ぶくまる – 書店員おすすめの漫画・本を紹介!

書店員が選んだ「本当に面白い漫画・本」をご紹介!

『夏目友人帳』の魅力をおさらい|アニメ化、映画化が続く人気の秘密

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

natsume_yuujin_chou

2003年に初めて雑誌に発表され、今なお連載が継続中の『夏目友人帳』。アニメ化も途切れずに続いていて、2021年1月16日から新作アニメーション『夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者』が劇場にて限定上映されています。
妖怪を見ることができる高校生・夏目貴志と、大妖怪でありながら普段は猫の姿をしているニャンコ先生のコンビが織りなす和風ファンタジー。勇ましく妖怪を退治するような物語ではなく、人ならざる者たちとの不思議な関わり合いが描かれていきます。
多くのファンに愛され続ける本作を改めて検証し、新たな見どころを探ります。

また、リンク先の電子書籍ストア・ブックライブでは、新規入会者限定の50%OFFクーポンを差し上げています。気になった方はご利用ください。

※当記事に記載の内容は全て「ぶくまる編集部調べ」です。また、当記事には一部ネタバレを含みます。

『夏目友人帳』とは?

夏目友人帳

作品の詳細を見る
『夏目友人帳』 1~26巻 緑川ゆき / 白泉社
『夏目友人帳』を試し読みする

根強い人気を誇る長編漫画『夏目友人帳』

『夏目友人帳』夏目とニャンコ先生

緑川ゆき先生による『夏目友人帳』は、『LaLaDX』(白泉社)の2003年7月号に読切として掲載されました。隔月連載がスタートしたのが、2005年1月号。その後、掲載誌を『LaLa』に移し、現在も連載中の長寿シリーズです。
単行本は25巻まで刊行中。シリーズ累計発行部数1500万部を突破し、2021年1月4日には26巻が発売になりました。
初めてTVアニメ化されたのは、2008年7月。その後、第6期にあたる『夏目友人帳 陸』まで断続的にシリーズが続き、こちらも長寿作品に。OVAや劇場版も製作され、ファンの注目を集めました。
そして2021年1月16日から、新作アニメーション『夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者』の限定上映が始まりました。新刊発売と新作アニメ公開が重なり、本作の注目度が更にアップしています。

『夏目友人帳』のあらすじ

『夏目友人帳』話の発端

今やすっかり名コンビになった夏目とニャンコ先生。彼らの周りには、人間も妖怪もたくさんのキャラクターが集まり、巻を追うごとに物語の深みを増しています。ここで改めて、二人の出会いと『夏目友人帳』の物語の発端を振り返ってみましょう。

高校生の夏目貴志は、幼い頃から妖怪を見ることができた少年。両親を早くに亡くし、親戚中をたらい回しにされた後、今は心優しい親戚筋の藤原夫妻に引き取られています。ある日、夏目が小さな祠の封印を解いてしまうと、その中から招き猫の姿をした妖怪が現れます。

「ユウジンチョウを知っているかい?」

そう夏目に問いかける招き猫の妖怪。「友人帳」とは、高い妖力を持っていた祖母のレイコが残した帳面で、そこに記されている妖怪の名を呼べば、たやすく操ることができるという代物。今は夏目の元にあり、夏目は妖怪たちから狙われていたのでした。

招き猫の妖怪の正体は、「斑(まだら)」という大妖怪。自称・用心棒となったニャンコ先生と、夏目は祖母のレイコが奪った名前を、妖怪たちに一つ一つ返していくのでした。

『夏目友人帳』名前を返すシーン

「友人帳」が発端になり、夏目とニャンコ先生は数々の妖怪や、妖怪絡みの人間たちと関わっていくことになります。

『夏目友人帳』1巻を試し読みする

2021年1月16日より公開中! 新作アニメ『夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者』の見どころ

ここで一旦、漫画を離れ、アニメ最新作となる『夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者』のあらすじや見どころを紹介します。

『夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者』は、2018年9月29日公開の『劇場版 夏目友人帳 〜うつせみに結ぶ〜』以来となる新作アニメ。2021年1月16日より、劇場にて限定上映されています。
一話完結という原作の特性を生かしたオムニバス形式で、「石起こし」と「怪しき来訪者」というファンに人気のエピソードを映像化。ちなみに「石起こし」は原作21巻収録の第八十二話、「怪しき来訪者」は24巻収録の第九十七話、九十八話にあたります。

「石起こし」は、夏目が森の中で、小さな妖怪ミツミと出会う話。
ミツミは、神格の妖怪「岩鉄」を長い眠りから目覚めさせる、「石起こし」の役を任されているという。しかし、褒美の酒を狙って、ニャンコ先生や他の妖怪が役を横取りしようと画策。ミツミを気にかけた夏目は、手助けすることに――?

「怪しき来訪者」は、夏目の親友・田沼が中心となる話。田沼に会うために、毎日のように家を訪れる不思議な客。その正体が妖怪ではないかと疑った夏目は、田沼の身を気づかう──。こちらは、人間の近くにいながら、人間とは異なる理(ことわり)で生きる妖怪たちの姿を感じることができる、シリアスなエピソードです。

『夏目友人帳』のキャラクター

人間も妖怪も、個性豊かな『夏目友人帳』。夏目とニャンコ先生の周りにいる、主要キャラクターを紹介します。

夏目貴志(なつめ たかし)

『夏目友人帳』登場人物:夏目貴志

本作の主人公で、高校1年生。両親を早くに亡くし、親戚中をたらい回しにされてきました。普通の人間には見えない妖怪が見えます。
祖母レイコの遺した「友人帳」は、妖怪たちを従えることができる強力なアイテムですが、夏目は利用することなく、妖怪たちに名前を返していこうと決意。
灰色の髪と涼しげな顔立ちには、祖母レイコの面影があるそうです。

ニャンコ先生

『夏目友人帳』登場人物:ニャンコ先生

招き猫を依り代にするうちに長い年月を経て、いつしかその形になじんでしまった妖怪。本来は「斑(まだら)」という大妖怪です。夏目の死後に「友人帳」を譲り受ける代わりに、用心棒を買って出て夏目の部屋に住み始めることに。甘い物やお酒が大好き。
その一方、「斑」の姿に戻ったときは、かっこいい活躍を見せることに。妖怪の知識も豊富で、人間と妖怪の考え方の違いや、死生観についての含蓄あるセリフも多く、まさに「先生」と呼ぶにふさわしいキャラクターです。

名取周一(なとり しゅういち)

『夏目友人帳』登場人物:名取周一

人気俳優でありながら、祓い屋の仕事をしている青年。妖怪が見えることで苦しんできた夏目を温かく、程よい距離感で見守ります。一つ目の面を付けた柊(ひいらぎ)、布で両目を隠している笹後(ささご)、黒髪の瓜姫(うりひめ)という三体の妖怪を、「式」として従えています。

田沼 要(たぬま かなめ)

『夏目友人帳』登場人物:田沼要

夏目の同級生。夏目のように妖怪を見ることはできませんが、その気配だけは感じることができます。夏目にとっては妖怪についての話ができる、数少ない友人であり、頼もしい理解者です。新作アニメ『夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者』ではキーパーソンに。

多軌 透(たき とおる)

『夏目友人帳』登場人物:多軌透

夏目の同級生。陰陽師の家系に育ち、祖父が書き残した「陣」を使うと妖怪を見ることができます。「陣」を巡るトラブルで夏目と出会い、友達に。ニャンコ先生が大好きで、顔を合わせる度に抱きしめています。また、大学生の兄がいます。

西村 悟(にしむら さとる)/北本篤史(きたもと あつし)

『夏目友人帳』登場人物:西村悟、北本篤史

夏目の同級生。西村(左)は元気がよくてミーハー気質、北本(右)は落ち着きのあるしっかり者。夏目ともすぐに打ち解けます。二人とも妖怪が見えるという夏目の秘密は知らないままですが、けっこう不思議な体験をしています。

的場静司(まとば せいじ)

『夏目友人帳』登場人物:的場静司

多くの門下をかかえる祓い屋「的場一門」の頭首。的場の頭首は代々、妖に右目を狙われているので、守るために眼帯をしています。

藤原塔子(ふじわら とうこ)

『夏目友人帳』登場人物:藤原塔子

藤原 滋(ふじわら しげる)

『夏目友人帳』登場人物:藤原滋

夏目の遠縁にあたる夫婦。もともとは子どもがおらず二人暮らしで、親戚の間で厄介者にされていた夏目を引き取りました。

『夏目友人帳』1巻を試し読みする

『夏目友人帳』の尽きない魅力【ネタバレあり】

人と妖怪の思いが重なり合い、心に刺さるドラマが描かれる『夏目友人帳』。その魅力を、読者のみなさんの感想とともに探ります。

人と妖怪の繊細な関係

『夏目友人帳』の魅力:人と妖怪の繊細な関係

人と妖怪が関わることで生まれる、さまざまな関係性。それが『夏目友人帳』のドラマの中心です。たとえば時間の流れ。寿命が百年にも満たない人と、何百年も生きる妖怪では時間の感覚がまったく違い、妖怪にとっては、かつて心を交わし合った人間が年老いてしまっていたり、死んでしまっていたりすることも。そこに切ない物語が生まれます。
また、妖怪は気まぐれで、人に優しく接することもあれば、災いをなすことも。逆に人間も、的場のように妖怪に厳しく接する者もいれば、夏目のように心を通わせようとする者もいます。人間同士の関係ではあり得ない、人と妖怪の繊細な感情のやり取りが、本作の魅力です。

《読者の感想》
大好きな作品です。
他の人には聞こえない声が聞こえたり、見えないものが見えてしまうせいで気味悪がられ、他人と距離を置いて生きていた夏目。ある日招き猫に封印されていた妖怪と知り合ったのがきっかけに、その環境が変わってきます。
今までは知らなかったこと。今まではただ怖いとしか思ってなかった妖怪のこと。そして人と、関わること。
切なくて悲しくて、でも優しくてあったかい。
1人、また1人と夏目の側に人が増えていくのが、読んでいて本当に嬉しい。
posted.by ブクログ

一話完結型で丁寧に描かれる物語

『夏目友人帳』の魅力:一話完結型で丁寧に描かれる物語

一話完結という形でスタートした『夏目友人帳』。巻が進むと、数回にわたって描かれるエピソードも出てきますが、基本的には短編が集まってできた作品となっています。それぞれのエピソードに、緑川先生が考え出した妖怪が登場。魅力的な奇譚が、丁寧に描かれます。また、複数のエピソードに登場する準レギュラーキャラも魅力的。祓い屋の名取や的場のようなミステリアスなイケメンから、多軌のような夏目と同年代の少女まで、いずれも個性的で出自もさまざま、目が離せません。

《読者の感想》
丁寧に、一話完結で、毎回、導入部分の説明ときれいな「まとめ」をつけてくれるのが、読んでいて気持ちよい。ちょっとほっこりしてしまう。今後どうなるかわからないけど、いつまでもこの時間が続くといいな。
posted.by ブクログ

ノスタルジックな世界観

『夏目友人帳』の魅力:ノスタルジックな世界観

夏目たちは方言は話しませんが、緑豊かな田園風景や、ひなびた寺社仏閣が背景として描かれます。それはビルに囲まれた都会とは違う、ノスタルジックな日本。古い家屋や舗装されていない道ばた、廃れた寺の門や神社へと続く長い石段など、妖怪の気配を思わず感じてしまう世界観が、『夏目友人帳』をより豊かにしています。

《読者の感想》
物語が繊細でとても美しい。そしてすごく泣ける。
恋人とかそういうのじゃなくて、人(とか怪)を愛しいと感じる瞬間がたくさんあって、感動しちゃう。田舎というか山とか川とかの風景がこれまたソレを引き立たせてるような、気がします。
posted.by ブクログ

各キャラクターの特別編

『夏目友人帳』の魅力:各キャラクターの特別編

各巻の特別編では、本編では語られていない脇役たちの過去やサイドストーリーが描かれ、物語に深みを与えます。特に、人気キャラクターの名取と的場の過去を描いた「歪みなき世界」(17巻)と「伸ばした手は」(21巻)は、高校時代の二人が活躍して、読み応えあり。また、夏目を引き取る前の藤原夫妻を描いた「塔子と滋」(15巻)は、二人のやり取りにほっこりしつつ、孤独だったころの夏目の姿に切なくなります。

《読者の感想》
藤原夫妻の話とてもよかったです。
夏目を引き取るまでの、引き取った後の夫妻の気持ちが見れて感動でした。夫妻にはあやかしからの被害とか遭ってほしくないなぁ。
posted.by ブクログ

『夏目友人帳』1巻を試し読みする

終わりに

現在進行形の『夏目友人帳』解説、いかがだったでしょうか? 劇中ではほとんど時間が流れず、夏目は今も高校生のまま。それでも、初期に見られた孤独な心は、かなり癒されてきたように思います。そして、毎回印象的なエピソードを届けてくれる緑川先生の、尽きない想像力もすごい。心を豊かにしてくれる妖怪奇譚『夏目友人帳』を、たっぷり楽しんでください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

こちらもおすすめ

『BEASTARS』(ビースターズ)唯一無二の世界観!動物たちの青春群像劇
『BEASTARS』(ビースターズ)唯一無二の世界観!動物たちの青春群像劇
【2020年最新版】思春期を描くおすすめの青春漫画28選【恋愛・部活】
【ネタバレ注意!】普通のサラリーマンが半グレ組織に挑む! 味方も敵も濃いキャラクターだらけの『マイホームヒーロー』を徹底解説!
『マイホームヒーロー』普通のサラリーマンが半グレ組織に挑む! 味方も敵も濃いキャラクターだらけのクライムサスペンスを徹底解説!【ネタバレ注意!】
おすすめ将棋漫画15選! 9×9=81マスの大勝負が熱い!
元バレー部の書店員が選ぶ、本当に面白いおすすめバレーボール漫画7選
今年は「使徒襲来」イヤー!エヴァに描かれた2015年と現実世界を比較する