャルルに与えられたこの命令が、本作のストーリーの全てです。

物語の舞台は、神聖レヴァーム皇国と、帝政天ツ上(アマツカミ)という二つの大国が、戦争を続けている世界。シャルルは皇国の傭兵であり、一等飛空士として戦争に参加していました。彼が所属する基地があるのは、天ツ上の鼻先にあるサン・マルティア。そこは最前線でありながら、皇国領として非戦闘員も暮らしている島でした。

サン・マルティアの貴族屋敷が天ツ上軍の襲撃を受けたことにより、令嬢のファナを一万二千キロ離れた味方基地まで無事に送り届ける任務が、シャルルに課されて、物語は始まります。後部座席の機銃しか武器を持たない水上偵察機に民間人の女の子を乗せて、いつどこで襲ってくるか分からない敵を交わしながらの単独飛行。そんなスリリングな展開が全4巻を通して描かれていきます。

迫力満点の空戦も本作の魅力ですが、それを上回るのが、シャルルとファナの恋の物語です。レヴァーム皇国には厳格な身分制度があり、シャルルはその最下層。しかも、天ツ上人との混血で、「ベスタド」と呼ばれて差別の対象になる存在でした。一方のファナは高貴な存在でしたが、自分の意思に関係なく、皇太子との結婚を承諾させられた悲運の女性。実は子供の頃、一度だけ出会ったことがある二人は、力を合わせて危機を乗り越えたり、満天の星空の下で一緒に眠ることで、恋心を芽生えさせていきます。

このままシャルルとどこかに逃げてしまいたいと考えるファナと、基地で戦う同僚達を捨てて、一人だけ逃げ出すことはできないと、自分の気持ちを押さえ込むシャルル。二人の心理描写が丁寧に描かれていて、美しい海や空、誰もいない無人島といった光景が、恋のドラマを盛り上げます。

カラーで描かれるクライマックスは、涙なくしては読めない名シーン。ラブストーリーとして完璧な作品と言っていいでしょう。
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『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』

『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』

完結『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』 全7巻 川上泰樹・宇野朴人・さんば挿・竜徹 / KADOKAWA

常に怠けて常に勝つ。知略に長けた少年士官が活躍する『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』

銃も格闘も弱く、怠け者で女性が大好き。そんな少年が軍の士官となって活躍する戦記ファンタジーです。

カトヴァーナ帝国とキオカ共和国が、長きにわたって戦争を繰り広げている世界。主人公のイクタは、仲間とともに帝国の高等士官試験を受けることになります。

二次試験の場へと向かう船に乗り込んだイクタ達。しかし船は難破し、彼らは共和国の領内に流されてしまったのでした。しかも、お忍びで乗船していた帝国の第三皇女シャミーユも一緒。イクタはシャミーユを守り、仲間と供に帝国領に帰るため、奇抜な作戦を立案。後にシャミーユの信頼を得て、「常怠常勝の智将」と呼ばれることになるイクタの活躍が、ここから始まっていきます。

本作の魅力としてまず挙げられるのは、イクタの優れた知略です。士官学校での模擬戦でも、その才能を発揮。勝利後に放った

「イクタくんの部隊に勇者はいらない。それよりは怠け者のほうがずっといい」

は、自らの戦術論を端的に表した名言。

「イクタ・ソロークの部隊はいつだって楽に戦って楽に勝つ!」

と宣言し、兵の喝采を浴びたのでした。

そして、イクタの活躍を追うだけでなく、戦争を国家レベルの大きな視点で描いているのも、本作の特徴です。そこで重要な役割を果たすのが皇女のシャミーユ。どのようにして戦争を終わらせ、堕落しきった為政者によって疲弊した帝国を立て直すのか。シャミーユに認められたイクタは、単に目先の戦いに勝つだけではなく、彼女の大いなる目標を補佐することに。国家にとっての戦争とは? という大きなテーマをはらんだ、読み応えのある作品です。

素晴らしい出来のコミカライズですが、残念ながら原作の4巻にあたるところまでで終了。その続きはぜひ、全14巻の小説で味わってください。
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『りゅうおうのおしごと!』

『りゅうおうのおしごと!』

『りゅうおうのおしごと!』 1〜10巻 原作:白鳥士郎・構成:カズキ・作画:こげたおこげ・キャラクター原案:しらび・監修:西遊棋 / スクウェア・エニックス

若き竜王と女子小学生が繰り広げる盤上の熱き戦い、『りゅうおうのおしごと!』

将棋の世界を描いたラノベをコミカライズ。勝負の世界に生きる棋士達を熱く描いた作品です。

16歳で「竜王」の座につき、史上最年少のタイトル保持者になった九頭竜八一(クズリュウ ヤイチ)。しかし、その後は弱気な将棋しか差せなくなってしまい、スランプに。ネットでは名前をもじって「クズ竜王」と呼ばれる始末です。

そんな彼の前に現れたのが、9歳の雛鶴あいでした。あいは、八一が竜王のタイトルを獲得したときの対局場所となった旅館の娘。そのときに交わした約束を胸に、八一の弟子になるため、単身、石川県から大阪までやって来たのです。試しに対局してみると、あいの打ち筋は鋭く、真剣勝負に。八一は彼女の高い才能を認めるのでした。

やがて、八一のマンションに同居する内弟子となった、あい。スランプの竜王と棋士を目指す小学生の物語が始まります。

八一の姉弟子で、〈浪速の白雪姫〉の異名を持つ女流二冠・空銀子が、もう一人のヒロイン。また、あいと同い年の夜叉神天衣(ヤシャジン あい)が八一の新たな弟子となり、主人公の周りは賑やかに。いわばハーレム状態なのですが、彼女たちはみんな勝負師でもあり、ラブコメ的な展開と緊張感溢れる将棋シーンが両立しているのが、本作の魅力です。

将棋の監修を担当するのは、日本将棋連盟関西支部の若手棋士の集まりである「西遊棋」。本格的な将棋漫画としても大いに楽しめる作品です。
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『とらドラ!』

『とらドラ!』

『とらドラ!』 1〜9巻 竹宮ゆゆこ・絶叫・ヤス / KADOKAWA

思春期の複雑な内面を、巧みな心理描写と共感性の高いセリフで描き出す『とらドラ!』

原作はもちろん、監督・長井龍雪さん、シリーズ構成・岡田麿里さん、キャラクターデザイン・田中将賀さんという、後に「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」を世に送り出すことになるメインスタッフによるTVアニメ(2008年放送開始)も名作とされている本作。コミカライズも、ファンの高い支持を得ています。

目つきが悪く、周囲から怖がられてしまう高須竜二。高校2年生に進級したその日に、彼が出会ったのが、「校内最高ランクの危険生物」と言われる女の子、逢坂大河でした。身長145センチの小柄な美少女でありつつ、その気性の激しさから「手乗りタイガー」という異名を持つ大河。彼女と関わりを持つことによって、竜二の高校生活は波乱に満ちたものになっていきます。

竜二も大河も本当のところは、自分の気持ちを素直に表に出せなかったり、周囲とうまくやれないことに悩む高校生。竜二が恋をしている櫛枝実乃梨が大河の友達、大河が密かに想いを寄せる北村祐作が竜二の友達という、いわば四角関係が形づくられ、絡み合う感情を描いていくというのが、本作の基本ストーリーです。2巻に入ると、モデルをしている美少女・川嶋亜美がそこに加わり、関係性はさらに複雑に。

コミカルな展開の中で、恋人と友達の違い、過去のトラウマや家族との確執など、思春期の葛藤を描いていく本作。心理描写が巧みと称えられる原作を見事にコミカライズし、深みのある人間ドラマから目が離せなくなります。とにかくセリフの一つ一つに感情移入できて、男女関係なく楽しめる作品です。
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『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』

『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』

『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』 1〜13巻 渡航・伊緒直道・ぽんかん(8) / 小学館

不器用な主人公とヒロイン達が織りなす青春群像、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』 

2019年3月にTVアニメ第3期の制作決定が発表され、話題となった作品のコミカライズ版。『俺ガイル』の通称で呼ばれ、多くのファンを持つ作品です。

作文に

「青春とは嘘であり、悪である。」

「リア充、爆発しろ。」

と書いて、国語教師の平塚に呼び出された高校2年生の比企谷八幡(ヒキガヤ ハチマン)。そのペナルティとして、彼は奉仕部への入部を命令されます。平塚に連れられていった部室には、一人の美少女が。それが八幡と本作のヒロイン・雪ノ下雪乃との出会いでした。

同じく2年生で成績優秀・眉目秀麗な雪乃は辛辣な性格。周囲と積極的に交わろうとしないというところは、八幡と共通していました。友達がいない二人が、困っている人が自ら問題を解決できるよう手を差し伸べる「奉仕部」として、活動を始めていきます。

多くの人が一度はぶつかるであろう、他人とのコミュニケーションや、集団とどう付き合っていくかという問題をテーマにしたラブコメ。八幡が青春を憎むようになった原因の一つには、入学初日に交通事故にあって三週間登校できず、「入学ぼっち」が確定してしまったことがありました。一度のつまずきがその後の学校生活を左右するという事態は、誰にでも起こりうることであり、リアルです。

それでも奉仕部で活動するごとに、八幡の周囲には人が増えていきます。特に、明るい性格で、「やっはろー」という挨拶が口クセの由比ヶ浜結衣は、八幡に大きな影響を与えることに。八幡の青春はにわかにリア充っぽくなっていくのですが、彼の心の傷は簡単には癒やされず、3巻では結衣との間に決定的な出来事が起こってしまいます。

楽しい青春ラブコメでありつつ、コミュニケーションに関わる葛藤をしっかり描き出す作品。本作自体が、読者にとっての「奉仕部」になっているような気がします。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』を試し読みする

『マージナル・オペレーション』

『マージナル・オペレーション』

『マージナル・オペレーション』 1〜13巻 芝村裕吏・キムラダイスケ / 講談社

少年兵を率いて各国を転戦する日本人を描いた本格ミリタリードラマ、『マージナル・オペレーション』

会社が倒産し、無職になった新田良太(アラタ)は、ネットで偶然見つけた民間軍事会社「自由戦士社」の求人に応募します。現実感のないまま面談に合格した新田は、タジキスタンに赴き、そこで実習を受けることになるのでした。

ものものしい軍事基地に連れていかれたアラタでしたが、やることはパソコンに向かって、稚拙なシミュレーションゲームをプレイすること。淡々と課題をクリアしていくアラタでしたが、彼がやらされていることは、実は本物の戦闘への指示だったのです。自分がマウスをクリックするごとに戦闘がおこなわれ、敵を殺していたことを知ったアラタは戦慄します。

アニメ、ゲーム好きな普通の青年だったアラタが、異国の地で優れた戦闘指揮官になっていくというのが、本作のストーリー。やがて現場を経験し、少年兵の部隊を率いることになったアラタは、子供たちを殺したくないという思いから、指揮官としての才能をさらに開花させていきます。

3巻になると、アラタは「自由戦士社」を離れて、少年兵達とともに独立。とある人質救出作戦を成功させたことで、傭兵の世界では「子供使い」の名で有名な存在となり、各国を転戦することになっていきます。

本格的なミリタリードラマであると同時に、少年兵のリーダー格である少女ジブリールを初めとした女性キャラクターとのラブコメ的展開も。『ブラック・ラグーン』『ヨルムンガンド』といった作品のファンに、力いっぱいオススメしたい作品です。
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『ようこそ実力至上主義の教室へ』

『ようこそ実力至上主義の教室へ』

『ようこそ実力至上主義の教室へ』 1〜8巻 一乃ゆゆ・衣笠彰梧・トモセシュンサク / KADOKAWA

学校からの評価を得るため、生徒同士が頭脳戦を繰り広げる『ようこそ実力至上主義の教室へ』

「よう実」の略称でファンに愛され、2017年にTVアニメ化された作品。コミカライズは2016年にスタートしました。

主人公・綾小路清隆が入学したのは、未来を支えていく若者の育成を目的に政府が作り上げた、高度育成高等学校。全寮制で、一旦入学すると特例を除き、肉親を含む外部との連絡を禁止されるという特殊なルールのある学校です。
その代わり、敷地内には各種のショップやレジャー施設まで揃っていて、学校全体が一つの街のよう。学生証がクレジットカードの役目も果たし、生徒は学校側から振り込まれるポイントを使って生活していきます。

快適な学生生活を約束された素晴らしい環境ですが、そこに隠されているのは、優秀な者だけが好待遇を受けられるという実力至上主義。学業成績だけでなく、部活での成果から生徒の人間性まで厳しくチェックされ、生徒はランク付けされていくことになります。

主人公の綾小路は、事なかれ主義で、自分を主張しない少年。そんな彼が最初に知り合ったのは、周囲に全く溶け込もうとしない毒舌家の美少女・堀北鈴音でした。彼らが所属するクラスは、学年の中でも最下層のDクラス。学校側から評価されないと、平穏な学園生活が保障されないことを知った二人は契約を結び、Aクラスへのステップアップを目的に動き始めます。

学校生活のあらゆることが評価対象となることから、ステップアップを目指す生徒達が、さまざまな陰謀を張り巡らせるのが本作の特徴。美少女キャラが多い作品ですが、ある子は極端な裏表があったり、またある子は綾小路を利用するために接近してきたりと、一筋縄ではいきません。クセ者という意味では主人公もそうで、綾小路自身の真の実力や生まれ育ちの謎も、物語に大きく関係していきます。

学校生活全てが、頭脳戦になり得るという緊張感に溢れた作品。知能指数の高いセリフのやり取りが、実に刺激的です。
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『世界の終わりの世界録』

『世界の終わりの世界録』

『世界の終わりの世界録』 1〜5巻 細音啓・ふゆの春秋・雨水龍 / KADOKAWA

かつて世界を守った三大姫とパーティを組んで冒険の旅へ、『世界の終わりの世界録』

仲間とパーティを組んで冒険を繰り広げる、正統派の異世界ファンタジー。本作の特徴として上げられるのは、主人公以外のメンバーが全員女性であり、三大姫と呼ばれる強者であるということです。

三百年前に、最強の竜姫・キリシェ、天界の大天使・フィア、冥界の主たる魔王・エリーゼという人ならざる存在と旅団(パーティ)を組んで世界を救った、伝説の「英勇」エルライン。主人公・レンはエルラインと瓜二つの顔を持つ少年でしたが剣才がなく、冒険者を育成する学校では「偽英勇」と呼ばれていました。

そんな彼に優しく接していたのが先輩の女性フィア。彼女の正体はエルラインと旅団を組んだ大天使でした。さらに竜姫・キリシェが封印から復活し、レンの前に現れます。

エルラインは「世界録(アンコール)」と呼ばれる旅の記録を残していました。世界の全てが記されているそれを求めて、多くの旅団が世界中を探し回っているのが、レンの生きる「世界録大争奪時代」です。キリシェ、フィアとともにレンもまた、世界録を探す冒険へと旅立ち、やがて魔王・エリーゼも仲間になっていきます。

豊満ボディで、レンをからかうのが好きなフィア、マジメな性格でレンを意識しているようにも見えるキリシェ、転生したため肉体は10歳の少女ですが、ときに魔王としての尊大さを発揮するエリーゼ。異なるヒロイン3人に鍛えられ、精神的にも強くなっていくレンの活躍と、3人の楽しそうなやり取りが魅力の作品です。

全10巻で完結している原作をコミカライズ。漫画単行本は原作の3巻に入ったところで、まだまだたっぷり楽しめそうです。
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『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』

『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』

完結『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』 全2巻 七宮つぐ実・鴨志田一・溝口ケージ / KADOKAWA

誰にも認識されなくなった美しい先輩との青春物語、『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』

「思春期症候群」という不思議な現象を題材にした、爽やかなラブコメ作品です。

「その日梓川咲太は野生のバニーガールと出会った」

という奇想天外な一文から、物語は始まります。主人公の咲太がそれを見たのは、街の図書館。バニーガール姿になって館内を歩いていたのは、同じ高校の先輩・桜島麻衣でした。
しかし、麻衣の姿は咲太以外の人には見えないらしく、誰も場違いなバニーガールには反応しません。なぜ、そんなことが起こるのか。それは麻衣が

「思春期症候群」

にかかっているからでした。

「誰かの心の声が聞こえる」
「誰かの未来が見えた」
「誰かと誰かの心が入れ替わった」

など、不思議な現象が10代に次々と起こっていて、それらをまとめて呼称したのが「思春期症候群」です。自分の姿が他人には認識されなくなるという麻衣の現象も、「思春期症候群」の一つだと咲太は考えます。

実は麻衣は、子役として名をはせた元芸能人。今は芸能界を引退していますが、街でも学校でも、人々からの好奇な視線を集めてしまう存在でした。さらに強引なマネージャーだった母との確執もあり、彼女は「思春期症候群」となったのです。

咲太と関わる中で、傷ついた心が癒やされていく麻衣。しかし、やがて朔太にも麻衣を認識できなくなる日が訪れて……。思春期ならではの葛藤を、SFチックな設定によって描いたラブコメで、心温まるエンディングが待っています。

2018年にTVアニメ化、2019年6月に映画化された注目作。また続編の『青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない』も、浅草九十九先生によってコミカライズされています。
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『住めば都のコスモス荘』

『住めば都のコスモス荘』

完結『住めば都のコスモス荘』 全3巻 矢上裕・阿智太郎 / KADOKAWA

正義と悪が同居するアパートを舞台にしたヒーローギャグ、『住めば都のコスモス荘』

原作のイラストも担当した矢上裕先生によるコミカライズ。2000年代初期に刊行された、ちょっぴり懐かしい作品です。

バイト先が潰れて、途方に暮れていた主人公の桜咲鈴雄は、タンポポと名乗る少女から、とある玩具メーカーが開発した「変身ベルト」のモニターのバイトをしないかと持ちかけられます。そんな時、A級宇宙犯罪人のDr.マロンフラワーが突如、出現。巨大メカで街を破壊し始めるのでした。

タンポポが差しだした「変身ベルト」は玩具などではなく、なんと本物。それを身につけて正義の味方「ドッコイダー」に変身した鈴雄は、Dr.マロンフラワーのメカといきなり戦うことに。ドタバタの戦いの果てに、なんとかメカを破壊するのでした。

タンポポの変身ベルトも、Dr.マロンフラワーの出現も、すべては銀河連邦警察の思惑によるものでした。新たなパワードスーツの採用テストのために宇宙犯罪人を釈放し、各社のスーツを装着したヒーローと戦わせるという計画が、地球で実行されることになったのです。

それに関わってしまった鈴雄は、銀河連邦警察が用意したアパート「コスモス荘」でタンポポと同居しながら、宇宙犯罪人と戦い続けるはめに。しかも警察の経費削減によって、コスモス荘には宇宙犯罪人や、他のヒーローも続々引っ越ししてきます。全員が自らの正体を隠し、一般人を装ってアパート暮らしをしながら、正義と悪に分かれて戦い合う。そんな奇妙な状況が出来上がっていきます。

基本的にギャグ作品ですが、ときに熱く、ときにホロリとさせる展開も。最後は、正義と悪を越えたコスモス荘の住人同士の絆に、ほっこりとさせられます。

2003年に「住めば都のコスモス荘 すっとこ大戦ドッコイダー」というタイトルでTVアニメ化。原作小説、TVアニメ、漫画版で結末が異なるので、興味のある方はコンプリートしてみてください。
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『ニンジャスレイヤー』

『ニンジャスレイヤー』

完結『ニンジャスレイヤー』 全14巻 ブラッドレー・ボンド+フィリップ・N・モーゼズ・余湖裕輝・田畑由秋 / KADOKAWA

歪んだ日本観と迫力満点のアクションがクセになる、『ニンジャスレイヤー』

アメリカ人のブラッドレー・ボンドとフィリップ・ニンジャ・モーゼズによるサイバーパンクニンジャ活劇小説をコミカライズ。その独特な世界観を、見事に漫画化しています。

物語の舞台は、「サイバネ技術」が普遍化した近未来都市ネオサイタマ。そこでは数千年の時を越えて邪悪なニンジャソウルが復活。ニンジャが血で血を洗う抗争に明け暮れていました。主人公は、ニンジャ抗争に巻き込まれて妻子を失ったフジキド・ケンジ。平凡な「サラリマン」だった彼は、

「ニンジャに復讐せよ」

というニンジャソウルの囁きに導かれて、ニンジャを殺す者=ニンジャスレイヤーとして立ち上がるのでした。

本作の大きな特徴は、外国人の作者によって作られた、ちょっとおかしな日本観です(もちろんパロディを意図的にやっています)。ニンジャ同士の戦いは、どんな状況であっても

「ドーモ」

という挨拶とオジギから始まったりと、作者は遊びたい放題。

「サラリマン」
「スリケン(手裏剣)」
「ジュー・ジツ(柔術)」

など原作に登場する用語を、日本語翻訳チームが巧みに訳出しています。この歪んだ日本観に慣れると、本作が俄然面白くなってきます。

ニンジャスレイヤーの宿敵は、ネコソギ・ファンド社主兼ソウカイ・シンジケートの首魁であるラオモト・カン。天守閣で下界を見下ろしながら金髪のオイランをはべらし、オーガニック・トロマグロ・スシを頬張る大物です。

ニンジャスレイヤーは、次々と現れるニンジャ達を撃退し、ラオモトの待つトコロザワ・ピラーへ。全14巻、迫力満点のアクションがとどまることを知らない、忍者漫画の怪作です。
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最後に

ライトノベルのコミカライズは、ここに紹介した作品以外にもたくさん存在します。文字と文中のイラストによって想像力を刺激される原作小説と、キャラクターの表情やアクションが全てビジュアル化されているコミカライズ版。同じストーリーを楽しむにしても、小説と漫画ではそれぞれの魅力があります。お気に入りの作品を、ぜひ、その両方で味わい尽くしてみてください。

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